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映画「SHE SAID」キャリーマリガン&ゾーイカザン

2023-01-16 05:04:58 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「SHE SAID その名を暴け」を映画館で観てきました。


映画「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」は映画プロデューサーによる性的関係強要のセクハラ被害に関する新作である。監督は女性のマリア・シュラーダーで、キャリー・マリガン、ゾーイ・カザンの2人がニューヨークタイムズの記者を演じる。2人の作品はほとんど観ている。ゾーイカザンのパートナーであるポールダノの監督作品「ワイルドライフ」にはキャリーマリガンが主演で出ている。ゾーイカザンが童顔で年下に見えるが、キャリーマリガンの方が年下だ。

加害者であるハーヴェイ・ワインスタインは映画配給会社「ミラマックス」の創始者で名プロデューサーである。彼が手掛けた作品のリストを見た映画ファンは誰もが名作ばかりなのでアッと驚くだろう。自分もその1人だ。

ワインスタインがホテルの自室に映画の話をするふりをして女優を呼び出し、いつのまにか性的関係を強要する訳だ。ニューヨークタイムズのジョディカンター記者(ゾーイカザン)とミーガントゥーイー記者(キャリーマリガン)は上司のレベッカ(パトリシアクラークソン)の指示を仰ぎながら被害者と思しき女性にインタビューを試みる。しかし、口が堅い女性が多く、取材は難航する。


これはおもしろい!必見である。
女性監督作品で主演2人が女性となると、フェミニスト映画を想像してしまう。でも、その要素は少ない内容満載で、ネタが次から次へと出てくる。真の報道ってこんな感じなのかと映画を観ながら男性も感じるであろう。テンポが良く、リズミカルに映画は展開する。傑作だと思う。

⒈キャリーマリガンとゾーイカザン
2人が演じるニューヨークタイムズの記者は、いずれも夫も子供もいる。夜討ち朝駆けの仕事と家庭を両立するのはすごい。ゾーイカザンが演じるジョディ記者は休日に家族で外出している時でも、取材者からのTELがかかってきたらすぐさまそちらに向かう。情報が得られそうなワインスタインからの被害者がロンドンにいようが、カリフォルニアにいようがすっ飛んでいく。女優のアシュレイジャッドもその情熱に押される。

出演作では、パートナーのポールダノと知り合った「ルビースパークス」が最高、前作の「ニューヨーク親切なロシア料理屋」の話は主人公に感情移入できなかった。名監督エリアカザンの孫だ。ここではアクティブなゾーイカザンの活躍が目立つ。


キャリーマリガン演じるミーガン記者はもともとドナルドトランプのセクハラを追っていた。劇中トランプが電話で強く反発する音声が含まれる。その後、大統領選に勝ち、保守系TVのFOXの勢いに押されて取材を断念せざるを得ない状況になる。そんな時、ワインスタインのセクハラネタをジョディ記者と追って行くのだ。赤ちゃんを出産したばかりだ。精神状態は良くない上に産休なんて文字は存在しない。近作「プロミシングヤングウーマン」には驚いたが、いい味を出していた。バーでナンパされた時の罵声が強烈。ここでも好調。


⒉ハーヴェイ・ワインスタイン
このプロデューサーのセクハラ話にはまったく呆れるしかない。異常としか思えないし、これは病気だね。名作「イヴのすべて」をはじめとして、ハリウッドの上昇志向物語はいくつかある。女優のセクハラ被害で大騒ぎと聞いていたが、お互い様なんだろうなというように正直思っていた。でも、まったく違う。

女優ばかりでなく、制作会社「ミラマックス」のスタッフに声をかけてホテルの個室に呼び出して性的サービスを要求する。干されることを恐れて受け入れることもある。その後被害者がクレームをつけた場合、弁護士も入れて示談に持ち込む。そこで機密保持の契約書にサインを被害者がしているので、その後取材の話があっても逆訴訟を恐れて沈黙するのだ。

これが1回だけの話であれば、驚かない。でも、それを繰り返し続けて、示談になったのも8~12回あるし、実際の被害は100件近くある。これは異常性的思考の病気でしょう。このセクハラ行為がずっと延々と数十年続いていたことに驚く。自分の地位は揺るがない自信だろうが、いつかは崩れる。


⒊記事にするための周到な準備
この映画を観て、すごいなと思うのはニューヨークタイムズが会社をあげて、じっくりと記事にしていく過程が描かれているところである。記者の上司役のパトリシアクラークソンも久々の活躍だ。被害者である女優やスタッフへのインタビューでも、告白ができる人を見つけるのが大変だ。ワールドワイドで探して取材ネタを苦労して引き出す。加えて制作会社の元幹部や顧問弁護士を含めて、閉じた口を割らせるまで徹底的に取材する。

そこでの話は一方的にはならない。最終記事の前には加害者にも通知する。反論の余地も残す。日本よりも訴訟リスクが高いアメリカでの法を重視しながらの理にかなった報道姿勢に凄みを感じる。

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