「エニグマ」第2次大戦下のイギリスを舞台に、ドイツ軍の難解な暗号システムに挑む暗号解読チームの暗中模索を描く。主人公の天才数学者が暗号解読に立ち向かう。主演はダグレー・スコットとケイト・ウィンスレット。謎の元恋人サフロン・バロウズの存在がポイントだ。
1943年イギリス軍の暗号解読センターでナチスドイツの暗号化装置“エニグマ”機の解読が進められていた。チームの中心的存在で若き数学者の主人公ジェリコことダグレイ・スコットは、同じセンターで働く恋人クレアことサフロン・バロウズと喧嘩別れしたことが原因で神経衰弱に陥り休暇をとっていた。そんなある日、彼は急遽センターに呼び戻される。ようやく解読に成功したエニグマの暗号コードが突然変更されたのだ。この変更コードの解読ができなければ、大量の輸送物資を積み込んで大西洋を航行する大輸送船団が、ドイツのUボート軍団の餌食にされる。窮地に立つイギリス軍だ。もともと主人公がドイツ軍の暗号を解読していた。同時にイギリス諜報部はこの一件でチーム内にスパイがいるとにらみ捜査を開始する…。
この映画の本筋は懸命に「エニグマ」の変更コードの解読に挑むことだが、これに絡まる伏線が実に面白い。
主人公の恋人クレアことサフロン・バロウズは暗号解読本部で働いている職員だが飛び切りの美女だ。その美女に声をかけられて「親密な関係」になり、主人公は恋に狂ってしまう。しかし、彼女は妙に主人公の仕事のことを知ろうとする。ドイツ軍のスパイと思しき流れでストーリーが進む。元恋人の同僚ケイトウィンスレットもその関係を協力して解明しようとする。この伏線がストーリーに変化球の曲線を描かせる。
もう一つとんでもない事実もあらわにされる。これはナチスの話ではない。1943年4月、ロシアのカティンの森に4400体のポーランド将校の死体が発見された。1939年にソビエト軍に捕えられたポーランド人将校たちが、ソビエト秘密警察によって大虐殺されたということだ。これだけではない。41年独ソ戦開始後ソビエト側に渡ったポーランドの20万もの捕虜のうち、10分の1しか残っていないことが判明した。スターリン率いるソビエト当局はナチスドイツによる「デッチ上げ」だと否定したが、のちにゴルバチョフによって謝罪されるスターリンのマイナスの遺産であった。この事実が「エニグマ」によって打電されていた。この大虐殺に関する暗号を主人公とケイトウィンスレットがイギリス暗号解読所で解読する。
そもそも日本の世界史では2次大戦きっかけのポーランド侵入がドイツ単独で語られることが多い気がする。しかし、スターリン率いるソビエトはえげつない。すぐさまドイツを追ってポーランドへ侵入する。そこでむごいことをしたのはむしろソビエトだ。日本人は同様の裏切られたつらい思いをしているだけにポーランドに同情の思いがある。北海道がソビエトのもとに行ったらどうなったのであろうか?
ソビエトのえげつなさが語られないのも戦後「アカ教育」に同調する人たちがナチのでっち上げとしたからであろう。学生運動と左翼思想教育に傾いた日本の失態だ。スターリン時代には悲しい事実がたくさんある。この映画でもスターリンのせいと英語のセリフはなっている。なぜかソビエトのせいと訳しているけど。
暗号に関する映画ではラッセルクロウが数学者を演じる「ビューティフルマインド」が印象的だ。頭を使いすぎて精神を病むという設定はこの映画でも同じだ。そこまでの頭脳を駆使する経験がないだけに、自分にないものとしてこういう世界には魅かれる。途中よく話がわかりづらい部分もあるが、時代考証も絶妙でおもしろかった。ケイトウィンスレットも謎の美女の引き立て役の存在だが、いい味出している気がした。
一つだけ不思議なのはミックジャガーが制作にかかわっていること。その色がないだけに???
(参考作品)
1943年イギリス軍の暗号解読センターでナチスドイツの暗号化装置“エニグマ”機の解読が進められていた。チームの中心的存在で若き数学者の主人公ジェリコことダグレイ・スコットは、同じセンターで働く恋人クレアことサフロン・バロウズと喧嘩別れしたことが原因で神経衰弱に陥り休暇をとっていた。そんなある日、彼は急遽センターに呼び戻される。ようやく解読に成功したエニグマの暗号コードが突然変更されたのだ。この変更コードの解読ができなければ、大量の輸送物資を積み込んで大西洋を航行する大輸送船団が、ドイツのUボート軍団の餌食にされる。窮地に立つイギリス軍だ。もともと主人公がドイツ軍の暗号を解読していた。同時にイギリス諜報部はこの一件でチーム内にスパイがいるとにらみ捜査を開始する…。
この映画の本筋は懸命に「エニグマ」の変更コードの解読に挑むことだが、これに絡まる伏線が実に面白い。
主人公の恋人クレアことサフロン・バロウズは暗号解読本部で働いている職員だが飛び切りの美女だ。その美女に声をかけられて「親密な関係」になり、主人公は恋に狂ってしまう。しかし、彼女は妙に主人公の仕事のことを知ろうとする。ドイツ軍のスパイと思しき流れでストーリーが進む。元恋人の同僚ケイトウィンスレットもその関係を協力して解明しようとする。この伏線がストーリーに変化球の曲線を描かせる。
もう一つとんでもない事実もあらわにされる。これはナチスの話ではない。1943年4月、ロシアのカティンの森に4400体のポーランド将校の死体が発見された。1939年にソビエト軍に捕えられたポーランド人将校たちが、ソビエト秘密警察によって大虐殺されたということだ。これだけではない。41年独ソ戦開始後ソビエト側に渡ったポーランドの20万もの捕虜のうち、10分の1しか残っていないことが判明した。スターリン率いるソビエト当局はナチスドイツによる「デッチ上げ」だと否定したが、のちにゴルバチョフによって謝罪されるスターリンのマイナスの遺産であった。この事実が「エニグマ」によって打電されていた。この大虐殺に関する暗号を主人公とケイトウィンスレットがイギリス暗号解読所で解読する。
そもそも日本の世界史では2次大戦きっかけのポーランド侵入がドイツ単独で語られることが多い気がする。しかし、スターリン率いるソビエトはえげつない。すぐさまドイツを追ってポーランドへ侵入する。そこでむごいことをしたのはむしろソビエトだ。日本人は同様の裏切られたつらい思いをしているだけにポーランドに同情の思いがある。北海道がソビエトのもとに行ったらどうなったのであろうか?
ソビエトのえげつなさが語られないのも戦後「アカ教育」に同調する人たちがナチのでっち上げとしたからであろう。学生運動と左翼思想教育に傾いた日本の失態だ。スターリン時代には悲しい事実がたくさんある。この映画でもスターリンのせいと英語のセリフはなっている。なぜかソビエトのせいと訳しているけど。
暗号に関する映画ではラッセルクロウが数学者を演じる「ビューティフルマインド」が印象的だ。頭を使いすぎて精神を病むという設定はこの映画でも同じだ。そこまでの頭脳を駆使する経験がないだけに、自分にないものとしてこういう世界には魅かれる。途中よく話がわかりづらい部分もあるが、時代考証も絶妙でおもしろかった。ケイトウィンスレットも謎の美女の引き立て役の存在だが、いい味出している気がした。
一つだけ不思議なのはミックジャガーが制作にかかわっていること。その色がないだけに???
(参考作品)
エニグマ | |
天才よりケイト・ウィンスレットがクローズアップ | |
ビューティフル・マインド | |
暗号解読に挑む数学者を描いたアカデミー賞作品 | |