映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

マイ・ボディガード デンゼル・ワシントン

2010-02-21 21:26:11 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
デンゼル・ワシントンは好きな俳優の一人である。前の日に「オブセッション」を観たとき、主演の黒人男性が金融会社の重役を演じていた。そのこと自体ずいぶん変わったなあと思った。もともと黒人の演じる役はもっと低いレベルの役が多かった。この地位の改善にはシドニー・ポワチエはもとより近年ではデンゼル・ワシントンの存在が大きい。彼の作品は80%は観た。でも常に現役で多作の彼の作品でいくつか抜けているものがあった。トニースコット監督「マイ・ボディガード」もその一つである。

米軍で16年間特殊任務についていたデンゼルワシントンは独り身で怠惰な酒びたりの生活をおくっていた。そんな彼に旧友クリストファー・ウォーケンからメキシコでの子供のボディガードの話が来た。メキシコでは誘拐事件が多発していた。そのため富裕層は子供を誘拐から守るため住み込みのボディガードを雇っていた。
小学校に通う少女は非常に利発で、大人びた発言をデンゼルワシントンに投げかけてきた。最初はなまいきな子供と思っていたが、次第に情が移り、水泳大会出場のための特訓をしたりして二人の間の信頼関係が深まっていた。
ところが、ピアノ教室のお習い事に向かった際、デンゼルは警察のパトロールカーと不審な車に囲まれる。はっと気がつくと彼らは少女をさらおうとしていた。デンゼルは独りで抵抗するが銃弾に倒れる。逃げた娘も誘拐されてしまうが。。。。。



意図的だと思うが、途中目を伏せたくなる残虐な画面になるとトニースコット監督は目をちかちかさせる画面を多用する。ちょっと苦手な動きである。この映画はかなりむごい場面が多い。しかもカメラはメキシコの暗部に入っていく。仕方ないかもしれない。極悪人たちが住み着くメキシコの暗部はものすごい場所だ。「スラムドックミリオネア」のインドのスラム街や「ツォツイ」の南アフリカのスラム街と同様である。雰囲気は北アフリカのカスバのイメージもある。おそらくはこういう場所って世界中に残っているのであろう。

「トラフィック」やいろんな映画でとらえられるメキシコは犯罪の棲家というイメージが強い。西部劇でも同様だ。実際そうなのであろう。メキシコ警察も腐敗しているのであろうか?裏の組織と手を組んでかなり悪いことをやる。「ロス市警」が映画で常に悪くいわれるのと同じだ。映画を観ている限りは怖くてメキシコは行けない。本場の「メキシコ料理」本当は食べたいんだけれど。。。

いつもどおりデンゼル・ワシントンは安定している。ここでは相手への復讐ですごい残虐な行為をしたりしている。私生活では非常にまじめと伝えられる彼は比較的まじめな役をやることが多い。しかしオスカー主演賞の「トレーニングデイ」では極悪の警察官を演じた。優しい顔も時おり見せるが、そのあくの強いノリがここでも強かった。
あとは子役のうまさが光る。若くして大女優の貫禄を持っているところが末恐ろしい気がする。

一つだけあれっと思う場面があった。今から25年ほど前にジェフ・ブリッジス主演で「カリブの熱い夜」という映画があった。画像と音楽の調和がよく好きな映画だった。そのときバックに流れたクラシカルギターをベースにした曲が途中極悪人たちが誘拐の下見に現われる場面で使われていた。突如なつかしくなった。
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愛についてのキンゼイレポート リーアム・ニーソン

2010-02-21 21:17:51 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
中学生のころ性に目覚めてきて、男女の秘め事に関する本をずいぶんと読んだ。その中に「キンゼイ」という名が確かにたくさん出てきた気がする。「キンゼイリポート」という名も聞いたことがある。でも詳細は知らなかった。名前からしてそういう性のドキュメンタリーだと思っていたら、どうやらリーアム・ニーソンとローラ・リニーによる夫婦の物語だという。そういう観点でみた。



清教徒である大学教授のもとに生まれたアルフレッド・キンゼイことリーアムニーソンは父の教える大学で工学を学びエンジニアになるように父から期待されていた。しかし、虫に興味を持つ彼は父に反抗して別の大学で生物学を専攻することになった。関心のあることだけに、集中して学んで大学教員の道を歩むことになった。そんなときキンゼイは男女間の性の問題に関心を持つことになる。大学の教え子だった妻のローラ・リニーとの性の関係に関して当初うまくいかないこともきっかけであった。世間一般で言われている性の常識が本当にそうなのかを彼は不特定多数にインタビューをすることにより、サンプルを集めようとするが。。。。

このレポートが発表されたのは1948年とのこと。戦後間もない時期である。この時期の映画を観てもまったく性に関することはタブーであることはわかる。まさに革新的なレポートであったろう。実践的に性のことを語るために、スワッピングまがいのかなり大胆な生活をしたようだ。あまり深くは映画で語られないが、かなり変態に近い変わり者だたのかもしれない。

変態的な匂いをさせてもおかしくないところを、そうでなく観てしまうように仕向けるのが、夫婦二人の演技であろう。リーアム・ニーソンは妙に情熱的である。ロックフェラー財団から研究のお金を引き出させたのだからキンゼイはたいしたもの。性の研究への情熱が彼の演技で伝わる。この役は肌にあっている気がする。ローラ・リニーはいつもどうりの普通のアメリカの奥さんを演じる。彼女がいるからこそ、変態映画にならなかったという印象だ。この間「私がクマにキレタ理由」でマンハッタンのセレブ夫人を演じていた。それはそれでいいけれど、彼女はこの奥様のような優しい女性が似合う。

でもこの映画で驚いたのが、男性のあそこを丸出しにしてしまうこと。いまは女性のヘアよりも男性のあそこの方がうるさいと聞くけどよく通るなあ。「シンドラーのリスト」もそういうシーンがあったけど、あの映画とはちがうカラーだからね。同じく主演であるりーアム・ニーソンの念力か??
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くたばれハリウッド

2010-02-18 20:48:49 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
ハリウッドの伝説的なプロデューサーであるロバート・エヴァンスの伝記。よくもまあ集めたと思われる古きよき時代の大量のスチール写真や画像を組み合わせながら彼の生き様をつづっていく映画である。彼の名前を知らなくても「ゴッドファーザー」「ある愛の詩」は誰でも知っているであろう。ひょんなきっかけから俳優を目指すのではなく、映画を取り仕切るプロデューサーになろうとする彼の話である。



あるとき有名女優に気に入られてしまい映画に出ることになった彼が目指すのは映画のプロデューサー。若くして「パラマウント映画」を取り仕切ろうとする彼には反発も強かったが。あの手この手で自分を追いやろうとする勢力に対抗してのし上がる。ピークは70年代前半であろう。日本でも大ヒットした「ゴッドファーザー」や「ある愛の詩」の制作秘話が語られる。そこに絡むのが彼の夫人だったアリ・マッグローである。当時すごい人気だった。
「ゲッタウェイ」でスティーブ・マックイーンと共演して結婚するのは有名な話だ。でもそのとき彼女は初婚だと思っていた。人気絶頂の彼女がいやいや出演した作品で知り合った。二人が結婚するのは奇妙な話である。

それにしても逆のエヴァンスは相当の女たらしだったようだ。プールつき大豪邸に住み、羽振りは良いなんてもんじゃなかった。彼に声をかけられないハリウッド女性はいないとばかりの話が出てくるのはおもしろい。「チャイナタウン」で全盛時のカトリーヌ・ドヌーブに表彰を受けるシーンはほほえましい。

ハリウッドには魔物がいると言う。それを実話中心に大量の資料から伝記のように編集をした腕さばきはさすがだと思った。
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リトル・ダンサー

2010-02-14 20:46:31 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
イギリス北部の炭鉱町に育った11歳の少年が、ひょんなきっかけでバレエを習うようになる話。単なる少年の成長を描くだけでなく、不況時の炭鉱町でのストライキ事情をからめた大人の人間模様の色彩も強い。「リトル・ダンサー」の少年が成長していく姿と父親の子供への愛情の美しさを観ていくうちに心がジーンとしてくる。



イギリスの炭鉱町で育った主人公には、炭鉱夫となっている父と兄と認知症気味の祖母がいる。母親はすでに亡くなっている。少年はボクシングジムに通っていた。ところが、あるときジムと同じ場所でやっているバレエ教室に紛れ込み、バレエに興味を持つ。そして父親に内緒でバレエを習うようになるが。。。。。

レンガ造りの家が立ち並ぶ炭鉱町はいつもストライキの連続で、父と兄はいつも大暴れしている。ストを鎮圧する警察ともしょっちゅう争っている。当然母親がいない息子は自由奔放に育てられていた。気がつくとバレエを息子が習っていることを知り、家族は大慌てだ。
この映画はイギリス北部が舞台だ。映画の英語が非常に理解しづらかった。出演者の顔もそう見えるせいか、東欧の言葉を聞いているような気がした。これはイギリス北部の訛りなのであろうか?思いっきりボリュームを上げてセリフを聞いても英語がわからず、なんかおかしいのかと思ったくらいだ。

オーソドックスなバレエ音楽を流すだけではなく、T-REXなどのポップス曲を流してお気楽な雰囲気を充満させる。無邪気な少年の動きを音楽でバックアップする。全体的流れが田舎のムードでおっとりしている。同じ英国映画でもロンドン舞台の映画と大きく違う。主人公とバレエ教室の教師や生徒たちのふれあいもおもしろい。主人公の少年はかなりダンスを特訓したことと思う。これには殊勲賞をあげたい。同様に父親役が非常に良い味出していた。味わい深い映画である。
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ゴスフォード・パーク ロバートアルトマン監督

2010-02-10 18:35:39 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
巨匠ロバートアルトマン監督の2001年の作品。アルトマン監督特有の登場人物が多い映画である。ミステリーの色彩があり、貴族のカントリーハウスでの殺人事件をテーマにする。

1932年の英国、貴族のカントリーハウスに上流のお客様が次々とおとづれる。夜は来客と共に豪華ディナー、昼間は狩猟がおこなわれている。2日目普通に晩餐がおこなわれているときに殺人事件が起きる。

あらすじを書くのが難しい。いきなりカントリーハウスに来客が訪れる。来客が大勢来て紹介するが、名前を覚えるのは不可能である。しかも下働きの人、執事や女給たちもたくさんいる。セリフが数人に絞られているわけでなく、下働きの人を含めてそのカントリーハウスにいる30人程度の人にセリフが与えられている。画面のカットが次から次へと変わっていく。それぞれの紹介や晩餐、狩猟などの場面にたっぷり80分程度使う。



いきなり暗闇の中に入ると視界がなくなる。その後少しずつぼんやり見えていくようになる。アルトマンの映画はいつもそんな感じである。登場人物の設定が理解できないまま、時間がたち、ぼんやりと登場人物のことがわかっていく。理解できそうかな?というときに殺人事件が起きる。
ミステリーだが、その後半50分の謎解き場面は他のミステリー映画のように華麗な謎解きではない。ミステリーにした方が映画に緊張感が走るが、さほどでもない。同じアルトマン監督のミステリー「ザ・プレイヤー」は殺人犯人が早めにティム・ロビンスだとわかる。ここではわからない。普通はしばらくわからないほうがおもしろいはずなのに、ミステリー映画としては「ザ・プレイヤー」のほうがおもしろい気がする。というのも登場人物があまりに多すぎて推理することすら出来そうもないからかも?

アルトマンは1930年代におけるイギリス上流階級の生活とそれを支える給仕や女給などの下働きの人間の関係を描くことが第一だった気がする。約30人の会話の中に、その上下関係が次第にわかるように仕上げていく。脚本家は良くまとめたものである。正直この人間関係を図にまとめようと思っても簡単にはまとめられない。理ではなく、時間のたつままにただひたすらアルトマンワールドについていくしかないといった感じだ。あとは控えめに上品に奏でられる音楽が良かった。
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ザ・プロフェッショナル  シーン・ハックマン

2010-02-05 18:26:30 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
ジーンハックマンはあの風貌の割りに実に器用な役者である。善悪両方やってしまう。むしろ最近では悪玉の方が多い。パワー全開だった「フレンチ・コネクション」のポパイ刑事役から、イーストウッドのオスカー西部劇「許されざる者」の悪徳保安官に徐々に移行し、この「ザ・プロフェッショナル」では有能な泥棒だ。どの作品も典型的なアメリカ人を演じていることだけは共通している。

ジーンハックマンが仲間内といきなりマンハッタンの宝石屋に乱入する場面が登場する。ジーンハックマンはプロの泥棒。彼には若い彼女レベッカ・ピジョンと中年のパートナー2人がいる。盗品はそれをさばく黒幕のダニー・デヴィートを通じる。しかし、ジーンがこの稼業から足を洗う話を聞いて、予定の分け前を渋るダニーが空輸中の金塊を盗み出すように要求を出すが。。。。

騙し騙されてというのが、犯罪アクションものの得意なパターン。この仲間同士もそのまま味方とは必ずしもならない。途中緩慢な時間と思しき流れになるが、最後にかけては二転三転させて観客の期待を裏切らない。マメット監督はむしろ脚本のプロである。でもずっと盛り上げ続けるわけでないのが少し残念

ここできわだったのがレベッカ・ピジョンとダニー・デヴィートだ。
レベッカが実に素敵でかっこいい。彼はマメット監督の奥さんだという。これはうらやましい。途中裏切りに裏切りを続けるが、チャイナドレスに身を包んだ姿が華麗だ。
ダニーデヴィートはチビでせっかちな悪徳親分役が実にうまい。「バットマンリターンズ」も良かったし、数多くこの手の映画に出ている。このキャラクターは非常に貴重だ。ジョー・ぺシも同じようなキャラクターでダブる。ダニーの方が若干醜い役が似合うかな?
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ロイヤル・テネンバウムズ ジーン・ハックマン

2010-02-04 19:00:33 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
ロイヤル・テネンバウムズというのは劇中のジーンハックマンの役柄の名前である。マンハッタンのある家族の物語を豪華キャストの人気コメディアン?中心に描いていく。話の内容自体ちょっとあわないが、つくりこみが凝っている印象。

あるマンハッタンの家族ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン夫妻には3人の子供がいる。いずれも10代は神童といわれたものだ。長男はビジネスに、長女はシナリオ作家の道に、次男はテニスプレイヤーとして世間にもてはやされたものだった。しかし、夫婦は別れる。時間が20年近くたちホテルを転々としていたジーン・ハックマンが元の家に戻ってくる。ガンになってあと6週間しか生きられないという話でもぐりこんでくる。そうしているうちに、長男ベン・スティラー、次男ルーク・ウィルソン、そして娘のグウィネス・パルトロウが一緒に住むようになるが。。。

ストーリーはドタバタで、特に大笑いを誘うというわけでもない。でもそれぞれの性格がちょっと異常で訳がわからないままに見ているという感じだ。長男がアディダスの赤いジャージ、次男が一世を風靡したビヨン・ボルグばりのFILAのテニスウェアー、グウィネスがラコステのポロシャツに身を包む。そしてウェス・アンダーソン監督が彼らを自由奔放に動かす。

「キルビル」でコミック的に女殺し屋のそれまでの人生を紹介していた。ここで同じようなことをしてしまう。清純派グウィネスがタバコぷかぷかの女の子で12歳でタバコをすい、16歳でハイスクールを飛び出し、19歳で最初の結婚、21歳でパリでレズビアンに目覚め。。。なんてアバズレぶりをワンショットで紹介し、能天気そうなビル・マーレーと結婚している設定にしている。でも今の彼女もただの主婦には納まらない。いつもの清純メイクではなく、60年代のイギリスファッションモデルツウィギーを思わせるような強いメイクだ。表情も違う。こんなグウィネスを見ているのも楽しい。

ベン・スティラーはいつもどおりの狂気の表情、テニスプレイヤーの次男ルーク・ウィルソンがけっこう暴れてドタバタする。もさっとしたビル・マーレー、ファミリーの母親に求愛する黒人ダニー・グローヴァーなどコメディアンの共演をウェス監督が良くさばいている。
でも趣味的な色彩が強い割りにストーリーはあまりおもしろくはないなあ。
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ブロークン・フラワーズ  ビル・マーレイ

2010-01-23 21:47:02 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
ビル・マーレイが「ストレンジャーザンパラダイス」のジム・ジャームッシュ監督と組んだコメディ?淡々としたビル・マーレイは「ロストイントランスレーション」と同じ表情を見せる。気取らず、あせらず彼らしさを前面に出して観客である我々をほのぼのとさせる。

ビルマーレイはIT長者で独身、恋人と暮らしていたが逃げられる。そんな彼も若いころから数多くの女性と浮名を流していた。恋人が去る日にピンク色の手紙が投函されていた。それは20年前の恋人からの手紙で、「あなたと別れた後に妊娠していたことに気づき、出産した。その子供が20になりあなたに会いに行くので行ったらよろしく!」という手紙であった。宛名は書いていない。タイプで印字されていた。その話を仲の良い隣人のエチオピア移民ジェフリーライトに話した。彼はその手紙を見て身に覚えのある女性のリストを作れという。5人のリストを作ったら隣人は住所を調べてきた。一人は死んだという。4人に花を持って会いに行くように言われてビルは一人一人会いに行くが。。。。

シャロン・ストーンをはじめとした大女優4人にあう。場所はよくわからないが、エコノミーの飛行機で移動して、普通の車で乗り付ける。そのときに流れる音楽が渋い。オルガンを基調とした音楽は昭和40年代のグループサウンズや売れない演歌の旅回りバンドのような響きだ。「ストレンジャーザンパラダイス」で流していた「アイプット・ア・スペンドオンユー」を思わせる渋さ、あの時は同じ曲を流していたが、今度は違う曲がかかる。
でも渋すぎる。
そんな感じで、まったりと流れていく。

ビルマーレイは基本的には喜劇役者なのであろう。ボーとした顔が逆に笑いを誘う。
黒サングラスが良かった。
ここのところ「007」や「ブッシュ」のパウエル役など黒人俳優では活躍が目立つジェフリーライトも良い。喜劇役者のような雰囲気がもともとあり、そういう特色を生かすほうが良い。黒人の子沢山で5人の子供がいる役、赤ちゃんがかわいかった。

結局4人の女性をまわって最後にまた別の展開も見せる。基本はロードムービーだと思う。街の匂いを強く出さないため、風景などに感じるものはない。コメディとしておもしろいという訳ではない。出会う人たちのそれぞれの境遇に何かを感じさせる。人間の根源を考えさせる何かがある気がした。
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アメリカン・スプレンダー ポール・ジアマッティ

2010-01-20 20:00:45 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
まさにオタク映画である。アメリカンコミックに「アメリカン・スプレンダー」というのがあるらしい。それ自体が書き手の日常を描いたもので、主人公を「サイドウェイ」のポールジアマッティが演じる。他の作品と比較すると彼の表情が硬い。引きつっている。しかも、出てくる人間が強烈なオタクばかりで驚かさられる。終盤にかけて奥底にある家族愛が映画にあふれ出て良い味を出している。

クリーヴランドの病院で資料の整理係をしている主人公ハーヴィー・ピーカー(ポール・ジアマッティ)は妻に2度愛想をつかされたさえない男である。ジャズとコミックを愛する彼は自己中心に生きてきた。まわりもオタクだらけである。あるとき、身の回りに起こった出来事をコミックにしてみようと考え、作画家と組んで発刊する。日常性にあふれた内容に人気が出る。そんな時、コミック書店の女店員ホープ・デイヴィス「アメリカン・スプレンダー」の在庫を別の店員が売ってしまって手元にないのを残念がり、作家本人に在庫はないかと手紙を書き始めたときから文通が始まるが。。。。。

コミックの絵が実写にからみつき、ジアマッティがいかにも変人の相を見せるので、特に序盤は不思議な映画だと思っていた。15歳のころからレコードの収集をはじめて、ガレージセールに中古レコードを買いに行く姿が実にオタクというかひどい自閉症にかかった男といった感じだ。コミックの書店で働く女性が現われて、少し雰囲気が奇妙なラブストーリーの匂いもさせてくる。

ポールジアマッティというのもうまい俳優だ。「サイドウェイ」で演じた男も、ワインにやけに詳しいけれど、妻に逃げられたダメ男だった。でも国語の教師の設定で、常識人ではあったと思う。今回はダメ男だけれども、常識人でなく強烈なオタクの変人だ。でもうまい。「シンデレラ・マン」ではラッセルクロウのコーチ役を演じて、熱く叫び続けた。今回はその正反対の性質だ。主人公本人も出演するので、難しかったとは思う。そういう中、役を楽しんでいた気がする。

ホープデイヴィスは個人的に好みのタイプだ。「アバウト・シュミット」でのジャックニコルソンの娘役や「プルーフ・オブ・ライフ」グゥイネス・パルトロウの姉役はいずれも普通の女性である。「プルーフ・オブ・ライフ」ではヒラリー・クリントンばりのインテリ女性を演じてファンになった。ここでは顔から完全にマンガそのものである。笑うしかない。

最初に主人公である本人が我々に語る。「この映画を観ても元気にはなりませんよ」とね。でも浮世離れをした生活で、自分の好きなように毎日生きていく彼の姿は逆にこういう生き方をする方が幸せなのかなと思わせる。
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プレッジ 監督ショーンペン

2010-01-17 20:09:47 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
ショーン・ペンが監督した2001年の作品である。「イントゥ・ザ・ワイルド」の出来の良さにショーン・ペンの前作「プレッジ」を見たが、すばらしい出来に感嘆した。風景の映像美と合わせて、人物を奥深く追いかける姿勢がすばらしい。きめが細かい。ジャックニコルソンもショーン・ペンの思いに良くこたえている。ジャックの代表作といってもいいのではないか?

ジャックニコルソンは長く警察官をつとめていた。その退職を祝した送別パーティーの席上、雪山の中で少女の無残な死体が見つかったとの知らせが入る。目撃者の証言から、インディアンの血を引く青年が逮捕される。アーロン・エッカート刑事の取調べで自白して、これで一件落着と思われた矢先に、警官の銃を奪って容疑者は自殺してしまう。しかし、ジャックは彼が真犯人だと思わなかった。定年になった後も、周辺に同様の事件がなかったかを調べる。すると2つほど同じような事件が州境を越えてあることがわかる。ジャックは事件が起きた場所の近くの古いガソリンスタンドの店主に店を売ってくれないかと交渉し、田舎町に移り住むことになるが。。。。。

非常にしっとりした雰囲気で、末梢神経をいたずらに刺激するような映画ではない。バックの音響も落ち着いた中、じわりと盛り上げていく。「イントゥ・ザ・ワイルド」のときも思ったが、ショーンペン監督はロケ地の選択に時間をかけていると思われる。そしてそのロケ地周辺を美しく撮影している。季節も春夏秋冬に偏りなく選択していく。単に脚本や演出だけでなく、音楽、美術を含めて映画全体の雰囲気づくりが実にうまい。彼は5,6年に一回しか監督しない。それは彼が全米を撮影でまわりながら、次回作で使う場所をじっくり選んでいるのではないかと私は想像する。監督業を楽しんでいる。

この映画はサスペンス物であり、推理物でもある。いったん逮捕された男以外に真犯人がいるはずだと、執念で追いかけていく。推理の伏線を次から次へと映像で張っていく。ドキッとさせる場面を次から次へとつくる。観客に最終形を想像させながら、少しづつはずしていく。ストーリー作りも実に見事だ。

ジャックニコルソンは最後まで映画の中心であり続けた。映画が進んでいくにつれ、心理描写が重要になってくる。見事に彼らしい演技をした。
それにしても配役はずいぶんとぜいたくだ。犯人役のべ二チオ・デルトロをはじめとしてパトリシア・クラークソン、ヴァネッサ・レッドグルーブ、ミッキーローク、ヘレンミレンなどオスカー級の俳優を次から次へと登場させる。でもこれは映画人ショーン・ペンの人徳なのであろう。

ショーン・ペンの映画人としての素晴らしき才能を再度強く認識させられた。
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レナードの朝 ロバート・デニーロ

2009-12-09 16:55:01 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
医者と患者の友情、そして30年の眠りからさめるってどういうことなのかという話。患者デニーロがかなりの熱演、難しい役をベテランらしくこなした。

神経科の医師であるロビン・ウィリアムズがブロンクスにある神経科の病院に着任する。そこで脳障害で動きがまったく止まっている患者たちの中で診察することになる。その中の患者であるロバートデニーロは1939年のある日、脳障害で突然動きが止まり30年間植物人間的な生活をしている。その患者に対して、ロビン医師はアミノ酸混合物を使った化学反応で生き返らせようと試みる。その結果、まったく動きの止まったデニーロが動き出し、言葉を発するようになる。老いたデニーロの母も喜ぶ。同じように病院の患者たちが次から次へと深い眠りから覚めていくが。。。。

患者にとってはタイムマシンで未来に移動したような心境である。1930年代の服装で外界へ出ると、ニューロックがはやり始めの69年にスライドである。若者の頭は長髪が目立ち、ヒッピーのような人種もいる。でも30年も過ぎているのに言葉って出るものなのであろうか?不思議な気がする。脳の構造はよくわからない。言葉が発せられるといろんな感情が生まれてくる。誰かが好きだとかいう感情も生まれてくる。それが葛藤を招いてくる。

主演二人はいずれも器用な俳優である。ロビン・ウィリアムズは「グッドモーニングベトナム」の彼の顔とこの映画の顔はまったく違う。同じように演じられるのはすごい。巧者二人がそろうと映画が引き立つ。
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ペイフォワード ケビンスペイシー

2009-12-08 19:09:17 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
「誰かから良いことされたら、そのままお返しするのではなく、別の3人の人に良いことをしてあげる。」というのが主旨である。主人公の少年ハーレイ・ジョエル・オスメントは名子役。ここでもケビンスペイシー、ヘレンハントの大物を食った良い演技を見せる。せつないところがある映画だが、そんなに感動する映画だとは思わない。でも主旨は非常に良いと思う。

主人公の少年は日本でいう中学1年生である。母親ヘレンハントはラスベガスのバーで働いているが、アル中気味。父親はケンカして出て行って、二人で暮らしている。その彼が学校へ行くと、新しい教師ケビンスペイシーが来ていた。彼は顔に焼けどの跡がある社会科の教師。生徒たちに向かって「自分が世界を変えたいと思ったら何をする?」と問いかける。少年たちは各自いろんな反応をする。少年は主題の「良いことをされた以外の3人の誰かに良いことをしてあげる。」という話をする。先生はそれは良い話だと反応する。あるとき母親へレンが家に帰ると、こどもが一人の浮浪者を家に上げていた。びっくりして、問いただすと学校で習ったことだと息子が言うので彼女は学校に怒鳴り込みに行きケビン先生に会いに行くが。。。。。。

全編音楽を押さえ気味にして淡々と流れる。「フィールドオブドリームス」のような雰囲気だなと思っていた。そうしたらラストシーンが出てきて、まさにあの映画のパクリだった。でもそれはそれで良いと思う。彼の善意を表現するにはこれが一番良い終わり方なのかもしれない。

主人公の少年ハーレイ・ジョエル・オスメントが実に光る。このころの彼は実に良い仕事をしていた。情報によると最近は薬物中毒でつかまったりしているようである。こういう子って多いなあ。

娘が昨日学校から帰ってきて、クラスの中で授業を妨害したりする男の子が骨折したらしいといっていた。非常に迷惑な生徒らしい。みんな喜んでいたといっていた。この映画の中でも、主人公の少年の友人がよくいじめられる。それをかばうのが主人公だ。いわゆる良いことの一つとして彼は助けてあげる。アメリカ映画の中には、どろどろして訳が分からなくなる映画もあるが、こういう善悪をはっきりする映画をつくる伝統もある。これはこれで素晴らしいと思う。

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真夜中のピアニスト ジャック・オディアール

2009-12-06 22:24:12 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
フランス映画にしては画像の美しさと無縁である。フランス語を話していなければパリかどうか分からない。地上げ屋の28歳の若者にスポットをあてて、手持ちカメラ中心に彼を追いかけていく。もともとピアニストだった母の血を受け継いだ彼が、東洋人女性にピアノのレッスンを受けるシーンも多く、泥臭い地上げのシーンとの対比が際立っていく。陰陽のギャップが強い傑作だと思う。


パリでかなりあくどい地上げをしている不動産業の主人公がいる。父も同じ商売をしていて、きわどい金融回収もしたりしていた。亡き母がピアニストだった影響で、小さいころはピアノを習っていた。母の音楽エージェントに偶然出くわす。「才能があった貴殿は今はピアノをやっているのですか」と聞かれて、ついついピアノのことを思い出す。そしてきわどい仕事をしながら、昼間は東洋人ピアニストのレッスンを受け、ハイドンのピアノソナタを練習するようになるが。。。。

ジャック・オディアール監督には「リードマイリップス」という映画があった。読唇術ができる女の話である。暗いムードはあの映画に通じる。カメラはひたすら主人公を追う。日本でもバブルになるころ、地上げ屋という人種がいた。今でも同じような人種がいるけれど、当時のほうがヤクザの匂いをさせる男たちが多かった。主人公はむしろそういう男たちに通じる。それなのに別のピアニストの顔を見せる。表情の七変化がある。


今回はベトナム人ピアノ教師を演じた女性(リン・ダン・ファン)が重要な役割を示す。主人公とは正反対に清楚でインテリ系のいかにも音楽をやっているお嬢さんという風貌だ。個人的には好きなタイプだ。久しくピアノをやっていなかった主人公がレッスンを受ける。うまくいかないとことも多い。そこで彼女との葛藤が生じる。彼女はフランス語を話せない。言葉が分からない女性とのレッスンシーンである。これがいい。なぜか心を洗われる気がする。

でもストーリーは素直に進めない。そのギャップに脚本のうまさも感じる。

(参考作品)
真夜中のピアニスト
裏世界とピアニストのギャップ


リード・マイ・リップス
ジャック・オディアール監督の傑作「読唇術ができる女」
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サンキュースモーキング  アーロン・エッカード

2009-07-12 17:10:32 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)

すごい傑作である!これまで不快な映画と誤解していた。
タバコをすわない自分にとっては、「スモーキング」の題名はとっつきづらかった。しかし、この映画は脚本、出演者、構成すべてにわたって完璧な映画である。タバコ推奨の映画でもなかった。アーロン・エッカードは好演、ケイティ・ホームズ、マリアベロの美人だけでなく男性脇役陣が鉄壁である。
アーロン・エッカードはタバコ会社が出資して運営するタバコアカデミーのスポークスマンである。離婚しているが息子が一人。タバコ有害説を唱える論者たちを前に雄弁を振るい、やっつけていく「口が達者」な人物。敵も多い。そんな彼は同じように有害とされる「酒」、「銃」のスポークスマンたちと定期的に情報交換している。美人記者ケイティホームズの取材を受けて、逆に言い負かして関係を持つがどうも何かあるらしい。。。。

「スモーキング」といいながら、出演者はタバコを吸わない。ここでの見どころは、主人公アーロンの難問解決法である。どんな相手でも論破してしまう頭のよさが見所。そう思わせる脚本が実にうまいといえる。ましてや出演者はコーエン兄弟の作品ともダブる名脇役たち。上司のJKシモンズとロバートデゥバル、対立する上院議員は「ファーゴ」のドジな主役ウィリアムメイシーこの3人が出ているだけで映画が引き締まる。主人公がどんなにかっこよくても相手がいなけりゃ本領発揮できない。

タバコというと「インサイダー」というマイケルマン監督の名作がある。この作品はシリアスでなくコメディである。匂いはコーエン兄弟作品の流れを汲む。しかし、ジェイソン・ライトマン監督のもう一作「JUNO」のできも含めて、ひょっとしてコーエン兄弟以上の天才かもしれない。

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映画「父、帰る」

2009-06-28 19:16:57 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)

12年ぶりに帰った父親とのふれあいに戸惑う兄と弟の姿を描くロシア映画。日本でいえば小学校高学年から中学生くらいの思春期の男の子の感情の起伏を巧みに描いている。水の映し方が非常にうまい撮影がよく、画像の美しさも映画の価値を大きく押し上げる。

 刑務所にでも行っていたのであろうか?12年ぶりに父親が母親と暮らす二人の兄弟の元に戻ってくる。写真に出ている父と顔は同じであり、間違いはない。でも戸惑いがある。父親の態度が高圧的だ。その父と一緒に釣りドライブに出る。海といってもおかしくない湖である。その湖にある島に嵐の中3人でわたるが。。。。

海かと最初は思ったが、舞台になったのはラドガ湖という湖のようだ。シカゴの町のそばにミシガン湖がある。地図上では五大湖の一つと地理の時間で習ったが、対岸はまったく見えない。日本の湖の感覚とは違う。なんせ世界最大の湖カスピ海のある国である。ラドガ湖は日本の四国より少し小さいくらい。その湖をとらえる画像が非常に美しい。何日もそのアングルを撮るのにベストの天候を待ったのではなかろうかと思わせる美しい画像が続く。
若い二人の演技がうまい。感情の起伏が激しくかなり難しい役である。ストーリーもそのうまい彼らの演技に合わせるように起伏をつくる。後味が良くない部分もある。でも映画としてのレベルは非常に高い。

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