映画とライフデザイン

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プレッジ 監督ショーンペン

2010-01-17 20:09:47 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
ショーン・ペンが監督した2001年の作品である。「イントゥ・ザ・ワイルド」の出来の良さにショーン・ペンの前作「プレッジ」を見たが、すばらしい出来に感嘆した。風景の映像美と合わせて、人物を奥深く追いかける姿勢がすばらしい。きめが細かい。ジャックニコルソンもショーン・ペンの思いに良くこたえている。ジャックの代表作といってもいいのではないか?

ジャックニコルソンは長く警察官をつとめていた。その退職を祝した送別パーティーの席上、雪山の中で少女の無残な死体が見つかったとの知らせが入る。目撃者の証言から、インディアンの血を引く青年が逮捕される。アーロン・エッカート刑事の取調べで自白して、これで一件落着と思われた矢先に、警官の銃を奪って容疑者は自殺してしまう。しかし、ジャックは彼が真犯人だと思わなかった。定年になった後も、周辺に同様の事件がなかったかを調べる。すると2つほど同じような事件が州境を越えてあることがわかる。ジャックは事件が起きた場所の近くの古いガソリンスタンドの店主に店を売ってくれないかと交渉し、田舎町に移り住むことになるが。。。。。

非常にしっとりした雰囲気で、末梢神経をいたずらに刺激するような映画ではない。バックの音響も落ち着いた中、じわりと盛り上げていく。「イントゥ・ザ・ワイルド」のときも思ったが、ショーンペン監督はロケ地の選択に時間をかけていると思われる。そしてそのロケ地周辺を美しく撮影している。季節も春夏秋冬に偏りなく選択していく。単に脚本や演出だけでなく、音楽、美術を含めて映画全体の雰囲気づくりが実にうまい。彼は5,6年に一回しか監督しない。それは彼が全米を撮影でまわりながら、次回作で使う場所をじっくり選んでいるのではないかと私は想像する。監督業を楽しんでいる。

この映画はサスペンス物であり、推理物でもある。いったん逮捕された男以外に真犯人がいるはずだと、執念で追いかけていく。推理の伏線を次から次へと映像で張っていく。ドキッとさせる場面を次から次へとつくる。観客に最終形を想像させながら、少しづつはずしていく。ストーリー作りも実に見事だ。

ジャックニコルソンは最後まで映画の中心であり続けた。映画が進んでいくにつれ、心理描写が重要になってくる。見事に彼らしい演技をした。
それにしても配役はずいぶんとぜいたくだ。犯人役のべ二チオ・デルトロをはじめとしてパトリシア・クラークソン、ヴァネッサ・レッドグルーブ、ミッキーローク、ヘレンミレンなどオスカー級の俳優を次から次へと登場させる。でもこれは映画人ショーン・ペンの人徳なのであろう。

ショーン・ペンの映画人としての素晴らしき才能を再度強く認識させられた。

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