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映画「タイガーテール ある家族の記憶」

2020-07-05 22:18:53 | 映画(アジア)
映画「タイガーテール」は2020年配信のNetflix映画


「タイガーテール」はNetflix内で何気なく見つけた心温まる映画である。台湾からアメリカに移住した老人が熟年離婚することになり、若き日の想い出を回想していくという流れである。1950年代、60年代後半、そして現在の3つの時代にわたって恋のはかなさを綴っていく。

とかく、陰謀とか麻薬とか、かなりきわどい話がからむ映画が多いNetflix映画の中ではセリフのテンポも穏やかで見やすい。どちらかというと、男性の方が気持ちが同化していくのではなかろうか?映画を観つつ、自分の過去を振り返ってみたくなる気持ちになる。

若き日に台湾からアメリカに移住してきたピンルイ(ツィ・マー)が熟年離婚して再び独り者になったときに小さい頃台湾で育ったころの想い出に浸る。
台湾中西部の緑あふれる農業地帯で少年時代のピンルイは祖母と暮らす。父親は一歳の時に亡くなっていて、母親が生計を立てている。しかし、失業してしまい働き口をみつけるために祖母にピンルイを預けていた。やがて、縁のないこの地でユエンという少女がピンルイと一緒に遊んでくれるようになった。しかし、母親の元にもどるときにお互い離ればなれになり、連絡を取れなくなってしまった。

十数年がたち、青年になったピンルイ(リー・ホンチー)は母親とともに工場で働いていた。あるとき、偶然にも美しくなったユエン(ヨー・シンファン)と再会する。懐かしさでお互い気持ちが通じ合い、裕福な家に育ったユエンと急接近するのに時間はかからなかった。


そんなある日、工場長がピンルイに「アメリカに行きたいようだけど、一度私の娘(ジェンジェン)と会ってみないか」といい、お見合いをすることになった。ユエンとは恋人同士の関係であったが、結局ジェンジェンと結婚することになり、義父の援助を受けて夢のアメリカニューヨークに向かう。アメリカでは食料品店での下働きからスタートして、子宝にも恵まれたが夫婦の間は冷えた関係のままだった。

やがて長い時間が流れ、台湾での母親の葬儀を終えた後に、独り者になったピンルイは疎遠になっていた娘のアンジェラとあう。娘も家庭内の問題をかかえているようであるが。。。

1.悪いことをしたなと思う恋
幼なじみのユエンが美しくなってピンルイの前に現れる。(ユエンの若い頃を演じるヨー・シンファンはかなりのチャイナビューティ)それだけでも刺激的なのに、気がつくと付き合うようになっている。デートするのもたのしい。それなのに、工場長が絶好の話をもってくる。自分の娘と結婚してくれるならば、米国行きの費用は負担してあげるよと。打算がどうしても優先してしまう。

映画「青春の蹉跌」で主人公の萩原健一は、ご令嬢の檀ふみとの結婚のために恋人の桃井かおりを殺してしまう。こんなひどいことはしないけど、黙って結婚してアメリカに行こうとする。でも、こういうときにはよくあることだけど、2人で向かう車の車窓にユエンの姿が見えるのである。


20代から30代にかけての恋の想い出には、本当はこの人と結婚したかったのに、結局悪いことをしてしまったよな。そういう愛惜の気持ちを持つ人は意外にいるんじゃなかろうか?中年以上のオヤジたちも自分の過去に照らし合わせて、好きだった女の子の顔が目に浮かんでくるはずだ。われわれオヤジたちにはなんともいえない気分になる場面が続く

2.流れるオールディーズと時代背景
若き日のユエンとピンルイは地元のバーでデートする。そこでは、音楽に合わせてダンスをするためのダンスフロアもある。流れる曲はなんと加山雄三の「君といつまでも」の中国語版だ。へー!こんな感じで輸出されていたのか!ユエンの好きな2人の想い出の曲はオーティス・レディングの「ドック・オブ・ベイ」である。加山雄三の歌が1965年末発売の66年の大ヒット、オーティス・レディングの「ドック・オブ・ベイ」は1968年の全米ヒットチャートナンバー1である。

とすると、この曲をバーで聞いていたのは1970年前後と推測される。このときの年齢が22歳前後とするなら、1948年生まれと逆算できる。いまはもう72歳である。再会するユエンの現在はそうは老けて見えない。

1970年からしばらくした後に米国に渡ったとして1973年~75年くらいに子供が生まれていることになる。そうすると、娘のアンジェラは45歳から47歳、この映画ではちょっとそうは見えない。でもそうするなら、年齢的にはちょっとつじつまが合わないと思う。まあ、そのくらいのミスは仕方ないでしょう。


冷静に考えると、そういう矛盾する部分はあれど、ユエンとの再会場面はなかなかいい感じだ。

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