ベトナム映画「第三夫人と髪飾り」を映画館で観てきました。
久々のベトナム映画である。渋谷bunkamuraで「第三夫人と髪飾り」という新作をやっている。その昔ベトナムの名匠トランアンユン監督の「夏至」をbunkamuraで見たことがある。ハロン湾を前面にだし、美人三姉妹の恋の物語を描いた。素敵な映画である。今回は新鋭女性監督アッシュ・メイフェアの作品だが、トランアンユン監督も美術監修ではいるし、トランアンユン夫人のトラン・ヌー・イエン・ケーをはじめ「夏至」の主要キャストも出演しているということで映画館に向かう。
セリフは多くない。ベトナムの美しい背景と密かに過ごす夜の秘め事をじっくりと映し出す。監督が違うが、トランアンユン監督が美術監修に入っているだけあって「夏至」や「青いパパイヤの香り」同様南国植物のグリーンが美しく配置される中で、アジアンテイストの細かい彫刻の入った調度品が引き立つ。昆虫や小動物の使い方のうまさも共通するものがある。そして、提灯を使った照明設計が幻想的なムードを醸し出す。
映画を見始めて、今回もハロン湾かな?と一瞬思ったが、カトリーヌドヌーブ主演「インドシナ」に映るハロン湾などこれまで見たものとは違う。世界遺産となったチャンアンという場所だという。川の流れも美しく、神秘的な洞窟も絶景だ。時代が違う中、うまく映画に取り入れることができたのではないか。雨音が室内に響く情感あふれる映像は「夏至」に通じると同時に小津安二郎作品の影響を感じる。対照的に血を浮かび上がらせたりするが、ほんわかしたムードが最後まで続く。
19世紀の北ベトナム。奇岩が連なる断崖絶壁の山々に囲まれた深い渓谷を流れる川を、メイ(グエン・フオン・チャー・ミー)は花があしらわれた舟で上ってくる。絹の里であるこの地を治める大地主(レ・ヴー・ロン)のもとに、14歳で嫁いできたのだ。
一族が暮らす大邸宅には、一人息子を産んだ第一夫人のハ(トラン・ヌー・イエン・ケー)、3人の娘を持つ第二夫人のスアン(マイ・トゥー・フオン)がおり、メイは三番目の妻となる。一族にはすでに第一夫人の息子ソン(グエン・タイン・タム)がいたが、若き第三夫人にはさらなる世継ぎの誕生が期待されていた。
まだ無邪気さの残るメイは、2人の夫人に見守られながら穏やかな毎日を送っていた。しかし次第に、ここでは世継ぎとなる男児を産んでこそ“奥様”と呼ばれることを知る。
ほどなくしてメイは妊娠。出産に向けて四季が巡る中、第一夫人も妊娠していることが発覚。時を同じくしてメイは、第二夫人のある秘密を知ってしまう。(作品情報 引用)
主役の14歳の新妻がかわいい。第三夫人ということであるが、第一、第二夫人と仲が悪いわけではない。どのように主人の寵愛を受け止めるのかを3人で話したりする。普通は憎しみあう構図を想像するが、そうではない。「夏至」で三姉妹が仲良かったのと似ている。第三夫人がグアバを食べようとすると、赤ちゃんには良くないよとアドバイスをもらえる。
天皇陛下の即位がなされた。同世代だけにさまざまな思いが浮かぶ。再度、女性天皇制が議論にあがっている。明治天皇までは側室がいた。大正天皇は明治天皇側室の1人柳原愛子が生んだというのは周知の事実である。何人も子供ができても病弱と言われていた大正天皇しか育たなかったのだ。医学が進歩していなかったともいえる。
基本的には男子直系を望む中で、夫人が何人もいるとか側室がいるというのは、近代医学以前では逆に合理的な考え方だったと思う。コーラン以来女性蔑視が激しいイスラム教国家で一夫多妻制になるのは仕方なかったかもしれない。
19世紀というこの映画の設定でも絹で財を成した富豪の家では、どうしても男子の後継が必要なのだ。第ニ夫人には3人の娘しかいない。主人公もなんとしてでも男子が欲しい。それを心から祈っている。第一夫人はもう一度男子を産もうとして流産する。それを見て秋篠宮家が執念で男子を産んだのを連想する。こういうのは難しい。
久々のベトナム映画である。渋谷bunkamuraで「第三夫人と髪飾り」という新作をやっている。その昔ベトナムの名匠トランアンユン監督の「夏至」をbunkamuraで見たことがある。ハロン湾を前面にだし、美人三姉妹の恋の物語を描いた。素敵な映画である。今回は新鋭女性監督アッシュ・メイフェアの作品だが、トランアンユン監督も美術監修ではいるし、トランアンユン夫人のトラン・ヌー・イエン・ケーをはじめ「夏至」の主要キャストも出演しているということで映画館に向かう。
セリフは多くない。ベトナムの美しい背景と密かに過ごす夜の秘め事をじっくりと映し出す。監督が違うが、トランアンユン監督が美術監修に入っているだけあって「夏至」や「青いパパイヤの香り」同様南国植物のグリーンが美しく配置される中で、アジアンテイストの細かい彫刻の入った調度品が引き立つ。昆虫や小動物の使い方のうまさも共通するものがある。そして、提灯を使った照明設計が幻想的なムードを醸し出す。
映画を見始めて、今回もハロン湾かな?と一瞬思ったが、カトリーヌドヌーブ主演「インドシナ」に映るハロン湾などこれまで見たものとは違う。世界遺産となったチャンアンという場所だという。川の流れも美しく、神秘的な洞窟も絶景だ。時代が違う中、うまく映画に取り入れることができたのではないか。雨音が室内に響く情感あふれる映像は「夏至」に通じると同時に小津安二郎作品の影響を感じる。対照的に血を浮かび上がらせたりするが、ほんわかしたムードが最後まで続く。
19世紀の北ベトナム。奇岩が連なる断崖絶壁の山々に囲まれた深い渓谷を流れる川を、メイ(グエン・フオン・チャー・ミー)は花があしらわれた舟で上ってくる。絹の里であるこの地を治める大地主(レ・ヴー・ロン)のもとに、14歳で嫁いできたのだ。
一族が暮らす大邸宅には、一人息子を産んだ第一夫人のハ(トラン・ヌー・イエン・ケー)、3人の娘を持つ第二夫人のスアン(マイ・トゥー・フオン)がおり、メイは三番目の妻となる。一族にはすでに第一夫人の息子ソン(グエン・タイン・タム)がいたが、若き第三夫人にはさらなる世継ぎの誕生が期待されていた。
まだ無邪気さの残るメイは、2人の夫人に見守られながら穏やかな毎日を送っていた。しかし次第に、ここでは世継ぎとなる男児を産んでこそ“奥様”と呼ばれることを知る。
ほどなくしてメイは妊娠。出産に向けて四季が巡る中、第一夫人も妊娠していることが発覚。時を同じくしてメイは、第二夫人のある秘密を知ってしまう。(作品情報 引用)
主役の14歳の新妻がかわいい。第三夫人ということであるが、第一、第二夫人と仲が悪いわけではない。どのように主人の寵愛を受け止めるのかを3人で話したりする。普通は憎しみあう構図を想像するが、そうではない。「夏至」で三姉妹が仲良かったのと似ている。第三夫人がグアバを食べようとすると、赤ちゃんには良くないよとアドバイスをもらえる。
天皇陛下の即位がなされた。同世代だけにさまざまな思いが浮かぶ。再度、女性天皇制が議論にあがっている。明治天皇までは側室がいた。大正天皇は明治天皇側室の1人柳原愛子が生んだというのは周知の事実である。何人も子供ができても病弱と言われていた大正天皇しか育たなかったのだ。医学が進歩していなかったともいえる。
基本的には男子直系を望む中で、夫人が何人もいるとか側室がいるというのは、近代医学以前では逆に合理的な考え方だったと思う。コーラン以来女性蔑視が激しいイスラム教国家で一夫多妻制になるのは仕方なかったかもしれない。
19世紀というこの映画の設定でも絹で財を成した富豪の家では、どうしても男子の後継が必要なのだ。第ニ夫人には3人の娘しかいない。主人公もなんとしてでも男子が欲しい。それを心から祈っている。第一夫人はもう一度男子を産もうとして流産する。それを見て秋篠宮家が執念で男子を産んだのを連想する。こういうのは難しい。