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映画「教誨師」大杉漣

2019-06-11 18:30:55 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「教誨師」は2018年制作の日本映画。

大杉漣
の遺作というべき佐向大監督による最後の主演作である。気になっていたが、とりあえず後回しにした。大好きな「孤独のグルメ」(鶯谷編)を見ていたら大杉漣が出ているので、これは「教誨師」を見ろということだなとDVD手に取る。


大杉漣が演じるのは死刑囚を相手するキリスト教の教誨師である。男5人、女1人の6人の死刑囚を受け持つ。変わった奴らだが、長い間生きていると似たような奴にあったものだ。きっとモデルはいるのであろう。まあ面倒な仕事だ。何かの間違い死刑囚となってしまったのであろう。彼らは刑務所でなく、拘置所で独房ににいる。独房の中の生活は映さない。

再審が必要とのことでH死刑囚が釈放された。長い間の拘置所生活で完全に精神が錯乱されているようにTVでは見えた。1人でこんな閉鎖空間にいたら頭がおかしくなってしまうだろう。かなり特殊な人物との会話を描いている。

プロテスタントの牧師、佐伯保(大杉漣)。彼は教誨師として月に2回拘置所を訪れ、一癖も二癖もある死刑囚と面会する。無言を貫き、佐伯の問いにも一切応えようとしない鈴木(古舘寛治)。気のよいヤクザの組長、吉田(光石研)。年老いたホームレス、進藤(五頭岳夫)。よくしゃべる関西出身の中年女性、野口(烏丸せつこ)。面会にも来ない我が子を思い続ける気弱な小川(小川登)。そして大量殺人者の若者、高宮(玉置玲央)。佐伯は、彼らが自らの罪をしっかりと見つめ、悔い改めることで残り少ない“ 生” を充実したものにできるよう、そして心安らかに“ 死” を迎えられるよう、親身になって彼らの話を聞き、聖書の言葉を伝える。しかしなかなか思い通りにはいかず、苦難の日々が繰り返される。(作品情報 引用)


教誨師という仕事を知ったのは小学生のころ「東京裁判」に関心をもち児島襄の本を読んだ時だ。A級戦犯が過ごす拘置所内での状況を花山教誨師が書いた本から引用している。東条英機、広田弘毅といった元首相が死刑判決をうけて、人生を達観視して悠然とその日を迎えている姿が描かれていた。今回の死刑囚はそのような品位はない。大杉漣演じる教誨師は一癖ある男女を相手にしている。でもこの教誨師にも複雑な過去があるのだ。

1.文盲の男

長い人生で文盲の日本人に自分はあったことがない。教誨師は面談中にこの人は字が読めないと気づく。性格は温和である。ホームレスだというが、結果として車での事故で殺人を犯したと告白する。文盲で運転免許は取得できるわけないからおかしいと思うが、よくテレビで長い間無免許だった人が捕まるなんて話を何度も見たことがある。そう考えれば、ありえないことではないかもしれない。起こした犯罪のディテールはわからないが、面倒な連中の中では応援してあげたい類だ。


2.やくざ上がりの男
こういうタイプはヤクザでなくてもたまに見る。お調子者である。立石のキャラはヤクザとは違うかな。俺のいうようにやってみろよと教誨師に何度も語りかける。口八丁手八丁で這い上がるタイプだ。教誨師に実はあの殺人事件殺したのは俺だとコソコソ話をする。でも教誨師はそれを額面通り受け取らない。死刑になったら、証拠がなくなるので当分は処刑はなくなるという死刑囚の思惑があるとみるからだろう。

処刑を恐れている。12月24日前になんでケーキが出るんだ。次は俺かと慌てふためく。


3.支離滅裂な関西女
言っていることが支離滅裂だ。存在しない拘置所職員の名前をだして、その職員はこう言っているという。自分の話のつじつまが合わず、話しているうちにヒステリーを起こす。


烏丸せつこは久々見た。四季奈津子の映画から40年近くの年月が過ぎ、彼女も64歳である。ボリュームたっぷりのバストをあらわにして、世の男性陣をとりこにしたのは嘘みたいな変わり様だ。おとろえたなあ。これが演技のために造られたメイクとなればすごいけど。

4.屁理屈にあふれた若者
大量殺人を犯したという。屁理屈を言って、自分の殺しを正当化する。斜に構えている若者だ。自分が1番嫌いなタイプで学園紛争の時期にはこういう奴は大勢いたかもしれない。教誨師にも強気で議論を吹っかける。教誨師もつじつま合わずタジタジだ。

リンゴを盗んだらコソ泥で捕まり、国を盗んだら支配者になるなんてのたまう。チャップリンが「殺人狂時代」で言った大量殺人なら英雄になるというセリフが脳裏に浮かぶ。この6人の中で最も嫌な奴だが、印象にも残る。




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