映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~」ホアン・ヤオ

2020-11-28 20:22:16 | 映画(アジア)
映画「THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~」を映画館で観てきました。


香港深圳という街の名前の響きに思わず映画館に足を運ぶ。民主化運動コロナ問題で足が遠のいているが香港は永遠に好きな街である。最近の香港がどうなっているんだろうと気になる。深圳に住む香港に通う16歳高校生が新型iphoneの運び屋をする話である。にも似てる新垣結衣を思わせる美少女ホアン・ヤオはものすごくかわいい。でも複雑な家庭環境である。そんな彼女の立ち回りをスリルたっぷりに追っていく。

iPhoneのニューモデルは中国では貴重品である。香港は伝統的なタックスフリーということもあり、安価で仕入れられて深圳では高い価格で売れる。その差益を狙った密輸団に16歳の少女の運命が崩されていくのである。娘を持つ父親としては香港で離れて暮らしている父親が黙って娘に食べさせてやるシーンが好きだ。


深圳から香港の高校へ通うペイ(ホアン・ヤオ)は母子家庭で母親ヨンと2人で暮らしている。高校では仲良しのジョー(カルメン・タン)と2人で雪の日本への旅行を夢見て、学校で小遣い稼ぎをしていた。ペイはジョーの彼氏ハオ(スン・ヤン)たちの船上パーティーに誘われたりして楽しんでいた。

ある日家に帰る途中、香港から深圳への税関でハオの仲間が職員に捕まりそうになって逃げようとしたそのとき、とっさにペイに物を渡す。何かとみると新品のスマートフォンだった。香港と深圳の間で裏で運ぶスマートフォンの密輸グループだったのだ。スマホを戻すと金をもらえた。日本旅行のための資金が貯められるとその後もペイは通学帰路の途中での運び屋になっていくのである。


その後、ペイが犯したミスをハオがカバーしたこともあり、ペイは親友の彼氏であるハオと徐々に親密な関係になっていった。そして、ハオは密輸団のリーダーに内緒で、ペイに大きな仕事を持ちかけるのであるが。。。

1.香港と深圳
自分が初めて深圳に行ったのは1995年で英国からの香港返還前である。中国全土にいくつかある経済特区の一つという触れ込みで高層ビルディングが建ち並んでいた。その時香港から国境を渡る時の入国審査では、目つきの悪い中国官憲からの強烈な威圧感を感じた。怖いくらいだった。香港行きがメインだったのであくまでサブで日帰りだったけど遅れている大陸の印象は覆せなかった。さすがに今は違うでしょう。もっとも行っていないので偉そうなことは言えない。

ハオがペイを連れていく夜景の見える山の上の場所がある。どこなんだろう?映画「慕情」ウィリアム・ホールデンとジェニファー・ジョーンズを一瞬想像する。個人的には芝生のグラウンドがある建物が競馬場だと思ったんだけど違うかな?二度出てきたけど気になる。

2.深圳から香港へ通う高校生
主人公は香港IDを持っているということで香港の高校に通っている。制服が可愛い。は母と別れて香港で別の家族もあるようだ。主人公は時折父のところにふらっと寄ったりにしている。父は可愛くてしょうがないから小遣いをあげたりしている。母親は夜遅くに家で麻雀をやっている。売女なんて周囲に評されていることもある。親友の彼氏ハオは汁そば屋の店員だけれども裏社会に近いところで生きている。入れ墨もある。


そんな家族がバラバラで孤独なペイは普通の女子高生だったのに気がつくと運び屋になってしまう。香港から深圳に向かう国境の税関では高校生の主人公は割とノーガードでくぐり抜けていく。クリントイーストウッドは老人の運び屋だったけど、それとは対照的にこういう女子高生に運ばせるというのもありえる気もする。最後に税関がきびしくなり、最近ではこういう密輸はないとテロップが流れていた。


3.日本旅行への憧れ
雪景色の日本で温泉に入って日本酒で一杯やりたい。畳の部屋で寝たい。そのためにお金を貯めたいという女子高生だ。作品情報では北海道と特定されているが、そのようなセリフはない。別に日本にこびへつらう映画でもないだろう。日本人としてはこのシーンは率直にうれしい。今年の春節くらいまであれだけ大勢の中国人が来ていた背景もよくわかる。
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映画「タイガーテール ある家族の記憶」

2020-07-05 22:18:53 | 映画(アジア)
映画「タイガーテール」は2020年配信のNetflix映画


「タイガーテール」はNetflix内で何気なく見つけた心温まる映画である。台湾からアメリカに移住した老人が熟年離婚することになり、若き日の想い出を回想していくという流れである。1950年代、60年代後半、そして現在の3つの時代にわたって恋のはかなさを綴っていく。

とかく、陰謀とか麻薬とか、かなりきわどい話がからむ映画が多いNetflix映画の中ではセリフのテンポも穏やかで見やすい。どちらかというと、男性の方が気持ちが同化していくのではなかろうか?映画を観つつ、自分の過去を振り返ってみたくなる気持ちになる。

若き日に台湾からアメリカに移住してきたピンルイ(ツィ・マー)が熟年離婚して再び独り者になったときに小さい頃台湾で育ったころの想い出に浸る。
台湾中西部の緑あふれる農業地帯で少年時代のピンルイは祖母と暮らす。父親は一歳の時に亡くなっていて、母親が生計を立てている。しかし、失業してしまい働き口をみつけるために祖母にピンルイを預けていた。やがて、縁のないこの地でユエンという少女がピンルイと一緒に遊んでくれるようになった。しかし、母親の元にもどるときにお互い離ればなれになり、連絡を取れなくなってしまった。

十数年がたち、青年になったピンルイ(リー・ホンチー)は母親とともに工場で働いていた。あるとき、偶然にも美しくなったユエン(ヨー・シンファン)と再会する。懐かしさでお互い気持ちが通じ合い、裕福な家に育ったユエンと急接近するのに時間はかからなかった。


そんなある日、工場長がピンルイに「アメリカに行きたいようだけど、一度私の娘(ジェンジェン)と会ってみないか」といい、お見合いをすることになった。ユエンとは恋人同士の関係であったが、結局ジェンジェンと結婚することになり、義父の援助を受けて夢のアメリカニューヨークに向かう。アメリカでは食料品店での下働きからスタートして、子宝にも恵まれたが夫婦の間は冷えた関係のままだった。

やがて長い時間が流れ、台湾での母親の葬儀を終えた後に、独り者になったピンルイは疎遠になっていた娘のアンジェラとあう。娘も家庭内の問題をかかえているようであるが。。。

1.悪いことをしたなと思う恋
幼なじみのユエンが美しくなってピンルイの前に現れる。(ユエンの若い頃を演じるヨー・シンファンはかなりのチャイナビューティ)それだけでも刺激的なのに、気がつくと付き合うようになっている。デートするのもたのしい。それなのに、工場長が絶好の話をもってくる。自分の娘と結婚してくれるならば、米国行きの費用は負担してあげるよと。打算がどうしても優先してしまう。

映画「青春の蹉跌」で主人公の萩原健一は、ご令嬢の檀ふみとの結婚のために恋人の桃井かおりを殺してしまう。こんなひどいことはしないけど、黙って結婚してアメリカに行こうとする。でも、こういうときにはよくあることだけど、2人で向かう車の車窓にユエンの姿が見えるのである。


20代から30代にかけての恋の想い出には、本当はこの人と結婚したかったのに、結局悪いことをしてしまったよな。そういう愛惜の気持ちを持つ人は意外にいるんじゃなかろうか?中年以上のオヤジたちも自分の過去に照らし合わせて、好きだった女の子の顔が目に浮かんでくるはずだ。われわれオヤジたちにはなんともいえない気分になる場面が続く

2.流れるオールディーズと時代背景
若き日のユエンとピンルイは地元のバーでデートする。そこでは、音楽に合わせてダンスをするためのダンスフロアもある。流れる曲はなんと加山雄三の「君といつまでも」の中国語版だ。へー!こんな感じで輸出されていたのか!ユエンの好きな2人の想い出の曲はオーティス・レディングの「ドック・オブ・ベイ」である。加山雄三の歌が1965年末発売の66年の大ヒット、オーティス・レディングの「ドック・オブ・ベイ」は1968年の全米ヒットチャートナンバー1である。

とすると、この曲をバーで聞いていたのは1970年前後と推測される。このときの年齢が22歳前後とするなら、1948年生まれと逆算できる。いまはもう72歳である。再会するユエンの現在はそうは老けて見えない。

1970年からしばらくした後に米国に渡ったとして1973年~75年くらいに子供が生まれていることになる。そうすると、娘のアンジェラは45歳から47歳、この映画ではちょっとそうは見えない。でもそうするなら、年齢的にはちょっとつじつまが合わないと思う。まあ、そのくらいのミスは仕方ないでしょう。


冷静に考えると、そういう矛盾する部分はあれど、ユエンとの再会場面はなかなかいい感じだ。
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映画「存在のない子供たち」

2020-05-19 22:30:31 | 映画(アジア)
映画「存在のない子供たち」は2019年日本公開のレバノン映画


シリア難民の少年とその家族、アフリカからきている不法入国者などがレバノンの首都ベイルートで困窮の中さまよっている姿を映し出す。「存在のない子供たち」は昨年夏映画館で鑑賞している。ちょうど、体調がよくない時だったせいか、どん底の境遇の映像が続き気分がすぐれずブログアップしていない。この映画では主人公の少年が家出したあとに、まだ一才になるかどうかの赤ちゃんの面倒をみざるを得ないシーンがある。そのシーンが頭にこびりついて残っていた。

今回DVD化され、ジャケットを見たときにあの赤ちゃんをもう一度見てみたい衝動にかられた。「自分を生んだ罪で両親を訴える」というのが、この映画の宣伝文句である。それだけでなく人身売買、不法入国の取締、初潮を迎えたばかりの幼女の結婚、戸籍のない子供とこの映画で取りあげる題材は多い。この映画こうして再見すると、社会の底辺で精いっぱい生きていこうとする姿に心打たれる。


12歳のゼイン(ゼイン・アル=ラフィーア)は、両親と兄弟姉妹とベイルートの貧民窟に暮らし、学校にも行かずに毎日路上で働かされていた。唯一の心の支えである大好きな11歳の妹のサハルが、強制的に結婚させられると、ゼインは怒りに突き動かされて家を飛び出す。エチオピア移民の女性ラヒル(ヨルダノス・シフェラウ)は、仕事と食べ物を求めて路上をさすらうゼインを見かねて家に住まわせる。

ラヒルには一歳になるかどうかの赤ちゃんがいた。ラヒルが仕事にでるときには、ゼインは赤ちゃんの面倒をみながら留守番をしていた。ある日、仕事にでたきり朝になってもラヒルが帰ってこない。あわてて赤ちゃんをつれて方々を探しに行くが見当たらない。やむなく、ゼインは赤ちゃんと一緒に留守宅で暮らさねばならなくなった。 


1.ナディーン・ラバキー監督
レバノンで生まれ育った彼女は現地ではインテリ層に属しているのであろう。写真にで見るナディーンはエキゾチックな美人である。元々は女優である。リサーチ期間に3年を費やし、監督がレバノンの貧民屈で目撃したことを盛り込んでフィクションに仕上げたのがこの作品だ。


また、出演者は同じような境遇の男女をキャスティング・ディレクターが探し出してきた。それだけにこの映画はフィクションであっても、ノンフィクションの要素を持つ。ノンフィクションの話を構成して脚本化したフィクションを、こういう境遇と縁のないプロの俳優が演じようとしても不自然になってしまうのであろう。キャスティングとロケハンの成功がこの企画を勝利に導く。

ゼインが親と一緒に暮らす住居も窮屈だが、ラヒルが住むのは日本でも昭和30年代にはほぼなくなっているようなボロの掘立小屋である。水道も泥の水しかでない。赤ちゃんのミルクも作ってあげられない。このリアルさにはショックをうける。この映画はカンヌ映画祭でも審査員賞を受賞している。たどたどしく、映画祭に参加する少年のタキシード姿が映し出される。そんな服はとても着られない最悪の育ち方をした少年だ。

2.映画と似たような境遇の出演者
主人公ゼインを演じるのはシリア内戦に伴って難民となりベイルートに来た少年である。普通の教育は受けてはいない。生計を立てるためにもう10代前半から働いている。そんな境遇は役柄とかわらない。ゼインが家出した後お世話になる女性ラヒルはいつ生まれたのかもわからない。エチオピアの難民キャンプで育って、方々でホームレスの生活もしてきた。姉妹を頼ってベイルートに来たが、なんと撮影中に不法移民で逮捕されたという。

しかも、ラヒルの子供を演じる1歳の赤ちゃんの両親が撮影中に逮捕されたというのには驚く。今も実の両親が揃って暮らしてはいないようだ。戸籍というのは日本独自のものかもしれないが、かれらには身分証明ができるものがない。


3.赤ちゃん役がすごい!
これがまたかわいい。最初見た時にも心の奥にその姿が残ったが、今回も同じだ。ちょうど一歳くらいであろうか?当然演技などできるはずはない。まだ赤ん坊で、面倒をみるゼインの胸をさぐって、おっぱいに触ろうとしている。母親と勘違いしているのであろう。音楽が鳴ると、それに合わせてダンスをしだす。映画をやっている最中に徐々に成長していく。


最初は立つのがようやくだけど、次第によちよち歩けるようになっていく。母親が不法滞在で逮捕されたあと、やむなくゼインが面倒をみる。この赤ちゃんを連れてベイルートの街の中を歩いていく。ゼインは途中で赤ちゃんを置きっぱなしにしてしまおうかという衝動に駆られる。でも、できない。ヨチヨチ歩きでゼインを追いかけていく。鍋のようなものに赤ちゃんを乗せて引っ張ってベイルートの町を歩いていく。やるせない光景だ。


この映画を再度見てからこの赤ちゃんのことが頭から離れない。もう4歳になっているようだが、ちゃんと育っているんだろうか?養子に迎えたいくらいだ。

 
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映画「第三夫人と髪飾り」 グエン・フオン・チャー・ミー

2019-10-24 05:32:38 | 映画(アジア)
ベトナム映画「第三夫人と髪飾り」を映画館で観てきました。


久々のベトナム映画である。渋谷bunkamura「第三夫人と髪飾り」という新作をやっている。その昔ベトナムの名匠トランアンユン監督の夏至をbunkamuraで見たことがある。ハロン湾を前面にだし、美人三姉妹の恋の物語を描いた。素敵な映画である。今回は新鋭女性監督アッシュ・メイフェアの作品だが、トランアンユン監督も美術監修ではいるし、トランアンユン夫人のトラン・ヌー・イエン・ケーをはじめ夏至の主要キャストも出演しているということで映画館に向かう。

セリフは多くない。ベトナムの美しい背景と密かに過ごす夜の秘め事をじっくりと映し出す。監督が違うが、トランアンユン監督が美術監修に入っているだけあって「夏至」や「青いパパイヤの香り同様南国植物のグリーンが美しく配置される中で、アジアンテイストの細かい彫刻の入った調度品が引き立つ。昆虫や小動物の使い方のうまさも共通するものがある。そして、提灯を使った照明設計が幻想的なムードを醸し出す。

映画を見始めて、今回もハロン湾かな?と一瞬思ったが、カトリーヌドヌーブ主演「インドシナに映るハロン湾などこれまで見たものとは違う。世界遺産となったチャンアンという場所だという。川の流れも美しく、神秘的な洞窟も絶景だ。時代が違う中、うまく映画に取り入れることができたのではないか。雨音が室内に響く情感あふれる映像は夏至に通じると同時に小津安二郎作品の影響を感じる。対照的に血を浮かび上がらせたりするが、ほんわかしたムードが最後まで続く。


19世紀の北ベトナム。奇岩が連なる断崖絶壁の山々に囲まれた深い渓谷を流れる川を、メイ(グエン・フオン・チャー・ミー)は花があしらわれた舟で上ってくる。絹の里であるこの地を治める大地主(レ・ヴー・ロン)のもとに、14歳で嫁いできたのだ。
一族が暮らす大邸宅には、一人息子を産んだ第一夫人のハ(トラン・ヌー・イエン・ケー)、3人の娘を持つ第二夫人のスアン(マイ・トゥー・フオン)がおり、メイは三番目の妻となる。一族にはすでに第一夫人の息子ソン(グエン・タイン・タム)がいたが、若き第三夫人にはさらなる世継ぎの誕生が期待されていた。


まだ無邪気さの残るメイは、2人の夫人に見守られながら穏やかな毎日を送っていた。しかし次第に、ここでは世継ぎとなる男児を産んでこそ“奥様”と呼ばれることを知る。
ほどなくしてメイは妊娠。出産に向けて四季が巡る中、第一夫人も妊娠していることが発覚。時を同じくしてメイは、第二夫人のある秘密を知ってしまう。(作品情報 引用)

主役の14歳の新妻がかわいい。第三夫人ということであるが、第一、第二夫人と仲が悪いわけではない。どのように主人の寵愛を受け止めるのかを3人で話したりする。普通は憎しみあう構図を想像するが、そうではない。夏至で三姉妹が仲良かったのと似ている。第三夫人がグアバを食べようとすると、赤ちゃんには良くないよとアドバイスをもらえる。


天皇陛下の即位がなされた。同世代だけにさまざまな思いが浮かぶ。再度、女性天皇制が議論にあがっている。明治天皇までは側室がいた。大正天皇は明治天皇側室の1人柳原愛子が生んだというのは周知の事実である。何人も子供ができても病弱と言われていた大正天皇しか育たなかったのだ。医学が進歩していなかったともいえる。

基本的には男子直系を望む中で、夫人が何人もいるとか側室がいるというのは、近代医学以前では逆に合理的な考え方だったと思う。コーラン以来女性蔑視が激しいイスラム教国家で一夫多妻制になるのは仕方なかったかもしれない。


19世紀というこの映画の設定でも絹で財を成した富豪の家では、どうしても男子の後継が必要なのだ。第ニ夫人には3人の娘しかいない。主人公もなんとしてでも男子が欲しい。それを心から祈っている。第一夫人はもう一度男子を産もうとして流産する。それを見て秋篠宮家が執念で男子を産んだのを連想する。こういうのは難しい。
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映画「バッド・ジーニアス」

2018-10-17 19:41:57 | 映画(アジア)
映画「バッド・ジーニアス」を映画館で観てきました。


評判がいいので見に行った。タイロケの映画は数々見ているが、タイ映画って見た記憶がない。子供の頃から神童とされた主人公が、金持ちの子弟が多い私立学校に転校する。出来の悪い金持ち娘に頼まれて、数学の問題の解答を試験中にこっそりと教える。それをきっかけに他の生徒からも頼まれ、ビジネスになっていく。やがてカンニングが究極にエスカレートしていくことを描いている。途中までの展開も面白いが、残り時間が少なくなるにつれ異様な緊迫感に包まれる。すんなりとストーリーを進めるのでなく、次から次へと主たる登場人物に難関を与えドキドキさせる場面をつくる。学園ドラマの様相だが、クライムサスペンスのようなドキドキ感がある。お見事である。


小学生の頃から成績はずっとオールA、天才的な頭脳を持つ女子高生のリン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)は、私立の進学校に特待奨学生として転入する。リンは友人になったグレースを、数学のテスト中に手助けする。それを知ったグレースの彼氏である金持ちの息子のパットは、リンがテスト中に正解を教えることと引き換えに報酬を得る、カンニング・ビジネスを思いつく。学生たちは瞬く間にリンの元に殺到。客である生徒たちはこれで試験をしのぎ、リンの貯金残高も増えていく。


ボストンの大学への進学を目指すグレースとパットは世界各国で行われる統一入試、STICでもリンに助けを求める。リンは高額な報酬に目が眩み、もうひとりの生真面目で苦学生バンク(チャーノン・サンティナトーンクン)を仲間に引き入れようとする。。。(作品情報引用)

映像の背景を見ながら、少し前に自分が思っていたタイのイメージと比べて、経済発展でものすごく現代的で豊かになっている印象をもつ。確かに国力は伸びている。教育にも金がかけられる余裕が一部高所得者層には出ているだろう。映像に映る学校は進学校に違いないが、親が学校に寄付することで学力がないのに入学できたという生徒も多い。学力に長けた生徒だけが集まっているわけでないだろう。内申稼ぎにポイントを狙う面々も多い。

ただ、ここで映る試験が全部マークシートになっている。こんなものなのか?タイの大学受験もマークシート方式だけなのか?途中でアメリカの大学受験はみんな記述式だというセリフがあるが、途中までマークシート方式ばかり出てきたのでなんか変な感じがした。


大学時代は付属高校から進学してきた仲間によくカンニングさせたものだ。受験組は英語、数学に一定以上の学力を有するが、付属高校進学組で常に遊んでいる面々は要領はいいが、受験レベルの問題は解けない。それなので、なんとかしのごうとしている。当時語学を含め経済学や数学などの必修科目3つ落とすと落第、2年続くと退学だったので、必死だったと思う。今、その仲間に会っても当時のことは感謝される。試験前は合宿のようにどこかの家に集まり、持ち込み可の科目の対策を練ったりしたものだ。こういう時には、付属高校出身者ならではの人脈を使ってみんなが出席していないような科目の講義資料が面白いくらい集まった。これには逆に助かった。

いつぞや京大入試のカンニング問題が話題になった。一斉に世論はクレームを言ったが、大学時代にカンニングでしのいだことがない学生ってそんなにいるのかな?みんな自分のことを棚上げしてと思わず吹き出してしまった。ただ、この映画でやる集団カンニングって経験ってさすがにないだろう。


主人公は好演、スマートで目つきの鋭さがこの役にピッタリだ。ライバルを演じた若者が早稲田から日本ハムに行った斎藤くんにあまりにも似ているので驚いた。

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映画「マンハント」 ジョン・ウー&福山雅治

2018-02-11 19:09:48 | 映画(アジア)
映画「マンハント」を映画館で観てきました。


香港アクション映画の巨匠ジョン・ウー監督福山雅治が組むという。しかも、高倉健と原田芳雄共演の日本映画「君よ憤怒の河を渉れ」をリメイクして、大阪ロケを中心に撮られたという。これは観に行くしかない。もともと「SCOOP」「三度目の殺人」をはじめとして福山雅治主演の作品は相性がいい。アクションはあくまで香港流だが、楽しめた。

酒井社長(國村隼)率いる天神製薬の顧問弁護士であるドゥ・チウ(チャン・ハンユー)がパーティの翌朝、ベッドで目を覚ますと、社長秘書・希子の死体が横たわっていた。現場には自身の指紋が付いたナイフが置かれるなど、突如として殺人事件の被疑者となった彼は、何者かにハメられたことに気づき、その場から逃走。そんなドゥ・チウを大阪府警の敏腕刑事・矢村(福山雅治)は、新人の部下・里香(桜庭ななみ)とともに独自の捜査で追っていく。

カギとなるのは、天神製薬研究員だった婚約者を3年前に失った謎の美女・真由美(チー・ウェイ)。次々と警察の包囲網を潜り抜けていく被疑者に近づくほどに、この事件に違和感を覚え始め、次第に見解を変えていく矢村だったが、ついに真由美の実家である牧場にいるドゥ・チウを捕らえることに成功。だが、手錠をかけた彼とともに、女殺し屋・レイン(ハ・ジウォン)たちからの襲撃に立ち向かった矢村は、彼の無実を確信する。

何者かによって捜査が妨害されるなか、身分や国籍を超えた“強く熱い絆”が芽生えた2人はともに手を組み、事件の真相に立ち向かうことを決意する。だが、そこには恐ろしくも、巨大な陰謀が待ち受けていた――。(作品情報より)

いきなり日本の漁港らしき風景の映像が映し出される。バックは演歌もどきの音楽だ。弁護士の主人公は場末の飲み屋に入っていくと飲み屋で働く2人の着物女性が待っている。どうやら中国人のようだ。やくざ関係者と思しき組員たちが店に入っていく。どうなるんだろう?すると、2人の女性が両手に拳銃をもち、座敷の来客をボコボコに撃っていく。そのアクションは香港流だ。


そのあと、キルビル出演以来の国際俳優になってしまった昨年は傑作「コクソン」を生んだ國村隼演じる社長を務める主人公ドゥの顧問先の薬品会社の創立記念パーティのシーンが映る。近代的なビルディングの中で、ディスコまがいのダンスを踊りながら盛り上がっている。

主人公はどうやらかなりモテるようで、いろんな女性からちょっかいを出されている。モデルまがいの美人秘書が今日は部屋に行くわと。そうして、狂乱の夜がふけたとき、ふと目を覚ますと何と横で美人秘書が死んでいるではないか?すぐさまドゥは警察を呼び出す。ただ、第一発見者ということで当然重要参考人になる。刑事に追いつめられる中、ドゥはその場から逃げ去るのだ。


こんな感じのスタートである。
あとは、大阪の街を舞台に香港流の派手なアクションが続く。次から次へと続く針のむしろのような銃撃の激しさも特徴的だ。しかも、いかにも香港人が好きそうな顔をした美女が次々へと登場する。例外は恰幅のいいジョン・ウーの娘くらいだ。でも日本語がこれだけ使われているのに、徹底して香港テイストに見えるのはどうしてなのか?

クレジットに倉田保昭の名前があった。ブルース・リーのカンフーブームのころは香港映画だけでなく、日本の映画、テレビにもずいぶん出ていたなあ。途中、派手なカンフーキックをつかっている男がいてそれかと思ったら、ドゥを匿う町の浮浪者の親玉の役だった。これは気が付かなかったなあ。どうりで中国語を流ちょうに話す訳だ。てっきり中国人だと思ってしまった。

1.君よ憤怒の河を渉れ
大映倒産後影を潜めた永田ラッパこと永田雅一大映元社長が復活してプロデューサーをつとめるということで、製作段階から話題になっていた記憶がある。馬が新宿の街に放たれたということで、一悶着も起きている。高倉健と原田芳雄の共演だが、細かいことは別として、中野良子の偽オッパイのシーンが脳裏に残る。

中国では文化大革命後初めての外国映画公開ということで、大変な話題になったようだ。この映画のファンだという巨匠チャン・イーモア監督高倉健を映画『単騎、千里を走る。』の主演に迎える。それと同じようにジョン・ウー監督もこの映画の大ファンだという。何とすばらしい話ではないか。

この映画で追う福山雅治演じる刑事が被疑者のドゥと手錠でつながるシーンがある。高倉健の出世作「網走番外地」でも同じように逃走者同士が手錠でがつながったまま逃げるシーンがでてくる。ジョン・ウー監督も観ているんだろうなあ。シドニー・ポワティエとトニー・カーチスの映画「手錠のまゝの脱獄」にしても囚人同士だが、刑事と逃走犯の手錠つながりは観たことがない。

2.大阪ロケ
一流薬品会社といえば、大阪道修町に本社をもつ。この映画の設定なら大阪が舞台のほうが自然だ。大阪ロケと言えば、マイケルダグラス、高倉健主演リドリー・スコット監督作品「ブラックレイン」がもっとも有名だ。猥雑な大阪の夜をこれだけ巧みにとらえた作品はそうはない。逆に、この映画ではミナミ界隈などの夜の光景はあまりみられない。カーチェイスというよりも水上バイクの攻防も昼の堂島での撮影で、むしろ水の都大阪として映し出している気がする。


大阪城付近の京橋あたりで、追いかけっこをしているのに、すぐさま梅田駅エリアにいる設定はご愛嬌か。その昔「007は二度死ぬ」は日本ロケの作品だが、国技館の裏口を出るといきなり銀座の街になってしまうシーンが出てくる。それと同じ感覚である。だんじり祭りを連想させるお祭りシーンが大阪城付近で繰り広げられたり、同じような不自然さはいくつもあったが、仕方ないだろう。

年々大阪へのインバウンド客は増加している気がする。そういった意味では中国人に対して格好の宣伝になるのでは?

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カンボジア映画「シアタープノンペン」 マー・リネット

2016-07-29 18:02:53 | 映画(アジア)
カンボジア映画「シアタープノンペン」を知性の殿堂岩波ホールで見てきました。


カンボジア映画は初めてである。蓮池の水の中で優雅にたたずむアジアンビューティの主人公マー・リネットが美しい。この写真をみて、思わず見てみたくなった。細身でスタイル抜群の主人公はその体型にジャストフィットする服を見事に着こなす。あでやかである。

映画自体は主人公ソポンが夜を彷徨い偶然入った廃墟のような映画館で見た映像に何と自分にそっくりな母親の姿を見つけ驚き、その映画館主が以前撮ったという映画のエンディングが失われていることを知り、主人公が演じるという話だ。


クメールルージュによるカンボジアの圧政という歴史上の悲劇のために、自分の母親や映画館館主が苦労したという話が絡んでいく。物語自体はあっけないが、アジアンビューティの主人公を追いかけて見るだけで良い心地になる。

プノンペンに暮らす女子大生のソポン(マー・リネット)は、病を患う母(ディ・サヴェット)と厳しい軍人の父(トゥン・ソーピー)、そして口うるさい弟との息苦しい生活にうんざりしていた。授業をサボってはボーイフレンドのベスナと遊び歩き、父が決めた将軍の息子とのお見合い話から逃げ回る日々。そんなある晩、ソポンは街中でベスナとはぐれてしまう。ひとり街をさまよううちに、バイクの駐輪場として使われている廃墟のような映画館へとたどり着く。


すると、古ぼけたスクリーンには自分とそっくりの少女が映し出されていた。驚きに目を見はるソポン。主演女優“ソテア”はソポンの母だった。だが、そこにいる“ソテア”は、現在の母からは想像もできないほど美しく輝いていた…。(作品情報より引用)

猥雑なプノンペン市内の映像を見ると、昨年ベトナムのホーチミン市に寄ったときと似たような印象を持つ。戦争に巻き込まれたことが共通した点である。1975年からカンボジアを呑み込んだ暗黒のクメール・ルージュの圧政は3年以上続き、多くの人が惨殺された。ベトナム戦争と比較するのもどうかと思うが、ポルポトによる悲劇は遥かにむごい。


軍人の父、かつて母と愛し合った映画監督など、クメール・ルージュの時代を再現する場面が出てくると気分が落ち込む。それでもアジア映画らしい映像美には思わずうなった。



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台湾青春ミステリー映画「共犯」

2016-01-31 21:29:42 | 映画(アジア)
映画「共犯」は2015年日本公開の台湾映画である。


映画の宣伝で少年少女たちが一緒になっている写真が気になり、見ようと思ったが時間がなくてdvdスルーになる。サスペンスというけど、写真に写る少年少女が何の悪いことをたくらんでいるんだろうと思っていた。結局のところ、この全員が映し出されるシーンはない。

こうやって見てみると、最初に少女が死体で発見される場面から思いがけない画面が連なっていくことに気づく。この奇妙なサスペンスのリズムには幻惑される。途中で想像を超える事態の推移に心の底から驚いてしまう。青春物のようで実はホラーじみた青春サスペンス映画であった。

同じ高校に通っているというだけで、口もきいたことがなかった男子高校生、ホアン、リン、イエは、通学途中、偶然同じ時刻に通りがかった路地で、女生徒シャーが変死しているのを発見。奇妙な縁で友達になった三人は行動を共にするようになり、死の真相を探り始めた。。。

最初に水中で少年少女たちがさまよう姿が映し出される。何を意味するんだろうと思ったとき、1人の少年が3人の少年たちにカツアゲされそうになっているシーンが映し出される。何これ?この3人が共犯なの?なんて考えていると、1人の女子生徒が大量出血で倒れている。誰かに殺されたのであろうか?それを見つめる1人の少年が少女に触れる。すると2人の同じ制服を着た少年が何やっているんだろうと近づく。他殺でなくどうやら自殺のようだ。警察に知らせて、第一発見者ということで事情徴収を受けるが、この段階で3人は一緒に帰る。そして精神的にダメージを受けただろうと3人が一緒にカウンセラーを受ける。

最初の少女の変死シーンは冷静に受け止められる。その後3人は自殺した少女の自宅に忍び込み、少女の遺留品を探り出すのだ。謎を探ろうとする姿にヒッチコック的ドキドキ感もある。やがて、この少女は誰かにいじめられていることがわかる遺留品が見つかる。しかも、その少女の名前は判明している。なぜか、この3人が共同してその少女に軽い復讐をしようとするのだ。

この少女にいじめを受けているという証拠をホアンが次から次へと提示する。別にこの時点でもどうってことない。そしてその少女を裏山に誘い、ハメていくのだ。
でもその次に驚く場面が出てくる。想像を超える事態が起きていくのだ。

これはドッキリだ。
この場面が映画に映し出される時から、事態は急変する。そして予想もしない展開となってくる。テレビドラマで言えば、数回にわたって放映できそうな場面を約90分にまとめる。端正な少年少女の顔から想像もつかない妙な緊迫感がある。

この少年少女たちが単独でとてつもない熱演をするわけではない。
でも総合的に見てはまっていく奇妙な映画だった。



(参考作品)
共犯
自殺した少女の謎を追う3人の少年
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映画「浮城」 アーロン・クォック

2015-08-23 12:02:27 | 映画(アジア)
映画「浮城」は2012年の香港映画だ。今年ようやく日本公開となる。


返還前香港で、下層からのステップアップを語った映画は多い。中国本土でひどい貧困を味わい、国境を泳いで香港に逃げてきて苦労して巨万の富を得るというパターンだ。
今回は蛋民(たんみん)という言葉がクローズアップされる。要は水上生活者である。以前は香港を舞台にした映画というとアバディーンのエリアに浮かぶ船が必ず出てきたものだ。それなので、香港に行く前は、かなりの水上生活者が居るのでは思っていたが、自分の知る限りでは90年代にはもう少なくなっていた気がする。

この作品は水上生活者として育った混血の少年が、英国植民地支配の香港社会で高い地位を得ていくまでの苦労を描いた作品だ。
傑作というわけではないが、香港好きの自分は興味深く見れた。

1940年代末、イギリス人と香港女性の間に生まれた子供が、流産したばかりの貧しい蛋民の夫婦に買い取られる。赤ん坊は華泉と名付けられ、船の上で成長。人とは違う外見から“あいの子”と揶揄される彼を、母は、その後生まれた弟妹たちと分け隔てなく可愛がった。

ある日、華泉はプロテスタントの牧師から学ぶことを勧められた。「漁師に学はいらない」と反対する父だったが、母の後押しで船を降り、教会の夜学で文字を学び始める。間もなく父が海で命を落とし、自分が買われた子だと知った彼は、長男として身を粉にして働き出す。


やがて憧れの東インド会社に雑用係として採用されると、21歳にして初めて正式な小学校教育を受けることに。イギリス人の上司から差別的な言葉を投げつけられながらも、華泉(アーロン・クォック)はたゆまぬ努力を重ねて次第に頭角を現していく。反英運動に加担した同僚が逮捕されたことなど関係なく、正社員となり幼馴染みの娣(チャーリー・ヤン)とも結婚、順調に出世の道を歩み続けていた。その頃、アメリカで建築学を学んだエリート女性の菲安(アニー・リウ)が仕事のパートナーとして現れる。


菲安は上流社会での振る舞いを華泉に教え、彼もその知識を吸収していく。ついには中国人として初の重役にまで上りつめたが、華泉は常にどこかで「自分は何者なのか?」と問い続けていた。

時は流れ、香港が中国に返還される時がやってきた。かつて赤ん坊の自分が売られた場所を訪ねた華泉は、自らの出生の秘密について聞かされる。それと同時に、改めて育ての母の深い愛情を知るのだった。(作品情報より)


1.水上生活者
古くは映画「慕情」ウィリアムホールデンジェニファージョーンズがアバディーンまでドライブして船に乗るシーンが出てくるし、「燃えよドラゴン」は香港の水上生活者の船に乗ってブルースリーが登場する。漫画「ゴルゴ31」でも香港というと水上生活のうらぶれた船に悪の巣があるというパターンである。それなので、水上生活者に強い関心を持っていた。当然普通の教育を受けずに育った人ばかりだろう。この映画の主人公は実際運がいいとしか言いようにないラッキーでのし上がった男である。


日本ではほとんど聞かないが、映画「女経」若尾文子が演ずる男をたぶらかす女は川の船で暮らす水上生活者の娘という設定だった。昭和30年代半ばくらいまではいたのであろう。

2.アーロン・クォック
成り上がりの役だが、端正な顔をしているのでハイソサエティの香港人役にも合う。今回はアニー・リウとの恋がいい感じだ。
「コールド・ウォー 香港警察」での警察幹部の役がなかなかピッタリ合っていた。もともと「香港四天王」と言われたアーロンもむしろ30代半ば過ぎてからの活躍が著しい。


3.香港の東インド会社
主人公の勤める会社は、ジャーディンマセソン社がモデルになっている気がする。中国とのアヘン交易の利権を得ようと英国政府をそそのかした悪徳商社のように高校の「世界史」の教科書にも出てくる名前だ。ジャーディン社というと、英国あたりの著名な学校で高等教育を受けた人だけが香港人で偉くなれるイメージがあるので、この映画が実話に基づくというとたいへんな立身出世である。

(参考作品)

コールド・ウォー 香港警察 二つの正義
アーロン・クオック演じる警察幹部がかっこいい


浮城
香港の水上生活者の成り上がり物語


慕情
1950年代の香港水上生活
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映画「激戦 ハート・オブ・ファイト」

2015-07-20 21:50:00 | 映画(アジア)
映画「激戦 ハート・オブ・ファイト」は2015年日本公開の香港映画だ。


これはおもしろい!
映画館で公開中の時にいこうと思っていたが、行けずDVDスル―だった。もともとスポーツ系映画特に格闘技が絡むのは好きな方だ。昨年の日本の映画で一番好きなのはボクシングだけど、「百円の恋」だ。
スポーツ系映画でランキングをつくると、最高峰はいつ見ても気分が高揚する「ロッキー」だね。プロレスではアルドリッチ監督の遺作「カリフォルニア・ドールズ」がムチャクチャ面白い。これがランキング2位だな。落ちぶれたレスラーを描いたミッキーローク主演「レスラー」もいい映画だけど、どちらかというとドラマ仕立てで、格闘にかなりのウェイトを置いている方がいい。格闘技系でいうと「イップマン」は好みだ。
総合格闘技の映画って記憶にない。ここでは何でもありの真剣勝負をする戦いを映しだすけど、なかなかリアルだし、主人公それぞれの苦境にスポットをあてたストーリーづくりにも評価すべきところが多い。いい感じだ。格闘技映画好きにはおすすめだ。


ボクシング王者だったファイ(ニック・チョン)は、八百長事件に関わったことで王座をはく奪、ボクシング界を追放されてしまう。すでに40代半ば、博打好きがたたって借金取りに追われる毎日の彼は、香港からマカオに渡り、知り合いが働くジムの雑用係の職を得る。下宿先でシングルマザーのクワン(メイ・ティン)とその娘シウタン(クリスタル・リー)と知り合う。クワンは夫に見捨てられ、酒浸りになっていたために、不慮の事故で愛する息子を失った心をふさいでいた。今はしっかり者の長女で10歳のシウタンに守られながら暮らしていた。当初は、がさつで無遠慮なファイと反目するクワン母娘だったが、ファイの素朴な優しさを知るうちに、徐々に心を開いていく。


彼は、ジムに通うワケあり青年・スーチー(エディ・ポン)の切実な思いにもほだされ、スーチーのMMA挑戦をサポートすることに。スーチーは、バックパックで世界をめぐっていた裕福な御曹司だったが、実業家の父が破産し、今は生活費を稼ぐため、建設現場で働く毎日を送っていた。しかし、父は酒に溺れては、その都度息子に酒場に迎えに来てもらうという体たらくだった。そんなときスーチーの目に入ったのは、総合格闘技MMAの試合中継。自らの尊厳を取り戻し、そして強敵に果敢に立ち向かう姿を通して、父に生きる希望のメッセージを伝えるため、深夜のジムで強烈なパンチを放っていたファイに弟子入りを申し出る。


二人はタッグを組み、人生の再起を賭けて戦いの場に出る。
(作品情報より)

いい映画なので少しだけネタばれで語る。

1.ドツボな3人
「何かが欠けている」のが物語の主人公要件の基本とすると、何もかも欠けまくっている3人だ。その3人が立ち直ろうとする中で少しづつツキがまわってくる。このままうまく行ってしまうかと思うと、さすがに脚本はしっかり考えていて、再び3人を谷底に落とす。そしてもう一度あくせく頑張って上を目指すのだ。こういう紆余屈折まじりのストーリーは日本人好みかもしれない。


2.格闘技の実技と決め技
途中の格闘技試合の場面はどれもこれもリアリティにあふれているのでいい。主役2人は徹底的にトレーニングして鍛えたと思うけど、パンチっていくつかは本気で食らったりしているよね。もちろんキックも。こりゃ痛いよね。大変だ。技の出し方もいかにもショーを見るごとく、簡潔にまとめている。しかも、こちらをわくわくさせる。強敵の決め技は「バックドロップ」である。これを知っていてどう逃げるのか?昔プロレスの無敗王者ルー・テーズの必殺「バックドロップ」を力道山がかわすのに使ったのが相撲技の「河津掛け」というのはあまりにも有名だ。同じようにやるのかな?とおもってドキドキした。

ネタばれだけど、今回のキモはラストだよね。スーチーを半殺しにした強敵とファイとの対決で、相手の技をあえて肩を外すこと脱出して逆転するというパターンはいかにもスポーツ劇画的でいいなあ。そこで見せる逆転のアッパーがお見事、スーとするねえ。

3.マカオ
香港で借金取りに追われてマカオで身を隠すなんてみっともない主人公だ。この映画はマカオの街の中の猥雑な部分を思いっきり見せてくれるので、映像的にもムチャクチャ楽しめる。新しいグランドリスボアが割と全面に出てくると、また行きたいなあとワクワクしてしまう。

(参考作品)
カリフォルニア・ドールズ
アルドリッチ監督の遺作、スポーツ映画の最高峰


イップ・マン 葉問
ブルースリーの師匠の物語


レスラー
落ちぶれたプロレスラーの物語
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映画「マダム・イン・ニューヨーク」 シュリデヴィ

2014-11-12 17:56:09 | 映画(アジア)
映画「マダム・イン・ニューヨーク」は今年公開のインド人女性のニューヨーク滞在記


ロードショーの時からなんとなく気になっていたが、dvdにスル―。早いうちにdvd化してくれて、早速見た。
家族で一人英語ができない主人公が、姪の結婚式でニューヨークに招待される。でも、英語が全くできないので不自由してしまうのに劣等感を感じて、思い切ってマンハッタンの英語初心者向け学校へ行くという話。

ストーリーはなんとなく想像できたが、まったく意外性はなかった。最終場面でインド映画らしく踊りを見せるが、あとはいくつかのエピソードを積み重ねていく展開。ただ、2時間13分というのはちょっと長すぎでは?110分で踊り付きで十分見せられる内容で、編集が弱めの印象を持った。

シャシ(シュリデヴィ)は、2人の子どもと多忙なビジネスマンの夫サティシュ(アディル・フセイン)のために尽くすインドのごく普通の主婦。“ラドゥ”というお菓子を贈答用に販売するほど料理上手な彼女の悩みは、家族の中で自分だけ英語ができないこと。夫からは対等に扱われず、年頃の娘は学校の三者面談に来ることも恥ずかしがる始末。
事あるごとに家族にからかわれて傷つき、やり場のない不満を抱えていた。

そんな彼女にある日、ニューヨークに暮らす姉のマヌ(スジャーター・クマール)から、姪の結婚式を手伝ってほしいとの連絡が入る。家族より一足先に1人でニューヨークへ行くことになったシャシだったが、英語ができないためにカフェでコーヒーすら注文できず、店内をパニックに陥らせてしまう。打ちひしがれた彼女の目に飛び込んできたのは、“4週間で英語が話せる”という英会話学校の広告だった。家族はもちろん、マヌたちにも内緒で通学する決意を固めるシャシ。


学校では、世界中から集まった英語が話せない生徒たちと出会うが、その中には、カフェで失敗した際に助けてくれたフランス人男性ロラン(メーディ・ネブー)もいた。ロランが自分に好意を抱いていることを知ったシャシは、長い間忘れていたときめきに戸惑いながらも、仲間とともに順調に英語を学んでゆくが。。。(作品情報より)

シカゴあたりと比較すると、ニューヨークはいろんな人種がいるところだ。サリーを着飾る女性もそれなりにいるだろう。でも、この主人公はちょっと英語できなすぎ?!こんなものなのかなあ?インドの教育って
英国占領下にあったわけで、日本人に比較すれば、もう少し英語ができると思ったんだけど、第2次世界大戦以降英国への反発で逆に英語教育をやらなくなってしまったのかなあ?

1.娘が通う高校参観日での話
親子面談する神父が英語で話してくる。最初これってニューヨークのシーンと思ってしまった。しかも、友人の母親が英語で話しかけてくる。普通のインド人ではないブルジョアだと思うけど、インタースクール以外の日本の学校でこんなことありえないよね。

2.インド、ニューヨークの大豪邸
最初出てくる豪邸を見て、これってアメリカ?インドどっちなの?と感じてしまう。すごい豪邸だ。日本人でこんな家に住んでいる人は少ない。主人はエリートビジネスマンという設定だが、一体年収はどのくらいもらっているんだろう?子供が通うキリスト系の学校の学費はどのくらいなんだろう?家はどの程度の金額で購入できるんだろうか?と疑問に感じてしまった。ニューヨークの姉の家も豪華である。ニュージャージーかな?ともったが、スゲエ家だ。


3.フランス人との恋
ずいぶんと不自然な設定だなあと感じる。それにしても、コックという彼が昼間に英会話学校通えるのかなあ?
最初に出会ったのが、ファーストフードチェーンで主人公がドジを踏んだあとだった。ここまでやるってくらい主人公を英語音痴にした設定だったけどね。


見てみると、かなり不自然な感じがした。最後のスピーチ、短期間であんな言葉無理でしょう。
姪がスピーチ原稿をしっかり書いて、それを時間をかけてようやくできるという水準じゃないかな?


それでも、最後のダンスはインド映画らしくていい。
相手のアメリカ人男性の親が笑いながら張りきって踊っているのが印象的だった。
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映画「恋する惑星」 トニーレオン&フェイウォン&ブリジットリン&金城武

2014-10-06 04:43:14 | 映画(アジア)
映画「恋する惑星」は94年の香港映画
ウォンカーウァイ監督の出世作で香港映画のスタンダードだ。何度もこの映画を見ている。


香港好きの自分からすると、最近の香港での民主化デモ騒ぎは本当に心配である。英国のサッチャー首相と小平との会談で50年間は今までの政治経済体制を変えないと決まったはずだ。その主旨が、中国共産党という圧倒的な権力に押さえつけられてしまうのでは?と気になる。この映画はまだ中国返還前の映画だ。コロニアル文化とオリエンタルなムードがうまく混ざり合って出来たあの香港をなつかしみたくなり、またdvdを手にした。いかにも今より猥雑な香港だけど、いい感じだ。

映画は2つの物語で構成される。

〈重慶マンション:Chunging House〉
刑事223号(金城武)は、雑踏の中で金髪にサングラスの女(ブリジット・リン)とすれちがう。
「そのとき、彼女との距離は0.5ミリ-57時間後、僕は彼女に恋をした」
女は重慶マンションを拠点に活動するドラッグ・ディーラーで、密入国したインド人に麻薬を運ばせる仕事を請け負っている。刑事223号はエイプリル・フールに失恋。ちょうど1か月後の自分の誕生日まで失意の日が続いていた。
金髪の女は啓徳空港へ。しかし、麻薬を渡したインド人の姿はなかった。ほどなく命を狙われた彼女は相手を銃殺し、走り逃れる。


刑事223号と金髪の女は偶然入ったバーで知り合う。恋人を忘れるため、その夜会った女に恋しようと決めている刑事223号に女はそっけない。それでも二人は閉店まで飲み続けホテルに泊る。彼女は眠り込み、やがて静かな一夜が明ける。刑事223号は25歳の誕生日の朝を迎えるが。。。

〈ミッドナイト・エクスプレス:Midnight Express〉
刑事223号は小食店〈ミッドナイト・エクスプレス〉で、新入りの娘フェイとすれちがう。
「そのとき、彼女との距離は0.1ミリ-6時間後、彼女は別の男に恋をした」


刑事633号(トニー・レオン)は店の付近を巡回している。彼にはスチュワーデスの恋人(チャウ・カーリン)がいた。二人には別れの予感があった。ある日、フェイはスチュワーデスが刑事633号にあてた手紙を店主からことづけられる。手紙には彼の部屋の鍵が入っていた。
フェイは刑事633号のことが気になりだしていた。鍵を持って部屋に忍び込む。フェイは口実を見つけては店を抜け出し、彼の部屋で『夢のカリフォルニア』のCDを聞きながら、少しずつ自分好みに模様替えしていく。やがて二人は部屋で鉢合わせ。店を訪れた刑事633号は彼女をデートに誘う。大雨の夜、待ち合わせ場所の店「カリフォルニア」に633号はむかうのであるが。。。

1.重慶マンション
「恋する惑星」なんて何でこんな名前になったの?という題名がついているけど、原題は「重慶森林」である。重慶は四川の都市名だけど、香港でいえば誰しもが重慶マンションのことを指すことだとわかる。

沢木耕太郎の「深夜特急」で、主人公はいきなりこの雑居ビルに宿泊する。九龍側のメインストリートに面するけど、うさんくさそうな人物がうろうろしている。1階のすぐ横の両替屋のレートはウソみたいに高いけど、2階へ行くと香港№1の両替料率に変わる。その代わり気味の悪いインド人に遭遇する。交換したばかりの金がぼったくられそうで怖い。


2.ブリジットリン&金城武
ブリジットリンは金髪でサングラスを外さないので、誰だかわからない。その金髪女は重慶マンションの中でインド人たちに仕事を持ちかける。麻薬の運び屋だ。ウォンカーウァイ監督はあの猥雑極まる重慶マンションの中を思いっきり悪さをさせ、手持ちカメラを用いて臨場感を出す。今は無き啓徳空港でのシーンを見ると、懐かしく思える。


そのお相手は金城武だ。振られ男だけにカッコいい役ではない。それでも、夜のバーで口説くシーンでは、広東語、北京語、英語、日本語と何でもございだ。感情をむき出しに演じるのはまだ若かったからできることだろう。

3.トニーレオン&フェイウォン
今や中国全土を代表する俳優となったトニーレオンもまだ見るからに若い。そして香港警察の制服がよく似合う。「インファナルアフェア」も「花様年華」も撮られていないころだ。いたずらっぽく忍びこむフェイウォンもかわいい。いかにも香港人らしく、とっかかりが無愛想だ。ファイナルファンタジーの主題歌を歌うのはもう少し後だ。当時、スクウェアのtopに後輩がいて、飲みに行った時よくこの曲聞いたものだった。


村上春樹「シェエラザード」を読んだ時、片思いの同級生の家に忍び込む高校生の時の想い出を語る話があった。その時とっさに思い浮かんだのは「恋する惑星」のフェイウォンだ。優雅に金魚を水槽に入れ込んだり模様替えをする彼女がかわいい。

4.印象的な挿入歌
お店でうるさいくらいママス&パパスの「カリフォルニアドリーミン」が高らかに響く。これが耳について離れない。ウォンカーウェイ監督はこの曲を、カリフォルニアに行きたいという意味と香港のナイトスポット「ランカンフォン」の名店「カリフォルニア」にひっかけた。



あとは優雅に鳴り響くダイナワシントンの「what a difference a day makes」がうまく合っている。ウォンカーウァイ監督は自分と同世代なので、一世代違うはずだが、「花様年華」でもナットキングコールの歌をメインにしていたし、いわゆる一時代前のスタンダードが好きみたい。

5.ランカイフォン:蘭桂坊
初めて香港に行った時、親友に連れてこられてから毎度必ず寄っている。金融街セントラル:中環のすぐ山手なので欧米人が多い。その連中がビール片手に道端でだべっていたり、バーの中で大はしゃぎしている姿にはビックリした。東京では六本木や麻布のごく一部にそういう場所があるけど、明らかに香港ならではの別世界である。
(ユーチューブにいい動画があった)↓


「カリフォルニア」はその中の一つだ。「Midnight Express」はもうないという。
いつも香港へ行くと夜が更けるまでこのあたりで遊んでいる。暴動で大騒ぎの今はどうなっているのかなあ?

(参考作品)

恋する惑星
返還前の香港の若者


天使の涙
ウォン・カーウァイが描く夜の香港


深夜特急〈1〉香港・マカオ
重慶マンションといえばこの本


欲望の翼
ウォンカーワァイの出世作


いますぐ抱きしめたい
ウォンカーワァイのデビュー作品


日東紅茶 C&レモン スティック
香港のエネルギー源
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映画「ドラッグウォー」 ジョニートー

2014-08-17 22:47:34 | 映画(アジア)
映画「ドラッグウォー」は2014年日本公開の中国映画だ。


香港のジョニートー監督が、初めて中国資本でつくった作品だ。舞台は中国本土で激しいアクションが繰り広げられる。個人的には大ファンであるジョニートー監督は、ここ数年香港でスタイリッシュなアクション映画をつくってきた。大陸でどういう作品をつくるのか気になっていたが、予算もあるせいか、車は次から次へと大破、銃の打ちあいも香港映画よりも相当激しい印象を受ける。それでも当局の検閲が厳しいらしい。
なかなか見どころがある映画だ。

中国の(架空の都市)津海。爆発事故があった工場から車で逃亡した男が、事故を起こし病院に担ぎ込まれた。男の名はテンミン(ルイス・クー)。その病院には中国公安警察の麻薬捜査官・ジャン警部(スン・ホンレイ)の姿があった。ジャンは監視カメラや押収した携帯電話から、香港出身の彼が先の工場で覚醒剤を密造し、密売取引に大きく関わる容疑者であるとみる。

意識を戻したテンミンは病院から逃亡しようしたが、拘束される。ジャンと女刑事・ベイ(クリスタル・ホアン)から中国国内での覚醒剤大量密造の罪は、死刑判決が下ると聞かされる。恐怖に怯えるテンミンは減刑と引き換えに、捜査協力することになる。

「粵江を仕切る黒社会の大物・チェンビャオ(リー・ズェンチ)から原材料をテンミンが受け取り、自身の工場で精製。そして、完成したブツを津海の魚港を牛耳るハハ(ハオ・ピン)に受け渡す」とテンミンはいう。かくして、ジャンを隊長に津海警察、原材料を積んだチェンビャオのトラックを追跡中の粵江警察の合同捜査隊が結成される。

その晩、チェンビャオの甥・チャン(ケビン・タン)をハハに紹介しようとしていたテンミンとともに、商談場所のホテルへと向かう捜査隊。チャンとハハは互いの顔を知らないこともあり、テンミン仲介の下、ジャン警部がチャンを装い、ハハに接触。ハハは東北部の大物を知るだけでなく、韓国マフィア、日本のヤクザとも密接な関係があり、アジア麻薬シンジケートを形成しようとしていた。彼との商談をまとめたジャン警部は、続いてハハを装いチャンに接触。チェンビャオ逮捕へと、一歩一歩近づいていく。


一方、チェンビャオが怪しまないよう、テンミンは鄂州にいる自分の弟子、ろうあの兄弟(グオ・タオ、リー・チン)が営む工場に原材料を積んだトラックで向かい、ハハとの取引のための出荷作業を進めた。その翌日、ハハの漁港でテンミンとの密売取引が行われるなか、武装警官が介入し、ハハを逮捕。時同じくして、武装警官は鄂州の工場にも介入するが、ろうあ兄弟の予想外の襲撃に遭い、多くの死傷者を出すことに。


それにより、ジャン警部に疑いをかけられたテンミンは意外な言葉を発する
「チェンビャオはダミーにすぎない。真の黒幕は7人の香港人だ」
翌日、ハハを装ったジャン警部が待ち受けるなか、チェンビャオとチャンがハハの漁港を訪れる。彼らの周辺には、ファット(ラム・シュー)をはじめ、ドン(ラム・ガートン)と妻のサー(ミシェル・イエ)、テンミンの兄・スー(エディ・チョン)や彼の名付け親・チュエ(ロー・ホイパン)など、7人の香港人の姿があった。。。。(作品情報より)

いきなり主人公の車が街のショーウィンドウに突入する。観客をドッキリさせ、最初から飛ばしてくる。
ポスターの主人公がぶっ倒れてどうなるの?と思った隙から病院を脱出すると、ジャン警部の登場だ。顔つきがいかにも大陸の官憲らしい陰気臭さがある。主人公を締めあげ、味方に引き入れる。
潜入捜査というのではない。
ほんの少し前まで麻薬取引の仲間に対して接するだけだ。ただ、警部も同行し、情報は全部警察に筒抜けさせるのだ。




こういう麻薬捜査の映画にありがちなパターンだけど、どっちが味方か一瞬分からなくなる展開だ。
何より踏ん張っていたのが、ジャン警部を演じるスン・ホンレイだ。


表情を七変化で見せる。津海を牛耳るハハにあうときの無表情が怖い。マカオのカジノにいる男性ディーラーでこういう鉄火面のような顔をして、目つきが悪い男をよく見る。不気味な感じだ。
逆にハハのキャラクターがおもしろい。常に何がおかしいか、笑いまくる。ジャン警部と対照的だ。
ところが、ジャン警部がハハのふりをして人に会うときに、一気に笑い上戸のようになる。
その変化が楽しい。

その後、本気で麻薬取引をする証拠として、ジャン警部自ら吸う。この直後の場面が強烈だ。
虫がついていると、いきなりのたうち回り、思いっきり吐き出そうとするのと同時に、氷水の風呂に飛び込む。
このシーンが激しい。こういうオーバーな反応を見せるのは、麻薬に染まらないようにとの中国人へのけん制かもしれない。

途中でジョニートー映画の常連であるラムシューやラムカートンが出てくると、妙にホッとした気分になる。


大陸の俳優も使っているが、7人衆ばかりでなく香港人の出演は思ったよりも多かった。

終わりに向けては完全にドタバタ劇である。


でもちょっと予想と違う展開になだれ込む。
ハリウッド映画のように警察をおちょくった態度はとれない。中国においては公安は絶対的な存在である。他の映画でも警察に汚職的な要素をみせない。そこが香港映画との違いである。でもジョニートー監督はちょっといじる。脚本も迷彩が効いている印象を持った。


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映画「危険な関係」 チャン・ドンゴン&チャン・ツィイー

2014-07-28 22:09:43 | 映画(アジア)
映画「危険な関係」は2012年の中国映画である。

「危険な関係」は、フランスの作家ラクロが18世紀後半のフランス貴族の社交界を舞台に描いた文芸小説である。プレイボーイの子爵と策略家の侯爵夫人が貞淑な人妻を恋愛ゲームに巻き込んでいく。
これまで何度も映画化されてきた。もっとも有名なのは若くして亡くなった名優ジェラール・フィリップとジャンヌモロー共演の1959年版である。それを1930年代の魔都上海に舞台を移し、チャン・ツィイー とセシリア・チャンの中国の美人女優に韓国の男優スターチャン・ドンゴンを組み合わせる。
華美な美術が際立ち、当時世界の最先端の都市だった上海を美しく描いている。

1931年の上海。莫大な資産を持つ富裕層はパーティに明け暮れ、享楽的な生活を送っていた。女性実業家のジユ(セシリア・チャン)と裕福なプレイボーイのイーファン(チャン・ドンゴン)は、人の心を弄ぶ悪だくみを繰り返していた。自分を捨てた男が、年端もいかない少女と婚約したことが許せないジユは、イーファンに少女を寝取るよう持ち掛ける。

しかし百戦錬磨のイーファンは、別の女性に目をつける。亡夫の意志を継いで奉仕活動をしている、貞淑な未亡人・フェンユー(チャン・ツィイー)だ。イーファンがフェンユーをベッドに誘うことができればジユはイーファンのものに、失敗したらイーファンの土地がジユのものになるという、淫らで恐ろしい賭けを始める2人。野心家のジユはすべてを意のままに操ろうとし、イーファンはそんな彼女を支配することに欲望を燃やす。2人の悪魔的な企みに、フェンユーは弄ばれていく。3人の間で繰り広げられる愛の駆け引きの先には、衝撃的な結末が待ち受けていた……。 (作品情報より)

フランス版との配役の比較

ジェラール・フィリップ→チャン・ドンゴン
ジャンヌモロー →セシリア・チャン



フランス版では倦怠期に入った夫婦を演じていた。お互いの浮気を認め合う夫婦だけど、本気にはならないルールを持っている。ジェラールは少女に手を出し、ジャンヌはその恋人を誘惑する。今回夫婦の設定ではないが、手を出す相手は一緒だ。

アネット・ヴァディム(人妻)→チャン・ツィイー(富豪の未亡人)
ジェラールフィリップもチャンドンゴンも本気で惚れてしまう相手だ。ここでは、セシリアチャンとチャンドンゴンは夫婦ではなく、社交界の遊び仲間だ。チャン・ツィイーを落としたら、セシリアはチャンドンゴンのものになるというゲームを始める。難攻不落なのに、一旦落としたら女性の方が一気にテンションが上がる。



若干設定は違うが、ストーリー的には中国版の方がおもしろい。
チャン・ツィイー(フェンユー)が恋の炎を呼び覚まされ、情熱的な女に変貌していく。プレイボーイとわかっていながら、徐々に男に狂う。そしてチャンドンゴン(イーファン)を完全に信頼する。でもイーファンはジユの操り人形だ。この悪女ぶりがゾクゾクさせる。
だましだまされの構図が複雑だが、何より悪女なのはセシリアチャンだ。
現代香港映画を代表する美女が、顔つきからするとおそらくは実生活でもやってそうな悪だくみを仕組む。
セシリアチャンの妖艶さが増してきた印象を受ける。女の色気はやはり30過ぎに出る。



フランス版では、悪事をはたらくジャンヌモローには最後に最悪の結末が待っていた。この場面には驚いた。この映画でははたしてどうなるのか
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映画「恋人たちの食卓(飲食男女)」 アン・リー

2014-07-18 05:36:06 | 映画(アジア)
映画「恋人たちの食卓」は「ブロークバック・マウンテン」と「ライフ・オブ・パイ」で2回アカデミー賞監督賞を受賞している台湾出身のアン・リー監督が94年に製作した作品だ。


見るのは2回目で映画がスタートしていきなり繰り広げられる調理の映像の手際のよさに驚いたものだった。
究極の料理グルメ映画と言ってもよいが、父親と3人の娘との関係を描いた素敵なホームドラマでもある。


舞台は台湾、主人公チュ(郎雄)は一流ホテルの料理長である。妻はすでに亡くなっていて、男1人で娘3人を育ててきた。
長女チアジェン(楊貴媚)は高校で化学を教えている。大学時代の恋愛に失敗がトラウマになって独身を続けている。次女チアチエン(呉倩蓮)は航空会社に勤めるキャリアウーマンで、彼氏もいる。人生設計をしっかり立ててマンションも購入すると宣言する。三女チアニン(王渝文)は大学生で、末っ子らしく伸び伸びと育ち、ファーストフードでアルバイトをしている。

この親子4人は日曜日の夕方に父親の作る豪勢な料理で夕飯を共にするという習慣ができていた。しかし、娘たちはこの晩餐が徐々に重荷になってきた。ある日曜日、味にうるさい次女は父の味覚が衰えたと非難する。

そんな折、幼稚園児の娘と二人暮らしの隣人・チンロン(張艾嘉)の母で、未亡人のリャンおばさん(歸亞蕾)が米国から帰国する。父親のいい話相手になるのではとみんなで話す。
長女は差出人不明のラヴレターが新任のバレーボールのコーチであるミンタオ(盧金城)から来たと胸をときめかす。実は生徒たちにからかわれていたのだ。
次女は本社から来たエリート社員のリーカイ(ウィンストン・チャオ)にひかれる。
三女は友人の恋人だったクオルン(陳昭榮)を奪い取りデートする。日曜日の晩餐の席で三女は「子供ができた。彼と暮らすわ」と爆弾発言して家を出た。家には姉2人と父親が残されるが。。。

1.豪勢な料理
当然プロの料理人が調理していると思うが、手際のよさは圧巻だ。何度みても凄いと思う。
鳥は庭先のかごで飼っているものを捌く。鳥を自宅でしめて捌くなんて芸当は普通はできないよね。
一番食べてみたいのは冬瓜のスープだ。絶妙な味付けと見た眼にわかる。


2.家族間の諸問題
それぞれの家族には、悩みがある。淡々と料理をつくる父親の横で、それぞれが自分のことで頭がいっぱいだ。
もっとも早く結婚しそうだった次女が結局最後まで残ってしまう。購入したマンションの建築業者が破産して手附がパーになったり、恋人に他の女ができたりして運がない。それなのに三女は友人の恋人をちゃっかりいただいてしまい、さっさと家を出ていく。みんな早い者勝ちだという感じだ。登場人物の数が適切で、物語がいいまとまりを見せる。この恋愛模様が楽しい。

3.父親
隣の娘は母娘2人暮らし。父親も幼稚園児のために弁当をつくってあげるのが楽しくなってきた。
そこに未亡人のリャンおばさんが戻ってくる。同じような年代なので、まわりも父親とくっつけようとする。それでうまくいくのかと思いきや、最後にどんでん返しが待っている。これが笑える。



郎雄は初期のアン・リー監督作品には欠かせない父親である。職人的な表情が味があり、実際には他人が調理していると思うけど、妙に役にマッチしている。


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