映画とライフデザイン

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映画「マンハント」 ジョン・ウー&福山雅治

2018-02-11 19:09:48 | 映画(アジア)
映画「マンハント」を映画館で観てきました。


香港アクション映画の巨匠ジョン・ウー監督福山雅治が組むという。しかも、高倉健と原田芳雄共演の日本映画「君よ憤怒の河を渉れ」をリメイクして、大阪ロケを中心に撮られたという。これは観に行くしかない。もともと「SCOOP」「三度目の殺人」をはじめとして福山雅治主演の作品は相性がいい。アクションはあくまで香港流だが、楽しめた。

酒井社長(國村隼)率いる天神製薬の顧問弁護士であるドゥ・チウ(チャン・ハンユー)がパーティの翌朝、ベッドで目を覚ますと、社長秘書・希子の死体が横たわっていた。現場には自身の指紋が付いたナイフが置かれるなど、突如として殺人事件の被疑者となった彼は、何者かにハメられたことに気づき、その場から逃走。そんなドゥ・チウを大阪府警の敏腕刑事・矢村(福山雅治)は、新人の部下・里香(桜庭ななみ)とともに独自の捜査で追っていく。

カギとなるのは、天神製薬研究員だった婚約者を3年前に失った謎の美女・真由美(チー・ウェイ)。次々と警察の包囲網を潜り抜けていく被疑者に近づくほどに、この事件に違和感を覚え始め、次第に見解を変えていく矢村だったが、ついに真由美の実家である牧場にいるドゥ・チウを捕らえることに成功。だが、手錠をかけた彼とともに、女殺し屋・レイン(ハ・ジウォン)たちからの襲撃に立ち向かった矢村は、彼の無実を確信する。

何者かによって捜査が妨害されるなか、身分や国籍を超えた“強く熱い絆”が芽生えた2人はともに手を組み、事件の真相に立ち向かうことを決意する。だが、そこには恐ろしくも、巨大な陰謀が待ち受けていた――。(作品情報より)

いきなり日本の漁港らしき風景の映像が映し出される。バックは演歌もどきの音楽だ。弁護士の主人公は場末の飲み屋に入っていくと飲み屋で働く2人の着物女性が待っている。どうやら中国人のようだ。やくざ関係者と思しき組員たちが店に入っていく。どうなるんだろう?すると、2人の女性が両手に拳銃をもち、座敷の来客をボコボコに撃っていく。そのアクションは香港流だ。


そのあと、キルビル出演以来の国際俳優になってしまった昨年は傑作「コクソン」を生んだ國村隼演じる社長を務める主人公ドゥの顧問先の薬品会社の創立記念パーティのシーンが映る。近代的なビルディングの中で、ディスコまがいのダンスを踊りながら盛り上がっている。

主人公はどうやらかなりモテるようで、いろんな女性からちょっかいを出されている。モデルまがいの美人秘書が今日は部屋に行くわと。そうして、狂乱の夜がふけたとき、ふと目を覚ますと何と横で美人秘書が死んでいるではないか?すぐさまドゥは警察を呼び出す。ただ、第一発見者ということで当然重要参考人になる。刑事に追いつめられる中、ドゥはその場から逃げ去るのだ。


こんな感じのスタートである。
あとは、大阪の街を舞台に香港流の派手なアクションが続く。次から次へと続く針のむしろのような銃撃の激しさも特徴的だ。しかも、いかにも香港人が好きそうな顔をした美女が次々へと登場する。例外は恰幅のいいジョン・ウーの娘くらいだ。でも日本語がこれだけ使われているのに、徹底して香港テイストに見えるのはどうしてなのか?

クレジットに倉田保昭の名前があった。ブルース・リーのカンフーブームのころは香港映画だけでなく、日本の映画、テレビにもずいぶん出ていたなあ。途中、派手なカンフーキックをつかっている男がいてそれかと思ったら、ドゥを匿う町の浮浪者の親玉の役だった。これは気が付かなかったなあ。どうりで中国語を流ちょうに話す訳だ。てっきり中国人だと思ってしまった。

1.君よ憤怒の河を渉れ
大映倒産後影を潜めた永田ラッパこと永田雅一大映元社長が復活してプロデューサーをつとめるということで、製作段階から話題になっていた記憶がある。馬が新宿の街に放たれたということで、一悶着も起きている。高倉健と原田芳雄の共演だが、細かいことは別として、中野良子の偽オッパイのシーンが脳裏に残る。

中国では文化大革命後初めての外国映画公開ということで、大変な話題になったようだ。この映画のファンだという巨匠チャン・イーモア監督高倉健を映画『単騎、千里を走る。』の主演に迎える。それと同じようにジョン・ウー監督もこの映画の大ファンだという。何とすばらしい話ではないか。

この映画で追う福山雅治演じる刑事が被疑者のドゥと手錠でつながるシーンがある。高倉健の出世作「網走番外地」でも同じように逃走者同士が手錠でがつながったまま逃げるシーンがでてくる。ジョン・ウー監督も観ているんだろうなあ。シドニー・ポワティエとトニー・カーチスの映画「手錠のまゝの脱獄」にしても囚人同士だが、刑事と逃走犯の手錠つながりは観たことがない。

2.大阪ロケ
一流薬品会社といえば、大阪道修町に本社をもつ。この映画の設定なら大阪が舞台のほうが自然だ。大阪ロケと言えば、マイケルダグラス、高倉健主演リドリー・スコット監督作品「ブラックレイン」がもっとも有名だ。猥雑な大阪の夜をこれだけ巧みにとらえた作品はそうはない。逆に、この映画ではミナミ界隈などの夜の光景はあまりみられない。カーチェイスというよりも水上バイクの攻防も昼の堂島での撮影で、むしろ水の都大阪として映し出している気がする。


大阪城付近の京橋あたりで、追いかけっこをしているのに、すぐさま梅田駅エリアにいる設定はご愛嬌か。その昔「007は二度死ぬ」は日本ロケの作品だが、国技館の裏口を出るといきなり銀座の街になってしまうシーンが出てくる。それと同じ感覚である。だんじり祭りを連想させるお祭りシーンが大阪城付近で繰り広げられたり、同じような不自然さはいくつもあったが、仕方ないだろう。

年々大阪へのインバウンド客は増加している気がする。そういった意味では中国人に対して格好の宣伝になるのでは?


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