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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「危険な関係」 チャン・ドンゴン&チャン・ツィイー

2014-07-28 22:09:43 | 映画(アジア)
映画「危険な関係」は2012年の中国映画である。

「危険な関係」は、フランスの作家ラクロが18世紀後半のフランス貴族の社交界を舞台に描いた文芸小説である。プレイボーイの子爵と策略家の侯爵夫人が貞淑な人妻を恋愛ゲームに巻き込んでいく。
これまで何度も映画化されてきた。もっとも有名なのは若くして亡くなった名優ジェラール・フィリップとジャンヌモロー共演の1959年版である。それを1930年代の魔都上海に舞台を移し、チャン・ツィイー とセシリア・チャンの中国の美人女優に韓国の男優スターチャン・ドンゴンを組み合わせる。
華美な美術が際立ち、当時世界の最先端の都市だった上海を美しく描いている。

1931年の上海。莫大な資産を持つ富裕層はパーティに明け暮れ、享楽的な生活を送っていた。女性実業家のジユ(セシリア・チャン)と裕福なプレイボーイのイーファン(チャン・ドンゴン)は、人の心を弄ぶ悪だくみを繰り返していた。自分を捨てた男が、年端もいかない少女と婚約したことが許せないジユは、イーファンに少女を寝取るよう持ち掛ける。

しかし百戦錬磨のイーファンは、別の女性に目をつける。亡夫の意志を継いで奉仕活動をしている、貞淑な未亡人・フェンユー(チャン・ツィイー)だ。イーファンがフェンユーをベッドに誘うことができればジユはイーファンのものに、失敗したらイーファンの土地がジユのものになるという、淫らで恐ろしい賭けを始める2人。野心家のジユはすべてを意のままに操ろうとし、イーファンはそんな彼女を支配することに欲望を燃やす。2人の悪魔的な企みに、フェンユーは弄ばれていく。3人の間で繰り広げられる愛の駆け引きの先には、衝撃的な結末が待ち受けていた……。 (作品情報より)

フランス版との配役の比較

ジェラール・フィリップ→チャン・ドンゴン
ジャンヌモロー →セシリア・チャン



フランス版では倦怠期に入った夫婦を演じていた。お互いの浮気を認め合う夫婦だけど、本気にはならないルールを持っている。ジェラールは少女に手を出し、ジャンヌはその恋人を誘惑する。今回夫婦の設定ではないが、手を出す相手は一緒だ。

アネット・ヴァディム(人妻)→チャン・ツィイー(富豪の未亡人)
ジェラールフィリップもチャンドンゴンも本気で惚れてしまう相手だ。ここでは、セシリアチャンとチャンドンゴンは夫婦ではなく、社交界の遊び仲間だ。チャン・ツィイーを落としたら、セシリアはチャンドンゴンのものになるというゲームを始める。難攻不落なのに、一旦落としたら女性の方が一気にテンションが上がる。



若干設定は違うが、ストーリー的には中国版の方がおもしろい。
チャン・ツィイー(フェンユー)が恋の炎を呼び覚まされ、情熱的な女に変貌していく。プレイボーイとわかっていながら、徐々に男に狂う。そしてチャンドンゴン(イーファン)を完全に信頼する。でもイーファンはジユの操り人形だ。この悪女ぶりがゾクゾクさせる。
だましだまされの構図が複雑だが、何より悪女なのはセシリアチャンだ。
現代香港映画を代表する美女が、顔つきからするとおそらくは実生活でもやってそうな悪だくみを仕組む。
セシリアチャンの妖艶さが増してきた印象を受ける。女の色気はやはり30過ぎに出る。



フランス版では、悪事をはたらくジャンヌモローには最後に最悪の結末が待っていた。この場面には驚いた。この映画でははたしてどうなるのか
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映画「恋人たちの食卓(飲食男女)」 アン・リー

2014-07-18 05:36:06 | 映画(アジア)
映画「恋人たちの食卓」は「ブロークバック・マウンテン」と「ライフ・オブ・パイ」で2回アカデミー賞監督賞を受賞している台湾出身のアン・リー監督が94年に製作した作品だ。


見るのは2回目で映画がスタートしていきなり繰り広げられる調理の映像の手際のよさに驚いたものだった。
究極の料理グルメ映画と言ってもよいが、父親と3人の娘との関係を描いた素敵なホームドラマでもある。


舞台は台湾、主人公チュ(郎雄)は一流ホテルの料理長である。妻はすでに亡くなっていて、男1人で娘3人を育ててきた。
長女チアジェン(楊貴媚)は高校で化学を教えている。大学時代の恋愛に失敗がトラウマになって独身を続けている。次女チアチエン(呉倩蓮)は航空会社に勤めるキャリアウーマンで、彼氏もいる。人生設計をしっかり立ててマンションも購入すると宣言する。三女チアニン(王渝文)は大学生で、末っ子らしく伸び伸びと育ち、ファーストフードでアルバイトをしている。

この親子4人は日曜日の夕方に父親の作る豪勢な料理で夕飯を共にするという習慣ができていた。しかし、娘たちはこの晩餐が徐々に重荷になってきた。ある日曜日、味にうるさい次女は父の味覚が衰えたと非難する。

そんな折、幼稚園児の娘と二人暮らしの隣人・チンロン(張艾嘉)の母で、未亡人のリャンおばさん(歸亞蕾)が米国から帰国する。父親のいい話相手になるのではとみんなで話す。
長女は差出人不明のラヴレターが新任のバレーボールのコーチであるミンタオ(盧金城)から来たと胸をときめかす。実は生徒たちにからかわれていたのだ。
次女は本社から来たエリート社員のリーカイ(ウィンストン・チャオ)にひかれる。
三女は友人の恋人だったクオルン(陳昭榮)を奪い取りデートする。日曜日の晩餐の席で三女は「子供ができた。彼と暮らすわ」と爆弾発言して家を出た。家には姉2人と父親が残されるが。。。

1.豪勢な料理
当然プロの料理人が調理していると思うが、手際のよさは圧巻だ。何度みても凄いと思う。
鳥は庭先のかごで飼っているものを捌く。鳥を自宅でしめて捌くなんて芸当は普通はできないよね。
一番食べてみたいのは冬瓜のスープだ。絶妙な味付けと見た眼にわかる。


2.家族間の諸問題
それぞれの家族には、悩みがある。淡々と料理をつくる父親の横で、それぞれが自分のことで頭がいっぱいだ。
もっとも早く結婚しそうだった次女が結局最後まで残ってしまう。購入したマンションの建築業者が破産して手附がパーになったり、恋人に他の女ができたりして運がない。それなのに三女は友人の恋人をちゃっかりいただいてしまい、さっさと家を出ていく。みんな早い者勝ちだという感じだ。登場人物の数が適切で、物語がいいまとまりを見せる。この恋愛模様が楽しい。

3.父親
隣の娘は母娘2人暮らし。父親も幼稚園児のために弁当をつくってあげるのが楽しくなってきた。
そこに未亡人のリャンおばさんが戻ってくる。同じような年代なので、まわりも父親とくっつけようとする。それでうまくいくのかと思いきや、最後にどんでん返しが待っている。これが笑える。



郎雄は初期のアン・リー監督作品には欠かせない父親である。職人的な表情が味があり、実際には他人が調理していると思うけど、妙に役にマッチしている。


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映画「名探偵ゴッド・アイ (盲探)」 アンディ・ラウ

2014-06-27 20:20:47 | 映画(アジア)

映画「名探偵 ゴッド・アイ」は香港アクション映画の巨匠ジョニートー監督が、香港映画の大スターアンディラウを主演に迎えて撮る2013年の作品だ。

この2人の組み合わせならということでdvdを手に取った。原題:盲探 英題:BLIND DETECTIVEということでわかるように、この探偵は目が見えない。日本では「座頭市」なんて盲目の凄い刺客がいるが、盲目の探偵なんていうのは聞いたことがない。単刀直入に「盲目」の言葉を使ってもらえれば、もっとわかりやすかったが、さすがに原題に近いのは日本ではやりづらかったのであろう。

ジョニートー監督作品は大好きだ。なるべく映画館で見るようにしている。六本木だけの公開だったようだ。「奪命金」はそれなりに楽しめたが、今回は探偵モノというより、コメディといってもいい。直近は冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」「スリなど比較的スタイリッシュにまとめた作品が多かったが、今回は若干テイストが違う。
香港映画の天下の二枚目アンディラウも盲目の設定になると、さすがにいつもとちがう。天才的推理能力を持つが妙にお金に細かい探偵で振る舞い自体が笑える。一連のジョニートー監督作品だけでなく「インファナル・アフェア」のアンディラウの妻役を演じたサミー・チェンとのやり取りも掛け合い漫才のような絶妙なコンビぶりである。

探偵のジョンストン(アンディ・ラウ)は盲目ながらも、その卓越した想像力により“名探偵ジョンストン”と呼ばれ事件を解決し懸賞金で生計を立てている。

しかしこの日はかつての同僚刑事シト(グォ・タオ)に手柄を横取りされ懸賞金を取り損ねてしまった。シトの部下でジョンストンに憧れる女刑事のホー(サミー・チェン)は、子供の頃に失踪した少女シウマンの捜査を依頼。ジョンストンは彼女をアシスタントとして捜査を開始。しかし、自分勝手な彼と想像を超えた調査にホーは振り回され身も心もズタポロにされるが、恋心と想像力の鍛錬によって懸命に付いて行く。

一方、少女失踪の傍らでジョンストンが懸賞金目当てに始めた迷宮入り事件の捜査を手伝う事になったホーは、彼の教えにより想像力を駆使し、二人で犯人(ラム・シュー)を追い詰める。この捜査を機にジョンストンとホーの距離は少しずつ近づいていく。失踪事件は少女だけでなく、女性連続失踪事件へと発展。事件は思いもよらぬ方向へと転がり始める。 (作品情報)

香港の街を舞台にしていて、チムサーチョイの繁華街など見慣れた風景が多い。
人より車優先と言われる香港の路面電車の隙間をホーが堂々と歩く姿がカッコいい。
それに加えて、マカオと珠海へのロケも映す。この映像はごきげんだ。
ジョニートー監督はマカオ好きである。マカオのナイトクラブに行くと、珠海出身の若い女性が横につくことが多い。映画に珠海が登場するのは珍しい。主人公2人が立ちまわる処に大陸の猥雑な感じが伝わり悪くない。

笑えるシーンが多い
1.マカオのバカラのシーン
マカオのカジノに盲目探偵のジョンストンと女刑事のホーの2人が向かう。そこで出会うのはラムシュー演じる犯人だ。同じバカラ卓に座って勝負する。
ホーが奇声をあげながらカードをめくる。いかにもマカオのバカラ、気合の入れ方が違う。
それに対して犯人がめくろうとするとバカでかい声をホーが出して、気合いを失せさせる。犯人がプレイヤーにかけると、ホーはバンカーにかけて、ツキのない犯人の反対側にギャラリーが大量に張る。この気合溢れるバカラの鉄火場はいかにもマカオのカジノで中国人金満家が大金をかける姿だ。2人のパフォーマンスは実に楽しい。

2.真犯人の出産(ネタばれ)
盲目探偵のジョンストンと女刑事のホーがしらみつぶしにつぶした結果、犯人が推測される。ところが、その犯人は妊娠してる。それなのに大暴れ。彼女をつかまえようとしたら突然破水し始める。こうなったらホーは産ませるために全力を尽くす。そこは修羅場だ。うーんと叫ぶ彼女から子供が生まれる。しかし、犯人の息は途絶えようとしている。
これだけでは終わらない。意外な展開に進む。

あとはアンディラウの振る舞いの1つ1つがおかしい。
座頭市のように杖をつきながら、歩いていくが、頭脳は鋭い。脳裏の映像に犯人像が浮かぶ
女刑事ホーが犯人に刺されて、危うく死にそうになる時に、ジョンストンが盲目なのに運転する。途中までホーが方向を指示するが、途中から息が絶えそうになると、ナビゲーターなしに盲目のまま運転するしかない。
こんなシーン見たことがない。
ジョニートーが昔のスタイルに戻ったアイディアに満ちあふれた映画である。
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映画「ポリス・ストーリー レジェンド」 ジャッキーチェン

2014-06-10 05:08:17 | 映画(アジア)
映画「ポリス・ストーリー レジェンド」を映画館で見てきました。

ジャッキーチェンの作品は毎回見ている。徐々にアクロバット的アクションは減ってきたとはいえ、ジャッキーチェンは60歳になってもまだまだ健在。香港映画として始まったこのシリーズも、言葉は北京語で今は中国大陸資本にどっぷりつかっている。

大陸映画と言ってバカにする時代はとっくに過ぎた。セットは豪華だし、登場する俳優たちの雰囲気も現代的だ。一時代前のアカぬけないイメージは一掃された。ナイトクラブの中に閉じ込められるという、閉鎖空間でのアクションに息がつまりそうな場面もあったが、最終場面で謎解きの要素がでてきて、単純なアクションだけでないところに工夫を感じる。

ベテラン刑事ジョン(ジャッキー・チェン)は、ひとり娘のミャオ(ジン・ティエン)に会うため、歓楽街の中心にある全面をコンクリートに覆われた巨大なナイトクラブ“ウー・バー”にやってきた。
仕事に追われ半年ぶりに娘と顔を合わせたジョンは、娘との慣れない時間を過ごしていたところ、突然背後から何者かに襲撃されてしまう。気がつくと、クラブの出入り口は頑丈に閉鎖され、ジョン親子を含む十数人の客は無数の爆弾が仕掛けられた建物内に閉じ込められていた―。

建物を包囲した警察も全く手を出せない中、事件の首謀者であるクラブの経営者ウー(リウ・イエ)は、警察にある取引を求める。この籠城事件の裏には、ウーが長年にわたって綿密に仕組んだ、ジョンの刑事人生の過去にも関わる恐るべき復讐計画が隠されていた…。
(作品情報より引用)

いきなり派手なナイトクラブに主人公が入っていくる。捜査なの?いや違う。
ここで出会うのは娘である。頭は染めて、スパイダーのタトゥをしたアバズレのようだ。
紹介されるナイトクラブのオーナーとつき合っているという。親子はちょっとしたことで仲たがいしていたのだ。
そうか。。。と思っていたら、いきなりジャッキーが襲われる。
しかも客が人質になって閉じ込められる。

何どういうこと?よくわからないままにナイトクラブの中は閉塞感に包まれる。
ジャッキーは恨まれているようだが、何の事件でそうなったのかよくわからない。

ここでナイトクラブのオーナーは1人の服役囚の釈放を要求する。
その事件には自分もかかわっていた。しかも、人質にはその事件の現場に居合わせた人もいるではないか。。。
ようやくオーナーの魂胆がわかってきた。

1.タイ式ボクシング
ジャッキーチェンがここで敵対する相手は強い。非情に生きたクラブのオーナーは勝って勝ちまくってきた。
どちらかというと、「k1」というより異種格闘技の「プライド」みたいだ。
関節技も繰り出したりする。

ジャッキーチェンも結局金網マッチのようなことをさせられる。相手は若いし圧倒的に強い男のようだ。
ピンチ!!

2.センスのある映像と音楽
中国大陸資本とは思えないアカぬけた映像になってきた。15年位前は香港に行っても大陸の人はアカぬけないので、すぐわかった。今は香港人と見分けがつかない。それだけ大陸のリッチな人は金にものを言わせて贅沢になったのであろう。
流れる音楽もハイセンスになってきた。ロックバンドの演奏には耳を疑った。


3.中国式「羅生門」
黒澤明監督「羅生門」は芥川龍之介の「藪の中」を下地にしている。ここにもその要素がある。ラスト30分で謎解きをしようと再現フィルムのように過去を振り返る。
そう!ネタばれだが、ナイトクラブオーナーは妹が死んだ真相を突き止めようと、用意周到に事件関係者をナイトクラブに集めたのだ。当然当事者同士で言葉の相違がある。映画「羅生門」では、1人1人事情徴収を受けるが、ここでは一斉に当時の状況を確かめる。このシーンはなかなか味がある。それまでは閉鎖空間でのアクションで退屈になりそうな場面もあったが、なかなか楽しめた。

いずれにしても大陸資本の映画だから警察は圧倒的に強い。国家は絶対なのだ。
先日香港を舞台にした「コールドウォー」を見たが、同じような感想をもった。そう考えると、アメリカ映画のように警察の汚職というような意外な展開というのはなさそうな気もする。
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映画「コールドウォー 香港警察」 

2014-04-28 20:00:56 | 映画(アジア)
映画「コールドウォー 香港警察」は2012年製作の香港映画だ。

宣伝文句はかなり派手なコピーだ。「インファナルアフェア」に並ぶ傑作で、香港の映画賞を独占しているとのことだ。香港好きな自分は見るしかない。
警察の緊急部隊の5人が消息不明になる。直後に当局に身代金の要求があり、香港警察が動き出す。そこに次期長官の椅子を狙う2人の勢力争いが絡み複雑化するという構図だ。
昔の香港映画よりも予算が捻出できるようになったのか?香港の町をスタイリッシュに描く映画が増えてきた。この映画もストーリーを抜いてもビジュアル的に楽しい映画だ。 ガラス張りの高層ビル内にある警察オフィスからビクトリア湾を眺望する映像もきれいだし、香港映画では見たことのないようなカーチェイスもある。満喫したが、ちょっとテンポが速すぎで理解に苦しんだ。
他のできのいい香港映画同様、何度も見たほうが良さが分かるのかもしれない。

香港九龍の繁華街・旺角の街中で爆発事件が起きた。犯人が乗っていると思しき車を警察の緊急部隊の車両が追いかける。ところが、追跡した5人の警察官が車両ごと消えてしまう。謎の男から警察当局に電話がかかり、警官5人と武器がいくらになるか計算しろと言う。明らかな警察に対する恐喝であり、当局は慌てる。
香港警察の長官は欧州へ出張中のため、行動班を率いる副長官・リー(レオン・カーファイが捜査の指揮を執ることになる。緊急車両の中にリーの息子であるジョー(エディ・ポンがいるのだ。リー副長官により人質救出作戦「コールド・ウォー」が着手され、非常事態が宣言されようとしていた。

香港警察には、親族が関係した事件の捜査には関与できないという内規がある。保安管理班を率いる副長官・ラウ(アーロン・クォックは、その内規を理由にリーが指揮するのは望ましくないと考える。指揮権を取り上げようとして警察内部は分裂し、2人の長官は対立する。結局内部の根回しが通じて、ラウが指揮権を取ることになる。犯人の身代金の提示に対し、ラウ自ら取引現場に向かうが、犯人の指示に翻弄される。それとともに事態は一層混乱し、密告者により汚職捜査機関が介入するが。。。。

登場人物が多く頭が若干混乱する。鑑賞者がそうなるものと仮定して最初から映像で登場人物を説明している。それだけじゃ分からない。それでも原作はよく練られていると思う。当然中国政府の検閲もあるわけで、それを満たすためには矛盾をつくらず緻密にストーリーを練らねばなるまい。

香港好きな自分は別の視点で追いかけてみる。  
1.香港を俯瞰する
映画は香港のビル群の谷間を空から俯瞰する映像でスタートする。意外にありそうでない映像だ。香港を舞台にした1955年の映画「慕情」「Love Is a Many-Splendored Thing」の美しいメロディにのって、上環方面から香港島へ向う空からの映像を映し出す。英国の新聞記者ウィリアムホールデンと中国人の混血女医ジェ二ファージョーンズの悲哀物語で当然高層ビル群はない頃だ。あの映像を連想した。今回は九龍、香港島を連結する橋や青衣周辺、市内のメインスポットをベストショットで映し出している。わくわくしてくる。

2.カーチェイス
いきなり映る爆破事件の映像のあとで、BMWと警察車の追いかけっこが始まる。そのあとに強烈な衝突の映像がでる。ちょっとちがうなあと思わせる。その後、身代金の要求に対してバックを抱えた副長官が走り回るシーンで、激しいカーチェイスの場面が出てくる。自動車専用道の映像だ。
これって以前啓徳空港が香港のエアポートだった頃、空港からチムサーチョイの街中に向うとき通った道路ではないだろうか?

仮にちがったとしてもこういった道路でのカーチェイスは香港映画ではあまり見たことない。対決する両者の銃捌きといい、迫力ある場面だ。

3.花火師
最終に向かいセントラル(中環)の高層ビルの階上で花火を上げるシーンが出てくる。
毎日夜8時になると、香港島のビル群で美しい照明のショーをやる。ビクトリア湾を隔てた九龍側ラウンジから見ると非常に美しいシーンだ。
同様にイベント事のときに、ビクトリア湾で花火が打ち上げられる。これも実にきれいだ。その花火が事件に絡んでくる。
 

4.沢木耕太郎がこの映画を褒めている。
(朝日デジタルに掲載の文章を引用する。)
同じサスペンスと言っても、追いつ追われつのシンプルなサスペンスでなく、謎が謎を呼ぶという複雑な展開を持つサスペンスの場合、秀(すぐ)れた作品では、途中で、巧みに、僅(わず)かな謎の亀裂が挟みこまれることがある。観客の意識が一瞬そこで立ち止まり、「あれっ?」と思わせる要素が入る。だが、それはあまり強すぎても弱すぎてもいけない。その疑問が展開のスピードの中に溶けていき、いつの間にか意識から離れていくくらいがちょうどいいのだ。
やがて、クライマックスに近づいたとき、観客に、そうかあのとき自分が「おやっ?」と感じたのは正しかったのだと思わせることができた瞬間、映画の作り手は勝利する。なぜなら、その観客は、それによって、二重の興奮を覚えることになるからだ。そしてこの「コールド・ウォー」の監督たちは、少なくとも私に対しては、明らかな勝利を収めることになった。

素敵な文面だ。
沢木耕太郎といえば「深夜特急」である。あの小説は香港の猥雑な重慶マンションからスタートする。第一部は何度も読み返した。特にマカオの場面は臨場感があって最高に面白い。

一度や二度カジノをやっただけではあんな小説は書けない。究極のギャンブル小説といえる。その昔麻雀新撰組の一員だった田村光昭はマカオでバカラをやって生計を立てていた。「魅惑の魔都マカオでバカラ浸け」という彼の本がある。面白い本だ。ここで巻末に田村と沢木耕太郎が対談している。それを読んでいても沢木がリスボアのバカラにはまったのがよくわかる。沢木も自分と同じで香港好きなんだろう。

5.夜警国家香港
この映画を見ると中国返還後での香港警察の構造がよく分かる。もともと関税のない自由貿易の香港では低い一定税率で小さい政府を目指してきた。自分が敬愛する経済学者ミルトンフリードマンは著書「選択の自由」で香港を理想国家と賞賛している。その香港は返還前に貴重な税収を公安に使ってきた。夜警国家といっていいだろう。しかし、警察の末端にキナ臭い人物がいるのは「インファナルアフェア」を始めとした各種映画で理解できる。その後、中国返還後は中国政府当局から人員が送られているようだ。

政府保安局局長(アンディ・ラウが登場し、香港の治安の良さをアピールする。中国で公開するにはそのあたりも強調する必要があるだろう。IT担当、広報官、緊急部隊隊員まで大勢の警察職員が登場して、複雑な構造の内幕を描いている。


6.パート2への布石

最後に重要人物が現れる。これをみると、次があるのかな?と思ってしまう。いったい誰を中心とするのか?
面白そうだ。

コールド・ウォー 香港警察 二つの正義
激しいカーチェイスとスタイリッシュな香港を堪能する


慕情
50年前の香港を楽しむ
ウィリアム・ホールデン&ジェニファー・ジョーンズ
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映画「新宿インシデント」 ジャッキーチェン

2013-10-07 21:24:27 | 映画(アジア)
映画「新宿インシデント」はジャッキーチェン主演の2009年の作品だ。


日本でロケを行った作品。先入観なしで見たが割と面白い。
ジャッキーチェンがいつものようなアクションを新宿で全開させる映画と思っていたが、少し違う。
不法に日本に移住した中国人が、新宿の闇の中でのし上がっていく姿を描く。そもそも貧しい中国人労働者がのし上がっていく構図なんてありえなさそうだが、このストーリーの流れは不自然には感じない。
日本で製作されたら、こうは脚本の展開はならないだろうというのがいい感じだ。


中国人を多数乗せた密入国船が若狭湾に到着するシーンから始まる。その中には鉄頭(ジャッキー・チェン)がいた。同郷の阿傑(ダニエル・ウー)を頼って新宿歌舞伎町に向かう。そこで同じような中国人たちと寝床をともにした。そして仲間とともに生活のために日雇いの仕事をはじめる。
日本では外国からの不法移住者が急増していた。ある日、彼の仕事場に警察の手入れが入る。逃げ出した鉄頭は刑事の北野(竹中直人)に追われるが、追っている北野が下水道に転落。溺れかけた彼を助けたのは鉄頭だった。北野は鉄頭を見逃す。
やがて鉄頭はナイトクラブの厨房で働くようになる。消息を絶った恋人シュシュ(シュー・ジンレイ)を発見。だが、彼女は既に新宿を仕切るヤクザ、三和会幹部の江口(加藤雅也)の妻となっていた。2人は視線を合わせたが、それ以上のことはなかった。

その後鉄頭は犯罪に手を染めていく。盗品や偽造カードの売買といった裏仕事をこなしながら生計を立てていく。警察沙汰と背中あわせの裏仕事を積み重ねていき、鉄頭らの寄合は次第に歌舞伎町の中で勢力を拡大していく。鉄頭もクラブで働く麗麗(リリー)という美しい女性と恋仲になり、全てが順風満帆に進み始めた。

ある日、阿傑は寄合のみんなから天津甘栗の屋台をプレゼントされる。その阿傑がパチンコ店で打っていた際に、パチンコ台に細工をしたとして台湾マフィアの幹部の逆鱗に触れる。中国系ヤクザから仕返しに拷問を受けるという事件が起きてしまう。
その仕返しに向かった先で偶然、鉄頭は殺されかけた江口を救う。江口の自宅で鉄頭はついにシュシュと再会。江口は向こう見ずな鉄頭を自分の野心のために利用しようとする。跡目相続で揺れる三和会。その後継者候補(峰岸徹)を暗殺して自分がのし上がろうというのだ。そして、対立派閥の2人は鉄頭により暗殺され、江口が三和会会長の座に着く。

こうして、表では東華商事という堅気の商売をしつつも、鉄頭はいつの間にか外国人ヤクザ組織のトップに立っていた。だが、彼とは反対にギャングの襲撃で片手を失った阿傑は人柄が豹変。柔和だった性格は凶暴になり、麻薬取引にも手を出す始末であるが。。。

中国人目線での新宿を描いているところがいい。
意外にこういう視線になる映画はすくない。中国人不法侵入者がいかにして、日本国内で生きていくのかを詳細に描く。日雇い人夫として、ごみ処理や下水道工事など人がやらない仕事で金を稼ぐ。その仕事にしては決して賃金は高くないが、仕方ない。それなので、犯罪そのものと言える盗品や偽造カード販売に手を出す。ひと頃、よく外国人の窃盗団のことが話題になった。そのものだ。この映画でも、店頭のものを次々と拝借して、盗品を買い取るブローカーに持ちこむ。良品であれば市価の20%で買い取る。それ自体を東南アジアから買い取りに来るやつがいるなんてセリフもあった。映画の中に「高島屋で盗んだ」なんて固有名詞まで出てくるのは御愛嬌。


相手の傷つけ方がいかにも香港マフィア映画流だ。顔面に強烈な傷をつけるだけでなく。相手の手首をもぎとってしまう。
このむごさは日本映画ではあまりない。
しかも死ぬときには内臓まであぶり出す。えげつない。

この映画では、不法侵入の中国人と刑事が友情を持つ。こういう映画の構図は日本では少ない。その昔菅原文太の刑事と松方弘樹のヤクザが友情で結ばれている「県警対組織暴力」というムチャクチャ面白い笠原和夫脚本深作欣二監督の名コンビによる傑作があった。監督は香港人だがきっとこの映画を見ているだろう。そういう関係を意識しているテイストをどことなく感じさせる。

(参考作品)
新宿インシデント
新宿で大暴れのジャッキーチェン
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映画「天使の涙」 ウォン・カーウァイ

2013-09-08 09:09:52 | 映画(アジア)
映画「天使の涙」は香港の巨匠ウォン・カーウァイ監督の1995年の作品だ。

監督の作品の系譜では、「欲望の翼」「恋する惑星」のあとで「ブエノスアイレス」「花様年華」の前の作品だ。
ここで監督は若き香港人の若者たちをその猥雑な夜に放つ。虚構に満ちあふれたハチャメチャな生活の中でたくましく生きる彼らをドキュメンタリーのように映し出している。いい感じだ。

95年の香港を映す。
殺し屋(レオン・ライ)とそのパートナーである美貌のエージェント(ミシェル・リー)。仕事に私情を持ち込まないのが彼らの流儀で、二人は滅多に会うことはない。しかし、その関係が揺らぎつつあるのを2人は知っている。
エージェントが根城とする重慶マンションの管理人の息子モウ(金城武)は5歳の時、期限切れのパイン缶を食べすぎて以来、口がきけなくなった。定職に就けない彼は、夜な夜な閉店後の他人の店に潜り込んで勝手に“営業”する。時に強制的にモノやサービスを売りつけるあくどい商売をしている。ある日、彼は失恋したての女の子(チャーリー・ヤン)に出会って初めての恋をする。しかし、彼女は失った恋人のことで頭がいっぱいで、彼のことなんか上の空だった。

一方、殺し屋はちょっとキレてる金髪の女(カレン・モク)と出会い、互いの温もりを求める。彼と別れた金髪の女とエージェントは街ですれ違いざま、互いの関係を嗅ぎ当てる。エージェントは殺し屋に最後の仕事を依頼した。
殺し屋は最後の仕事で最初の失敗をし、数発の銃弾が彼の途切れる意識に響く。

重慶マンションの猥雑さが95年の香港を象徴している。
街並みもあの当時のものだ。沢木耕太郎の「深夜特急」の匂いがする。

もともと「大陸」と比較すると香港は20年以上先に進んでいた。しかも洗練していた。その洗練さの中に独特の猥雑さが混じるのが魅力的だった。香港の街は帝国主義時代の英国に強制されたコロニアル文化が生んだものであった。もしかしたら、返還間際の香港の方が今よりも魅力的だったのではないだろうか?というよりも自分がその当時の香港を好きだったといった方がいいかもしれない。おいしい店も多かった。そのころの街と比較して、建て替えも進みここ10年で現代化している。でもこの映像の中の猥雑さが好きだ。

ウォンカーウァイの独特な映像作りが光る。映像のスピードに緩急がある。「花様年華」同様に登場人物の動きを自由自在に操る。スローモーションの使い方がうまい。ロケ地の選択も巧みで、夜の香港の魅力が映像からあふれ出る。日本ではありえないわけがわからない登場人物が多い。特に金城武の役柄が奇妙だ。香港島と九龍をつなぐトンネルを何度も二人乗りのバイクで走らせる。転倒してしまうんじゃないかとヒヤヒヤする。

レオンライの殺し屋ぶりがカッコイイ。彼とクールな関係を維持するミシェル・リーが美しい。
この映画までで監督は現代香港の若者事情を描ききったのであろうか?「ブエノスアイレス」ではアルゼンチンに飛び、「花様年華」では30年以上昔の香港にタイムスリップする。路線を変える。そういった意味でこの映画はウォン・カーウァイ監督のターニングポイントであったかもしれない。
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映画「インファナルアフェア 無間序曲」

2013-07-03 07:31:07 | 映画(アジア)
映画「インファナルアフェア 無間序曲」は2003年の香港映画だ。

名作「インファナルアフェア」のヒットを受け、一作目のストーリーに至る前のいきさつが語られる。トニーレオンやアンディ・ラウが出ていない。それだけ聞くと普通のような印象を与えるが、この作品香港映画史上に残るとてつもない傑作である。自分の尺度でいえば、一作目の出来を上回っていると思う。香港の暗部を映し出すスタイリッシュな映像、映像に的確にマッチする音楽、迫力ある相手への追い込みが逆転に次ぐ逆転を生む。この映画から噴き出る蒸気は極めて強いものがある。

1991年尖沙咀(チムサアチョイ)に君臨する香港マフィア(黒社会)の大ボス、クワンが暗殺された。
1人の青年の仕業であった。クワンの子分たちがどよめいている。
訃報を聞いて、その夜クワンの身内はすぐさま組織をまとめ上げようとした。次男ハウ(フランシス・ン)がクワンの跡を継くことになる。

混乱に乗じて離反をもくろむ配下のボス5人が鍋を囲む。その中に新参のボスであるサム(エリック・ツァン)がいた。後継者ハウは普通の黒社会とは違う外見をもつ紳士風だ。手下のボスそれぞれの弱みや裏情報を握っているので、冷静沈着にボスたちと話をして、弱みをつつきながら離反を防ぐ。彼は、一夜にして新たな大ボスとしての地位を固めてしまうのだ。ウォン警部(アンソニー・ウォン)と相棒のルク警部(フー・ジュン)は、抗争勃発に備えて厳戒体制を敷いた。

サムはラウ(エディソン・チャン)を警察に潜入させようと考えていた。サムの妻マリー(カリーナ・ラウ)に依頼されたラウは、危険を覚悟で引き受ける。彼は年上の素敵な女性であるマリーに想いを寄せていた。ラウは地下にいったん潜伏した後、警察学校に入校するのだ。

その警察学校に1人の退学処分になる男ヤン(ショーン・ユー)がいた。殺されたクワンの私生児であることが発覚して、成績優秀にもかかわらず辞めさせられたのだ。その時上官にウォン警部を尋ねろといわれた。ウォン警部は退学処分になったヤンの存在を知り、その血筋を利用してヤンをハウの組織に潜入させることを思いついていた。ヤンは正しい道を歩みたいという願望があり、警官になれる唯一のチャンスに従った。

1995年ヤンは潜入捜査のために刑務所に入り込む。そこで大喧嘩をして黒社会の子分と親しくなり、異母兄弟ハウのもとに近づく。ハウは肉親のヤンを側近の1人として重宝するようになる。一方、組織犯罪課の警官となって2年目のラウは、サムからの情報によって手柄を重ねていた。ハウは事業を拡大して一家の安泰をはかるとともに、4年前に父を殺した犯人探しに執念を燃やしていた。クワンが殺された4月11日の命日、大きくストーリーが転換する。

基本的な流れは上記の流れだ。
登場人物のキャラクターが少しづつわかり始めた後で、激しい衝撃がくる。
ここからのドンパチが凄い。ハウが手下の5人のボスを殺そうと刺客を送り込むのだ。

映画の主役は潜入する2人であるが、実質的には送り込む立場の2人がメインになる。2人は警察と黒社会で正反対の世界にいながらも、何気なくつながっている。

アンソニーウォンの面構えがいい。ヤクザと警察は紙一重というが、この男はどちらの役を演じても絵になる。エディソン・チャンは名作「ラブソング」でマギーチャンの結婚相手になる黒社会の男を演じていた。

そしてここで2人と同等に活躍するのが、跡継ぎのハウだ。インテリヤクザを地で行く身のこなしがかっこいい。少し違うが「アウトレイジ」椎名桔平が演じていたヤクザのイメージを持つ。この男頭がいい。自分をつぶそうとする配下のボスたちの弱みを握って、反逆を巧みにかわす。しかも、警察のおとり調査も読んでいる。警察側が一気に窮地にさらされる。そして一気に勢力を伸ばすのだ。

ところが、ずっとうまくいくわけではない。お互いに潜入した両方の手下を通じて、情報が入り乱れる。味方と敵が入り乱れているうちに、サムが潜伏するタイのマフィアの人間まで絡んでいく。さまざま手を使って相手をつぶしに行く。将棋の上級者が次から次へと逆転の手をうっていくような激しい動きに幻惑させられる。
1人の凄い俳優の活躍というよりも、雑多な交わりが絶妙だ。面構えにも注目だ。ハウの下にいる殺し屋やラウが味方に引き入れるタイのマフィアの男なんて実に味のある顔をしている。

ビジネスでいえば個人プレーというより組織戦という言葉が当てはまるような傑作だ。
一度見ただけでは、関係のすべてを理解するのは困難であると思う。自分もそうだった。でも起承転結の承の部分で激しくテンションをあげる。これを最初に見た時の衝撃は忘れられない。これは見たもの誰もが感じるであろう。
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映画「イップマン 葉問」 ドニー・イェン

2013-06-15 05:40:01 | 映画(アジア)
映画「イップマン 葉問」は2010年製作の香港カンフー映画だ。
ここでの主人公イップマンは最近公開した「グランドマスター」の主人公と同一人物である。ブルースリーの師匠として名高い。
もともとこの映画の存在すら知らなかったが、「グランドマスター」を見た後気になってDVDを借りた。見てみると想像以上に面白い。大山倍達をモデルにした「空手バカ一代」を思わせるテイストもあり、ラストに向けては映画「ロッキー」と同じような高揚感がある。

1950年、英国統治下の香港が舞台だ
イップ・マン(ドニー・イェン)は家族を連れて広東省から移住してきた。知人の新聞編集者の紹介でビルの屋上に詠春拳の武館を開いた。しかし、誰も入門しない。
そんな時腕自慢の若者ウォン(ホァン・シャオミン)が来た。自分を倒せたら入門するというウォンを軽く退け、彼と仲間たちが入門してきた。それを知り他流の道場破りが早速やってきた。そして、香港の武館の元締め、洪拳の師範ホン(サモ・ハン・キンポー)がイップの前に立ち塞がる。円卓の上に立って、各門派の熟達者と戦って勝つこと。それがホンがイップに課した武館開設の条件だった。
それでもイップは次々と相手を倒していった。そしてホンと戦う。


2人の戦いは最後まで勝負がつかず、ホンは金を納めることを条件に武館開設を認めた。イップはそれを拒否する。やがてお互いの弟子が乱闘騒ぎを起こし、近所にも迷惑をかけてイップは武館閉鎖に追い込まれてしまう。

それでもイップを認めたホンは、警察署長主催のボクシング大会に彼を招く。だがそのボクシング大会の会場で中国武術の演武が行われていたときに、イギリス人ボクサーであるツイスター(ダーレン・シャラヴィ)が中国武術を侮辱してじゃまをする。弟子たちを次々に殴っていくのだ。それを見かねてホンがリングに上がりツイスターと戦うが。。。。
香港人のイギリス人への怒りは収まらない。イップ・マンは中国武術の誇りを守るため、静かにリングへ向かったが。。。

ドニー・イェンには武術の達人という風格がある。
名作「ラブソング」で名高いピーターチャン監督がカンフー映画に挑戦した「捜査官X」でもその腕前を披露している。ここでのイップマンは金欠だ。家賃も滞納気味だ。金がなくても、弟子たちから稽古代をもらえない。知人の編集者から金の無尽をしている。
対決しているとき以外は割りとだらしない姿を見せる。あえてそういう姿を見せるのであろう。

最近日本が戦前中国を侵略したと話が出ることが多い。
実際には1840年のアヘン戦争をきっかけに英国が中国を侵略したわけだ。
18世紀の康熙帝、雍正帝、乾隆帝と3代続いた清朝黄金時代は列強に恐れられていたのに、意外に楽に侵略できるとばかりにそしてアメリカ、ロシア、フランスといいようにやられる。それはひどいものだ。
それなのに何で日本ばかり言われるんだろうという思いを強く思っていたが、ここでは中国人がうっぷんを晴らすとばかりに英国への敵対意識がむき出しになる。戦前の日本軍が中国で悪者として描かれるのと同じように、香港での英国のあくどい人たちが悪者になる。


いわゆるスポーツ根性物のようなストーリー展開があり、ラストに向ってはイップマンを観衆のみならず、香港人が街中で応援する場面が出てくる。
そこで感じさせる熱気が凄い。なるほどこれだけ盛り上がれば、映画を見ようとする人も多いわけだ。

「空手バカ一代」のようにここで語られる話はかなり大げさだろう。 しかも、話の展開は読める。でもわかっていても盛り上がる何かがあるのだ。
面白かった。
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映画「グランドマスター」 トニー・レオン&チャン・ツィイー

2013-06-02 08:09:13 | 映画(アジア)
映画「グランドマスター」を早速劇場で見た。
これは楽しみにしていた作品だ。自分のブログのプロフィル写真はずっとウォン・カーウァイ監督作品「花様年華」のトニーレオンとマギーチャンが映る写真だ。見に行くしかない。

中国の世界的名監督というと2回もアカデミー監督賞を受賞したアンリー監督と色鮮やかな映像が美しいチャンイーモア監督、そして香港映画界の鬼才ウォン・カーウァイ監督の3人だろう。これまでアンリー監督が「グリーンデスティニー」で、チャンイーモア監督が「LOVERS」でカンフー映画を撮ってきた。今回はいよいよ真打ちとばかりにウォン・カーウァイ監督が自分流にカンフーを題材に取り上げた。そしてブルース・リーの師匠としても知られる伝説の武術家イップ・マンの物語を描く。

ウォン・カーウァイ作品の常連トニーレオンが役作りをして登場、上記の「グリーンデスティニー」「LOVERS」で活躍したチャン・ツィイーがこの役は自分しかいないとばかりにその腕をふるう。その2人を前面に出しながら、これまでのウォン・カーウァイ監督の流れをくむ撮影手法により、カンフーを描く。その映像美はさすがとしか言いようにない。

世界を呑みこむ戦争の足音が、刻一刻と迫る1930年代の中国。
北の八卦掌の宗師グランドマスターである宮宝森は引退を決意し、その地位と生涯をかけた南北統一の使命を譲る後継者を探していた。候補は一番弟子の馬三マーサンと、南の詠春拳の宗師・葉門イップ・マン(トニー・レオン)。バオセンの娘で、奥義六十四手をただ一人受け継ぐ宮若梅(ゴン・ルオメイ)(チャン・ツィイー)も、女としての幸せを願う父の反対を押し切り名乗りを上げる。

だが、野望に目の眩んだ馬三が宝森を殺害。ルオメイは葉問への想いも、父の望みも捨て、仇討ちを誓う。後継者争いと復讐劇が絡み合う、壮絶な闘いの幕が切って落とされた。

八極拳を極め、一線天(チャン・チェン)と呼ばれる謎の男も、不穏な動きを見せている。 動乱の時代を生き抜き、次の世代へと技と心を受け継ぐ真のグランド・マスターとなるのは誰なのか─?
(作品情報から引用)

見せ場というべき大きく印象に残るシーンが3つある。

最初にいきなり大人数の襲撃をイップ・マンが受ける雨の中のシーン

暗闇の中降りつづける雨がスタイリッシュだ。そこでトニーレオンが腕をふるう。厳密にいえば、トニーはカンフーの達人でないから、撮影編集技術で補っているわけだが、これが実にうまい。

2つ目はイップマンとゴン・ルオメイが対決するシーン

1つ目のヤマは考えようによってはよくあるパターンである。しかし、この男女の対決は今までのカンフー映画にはない美しい映像だ。ウォン・カーウァイ監督はスローモーションをかけた映像が得意だ。花様年華でも効果的だった。それをここでも応用する。撮影のスピードに緩急をつける。アクション映画でスピードアップするファストモーションはよくつかわれるが、逆も連発する。しかも、トニーレオンとチャン・ツィイーの顔を急接近させる。恋愛映画でもないのに男女をもつれさす。

3つ目は列車が走り続ける前で親の敵とばかりに、ゴン・ルオメイと馬三マーサンが対決するシーン

横で列車が高速で走る前で、2人が対決する。ちょっと間違うと列車にぶつかってしまう。その緊迫感の中で2人が拳を交わす。この列車通りすぎるまで長いなあなんて思いながら、ドキドキしてしまう。チャン・ツィイーと言えば、「グリーンデスティニー」での男性大人数を相手の立ち回りと、緑が美しい「LOVERS」の竹林での格闘が印象的。今回は1対1で勝負だ。

他にも見せ場はいくつもある。
ただ、この映画ちょっとストーリーの流れがわかりづらい。時代の接続がうまくいっていない気がする。後半になって、文字による解説も増えて多少理解度は進むのであるが、似たような顔をした男たちが流派が違うといっても、自分から見たら全部同じに見える拳をふるうので理解しづらい部分がある。

時代のスタートは1936年である。抗日で蒋介石も共産党と手を結ぼうとしたころだ。途中当時をしのばせる映像として満州国皇帝いわゆるラストエンペラー溥儀が映し出される。東北部は完全に日本に浸食されていた。セリフでもそれが出ているし、登場人物の一人は満州国奉天の大幹部になっているという話もある。この映画でも日本軍は悪者だ。
1938年に主人公イップマンも日本軍に広東省の自宅を奪われる。彼はもともと富豪の息子で、妻は清朝の高官の娘で40まで金の苦労をしたことがなかったという。日本軍への協力を拒否したイップ・マンは貧窮に苦しみ、さらには幼い娘の餓死という最大の悲劇が彼を襲う。日本人として見ていてムカつく場面もないわけでもないが、幸せな暮らしが崩壊されるのをみると考えさせられる。

一つだけ「アレ?」と思ったことがあった。途中状況解説の文字が出るときに年号を「民国40年」という年号で表示していた。辛亥革命を起点として年数をカウントしている。戦前をそのように表現するのは不思議ではないが、中華人民共和国設立後の1950年やその後もそう表示する。当然あえてしていると思うが、どういう意図があったのであろうか?

宗師宮宝森が死んだ葬式の場面その他で冬の東北部の映像が出る。

果てしない寒さを感じさせる。その中に映し出されるチャン・ツィイーは美しい。
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映画「大魔術師Xのダブル・トリック 」 トニーレオン

2013-05-05 06:54:26 | 映画(アジア)
映画「大魔術師Xのダブル・トリック」はトニーレオン主演のコメディタッチの香港映画
トニーレオンが天才マジシャンを演じる。これは面白い!

この映画今年年初に公開されていることは全然知らなかった。
ブログのプロフィルにはずっと「花様年華」のトニーレオンとマギーチャンの写真を貼り付けている。
当然大ファンだ。彼の作品はずっと見ている。それなのに気がつかないとは、配給元も全然宣伝していなかったのであろうか?
恋のライバルとなる軍閥の主をラウ・チンワンが演じる。つい先ごろ大好きなジョニートー監督の新作「奪命金」でも喜劇役者ぶりを発揮していた。表情が豊かな顔も面白いが、振る舞いが滑稽で常に笑いを提供してくれる貴重な存在だ。この映画でも存分にその実力を発揮する。

民国時代1920年頃の北京、天橋。街では軍閥の雷大牛(ラウ・チンワン)が勢力とその覇権を轟かしていた。彼は世間では恐れられていたが、実生活では愛を受け入れてくれない第七夫人の柳蔭(ジョウ・シュン)に翻弄される日々を送っていた。
その頃、街では一人の天才的マジシャン張賢(トニー・レオン)が現れ、見事なマジックで人々を魅了していた。雷もその一人で、ある日張賢を屋敷へ招くがそれは張賢の計算づくの事であった。彼の目的は幽閉された師匠(チョン・プイ)との再会、そして柳蔭を奪い返す事であった。なぜなら彼女は張賢の元恋人だったのだ。

張賢は軍閥転覆を狙う革命団と手を組み、周到な計画を立てるが、その背後では勢力を争う軍閥たち、清朝復活を目論む残党、マジックの奥義“七聖法”を狙う者、そして謎の日本人組織が絡み出し、計画は思いがけぬ方向へと展開していく。果たして彼らの運命は!? 恋の行方は如何に? そして驚きのどんでん返しが!(作品情報より)

トニーレオンのマジックが実に華麗だ。
普通よく見るマジックだけでなく、さまざまなパフォーマンスも見せてくれる。
なかなか楽しい。

ラストコーション」「レッドクリフ」と大作が中心だったけど、ホームグラウンドの香港で笑える映画に出てくれたのはうれしい。本国では旧正月公開の作品だったようだ。個人的には彼の話し方の間の取りかたが好きだ。早すぎず、遅すぎずクールな会話をする。

時代背景からすると、1920年ころは中華民国が成立したにもかかわらず軍閥同士での争いが絶えなかった時代だ。清国滅亡の後、このころは清室優待条件に基づき「ラストエンペラー」溥儀はまだ紫禁城にいた。清朝復活を願う連中もいてもおかしくない。それに加えて、日本人も徐々に大陸を侵食しつつある。そういう争いが絶えない時代で設定したのはうまい。

この映画のテーマも男の競い合いだ。先日「ブラック&ホワイト」の欄でも指摘したが、その女がいいかどうかを別として争いだすときりがない。元々は柳蔭(ジョウ・シュン)は張賢(トニー・レオン)の女だ。欧州に行っていた元彼氏が2年の月日を隔てて人妻の前に戻ってくる。これってフィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」(映画版;華麗なるギャツビー)のギャツビーが第1次世界大戦を隔てて戻って、昔の女デイジーに会うのと似ている。そしてひっそりと作戦を練り、大胆に相手に向かって言って取り戻そうとするのも同じパターンだ。
「グレートギャツビー」と同様に女性はどっちをとろうかと思うと、昔の男もいいけど、今も悪くないことに気づく。女性は決断が苦手である。そういう心理をよくついている。

天才魔術師と軍閥の親分が決定的に争うかというとそうでもない。これが中国的なのかもしれない。この辺りをうまくついて抜群のコメディに仕上がった。
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映画「強奪のトライアングル」 ジョニートー

2013-04-30 05:42:20 | 映画(アジア)
映画「強奪のトライアングル」は2007年の香港映画だ。
香港ノワールを代表するツイ・ハーク,リンゴ・ラム,ジョニートーの監督3人でこの映画をつくった。俳優もサイモン・ヤムやラム・カートンといったジョニートー作品の常連が多いが、余分に解説をしてもらわないと何が何だかさっぱりわからない。途中からユーモアを交えた香港ノワールの動きになり少しはましになったけど、わかりづらいなあ。

エンジニアのサン(サイモン・ヤム)、タクシー運転手のファイ(ルイス・クー)、骨董屋のモク(スン・ホンレイ)の3人がバーで強盗話をしていると、老人が現れ、興味があったら連絡をくれと名刺と1枚の金貨を置いていく。前妻を事故で亡くしたサンは、前妻の友人だったリン(ケリー・リン)と結婚していた。しかし、多額の住宅ローンで悩んでいた。妻は毎晩謎の薬を飲ませるサンに疑惑を持ち、刑事ウェン(ラム・カートン)に相談するうち肉体関係を持つようになっていた。借金に追われるファイは、ヤクザのロンから執拗に強盗の仕事を持ちかけられている。株で失敗したモクは店をたたもうとしていた。

3人は名刺の人物チャンに連絡しようとするが、彼が死んだことを知る。しかも、チャンは大富豪だったのだ。3人が名刺に書かれていたURLを頼りに調べると、チャンはセントラルの政府ビルの下に秘宝を隠していた。地下に忍び込んだ3人は、棺に入った沢山の黄金が絡んだ礼服を見つける。

サンが怪しい行動をしているとリンから聞いたウェンは、サンが黄金の礼服を持っていることを知る。ウェンはモクの店に入ったサンを追い、礼服を奪うが、車の運転をサンに任せたため逆に人質になってしまう。借金の追いたてに焦ったファイは礼服を盗もうとモクの店に行くが、そこにモクも現れる。サンが礼服を持っていると知った2人は彼のいる場所に行く。リンもウェンの車を追ってそこに向かっていた。リン、ファイ、モクがサンの元に着くと、すきをついてウェンが礼服を奪い、車でリンをはねるが。。。

作品情報をたどって書いたが、見ているだけではここまでの情報が得られない。わかりづらい。

3人は運よく突如として大富豪と知り合うきっかけを持つ。出来過ぎと思う話で、何か不自然だなあという感じだ。説明不足の感が強く、しばらくは退屈だ。

しかし、すべての登場人物がそろい踏みとなった海辺の薄汚い海鮮料理屋での展開からは面白くなってくる。3人プラス妻に加えて、妻の恋人の警部、強盗話を持ち込む黒社会の男たち、道路の逃走劇を見て何かおかしいと感じる警官が加わり、唐の高官と思しきミイラーにかぶさった800万hk$程度の価値がある金貨を追いかける。そこにアル中の妙な男や海鮮料理屋のおばちゃんまでからむ。
ごちゃまぜといった印象だ。誰がゲットするのかを楽しむ展開となる。

拝金主義の典型ともいえる香港では、犯罪の動機が金目的ということが多そうだ。日本やアメリカでは資本主義なのにここまで映画でお金がテーマにならない。お金にしか頼れない国民性だろう。
ジョニートー独特のユーモア感ある締めは悪くない。
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映画「奪命金」 ジョニー・トー

2013-02-09 21:12:04 | 映画(アジア)
映画「奪命金」楽しみにしていた作品早速劇場で見てきました。
ジョニー・トー(杜 峰)監督の映画は大好きだ。前作「冷たい雨に撃て約束の銃弾を」も「スリ」も「エグザイル(絆)」もよかった。この映画若干テイストが違うけど、リアル感に魅せられる。中国暴動にビビって香港行っていないけど、また行きたくなる。

金融株式に関わる映画って今まで「ウォール街」などずいぶんあった。
でもここまで一般顧客、金融機関との関係をリアルに描いた映画ってなかったんじゃなかろうか?
完全に日本の金融機関の顧客勧誘の実情とダブる。
金融関係者、特にカウンターで投資信託を売っているBKレディには必見だろう。
もの凄く面白かった。

香港九龍が舞台だ。3つの話が同時並行でスタートする。話をABCとしよう。
A:アパートで殺人事件がおき呼び出される香港警察のチョン警部補(リッチー・レン)が映し出される。彼は妻から新しいマンションの購入しようとしつこくいわれている。仕事を口実に話をそらしていた。

B:銀行の投資信託の販売担当のテレサ(デニス・ホー)は、チーム内で手数料収入が伸びない。成績下位で顧客に電話打ちをするもうまくいかない。ノルマ達成のために、銀行に来た中年女性のチェン(ソン・ハンシェン)が預金で100万HK$持っているのを見てリスクの高いBRICS対象の投資信託商品を売り込む。そしてテレサの元へは客の高利貸しのチャンも来ている。財産を相当持っているが手数料も高いので投資信託は買ってくれない。警官チョンの奥さんもお金を借りにやってくる。



C:気がいいヤクザのパンサー(ラウ・チンワン)は黒社会のまとめ役だ。組長のパーティー中に兄貴分が逮捕される。そのため保釈金を作ろうと、知っている先にたかりに行き金を集め保釈になる。ところが、別のエリアの警察が別の容疑で兄貴をつかまえる。パンサーは同郷の投資会社の社長ドラゴンに相談する。羽振りのいい社長は警察に電話してすぐに兄貴は保釈となる。


そんな中、世界はギリシャ債務危機で相場は大混乱、香港の株式指数であるハンセン指数も大幅下落となり投資家たちは大騒ぎとなった。

B2:投資信託販売のテレサの元にはクレームが殺到、そんな彼女に高利貸しのチャンが1000万HK$を下ろしにくる。チャンは貸主と電話で何度もやり取りをしていた。相手の不動産担保が足りないために半分の500万HK$は置いておいて後でとりに来ると言い帰ってしまう。彼女はデスクに残された500万HK$をとっさにキャビネットに隠してしまう。携帯を忘れたチャンを追っかけたテレサは、駐車場の車の中で血まみれになっているチャンの姿を発見する。残りの500万HK$が自分の手元にあることは誰も知らない。思わずドッキリするテレサだ。。。


C2:パンサーは同郷の社長からお前も投資を勉強しろと言われる。上昇下落の順番の流れはバカラ賭博の出目表に似ているなあと思いながら勉強していたところ、社長が飛び込んでくる。ギリシャ危機で相場急落となりヤバイというのだ。ハンセン指数は10%にのぼる急落だ。焦る社長は高利貸しのチャンに追い証のための融資を申し込む。(金利30%だ)しかし不動産担保が足りない。このままだとまずいとパンサーに高利貸しを襲うように指示するが。。。。

A2:チョン警部補には異母妹がいた。父親は危篤だ。大陸の母親の元へ返そうとする夫を見て、いくらなんでもそれはかわいそうだと義妹と同居すると妻がいいだす。そして夫に内緒でマンションの仮契約をしてしまう。そのための融資(金利7%)をテレサに申し込んでいたが、株式担保のため相場下落で思うような金が借りられない。そんな時テレビニュースでチョン警部補がエレベーターに犯人と閉じ込められていることを知る。


この後も第3の展開が続く。そして大きく分けて3つの話が急接近する。
ぞくぞくしてくる。
このあたりは実にうまいと思う。

一番リアルなのはテレサが投資信託をすすめるあたりである。
表面だけの話でなく、購入者の反論をどう商談でさばいていくのかを丹念に描いていく。ドキュメンタリーみたいだ。ここまでの話はめずらしい。見ていて日本の若い銀行員や証券レディは苦笑いするのではないだろうか。

テレサは高利貸しに投資信託を勧める。投資信託は加入時に2%手数料をとられる。これは日本も同じだ。高利貸しはこんなに手数料を取られたら、ネット証券での自己売買と比較して大損だという。もっともだ。さすがのテレサもそれ以上は言わない。おそらくは日本で投資信託をやっているようなおばさんたちはこの映画見ないだろうから気がつかないであろう。いかに手数料で銀行を儲けさせているかを。。。
最近は銀行の部長と話しても、同一支店にいる期間が短いので短期勝負の投信手数料にかけているのがよくわかる。今は相場がいいからいいけれど、購入したおばさんたちはたぶん売り時に失敗するだろうからまあ銀行だけが儲けで終了の可能性は高い。

香港の街中が出てくるのは映画「スリ」と同じだ。でもあの映画ほどスタイリッシュではない。わりと泥臭い。そこがいい。ヤクザがみかじめ料をとりに行く場面、相場をカジノと同じように出目で勝負するヤクザ、投信営業の厳しさなど万国共通の話題が盛りだくさんだ。殺し合いばかりになりすぎる香港マフィア映画のような残酷さもない。実態がよくわかるだけに非常に好感が持てる。

いずれにせよ重層構造を一つにまとめ上げるという脚本のうまさに脱帽だ!
実によくできている。あと日本の金利の安さを実感するであろう。
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映画「ロボット」

2012-10-28 21:36:27 | 映画(アジア)
映画「ロボット」はインド映画
何かよくわからないけど、面白い。映画は娯楽ということを再認識する。

インドのロボット工学者バシー博士(ラジニカーント)は10年に及ぶ研究の日々を経て、二足歩行型ロボット、チッティ(ラジニカーント・2役)を生み出した。頭脳、身体能力あらゆる点で人間以上の能力を持ち、命令に忠実に従う凄いロボットだ。
チッティはバシー博士の恋人サナ(アイシュワリヤー・ラーイ)のボディガード的役割を果たしていたが、彼女に感謝のキスをされたとたん恋をしてしまう。チッティとバシー博士がサナをめぐって恋の火花を散らす。しかし、サナは「ロボットには恋することができないのよ」という。深く傷つくチッティ。バシー博士の怒りを買ったチッティは、博士の手で廃棄処分にされてしまう。
残骸を回収した悪徳博士の手によって100人殺す能力を与えられた冷酷なロボットとしてよみがえった。チッティは、バシー博士とサナの結婚式に乱入、目の前でサナを拉致するが。。。。


インド映画というと延々つづくダンスシーンがキーポイント。
ひたすら踊って歌ってというイメージで、ハイテクとは無縁の映画が以前は多かった。でもこれはハイテクの極致を行っている。CG技術を駆使した画像処理の巧みさが光る。主人公の博士は工学系の天才の設定で、その才能をロボットも備える。そりゃロボットの方が単純計算には強いよなあ。フィボナッチ数の話とか数学の用語が次から次へと出てくるのは数学の国インドらしく興味深い。
それに加えてこの映画アメリカのアクション映画に劣らぬくらい車をつぶす。ブルースブラザースを思わせるノリだ。これはメチャクチャお金かかっているなあ!

インドには凄い美人がいる。世界ミスコンテストの上位の常連だ。この映画の主演のアイシュワリヤー・ラーイはまさに半端じゃない美形で、彼女自身元ミスワールドだ。

でも38歳というのは少々ビックリ、もう少し若く見える。この彼女ただ美人なだけじゃない。インド映画特有のダンスが実にうまい。腰を振るセクシーダンスには男性連中はみんな悩殺されるだろう。
出ずっぱりで、ややこしいアクションシーンに巻き込まれることも多くスタミナあるなあ


途中まで次から次へと出てくるアクションシーンに目が離せられなかったが、面白いんだけどさすがに途中で飽きてきた。インド映画って延々と長い映画が多い。以前関西空港から香港に遊びに行くときにエアインディアに乗ったことがある。いきなり手を合わせたインド女性スッチーに迎えられ、香辛料の強い機内だった。当然機内食はインド料理で、酒を飲みながらインド映画を見たが、長いのなんのって。。。
昼飯にナーン付きのカレーを食べることがよくある。店の中ではバックでインド映画が流れる。ダンスばかりずっと見ていてインド人飽きないんだろうか?いつもそう思う。
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捜査官X 金城武

2012-10-25 22:08:11 | 映画(アジア)
映画「捜査官X」は推理物の要素をもった中国武侠映画である。

ピーターチャン監督は香港映画の傑作「ラブソング」で素晴らしいラブストーリーをつくってくれたが、ここでは金城武が「金田一耕介」系の捜査官役で新境地を見せる。

時代設定は1917年だ。
山奥の村に突如2人の強盗が現れる。2人は両替商に押し入り、金を要求する。うろたえる両替商夫妻だ。そこに偶然居合わせた紙職人主人公リウジンシー(ドニー・イェン)は、自身の身を守るために必死で応戦する。そして犯人たちを殺してしまう。殺された二人は指名手配中の凶悪犯だった。正当防衛であった上、犯人を殺したという事で、ジンシーは一躍村の注目を浴びる。
そこに捜査官シュウ(金城武)が現れる。普通の身なりをしたジンシーが凶悪犯の2人を殺した事に疑問を持ち調査を始める。もともと妻(タン・ウェイ)と幼い子供2人と普通の家庭を営む普通の男だ。聞き込みと状況調査でジンシーの過去を探り当てていく。

村の英雄となったジンシーを追う捜査官に対して村の面々は白い目で見るが。。。

サスペンス物かと思ったら、途中から武侠映画の色彩が強くなる。中国題はまさしく「武侠」だ。
主人公は最初怖い相手にオドオド対処している。強そうに見えない。でもうまくしのぐ。映像のカンフーアクションが途中から一気にレベルを増す。自分は知らない俳優だが、往年のカンフー俳優2人が凄い動きを見せる。


時代は1917年というと辛亥革命のあとだ。無政府状態と言っていいだろう。その時代の田舎だ。出演者の髪も辮髪のような頭をした人間が多く、アヘンをたしなんでいる姿が映し出される。この映画では中国風の身体の弱点「ツボ」などの概念が出てくる。西洋風医学の概念なんて当然のごとくないだろう。相手の頭脳を破壊する「ツボ」を叩き一気に殺す。足の裏の「ツボ」や胸の「ツボ」の話が出てきて面白い。

捜査官が村で家族をもったリウジンシーを残してあげようと、いったんリウを仮死状態にして死んだふりをさせるシーンも面白い。これって「ロミオとジュリエット」のジュリエットの仮死状態の話と似たようなものだ。仮死状態でいられるのは限界で15分、それを超えると本当の死に至るという設定だ。ところが、リウを迎えに来た仲間が彼が死んだのを見て、独特の弔いを始める。あわてる捜査官だ。15分たってしまう。その場面も見モノだ。


ピーターチャン監督というと96年の「ラブソング」だ。この映画は中国風「君の名は」の色彩を強くする。2人が双曲線を描くように近づくようで、なかなかくっつかない。現代中国映画と比較すると映像的にはシンプルだが、レオンライ、マギーチャンの人気俳優の2人の演技とカメラ捌きのうまさが光る作品だ。
今回は全く違う。チャンイーモア、アンリーと中国映画の巨匠はカンフー映画でその地位をしっかり固めた。ピーターチャンも同様の展開を見せる。対決する2人の格闘を追うだけでない。2次元を超えて、3次元の空間をしっかりとらえる。ここでも空間の全容をとらえるのが見事だ。


あとはタン・ウェイ嬢だ。「ラブコーション」でのトニーレオンとの激しいラブシーンと違い、ここでは少女のような表情を見せる。この顔見たことあるなと思いながら、どこかの子役だと思っていた。彼女と知り信じられなかった。
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