映画とライフデザイン

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映画「少女娼婦 けものみち」内田裕也&神代辰巳

2019-06-13 22:08:09 | 映画(日本 昭和49~63年)
映画「少女娼婦 けものみち」を映画館で観てきました。

名画座で故内田裕也特集をやっている。この日は映画に頻繁に出るようになった40代前半の2作の上映である。神代辰巳監督作品は、かなり大胆な演出で同じ日活作品でも際立つ。破天荒な内田裕也とは絶妙なコンビだと思う。これは見るしかない。


まずは1980年3月公開の「少女娼婦 けものみち」だ。ストーリーはどうってことない。高校生の女の子が恋人と交わり大人の世界に一歩踏み入れる。ほぼ同時に2人の男との交渉で懐妊が判明する。でもどちらの子かわからない。こんな話はどこにでもある話だ。吉村彩子はクレジットには新人とある。記憶にないなあ。初めて見るけどいい女だ。男出入りの激しい母親のもとに生まれて育った16歳の女の子を演じる。その子も自ら母親と同じようなはずれた道を歩みそうな感じをだしつつ映画は展開する。


サキ(吉村彩子)は、屋台を引いて生計をたてている母・圭子(珠瑠美)と二人暮らしの十六歳の少女。ある冬の日の午後、サキはボーイフレンドの外男と、自転車で海辺へ行き、初体験を済ませた。そのあと、サキは外男を追いやった。彼女は一人になりたかったのだ。ダンプカーの運転手のアタル(内田裕也)が遊子(水島美奈子)を乗せて国道を走っていた。その道をサキが自転車で走っている。彼女に気づいたアタルは、ドライブインで遊子を降ろすと、サキを追う。そしてデートをした二人は、そこで関係を結ぶ。

その後サキは子供を宿していたことがわかる。どちらの子であるか分らない。アタルは妊娠の事実をサキに聞くと、「産めよ」とやさしく言うのだった。一方、外男は堕胎費用を集め、彼女に渡す。でもサキはその札束を放りなげる。ある日、サキはアタルの部屋に行くと、彼は遊子と絡み合っていた。嫉妬した彼女は、アタルの足を包丁で刺してしまうが、彼はそんな彼女をやさしく迎えるのだった。


1.内田裕也
演技という次元を通り越した存在感があった。個人的には寺島しのぶ主演「赤目四十八瀧心中未遂」で演じた彫り師に脅威を感じる。こういうはぐれ者をなかなか演じる人はいない。でもまだ若かった時のこの役には末期の凄みというのはない。海辺の静かな田舎町に暮らすトラックの運転手だ。バックに小林旭の「自動車ショー」がすっとぼけたように流れる。現在も風景は変わらないような海辺の片隅で、ひたすらオンナと交わる。夕陽を浴びた船の上でいたすシーンが印象的だ。日活の名カメラマン姫田真佐久の腕前が冴える。波打つ荒波も情感がある。


2.神代辰巳

中学から高校にかけて故萩原健一、水谷豊コンビの「傷だらけの天使」をよく見たものだ。その中でも深作欣二と神代辰巳が演出した作品は一番印象に残る。池部良の使い方がうまかった。日活で「黒薔薇昇天」という神代辰巳監督作品がある。当時18禁なのに見に行ったが、あまりの激しさにぶったまげた記憶が今でも残る。岸田森と谷ナオミの共演でからみが強烈すぎ。ワイルドだ。数多き日活P作品の中でも頂点に位置する。それだけにこの2作が気になった。


ここでも神代辰巳監督内田裕也に激しいカラミを要求する。まだ若い内田がそれに応えて腰の切れもいい。



3.珠瑠美

ませていたせいか、五反田の18禁映画館には中学生の頃からよく潜り込んだものだ。いわゆるピンク系は見ているといつも同じような俳優が出てくる。その中でも頻度が高かったのが、谷ナオミと珠瑠美であった。老け顔なのかなあ、当時30代前半とわかって驚く。しかも中年の女役が多い。ここでは屋台を引く主人公の母親役。男が替わるたびに新しい屋台をつくるなんて言って5台目だという。こういう男に依存しつつ、その男をダメにするなんて役は適役だ。珠瑠美のねっとりとした身体を見ても中学生の時は何とも感じなかったが、人間歳をとるとこういうのもいいかと思ってしまう。




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