映画とライフデザイン

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ガタカ  イーサンホンク

2011-08-31 18:00:38 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
「ガタカ」は遺伝子が全てを決定する未来社会を舞台にしたサスペンスタッチの97年のSF映画。
若手人気俳優同士だったイーサンホンクとユマサーマンの2人が結婚に至った作品で、その後2人は別れる。そこにメジャーブレイク寸前のジュードロウが加わる。近未来物は比較的苦手だが、語り方はシンプルでわかりやすい。ありえない未来モノではなく、もしかしたらこういう世の中になるのではないかと想像させる世界だ。ここ数年ipsの研究や遺伝子工学の進歩が著しい中、一見の価値はある。


近未来の話だ。人種などの差別ではなく、優性遺伝子を持つかどうかで職業その他に明らかな差別が生まれていた。劣性遺伝子の排除操作されずに自然の形で生まれたヴィンセントことイーサン・ホークは、生まれてすぐ心臓が弱く30歳までしか生きられないと宣告された。逆に弟は劣勢遺伝子が排除されて生まれた。弟は運動神経も頭脳も上回り、背の高さもあっという間に追いぬいた。ずっと弟が優位に立っていたが、遠泳で一度弟に勝ち家を出る決心をする。
イーサンホンクは宇宙開発を手掛けるガタカ社に掃除夫として働くことになった。しかし、宇宙飛行士への憧れを持っていた。遺伝子「不適正者」のため、DNAブローカーにジュード・ロウを紹介してもらう。優性遺伝子を持つ超エリートの水泳選手だった彼は下半身不随になっていた。彼の生活を保証することを見返りに、アリバイを示す血液や尿のサンプルを提供してもらいジュードロウに成り済ます。顔はまったく同じでなくても遺伝子検査さえパスすればいいのだ。

金星の衛星タイタン行きの宇宙飛行士に選ばれるが、ロケット打ち上げに反対していた上司が殺される。女性局員ことユマ・サーマンは捜査に協力した。殺人現場のちかくにイーサンホンクのまつ毛が落ちていた。それは遺伝子不適正者の掃除夫としてカダカ社をすでに辞めている本当のイーサンホンクのものだったが。。。。

自分の正体を隠して生きていくという設定は映画ではよくみられる。うそはばれるというのは常識だが、イーサンホンクはぎりぎりのところを逃れていく。でも逃れようと思っても逃れきれないところに追いつめられる。はたしてどうなるんだろう?と思わせるスリリングな場面が次から次へと登場する。途中のストーリー展開は意外性もあってうまい。とはいうものの根本に流れるのは浪花節的人間的感情だ。それをうまくとり混ぜながら近未来の科学的生活を描く。

遺伝子工学が進歩していると聞く。そういう方面は苦手なんでよくわからないが、この映画で言われる優性遺伝子の概念はこれから進んでいくような気がする。
橘玲さんの本に「出来の悪い親からはいい子供と思っても無理なんだよ」というのが主説の本があった。自己啓発なんてやっても無駄だ。遺伝子の強さを覆せないというのだ。それを思い出した。今の日本はエリート嫌いが強すぎて、能力がよりすぐれた存在をうざく思う傾向がある。財務省エリートをはじめとした特権階級が嫌われる。そういった意味では日本では受け入れずらい映画かもしれない。でも遺伝子の研究が進めばこの映画の世界が実現する可能性が大ではないか。そんな気がした。

ユマサーマンがいかにも未来人ぽいのが笑えた。映画の作りはうまい。
特に脇役の配置にはお見事と言わせるものがあった。

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