映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「華麗なるギャツビー」 ロバートレッドフォード

2013-05-07 05:25:24 | 映画(洋画 89年以前)
映画「華麗なるギャツビー」はスコットフィッツジェラルドの原作を映画化した1974年の作品だ。
ロバート・レッドフォードとミア・ファローという当時の人気スターの共演

原作「グレートギャツビー」は1920年代を象徴する名作として末長く読まれている。村上春樹による新訳は読みやすい。ロングアイランドの豪邸やパーティの描写など華やかな印象もあるが、基本は悲哀を含む恋愛小説である。事の顛末がシェイクスピアの悲劇を思わせる。やはりこの原作は映画で見ると、なおのこと冴える作品だ。
映像は若干古いが、ロケで使った豪華な住まいや派手なパーティの映像でたのしませてくれる。

1920年代のアメリカが舞台だ。
ニック・キャラウェイ(サム・ウォーターストン)の一人称で語られる。
証券会社に勤めるニックはニューヨーク郊外のロングアイランドに住んでいる。湾をへだてて向かい合ったところに住む富豪トム・ブキャナン(ブルース・ダーン)とニックはイェール大学での同窓で、トムの妻デイジー(ミア・ファロー)はニックのいとこだった。トムは自動車修理工の妻マートル(カレン・ブラック)と不倫関係にあった。トムの浮気癖は直らず夫婦生活はうまくいっていなかった。

ニックの自宅の隣で豪華な邸宅を構えるジェイ・ギャツビー(ロバート・レッドフォード)は頻繁にパーティーを催していた。社交界の話題はギャツビーに集中していたが、彼の身分は謎に包まれていた。
ニックはギャツビーからパーティに招待を受ける。

数多くの招待客がざわめく賑やかなパーティーの途中、給仕に「ちょっとこちらへ」と呼ばれる。連れて行かれた部屋にギャツビーがいた。隣人ということで特別待遇を受けたのだ。
その後食事をしたりしてギャツビーの人となりを知るようになった。ギャツビーは第1次大戦に参加し、陸軍少尉となった彼はデイジー(ミア・ファロー)と知りあった。2人は激しい恋におちたが、ギャツビーは軍の命令でフランス戦線へ派遣されてしまったのだ。

2人はニックの仲介を得て8年ぶりに再会した。(ちなみに小説では5年ぶりとなっている)
デイジーはギャツビーの愛情に感激した。
ギャツビーがフランスへ発ったあとデイジーが結婚した。当時貧しかったギャツビーではなく富豪のトムを選んだのだ。デイジーとトムはギャツビーのパーティに招待された。デイジーへのギャツビーの振る舞いを見て夫のトムは不信感をいただいた。一方ギャツビーは再びテイジーの心をとり戻す決意を固めていたのだが。。。

まさに全盛時のレッドフォードである。中学生の時「追憶」を劇場で見て魅かれ「スティング」を見に行った。そのあとでこの映画見た。きらびやかな印象が強かったが、男女の恋の機微がよく理解できていなかった。今こうして見ると、女のずるさを強く感じる。



1920年代ハーディング、クーリッジ、フーバーの共和党政権時代は1929年まで「永遠の繁栄」と言われた。当然バブリーな人たちも多い。それを象徴する映画だ。ギャツビーは派手なパーティを開く。一体いくらかかるんだろうと思わせる豪華なパーティだ。今の日本であれば人件費、飲食代ふくめ1回2000万円以上はかかるであろう。大げさでなく月に1億円はかかる。さすがにそんなことする人はいない。しかも、ロングアイランドのような海辺の高級住宅地は日本の都市部には存在しない。

ギャツビーは酒の密売をやっているというセリフがある。1919年から33年までアメリカでは禁酒法が布かれていた。これは「酒を飲むのが違法だったのではなく、売買が違法だった」ということだ。であるから酒を飲むシーンが数多く出てきても不自然ではない。ただ、この映画のように飲みまくる人たちがいれば密売は大儲けできるはずだ。

いくつもの恋愛が絡み合う。
この映画のテーマも男と男の競い合いだ。浮気症で妻に目もくれないかった男が、ライバル出現とともに妻が気になる。妻は完全にとんでいる。普通だったらそのまま持っていかれそうな恋なのに。。。
デイジーは「彼もあなたも愛しているわ」と言ってしまう。
決断をするには、自分にも子供がいる。ついつい中間的な言葉を発してしまう。ずるいなあと思うけど、仕方ないのかな。ただその先にとんでもない悲劇が待っている。


この物語の重層性はそれだけにとどまらない。シェイクスピアの物語のような悲劇ともいえる構造が長く読み続けられている本質であろう。
ミアファローのデイジーの演技を味わいながら、ずるい女の何人かを連想した。

個人的にはニックの恋人役を演じたロイス・チャイルズがよく見えた。ボンドガールをつとめたことのある美人だが、何より声が渋い。低音の魅力で百戦錬磨の恋の達人といった風格をもっていた。


レオナルドディカプリオによる新作は本当に楽しみである。特に華やかなパーティ場面は予告編で見てもすごそう。修羅場の場面をキャリーマリガンがどうしのぐのかも関心がある。1974年の作品でも多少原作と違う部分がある。どう料理されているのであろうか。

グレート・ギャツビー (村上春樹訳)
村上春樹の新訳を楽しむ


華麗なるギャツビー
アカデミー賞でビジュアル系の賞を独占したきらびやかな美術に注目
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映画「特攻サンダーボルト作戦」 チャールズ ブロンソン

2013-05-03 06:33:30 | 映画(洋画 89年以前)
映画「特攻サンダーボルト作戦」は1977年の作品だ。
元々はテレビ映画だったという。出演者はチャールズブロンソンはじめ当時のトップ級だ。


正直この作品の存在は知らなかった。ツタヤの復刻版にあり、ブロンソンの顔を見て解説を見たら面白そうだ。しかも「ネットワーク」で強烈な演技を見せオスカーをとる前に亡くなったピーターフィンチも出ているではないか。
昨年「アルゴ」がオスカー作品賞をとったが、自分的には「ゼロダークサーティ」のほうが今でも上だと思っている。「ゼロダークサーティ」は外交の交流が薄いパキスタンに忍び込んでビンラディンを射殺する。米軍の特殊部隊が夜輸送の空輸機に軍の精鋭を乗せパキスタンに侵入させる。この映画はそれと共通点を持っている。この映画でもイスラエル軍は自国から出発してケニアからウガンダに密かに夜間侵入する。そしてテロに人質になっているユダヤ人を無理やり救出するのだ。

話自体スリリングだし、周到な準備の中作戦を履行している軌跡が語られる。
これは掘り出し物の映画だ。

1976年6月27日、テルアビブ発パリ行きのエール・フランス機が、経由のアテネ空港出発30分後テロリストにハイジャックされた。チェチェ系のゲリラと名乗るハイジャック犯たちは、世界各国で捕らわれているゲリラの釈放を要求する。乗客は245人の中にユダヤ人が100名近く含まれている。まず飛行機はリビアの空港に一時着陸する。その後アミン大統領が独裁政権をとるウガンダのエンテベ空港に着陸した。アミンはその当時反イスラエルの立場だ。エンテベでは空港ロビーが人質の宿舎となっていた。テロリストは全員のパスポートを回収する。パスポート上の国籍で判別されて、イスラエル籍以外の人質全員が解放された。テロリストはイスラエルを狙い撃ちにして交渉を優位にしようとしている。

イスラエルのラビン首相(ピーター・フィンチ)は、軍部が提案した人質救出作戦サンダーボルトの決行に踏み切る。ラビン首相は犯人グループの要求を受諾することも検討する。しかし、「テロには屈しない」という意志のもと、作戦を決行する。
ダン・ショムロン准将(チャールズ・ブロンソン)を司令官にイスラエル軍の精鋭部隊が集められた。その中には射撃の名手も多い。テロリストたちの要求のタイム・リミットは7月4日午前11時。タイムリミットが近づく中、精鋭部隊は入念に準備をして救出に向かうのであるが。。。


アルゴでは、イランのカナダ大使館に潜んでいるアメリカ大使館員をCIA職員がだましだまし脱出させる作戦であった。武装をしての脱出ではない。
今回の作戦では軍が主導になっての国境中央突破である。国交のない他国に忍び込んで、100人もの人質を脱出させるなんて話はすごいとしかいい様にない。
日本ではこの事実があまり語られていなかったのではないか?おそらくはオイルショック後、アラブ系石油産油国にかなり肩入れしたのでイスラエルを弁護するような話が出来なかったのであろう。しかも、日本では人命第一という方針のもと、福田赳夫首相が拘留されているテロリストを釈放するのだ。
当時日本ではチャールズブロンソンの人気は絶大なものがあった。そういった中、普通であれば公開されてもおかしくないこの映画の公開が10年も後になったのが残念だ。

「スターウオ―ズ」シリーズの最高傑作を「帝国の逆襲」という人は多い。自分もそう思う。
アーヴィン・カーシュナーが監督だ。彼がこの映画を撮っているというのも大きい。
脱出までの軌跡が緻密に描かれる。作戦履行もじっくりと実践演習して、50分台で空港を救出退出できるような作戦に仕立てる。その過程も丹念に描かれていく。同時に緊張感あふれる救出部隊の出発の場面やウガンダへの飛行機内における隊員のドキドキ感も臨場感をもって表現される。
どんな風に作戦を履行させるのか、映画を見ながら次はどうなるのか固唾をのむ。

3日午後11時救出部隊がエンテベ空港に着陸した。まずウガンダ軍の監視の兵2人に向かって麻酔銃を撃つ。アミン大統領が乗っていると連想させる黒塗り車を走らせゲリラにそれらしき動きを見せない。そこには射撃の名手を隠す。空港前にいる監視のゲリラを射撃する。脱出に向けての一歩だ。そしてロビーのゲリラ7人を撃ち殺す。そして追撃されないようにウガンダの戦闘機を次々爆破する。異変に気が付いたウガンダ軍が現地に向かう。早く脱出するしかない。到着した軍から懸命に防御する。
結局、人質全員を乗せて離陸するまで、わずか53分の救出作戦だった。残念ながら全員救出とはならなかったが、凄い作戦の履行に唖然とさせられた。実話と思うと凄すぎる。

苦悩にあふれるイスラエル首相を演じたピーターフィンチはこのあとすぐ死んでしまう。まるでこの作戦で神経すり減らしたかのように。この年「ネットワーク」の怪演でオスカー主演男優賞を死後受賞する。

司令官チャールス・ブロンソンが渋過ぎる。精鋭たちの士気を高揚させる。
荒野の7人」はずっと前、「さらば友よ」は68年、「マンダム」のCMは70年、「狼よさらば」は74年でそのあとだ。我々ブロンソン世代にはたまらない渋みのある演技だ。
でも一番見ていて楽しいのはアミン大統領のパフォーマンスだ。マスコミを意識して人質とは融和体制をとる。女性や子供、そしてユダヤ系を除く欧米人が順番に解放される。その際、俺のおかげで解放されたんだと笑う高笑いが印象的だ。演じる黒人俳優ヤフェット・コットーがうますぎる。「キングオブスコットランド」と比較してみてみるといい。

アルゴゼロダークサーティが好きという人には絶対のおすすめだ。
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映画「ザ・ドライバー」 ライアンオニール

2013-01-07 06:03:31 | 映画(洋画 89年以前)
映画「ザ・ドライバー」は1978年のライアン・オニール主演のアクション映画だ。
古い映画だけど、この映画は凄い!久々の衝撃である。

昨年、ライアンゴズリング主演の「ドライブ」という映画があった。カーアクションが鋭く、よくできた映画だった。「ザ・ドライバー」はツタヤの復刻盤に新しく出ていた作品だ。どうやら新しい「ドライブ」はリメイクではないが、この映画にベースを置いているようだ。こういう作品があることは知らなかった。

主演のライアンオニールには名前がない。「ドライバー」というだけだ。これは新しい作品も同じだ。「ドライブ」同様、いきなり主演のドライバーのドライブテクニックを見せるための10分強のカーアクションを映す。30年以上前のカーアクションだけれど、凄まじい迫力だ。追いかけるパトカーに追いつかれそうで追いつかれない。このアクションで度肝を抜かれたが、その後の展開もすばらしい!
よくできた映画を見たという感激に浸る。

主人公ドライバー(ライアン・オニール)は銀行ギャングや強盗の逃走を請負うプロの逃げ屋なのだ。
その「ドライバー」はカジノの前で盗難車に乗り待っていた。カジノから出てきたのは売り上げ金を強奪して逃げてきた覆面の男2人で、「ドライバー」は無表情に彼らを乗せ逃走する。パトカーの必死の追跡からうまく逃げきり、仕事の依頼主から礼金をうけとり無表情に消え去った。
「刑事」(ブルース・ダーン)はいつも捜査線上に浮かんでも現場と証拠をつかめない「ドライバー」の逮捕にやっきになっていた。カジノで遊ぶ人から目撃情報を得るように、鏡の面通しをした。よく見ているはずの女性「プレイヤー」(イザべル・アジャーニ)は実際には見たことはないと言った。
そこで「刑事」はスーパーマーケットを襲撃した3人組の1人と「ドライバー」に罠をかけるべく取り引きをする。「ドライバー」に仕事を頼み誘い出すことに成功したら逃がしてやるとする。「刑事」はそのためにナンバーを控えた札をおとりに使う銀行に用意させ、それを強奪させようとするが。。。。


初めの10分強のカーチェイスで度肝を抜かれた後、主人公が駐車場の中でそのドライブテクニックを見せつける場面でその正確さにビックリさせられる。これはメルセデスに乗る。そして終盤にもう一度カーチェイスを見せる。映画は90分を切る映画だが、上の3つを合わせて約30分、これを見ているだけでもすごい。昨年のドライブは純愛的なムードがあり、中途半端になった気がした。この映画では徹底したハードボイルドで、共演する女性もクールだ。その方がいい。

70年代のライアンオニールは絶頂期だった。71年の「ある愛の詩」の大ヒットをはじめとして、「ペーパームーン」「バリーリンドン」と次から次へとヒット作品に出ていた。この作品でも実にかっこいい。しかもクールで、ベラベラしゃべらない。昨年の「ドライブ」では自動車整備工場に勤めている設定だったが、この主人公はもっと孤独だ。定職をもたないし、友達もつくらない。ハードボイルドな匂いが強い。プロのドライブテクニックを見せるシーンでも冷静沈着な雰囲気を醸し出す。

そのお相手で、フランスの美人女優イザべル・アジャーニが出てくる。冷たい感じの美人だ。のちに「王妃マルゴ」をはじめとした名作に出演するフランスを代表する女優になる。英語も堪能だ。この作品では23歳、一番きれいな時だ。


新春早々レベルの高いレベルの映画が見れてよかった。これを発掘したツタヤに感謝したい。

(参考作品)
ザ・ドライバー
ライアンオニールの脅威のドライブテクニック


ドライヴ
リメイクに近いライアンゴズリング演じる近年の快作
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映画「ひまわり」 ソフィアローレン

2012-12-24 07:54:36 | 映画(洋画 89年以前)
映画「ひまわり」を久々に見た。
イタリア映画の巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督が2人の大スターソフィアローレンとマルチェロ・マストロヤンニを率いて製作した名作だ。第2次世界大戦時に別れ別れになっていた元夫婦の悲哀映画だ。ストーリーの大筋はあまりにも有名だが、ディテールはすっかり忘れていた。地平線まで続くひまわり畑と哀愁こもったヘンリーマンシー二の主題歌が繰り返し流れるのが印象に残っていた。

二次大戦終結後のイタリア。
出征したきり行方不明の夫の消息を求め、役所へ日参する女性の姿があった。
戦時中、お針子のジョバンナ(ソフィア・ローレン)とアフリカ戦線行きを控えた兵士・アントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)は海岸で出会い恋に落ちた。結婚休暇を目当てに結婚式を挙げたふたりは幸せな新婚の日々を過ごす。精神疾患による除隊を目論んだアントニオは首尾よく精神病院に入院するが、仮病がわかってしまう。懲罰の為、ソ連戦線へと送られる。

終戦後、ジョバンナは年老いたアントニオの母親を励ましながら夫の帰りを何年も待ち続けた。同じ部隊にいたという男に出会う。男の話によるとアントニオは敗走中、極寒の雪原で倒れたという。ジョバンナは生存を確かめるため、ソ連へと足を運ぶ。

かつてイタリア軍が戦闘していたという街でアントニオの写真を見せて回るジョバンナだったが、一向に消息が掴めない。 言葉も通じない異国で懸命にアントニオを探し続けているうちに、写真を見た人からあの家の主人じゃないのかなと一軒の家を紹介される。家に向かうと洗濯物を干す若い女性がいた。無言でその女性を見つめる主人公だ。幼い女の子供もいる。そして主人公はその女性にアントニオの写真を見せる。

ロシア人女性・マーシャ(リュドミラ・サベーリエワ)は家の中にジョバンナを向かい入れる。動揺しながらも家の中で待つジョバンナだ。やがて汽笛が聴こえ、マーシャはジョバンナを駅に連れて行く。汽車から次々と降り立つ労働者たちの中にアントニオの姿があったが。。。

ロシアに向かって夫を探しに行ったあとで2人が出会うシーンは映画史上に残る名シーンであろう。そのシーンだけはさすがに背筋がぞくっとする。でも2人が知り合ってから出征する途中までは比較的緩慢だ。ソフィアが懸命に夫を探そうと、役所に怒鳴りこんだり、ロシアの役所と人と現地をまわるシーンとなってくると、グイッと引き締まってくる。同時にソフィアの表情が幸せだったころより美しく見えてくる。

主演2人の存在感があまりに強いので、すっかりその存在を忘れていたが、現地で妻になったマーシャを演じたリュドミラ・サベーリエワがかわいい。濃い女ソフィアローレンと対照的なやさしい匂いのする女性である。旧ソ連の体操選手クチンスカヤを連想する可憐な姿に惹かれる。監督はあえて正反対の彼女を起用したのだと思う。旧ソ連の名作「戦争と平和」にも出ていた美人のロシア人だ。我々が日本で酔った勢いで行くロシア人パブにはアバズレばかりでこんな可憐な美人はいない。

この映画の脚本にはいくつか欠点もある。ネタばれ系なので控えるが明らかにおかしい部分がある。当然この映画の撮影当時は冷戦が続いているわけで映画撮影の許可をもらうのも大変だったろう。それを差し引いて考えねばならないだろう。ヴィットリオ・デ・シーカ監督は映画「終着駅」ジェニファージョーンズとモンゴメリークリフトを起用し、駅での名シーンをつくった。ここでもその流れを組む。駅というのはドラマを生む。

初めてみたのが小学生、次に見たのは名画座で20代だったかな?
それぞれに違う思いがある。もう一度出会ったときに2人が交わす会話は大人になった時でないとわからないものがある気がした。

ひまわり
戦争で離れ離れの2人とその再会
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映画「ナインハーフ」  ミッキーローク&キムベイシンガー

2012-11-15 18:54:58 | 映画(洋画 89年以前)
映画「ナインハーフ」は1985年のアメリカ映画だ。

ミッキーロークキムベイシンガーの絡みが凄いことであまりにも有名だ。
これもDVD化されておらず、レンタルで見れなかった。自分は20年以上前にビデオレンタルで見たことあり、2人の大胆な性行為に度肝を抜かれた記憶があるが、細かいプロットはすっかり忘れていた。ツタヤが今回DVD化してくれたのは本当にうれしい。早速見た。

思ったほどキムベイシンガーの露出度が高いわけではないが、多少マニアックな感じがする2人の絡みは凄い描写だ。エイドリアン・ライン監督が「フラッシュダンス」「危険な情事」の間につくった作品だけあって、ニューヨークマンハッタンを知り尽くしたその映像は80年代半ばに戻ったようで見ていて楽しい。


舞台はニューヨークマンハッタンだ。
キムベイシンガーマンハッタンで画廊に勤めている。チャイナタウンの食料品店で鳥を買っている時に目があったいい男がいた。しばらくして、街の中のバザールで買い物をしていたら、後ろから声をかけられた。ちょうど卵を産むおもちゃの鳥を買っているところで「また鳥を買っていますね」と彼は言った。
お互いひかれた2人はそれをきっかけに会うようになる。男はウォール街の金融会社に勤めているエリート金融マンだ。頻繁に会うようになり、彼のアパートにも行くようになる。彼女は自分が参加するパーティに彼も呼ぼうとするが、彼は「2人がいい」と断る。2人だけでくっついて!いるようになるのであるが。。。

言葉で言い尽くせないような激しくマニアックな性行為が続く。だからと言ってAVのように実際の行為を激しく見せるわけでない。はじめにキムの身体を氷でなでまわすシーンが出てくる。この映画と同じころ日本で公開された伊丹十三作品「タンポポ」で役所広司黒田福美の身体の上で中華料理の生きている「酔っぱらいエビ」を振る舞うシーンがある。それと同じような濃厚なシーンだ。
水道が激しく漏れている地下で2人がまじありあうシーンは前回も一番印象的だった。キムがストリップダンスをミッキーロークの前で踊るシーンやハチミツをキムの身体にかけて彼女を愛撫するシーンも印象的だ。

ミッキーロークが若い。比較的最近の「レスラー」で演じたミッキーとは同一人物に思われない腹が割れたセクシーな男の身体をみせる。対するキムベイシンガーも素敵だ。彼女はここで脱ぎまくって吹っ切れたのか40代過ぎてからもその美しい身体を映画で露出していた。極め付きは「ゲッタウェイ」かな?さすがミスコン出身だけあって美しい。今でも50代後半にして現役で恋する女性が演じられるのはハリウッドではそうは見当たらない。

恋の初期ってまるで2人の身体が一つでないかと思われるくらい激しく毎日のように交わりあうことってあるかもしれない。もう一生離れられないと思うくらいである。でもそれって3ヶ月くらいがピークになる。今回の題名「ナインハーフ」は9週間半ということである。自分自身で振り返ってみても、そのくらいの期間狂い続けたってことはある。
今回は時間を経るうちに男の方が通常の行為で満足できなくなる。異常な行為を求めるようになる。ウォール街のディレクタークラスになればとんでもない収入があるはずで、こういう異常性は珍しいことではないのかもしれない。同じエイドリアン・ライン監督「危険な情事」でもマイケルダグラスグレンクローズの不倫カップルはかなりワイルドに普通じゃ交わらないところで交わっていたことを思い出す。

ニューヨークマンハッタンは古い建物が多いので、この映像が現在と比べて極端に変わっているわけではない。俯瞰的な上から見たニューヨーク、川の反対側ニュージャージーから見たところ、チャイナタウンウェストサイドストーリーで恋を語りあった階段の映像など様々なニューヨークを映し出す。そしてこんなところでイタすのかという場所での2人の激しい性行為を映す。エイドリアン・ライン監督はさすがマンハッタンの端まで知り尽くしている。


ナインハーフ
マンハッタンでのアブノーマルな交わり


危険な情事
マンハッタンでの情事が悲劇に変わる(エイドリアン・ライン監督作品
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デッドゾーン  クリストファー・ウォーケン

2011-11-30 22:21:26 | 映画(洋画 89年以前)
映画「デッドゾーン」は83年のスティーブンキングの小説のサスペンス映画だ。
ディアハンターで狂気に迫る兵士を演じた直後のクリストファーウォーケンの主演だ。若干古さを感じるが、恐怖感を掻き立てるのがうまい展開だ。デヴィッド・クローネンバーグ監督はその後カルトファンが好むキャリアを積んでいくが、そのラインをつくったのがこの映画だ。


高校教師の主人公ことクリストファー・ウォーケンは同僚の女性とデートから帰宅する途中交通事故にあった。5年後に画面が移る。主人公が診療所のベッドで目を覚ました。深い昏睡状態だったのだ。「彼女は他の人と結婚したよ」という母の言葉に絶望する。

ある朝、主人公が看護婦の腕をつかんだ。主人公の脳裏に異様な映像が映ってきた。部屋の片隅で火に包まれて少女が泣き叫んでいる光景である。「家が火事だ。今すぐ帰れ」という彼の言葉に看護婦が家へ駆けつけると、消火活動に入っている消防士に助けられ泣きじゃくる娘の姿があった。
主人公はこん睡状態の後で超能力を得た。自分が手を触れた人物の近未来に起こることが見えてしまうのである。主人公は実業家の息子の家庭教師を依頼された。息子の手を握った時、アイスホッケーのユニフォームを着たまま池のなかに沈む教え子の姿を見たのである。依頼主である父親がアイスホッケーの試合を企画していることを知る。強引に止める主人公にたいして、父親は憤慨して無理やり試合に行かせようとする。結局主人公になつく息子が行くのをやめる。その翌日、新聞で2人の少年が池で溺死したことがわかり呆然とする依頼主であった。
このようなことが続き、主人公の超能力は明らかになった。周辺の人物がその能力を利用しようとするのであるが。。。。


オカルトのようでオカルトと感じさせない。何でだろう。このくらいの超能力を持った人間が実在しそうな気がするかもしれない。そう感じるからか。こうやってこの映画を見ると、その後影響を受けた映画が多いというのがわかる。同じように近未来を予測する能力をもつ人間を描いたトムクルーズの「マイノリティリポート」や最近では霊能力者を描いたイーストウッド監督の「ヒアアフター」など。元ネタの一つとしてこの映画があったと思う。逆にヒッチコック映画からハラハラドキドキ感のスタイルを継承している。



クリストファーウォーケン「ディアハンター」でオスカー助演男優賞を受賞した。彼が演じた兵士はベトナム戦線で前線からはぐれて、アウトローの世界に入る役だ。ロシアンルーレットのシーンはどうしても目を閉じざるを得ない。その時に見せる狂気の表情が凄い。その杵柄で今も映画界の最前線で活躍している。この映画での彼は「ディアハンター」で見せた表情に近い表情を見せる。怖い。


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コットンクラブ  フランシスコッポラ

2011-11-24 21:39:36 | 映画(洋画 89年以前)
フランシスコッポラ監督による84年の作品だ。若き日のリチャードギアとダイアンレインのコンビで高級社交クラブ「コットンクラブ」で展開される人間模様である。「ゴッドファーザー」の流れを汲むむごい殺し合い映像もある。80年代のコッポラ監督は映画興行の不振でなんども破産に陥っている。この映画も製作費の半分程度しか回収できていない。当時としてはすごい予算をかけて、全盛時代の「コットンクラブ」を再現している。くり広げられるダンス、ミュージックのレベルは高い。


1920年代後半のニューヨークが舞台だ。まだ世界恐慌前だ。ハーレムにある「コットンクラブ」は、従業員とダンサーは黒人だが、客は正装した白人に限られる高級ナイトクラブだ。クラブのオーナーは、暗黒街の黒幕でマフィアを牛耳っていた。ボスであるダッチは、ハーレムで襲撃を受け、奏者兼ピアニストのディキシーことリチャード・ギアに命を救われた。歌手のベラことダイアン・レインは親分の愛人になる。リチャードは虎視眈々と上昇の機会をねらう。
若手の黒人タップダンサーであるサンドマンことグレゴリー・ハインズは、兄とのコンビでコットンクラブのオーディションを受ける。サンドマンは兄との対立や、混血の歌手ライラとの恋に悩みつつ、コットンクラブでの人気を確実なものとして行く。リチャードギアはコットンクラブのオーナーの口利きで、ハリウッドのギャング映画に出演しスターになる。その弟のヴィンセントことニコラス・ケイジは、暗黒街での成り上がりを目指すが。。。。


正直そんなに好きになれなかった。時折ゴッドファーザーを思わせる殺しのシーンがある。でもテンポがあわない。ストーリー的にはどうってことない。ここで凄みを見せるのはダンスショーのシーンである。あでやかであると同時にリハーサルを相当積んだと思われる踊りの完璧さに驚く。若き日のダイアン・レインが美しく、ハインズのタップが素晴らしい。このタップダンスを見るだけで価値がある。同じコッポラの「ゴッドファーザー」とは指向が違う。ショーのシーンに大きくウェイトを置く。まあしゃれたカフェでBGMのように見る映画かな?
若き日の髪がふさふさのニコラスケイジや黒人俳優ローレンスフィッシュボーンまでが出てくる。27年前の二人はまだ青かった。
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告発の行方  ジョディフォスター

2011-11-12 19:51:21 | 映画(洋画 89年以前)
「告発の行方」はジョディフォスターが最初にオスカー主演女優賞を受賞した作品だ。レイプ裁判をテーマにしている。ジョディフォスターが迫真に迫る演技をするが、検事ケリーマクギリスがかっこいい。演技もさることながら裁判のテーマには考えさせられることも多い。



酒場から飛び出してきた若い男が、公衆電話から警察にレイプ事件が起きていると通報している。半裸の女性ことジョディフォスターが追うように通りに飛び出し、必死に車を止めて乗り込んだ。。。
病院にシーンが移る。ベッドに横たわる負傷したジョディフォスターを3人の男達が犯したのだという。ジョディから事情を聞いた女性検事補ことケリー・マクギリスは、ジョディと保安官を伴って酒場に行き犯人を確認する。数人がしめされる。犯人はすぐ判明した。
やがて事件の捜査は進む。犯人側の弁護人は被害者も酔っていたこと、挑発したことなどを指摘する。検事補はレイプ後の汚らわしい証拠写真を示す。しかし、遊び人の被害者に必ずしも有利とはいえない。結局軽い傷害で済まそうとする弁護側との話し合いで過失傷害となった。9か月の拘留で済む。
被害者ジョディは検事補を激しく責め、深く傷つき悲しみにくれた。ある日ジョディは、レイプのとき酒場にいて犯人達をあおった男に偶然出会う。男がからかい、怒ったジョディは彼の車に自分の車を激しくぶつけた。負傷して入院するジョディを見舞った検事補ケリーは、再び事件を裁判の場で争う決意を固めたが。。。


レイプした男たちはすぐにつかまる。あっさりした展開かと思い、しかも検事、弁護側が裁判官の裁定ですぐに刑が確定する。それだけでは非常に単純な展開だ。でもそれだけではすまさない。
なんとレイプの当事者でなく、それをあおった連中を訴えようとするのである。この映画の争点は当事者ではない第三者の有罪無罪の裁判なのである。
いじめをしている人間のまわりでそれをあおった人間に罪があるかどうかという話と同じである。凄い話だ。この映画を見た人は誰も今までの自分を振り返って、同じような場面に出会ったと思うであろう。弁護人はいくらなんでも当事者じゃないんだから、いいじゃないかという。しかし、検事補は有罪に執着心を示す。この攻め合いはなかなか見モノだ。
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セルピコ アルパチーノ

2011-10-21 21:23:43 | 映画(洋画 89年以前)
セルピコは「ゴッドファーザー」の後まもないアルパチーノの初期の作品だ。アメリカ警察の腐敗を描いた作品は多い。この映画はニューヨーク市警の腐敗に立ち向かう一人の警察官の物語だ。
彼の後ろに映る911テロで襲撃を受けたワールドトレードセンターがまだ新しい。

映画はニューヨーク市警の警官フランク・セルピコことアル・パチーノが重傷を負って病院に担ぎこまれるシーンからスタートする。その話を聞いた上司は、「彼を狙おうとする同僚は自分の知っている限りで6人はいる。」とのたまう。映像はセルピコの新入り時代にもどる。
11年前、セルピコは警察学校を卒業した。セルピコには日常茶飯事として行なわれていた同僚たちの収賄が耐えがたいものに感じられた。ある日、セルピコは何者かにワイロの分け前を渡された。ブレアに相談し、調査部長に報告したが、部長はただ忘れてしまえと忠告するだけだった。そんな中セルピコは潔癖さをまわりに煙たがれるが。。。。

ゴッドファーザーで人気俳優となったアルパチーノの声は今のようなかすれ声ではない。声が若々しい。若き日のアルパチーノの良さがにじみ出ている。ゴッドファーザーではマフィアの坊ちゃんから若いボスに転換するひ弱さも感じさせるが、ここでは大暴れである。若気の至りというべきか、激しい動きは見ていて気分がいい。銃撃戦で有名な映画「ヒート」あたりと比較してみるといいかもしれない。
それにしても、アメリカ映画には警官の腐敗が主たるネタの作品が多い。ロス市警が多い気がする。ニューヨーク市警はめずらしいのではないか。でも、これは実話にもとづいているといわれているので、実際にはニューヨークにもかなりのやばい話があったのであろう。

こういう映画をまとめるとシドニールメット監督は実にうまい。「狼たちの午後」「ネットワーク」というヒット作を生み出しているこの時期は彼にとっても全盛の時期だ。アルパチーノを狂犬のように走りまわさせる。裏の世界をじっくり描き出す社会派監督のうまさが光る。70年代前半のニューヨークの猥雑な姿がいかにもやばい。悪の住処の色彩を強くにじみだす。
映像は若干古目であるが、アルパチーノのパワーは一見の価値があろう。

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太陽の帝国  スピルバーグ

2011-08-30 20:24:28 | 映画(洋画 89年以前)
映画「シャンハイ」を見て、何か迫力ないと思った。

まだ平成になる前にスピルバーグの「太陽の帝国」を劇場で見たことがある。あのときに見た戦時中の上海の映像が脳裏に残っていて、気になって久々にみてみた。
こうやって見てみると、日本軍が上海に侵攻して上海が脱出しようとする欧米人であふれかえったシーンは改めてすごい迫力だと思う。映画「シャンハイ」はセットが中心で、いわゆるワイタン(外灘)のビル群はCGであった。
「太陽の帝国」は違う。まさしく上海でロケしている。ものすごい数のエキストラも動員して、すさまじい迫力だ。今から25年ほど前となると、まだ中国もひと時代前の光景の匂いを残しているのだと思う。それだけにリアルだ。西洋風住宅もおそらくヘンシャンルー周りのフランス租界エリア付近に残っている建物を映し出したのかな?古い建物意外に残っているんだよね。文化大革命の時もよく乗り越えられたものだ。

途中収容所の場面がだれ気味で若干長いという印象を持つが、若き日の「バットマン」ことクリスチャンベイルの名演が光る作品、メチャうまいのでビックリした。子供扱いのうまいスピルバーグの演出が冴える。
現在の面影はある。


1941年上海の英国租界の邸宅に両親と暮らす主人公の少年ことクリスチャン・ベイルは、飛行機に興味があった。特に日本軍の「ゼロ戦」に強い関心があった。仮装パーティに行った際、お気に入りの零戦の模型飛行機を片手にパーティ会場から抜け出し、撃ち落とされた日本軍の戦闘機のコックピットに入り、大空を飛ぶ姿を思い描いたところ、横には日本軍の兵士たちがいてヒヤッとした。
一家は上海から脱出する準備を始めたが、時すでに遅く、日本軍が怒濤の如く市街に進攻してきた。逃げ出そうとする人たちで南京東路付近はいっぱいだ。主人公は両親と離ればなれになってしまった。


上海の中をさまよい、飢えに苦しんでいるところを救った男ことジョン・マルコヴィッチともう一人の2人のアメリカ人であった。ある夜、2人を邸宅に連れてきたところを日本軍に襲われ、3人は捕虜収容所へと送られる。収容所では両親の友人と出会うが、彼女自身ももはや自分が生き残るためだけに必死だった。
時は進み1945年捕虜たちは蘇州の収容所へと移されていく。主人公は精神的にも肉体的にも大きく成長していき、物品補給で収容所内を忙しく立ち回る。日本軍側のナガタ軍曹こと伊武雅刀にも近づき、少しでも多くの食料を受けようとする。自分と同じように空を飛ぶことに憧れる日本人少年とも心を通わせるようになったが。。。


悲しいかな、上海に行ったことのある人であればこの作品がリアルで映画「シャンハイ」が偽りのものとすぐ感じるであろう。逆に言うとよくこれほどまでのロケを上海の中心部でよくやらせてくれたのだと思う。小平の近代化政策が進み、中国も変わりつつあったが、80年代後半は都市部の人たちでもまだまだ貧しかった。これだけ人が集められるのはある意味賃金の安さがあるかもしれない。同時期の「ラストエンペラー」でも紫禁城をハリウッド資本にロケ提供している。中国の外貨獲得政策とハリウッド資本の利害関係がうまくいった時期に出来た映画で視覚的に楽しめる。
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アリスの恋  

2011-08-25 06:03:31 | 映画(洋画 89年以前)
n「アリスの恋」は1974年のマーチンスコセッシ監督のロードムービーだ。子連れの若い未亡人が流れゆく行き先々の地でその地の人とふれあう話だ。監督が名作「タクシードライバー」を発表する前の年に発表、主演のエレンバースティンはオスカー主演女優賞を受賞している。歌手クリスクリストファーソンやジョディフォスターが出演しているのが見どころだ。


32歳のアリスことエレン・バースティンは、夫と12歳の一人息子と暮らしていた。ところが夫がトラックの運転中に事故死したのだ。アリスは故郷のモンタレイへ帰らざるをえない。
葬式で所持金を使い果たしていた。西へ向かって、親子の旅が始まった。旅費は途中のバーなどで歌手をしながら稼ごうとモーテル暮しが続く。いくつか断られて落胆した後、歌の仕事にありついた。ある男が近づいてきた。デートするようになり、帰りも遅くなった。トムはモーテルで一人ぽっち。やがて男の妻が現われ、狂暴な正体が割れた。彼はDV男で、妻をしたたか殴りつけた。ビックリしたアリス親子はすぐさま町を飛び出した。

移った土地のダイナーでアリスはウエイトレスとして働くことにした。そこではデイヴィッドことクリス・クリストファーソンという男が、声をかけてきた。彼は店によくきて息子と仲良くなり、自分の農場に連れていった。その縁で、やがてアリスも農場へ行くようになりロマンスが芽ばえた。息子は一人ぼっちになりそうになるが、ボーイッシュな少女ことジョディ・フォスターと知り合う。ちょっとあばずれのジョディと一緒にワインを呑んだり、泥棒したりして遊び回った。でも息子は母の恋人とはうまくいかないが。。。。

ごく普通の主婦が幼い息子と流れ流れていくロードムービーだ。あくまで女性目線。主人公もよく泣く。アメリカの田舎町をまわっていく。景色はあまり映さず、人物に描写をあてる。その街に住む人たちは基本的にはいい人なんだが、ひとくせもふたくせもある。ダイナーのウエイトレスたちがおもしろい。独身になって言い寄ってくる男性は多数あれど、一筋縄にはいかない。そんな逸話をたくさん盛り込む優しい映画だ。
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ローズ家の戦争  マイケルダグラス

2011-08-18 05:25:01 | 映画(洋画 89年以前)
「ローズ家の戦争」は89年のマイケルダグラス主演のブラックコメディ映画だ。監督は小さい身体を全身でコミカルに動くダニーデヴィートで、自らも出演する。テーマはただの離婚問題にとどまらず、家庭内別居や女性の哀しいサガである。「危険な情事」で激しい不倫復讐劇を演じたマイケルがもう一度女性から痛い目にあう。


弁護士であるダニー・デヴィートが依頼主と話をする。どうも離婚を考えている男のようだ。
自分の知り合いの話を回顧してみる。主人公オリバーことマイケルダグラスはハーヴァードロースクールに通う弁護士の卵だ。その彼がオークション会場で日本の骨とう品のオークションに参加する。値を入れたところ一人の美女が対抗してきた。美女ことキャスリーン・ターナーが結局落とす。帰ろうとしたマイケルであったが、彼女が気になり誘い出す。
たちまち恋に落ち結婚した。男と女の2人子供に恵まれ、マイケルも法律事務所のパートナーとなる。子育ても順調に家庭もうまくいっているように見えた。キャスリーンはパーティ用の仕出しの商売に情熱を傾け始め、家事は家政婦ことマリアンネ・ゼーゲブレヒトに任せるようになる。ある日オリヴァーが商談中に内臓の異変で病院にかつぎ込まれるが、バーバラは見舞いにこなかった。その時彼女は、もはや夫への愛が消えてしまっていることを知るのだった。

約2時間の映画であるが、約45分は大きな変動が起きない。一瞬何か起きそうに見せるが起きない。タダでは済まないだろうなあと見せながら、観客をじらす。そして突破口が開かれるのはそのあとからだ。内田樹が「映画の構造分析」で述べているがごとく、マイケル映画ではむしろ女性の方がおかしい。生理的に相手が嫌になってどうしても、その相手が嫌になるということはよくある。それにしてもマイケルよりもおかしい。と思ってしまうのも男性の立場だからか?
傑作とは思わないが、おいおいよくここまでやるな!と思わせる。
ダニー・デヴィートはこういう思いをどっかでしたのであろうか?さすが監督だけにいつもほどその個性は見せていない。「バットマンリターンズ」のペンギン役が最高、気が付いてみると彼の出演した作品も10本近く見ていることになる。どこにでも顔を出す男だ。
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イヤーオブザドラゴン  ミッキーローク&ジョンローン

2011-06-12 21:31:00 | 映画(洋画 89年以前)
何かと忙しくて映画が見れなかった。

「イヤーオブザドラゴン」というとカンフー映画の題名みたいだ。実際には、ニューヨークのチャイナタウンを根城に勢力拡長をはかるチャイニーズ・マフィアの若きドンとこれを敵対視するニューヨーク市警刑事の死闘を描く85年のアクション映画だ。監督は「ディアハンター」のマイケル・チミノだ。チャイナタウン独特の権力闘争を描くだけでなく、悪の巣タイの奥地の場面をクローズアップする。「ディアハンター」のアジアの場面とダブらせている。人気絶頂の若き日のミッキーロークが「レスラー」の今とは想像もつかない精悍な刑事役を演じる。そのライバルにはこの一作後に「ラストエンペラー」で世界中に知られることになるジョンローンだ。アジアに別の意味での郷愁を持つと推測させるマイケルチミノ監督らしい映像づくりだ。



ニューヨークのチャイナタウンが舞台だ。チャイナタウンのレストランでチャイニーズ・マフィアのボスが暗殺された。盛大な葬儀の行列の中には若き幹部ことジョン・ローンの姿もあった。その模様を中国系アメリカ人の美人TVレポーターことアリアンヌが報じていた。チャイニーズ・マフィア内部では新旧対立による抗争がたえない。、ボスの死もジョンローンの謀略によるものだった。
ニューヨーク市警の刑事ことミッキー・ロークは、絶え間ないチャイナタウンの抗争のために送り込まれた敏腕刑事だ。ポーランド系米人の彼はジョンローンとの対立をエスカレートさせていった。そんなある夜、ミッキーロークとアリアンヌが食事をしているチャイナ・レストランを覆面の2人組が急襲し、機関銃で店内を一掃した。あやうく命を落としそうになった2人はこの事件がきっかけで急接近した。抗争は一段とエスカレートしていった。

マイケルチミノの「ディアハンター」をベスト映画だという人に何人かであった。個人的にはちょっと長すぎる感じがする。序盤戦の結婚式のシーンをあんなにクローズアップしなくてもいいのにとも思う。しかし、ベトナム戦争の描写以降はとてつもなくどぎつい。ロシアンルーレットのシーンには何度目をつぶったことか。あの病的なクリストファーウォーケンの表情が印象的だ。
今回もそのテイストを一部醸し出す。抗争劇にいったんタイに逃走したジョンローンが、麻薬シンジケートの親分と会うシーンには「ディアハンター」の中盤から終盤にいたる強い匂いを感じさせる。
もともとチャイナタウンの抗争劇として見た映画だが奥が深かった。猥雑なニューヨークのチャイナタウンのロケがなかなか良かった。チャイナタウンから見る今は亡きワールドビジネスセンターの雄姿が美しく、懐かしさすら覚えた。


なによりミッキーロークもジョンローンもかっこいい。そういった2人の全盛時をみるのは悪くない。
この善悪両者はデニーロとアルパチーノの対照を描いた「ヒート」に通じるものがある。家庭不和に悩むミッキーがアルパチーノとダブった。
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ガープの世界  ロビンウィリアムズ

2011-06-06 04:34:39 | 映画(洋画 89年以前)
1982年のロビンウィリアムズ主演の作品。ジョン・アーヴィングのベストセラーの映画化である。監督は「スティング」、「明日に向かって撃て」の巨匠ジョージロイヒル。ガープ少年の成長していく姿を描き、全般はアメリカのほのぼのとしたムードが流れる。


1944年、主人公の母である看護婦ジェニーことグレン・クローズは赤ん坊を連れて実家にもどって来た。両親は、娘の話を聞いて驚いた。グレンはかねて子供がほしいと思っていた。病院へ瀕死の兵士が運び込まれた。患者のアソコが勃起しつづけているのをみたグレンは、彼の上にまたがって受精、妊娠。生まれたのが、この子だというのだ。名前は父親がテクニカル・サージェントだったことから頭文字をとってT・S・ガープと名付けられた。
グレンは男子校に学内看護婦として住み込む。ガープ少年はその男子校へと進学する。青年となったガープことロビン・ウィリアムズは、レスリング・コーチの娘へレンことメアリー・ベス・ハートにひかれる。幼馴染のませた女の子に誘惑されて青空でいたそうとしているのを、その妹で意地悪のプーがヘレンに覗かせたので彼女は怒る。ガープは相手にしてもらえない。こんな場所に長くいても仕方ないと感じたガープは母とニューヨークに行くことにした。
ガープは子供のころから空想癖があり小説家になろうと考えていた。母クローズは文筆活動に興味はなかった。しかし、男子校生活や世の男性の性への関心に興味を持つ。そしてニューヨークの街娼をコーヒー・ショップに誘い、金を払って娼婦について取材する。やがて彼女は「性の容疑者」という本を出版する。出版社の巧妙な宣伝で本はベストセラーとなり、ジェニーは女性解放運動の闘士と見られるようになる。一方ガープは大学で学問の道に入るヘレンとの関係を取り戻しつつあったが。。。。


グレンクローズの子作り話が普通でないけど、あとはハッピーエンドストーリーと思わせた。青春もののような青年期の性の探求もテーマにある。ところが起伏が大きくできて後半ヤマを作る。ただし、手に汗を握る印象はない。全般的にはアメリカ映画特有のほのぼのとしたムードが流れる。やばいシーンもそう感じさせない。連想させるのはトムハンクスの「フォレストガンプ」だ。原作があるせいか、時間内にいろんな話を詰め込もうとしている。脚本に穴ができている印象もある。

ロビンウィリアムズは大好きな俳優だ。ハンサムボーイではないが、主役を張れる貴重な存在だ。見てはずれを感じることはほとんどない。グレンクローズは「危険な情事」のイメージが強すぎる。この映画の彼女が真実の彼女に近いのではないか?この作品をはじめいずれの初期の作品も彼女の演技が一級品であることを示す。最近は舞台中心と聞くが、そろそろもらい損ねたオスカー狙いのいい作品に恵まれてほしいものだ。



またもや最初にビートルズがでた。このところ映画の挿入歌にビートルズとの相性がいい。自分の車でも「ホワイトアルバム」を聴いているせいなのか?ここでは「サージェントペパーズ」にある「when I'm sixtyfour」だ。ポールの歌で、64歳になってこうなりたいという夢、自分を見捨てないでほしいと語る歌。アルバムではジョージのインド音楽の後、緊張を冷やすように「笑い」があってこの歌がスタートする。意識的にのんきだ。
ストーリー的に起伏が激しいのにのんびりしたムードとなっているのはこの歌がテーマソングになっているのもあるかもしれない。
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ウォール街  マイケルダグラス

2011-04-09 19:53:12 | 映画(洋画 89年以前)
映画「ウォール街」は続編がつくられたとあって久しぶりにみた。インサイダーの疑いで当局に逮捕される展開を覚えていたが、ストーリーはほぼ忘れていた。こうやって見ると、ビジネスの肝に通じるセリフがなかなか粋である。「経済小説」といういい方がある。まさに「ビジネス映画」の究極に位置されるものであろう。マイケルダグラスに若さを感じるし、当時絶頂のチャーリーシーンの動きもいい。
マイケルが使っている携帯電話のでかいことに思わず笑ってしまう。



若き証券セールスマンことチャーリー・シーンは、巨万の富を築いた投資家ゴードン・ゲッコーことマイケル・ダグラスに憧れていた。チャーリーはマイケルと5分間の面会時間をとるのに59回電話打ちをしていた。そしてアポがようやくとれたとき、マイケルは何か独自の情報はないかと聞いてきた。ネタはどれもマイケルが知る内容だ。焦ったチャーリーはとっさにブルースター航空を推奨。父ことマーティン・シーンが勤めていて、会社の経営状況に関する情報を聞いていたのを思い出したのだ。
やっとの思いのアポなのに成果なしで帰社した。そこに思いがけなくマイケルからの多額の口座入金の電話が来る。取引ですぐには儲けされられなかったが、次第にうまく好転。実績をあげて期待に応えた。そして莫大な報酬を手に入れたチャーリーの生活は変わっていく。マイケルの家で行なわれたパーティーで、チャーリーは素敵な女性ことダリル・ハンナと知り合った。実はダリルはマイケルのオンナだった。彼は2人を結びつけ同棲させた。チャーリーはマンハッタンに豪華なマンションを購入した。一方マイケルはブルースター航空を乗っ取るべく画策していったが。。。。

この映画が放映されたとき、アメリカの証券監視委員会の取り扱いが気になった。
当時の日本は株式市場は連日活況が続いていた。シナリオ営業で、証券マンが電話にかじりついて対面営業を繰り広げていた。本社がすすめる推奨株を徹底的に顧客に売り込んでいた。それを考えるとネット取引の現状は信じられない世界だ。そんな中インサイダーすれすれの取引がまだ横行していた。当局の監視も緩かったと思う。映画を見て、アメリカは進んでいるんだなあと思ったものだ。

最近若い証券会社のバリバリの営業マンって接する機会がないのでわからない。この当時はアメリカも日本もまだ営業ありきの対面取引の絶頂期だ。受話器を持つ手にガムテープを貼って、朝から晩まで電話打ちをしまくる。夜討ち朝駆けで顧客宅を訪問するなんて話はよく聞いた。そういう営業マンをチャーリーシーンが演じる。
マイケルダグラスを知り、彼からそんな安物スーツで仕事をするなといわれる。もともと金に困って、航空会社に勤める父親にいつも金の無尽ばかりしているチャーリーが変身する。そんな姿はおもしろい。この映画はビジネス界に大きな影響力をもった。営業マンの服装がアカぬけていった気もする。そしてバブル絶頂を迎える。



マイケルダグラス演じる投資家にも当時憧れたものだ。自分のオフィスにコンピューターをいくつも持ち込み、法務財務のプロのスタッフを従えて投資判断をする。現在ほどインデックス売買が主流ではない。個別銘柄のインサイダーすれすれの貴重な情報に群がった。情報を得るために金を使う。そしてもっと儲ける。そんな世界だ。でも20年以上たって見ると、コンピューター室のパソコンはいわゆる旧型オフコン、出始めの携帯はバカでかい。少し前の映画と思っていたら、完全に旧態然しているその装備を見ると時代の流れを感じる。
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