子供はかまってくれない

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2022年J1リーグ第13節 札幌VS.鹿島【1:4】

2022年05月15日 12時33分17秒 | 北海道コンサドーレ札幌
攻撃型チームを標榜しながらも,FWの離脱が相次いだこともあって,さっぱり得点を奪えない代わりに,ボール支配率を上げることで何とかクリーンシートを続けてきた札幌だったが,「脱ジーコ」を掲げて首位を走る鹿島の勢いの前ではなすすべもなかった。試合終了後にミシャは「鈴木と上田がこちらにいたら,結果は違っていたかもしれない」というコメントを発したそうだが,指揮官のそんな試合分析が根本的に間違っていたことは,素人目にもはっきりしていた。

確かにこの日の鹿島のツートップは,ガブリエル・シャビエルと駒井,そして金子で構成された札幌の小粒な前線チームに比べて,強さと抜け目なさの点で遥かに上回っていたことは事実だ。もしも日本代表の森保監督がこの二人に古橋を加えた3トップを,カタールW杯のスペイン戦で選んだとしたら,ジリ貧状態に陥っている代表戦視聴率を回復することも夢ではないと思わせるような躍動感が,二人にはあった。
だが,そんな鹿島FWの充実振りを実感する前に勝負は決してしまっていた。三竿をDFに下げて中盤をアルトゥール・カイキ,樋口,和泉というスピード感溢れる選手たちで構成した鹿島は,常に札幌の動きの遙か先を行く鋭いプレスによってボールを奪っては,ディエゴ・ピトゥカにパスを渡す。まさにフィールド全体を制圧するような怖い形相で君臨していたピトゥカは,常に余裕綽々で絶妙のラスト・パスを通すことを楽しんでいたように見えた。
上田が挙げた鮮やかな先制点にしても,ピトゥカと上田の呼吸ばかりが目立つが,その起点は前線のプレスに押されたことから生まれた札幌のフィードのミスだった。札幌のサポーターは毎試合後方のパス廻しの際に,菅野が余裕をかまし過ぎては最後に焦ってミス・キックする,という場面を見せられている訳だが,前半はピッチ全体が「悪い時の菅野」化していたように見えた。

ただ後半開始からトゥチッチを投入したことでDFだけでなくボランチも後ろに引っ張られ気味になったことで,鹿島のプレスが緩み,札幌にもチャンスが生まれる展開となった。菅のまさかの「右足」から放たれたスーパーミドルは見事だったが,青木が落ち着いていれば決められたシュートも2本あった。FWの役割を型に嵌めて考えない柔軟なミシャにとっては,「高さや強さに勝るFWを軸にしたオーソドックスな戦術」よりも,コンビネーションで崩すゼロトップ信仰とその成功体験が,かえって足枷になっているのかもしれない。
最後まで足を止めなかったルーカスに代表されるように,かしこく走りきるスタミナがついてきたことを良い材料にすると同時に,DFへの圧力を与える存在としてのFWの役割を見直して,巻き返して欲しい。


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