映画とライフデザイン

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映画「迫りくる嵐」ドアン・イーホン&ジャン・イーイェン

2019-01-23 19:00:13 | 映画(自分好みベスト100)
中国映画「迫りくる嵐」を映画館で観てきました。


久々にいいサスペンスに出会えたという新作でした。宣伝文句には「殺人の記憶」、「薄氷の殺人」に続く本格サスペンス映画となっている。両作品とも自分の好きな映画である。とにかく雨の続く映画である。工場のある華南の町という設定、色合いもどんよりしたムードがひと時代前の中国を象徴するようだ。映像に絡む音楽も中華的なサウンドの匂いを込めながらじんわりと心に響く。主役のドアン・イーホンは好演、恋人役のジャン・イーイェンが色っぽく映画のレベルを上げている。それにしてもドン・ユエ監督の長編デビュー作品というのも、近年の中国映画のレベルアップを示すものと感じる。傑作だと思う。


1997年。中国の小さな町の古い国営製鋼所で保安部の警備員をしているユィ・グオウェイ(ドアン・イーホン)は、近所で起きている若い女性の連続殺人事件の捜査に、刑事気取りで首を突っ込み始める。警部から捜査情報を手にいれたユィは、自ら犯人を捕まえようと奔走し、死体が発見される度に事件に執着していく。 ある日、恋人のイェンズ(ジャン・イーイェン)が犠牲者に似ていることを知ったユィの行動によって、事態は思わぬ方向に進んでいく…。果たして、ユィに待ち受ける想像を絶する運命とはー。(作品情報より)

いきなりある男性を映す。どうも長年の懲役を経て釈放されるようだ。主人公のようだが、いったいどうしたんだろうというところから始まる。若い女性の殺人事件が続くという展開で、謎解きだということはわかるのであるが、この主人公ユィは刑事なの?あまり基本情報読んでいないんでわからない。でも名探偵だねと言われているところを見ると、素人か?やがて保安係として工場で表彰されるシーンで初めて工場勤務とわかる。

余分な説明は少ない。主人公には「傷だらけの天使」萩原健一に対する水谷豊のような弟分がいて、実地検分をしたり、公安当局のベテラン刑事の捜査にちょっかい出しながら興味本位で私的捜査を続ける。


やがてクライムサスペンス特有の犯人追跡劇が始まる。犯人の顔は見えない。あやしい男がいる。工場の中で追いつめる。おきまりの列車操車場での追跡劇だ。首を絞められてあやうく殺されそうになる。何とか耐える。それでも追いかけるが捕まらない。暗礁に乗り上げそうになるのであるが。。。

1.雨が続く
いわゆる韓国クライムサスペンス映画で死体が見つかるのは雨のシーンが多い。どんよりした一時代前の中国郊外の風景に雨が似合う。それがずっと続いていく。そこに組み合わさるのが、感情を揺さぶる音楽だ。これがいい。黒澤明監督の「七人の侍」の戦闘シーンや小津安二郎監督の「浮草」の雨降る中の中村鴈治郎と京マチ子がののしりあいシーンなんかを想像する。「薄氷の殺人」は具体的には明示されていないが東北地区のハルピンが舞台で、雪景色が印象的だった。ここでは最後の最後に雪が降る。華南でもこの年は大雪だったという。


2.ジャン・イーイェン(江一燕)の美しさ
主人公の恋人である。いかがわしいネオンのある場所の二階に住んでいる。そこにいると階下からお客さんだよと呼ばれる。娼婦がよく持つ小さいポシェットを携えて、お客のところへ向かう。ところが顔には殴られたと思しきあざがある。客が悪いのか?仕切る黒社会が悪いのか?なかなか大変なようだ。彼女の希望は香港で美容院を持つということ。主人公はその夢をかなえてやろうと地元で店を出してあげる。美容院というより散髪屋で男も刈ってもらう。しかし、それが間違いのもとであった。


ジャン・イーイェンがきれいだ。「薄氷の殺人」でも女主人公の魅力が際立った。ここでも同様に男はどちらかというとドンくさいが、中国女優のレベルアップが今もなおされているのがよくわかる。最近の銀座クラブの売れっ子ホステスもこんな顔立ちのタイプが多い。最後に向けては意外な展開に戸惑った。

3.謎が多い。
こういう作品だけにネタバレ厳禁であろう。それにしても映画を観終わった後にも謎を残す。もともとナレーターや余計なテロップはなく、ストーリーはつかみづらい映画だ。いくつかのシーンを経てようやく概要がつかめてくる。観終わった後、他の人のブログを見て、へえそういうことなの?と思うようなシーンも多い。

映画自体意外な展開で進むが、特に最後に向けて、もといた工場が解体されると聞いて工場に向かい、昔からいたという老人に会う。その時の会話がよくわからない。謎である。恋人のイェンズが言った言葉の意味も??これって観客に推理させるということ?レベルが高い。

薄氷の殺人(字幕版)
極寒の中国で次々起きる殺人

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