映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

セルピコ アルパチーノ

2011-10-21 21:23:43 | 映画(洋画 89年以前)
セルピコは「ゴッドファーザー」の後まもないアルパチーノの初期の作品だ。アメリカ警察の腐敗を描いた作品は多い。この映画はニューヨーク市警の腐敗に立ち向かう一人の警察官の物語だ。
彼の後ろに映る911テロで襲撃を受けたワールドトレードセンターがまだ新しい。

映画はニューヨーク市警の警官フランク・セルピコことアル・パチーノが重傷を負って病院に担ぎこまれるシーンからスタートする。その話を聞いた上司は、「彼を狙おうとする同僚は自分の知っている限りで6人はいる。」とのたまう。映像はセルピコの新入り時代にもどる。
11年前、セルピコは警察学校を卒業した。セルピコには日常茶飯事として行なわれていた同僚たちの収賄が耐えがたいものに感じられた。ある日、セルピコは何者かにワイロの分け前を渡された。ブレアに相談し、調査部長に報告したが、部長はただ忘れてしまえと忠告するだけだった。そんな中セルピコは潔癖さをまわりに煙たがれるが。。。。

ゴッドファーザーで人気俳優となったアルパチーノの声は今のようなかすれ声ではない。声が若々しい。若き日のアルパチーノの良さがにじみ出ている。ゴッドファーザーではマフィアの坊ちゃんから若いボスに転換するひ弱さも感じさせるが、ここでは大暴れである。若気の至りというべきか、激しい動きは見ていて気分がいい。銃撃戦で有名な映画「ヒート」あたりと比較してみるといいかもしれない。
それにしても、アメリカ映画には警官の腐敗が主たるネタの作品が多い。ロス市警が多い気がする。ニューヨーク市警はめずらしいのではないか。でも、これは実話にもとづいているといわれているので、実際にはニューヨークにもかなりのやばい話があったのであろう。

こういう映画をまとめるとシドニールメット監督は実にうまい。「狼たちの午後」「ネットワーク」というヒット作を生み出しているこの時期は彼にとっても全盛の時期だ。アルパチーノを狂犬のように走りまわさせる。裏の世界をじっくり描き出す社会派監督のうまさが光る。70年代前半のニューヨークの猥雑な姿がいかにもやばい。悪の住処の色彩を強くにじみだす。
映像は若干古目であるが、アルパチーノのパワーは一見の価値があろう。


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