風の谷通信

専業農家からの引退を画策する高齢者。ままならぬ世相を嘆きながらも、政治評論や文化・芸術・民俗などに関心を持っている。

「反時代的蜜語」より

2006-03-21 16:07:59 | 文化・文芸
風の谷通信 さん農園便りNo.27

朝日新聞の連載記事で梅原猛さんという哲学者の標記記事を楽しみに
してきましたが今日で最終回となりました。その最後の文章で大変なことを提示されたと思いました。抜粋は時として誤解を招くのですが、そして少々長くなるのですが、おそれず引用します。

その1:思想家とは神仏と言われる何か偉大なものがひそかに語る言葉を人々に伝
    える人間
 *ということから、思想家は真理だけを頼りにして孤独に闘えということであろう、と考え、時代が特定の方向に無定見に流れてゆくような時に、時代の権威に反して批判精神を失うな、と主張しています。

その2:今までの哲学は、考察を農業時代の思想の考察から始める。しかし農業が
    始まったのは・・・約20万年に及ぶ今の人類の歴史からみれば・・
    はなはだ短い。工業文明は明らかに農業文明を受け継ぐものであり、人類
    にははなはだ豊かで便利な生活をもたらしたが、あるいは農業文明以後の
    歴史の道は人類の滅亡への道かもしれない。人類を末永く生き永らえさせ
    るためには、人類の運命を狩猟採集時代にまでさかのぼって考える哲学が
    必要であると私は思う。・・・
 *私は「大和魂」なんてのは怒涛の時代が生んだ幻であり、葉隠れなんてまことの大和魂から程遠いと考えてきたのです。第二次大戦当時の大和魂なんて誇大妄想の塊だとも思ってきたのです。
 まことのそれはおそらく万葉の時代まで遡るべきものと考えてきました。ところがこの町に住む声楽家で思想家である先生が「イヤ、それは縄文時代までさかのぼるべきもの」と言われます。ここで梅原さんの言われる時代は、縄文時代よりも更に古い時代かもしれません。
 梅原さんは、イラク戦争開戦時だったかニューヨークのテロの時だったかに「砂漠の宗教から森の宗教へ還れ」と説かれた人です。人類は元来森の動物であり、その宗教(あるいは哲学)に回帰すべきである。それが憎しみの連鎖から離脱する方法である、と説かれたように記憶しています。
 私が「農」を生活・思考の基盤に置いていますで、この文章で人間の本質に還るには農でも不足だよ、森の中で食べ物を求めて走り回っていた頃の人間性を回復せよ、と言われているみたいな気持ちがしました。

 この最終回の結語的文章は私にとってひとつの衝撃でありますが、さてどうしたものか、まだ判りません。「蕩々たる右傾化の中で」「長らく世界を支配してきた西洋的哲学が限界を露呈し始めた今」自分が何を基盤に生きて行ったらよいのか判らず、今はただ宇宙の無限力を信じるしかないのかな、と考えます。これはマクロビオティック的・あるいはヨガ的生活に繋がるものであり、人間の遺伝子情報に従って生きるということになろうかと思います。



国産肉牛にも海綿脳症が

2006-03-18 16:46:18 | 健康/生命
風の谷通信 さん農園便りNo.26

今朝の神戸新聞によると長崎県の肉牛用母牛に海綿脳症が見つかったそうです。

(この風の谷地方は朝刊単独地域で報道は13版ですから、都市部ではきょうの夕刊に載るかもしれません。朝日新聞13版にも掲載なし、ブログでもまだ掲載されていない模様。日本農業新聞のニュースの検索方法がわからないのが残念。)

神戸新聞の報道によると、この母牛は肉牛としては初めての症例で、過去23頭はすべて乳用牛であったとのこと。長崎県産の子牛は日本各地のブランド牛の元牛となるので、この母牛から生まれた子牛が各地へ広がった可能性はあります。但し、プリオンが母子感染しないとの説なので食生活上は「問題なし」とされます。

牛や豚に肉・骨を食わせている限り、この恐怖は去りそうにありません。

昨日書いたような鍼灸師先生の言われる「感染源は脳脊髄液ではなく実は血液だ」なんてことにならないように祈るのみ・・・。  合掌



アメリカ産牛肉

2006-03-17 13:28:22 | 健康/生命
風の谷通信 さん農園便りNo.25

 つい先ほどの昼のニュースで: アメリカの農務長官が発言=日本と香港での骨つき牛肉の件を受けての発言でしょう==即ち:

 2万件の中で1件の問題が見つかったといって、アメリカの検査体制全体が崩壊しているとは思えない  ということです。

ゆっくりと明瞭なアメリカ英語で話していましたが聞き間違いもあると思いますのであすの新聞で確認してください。

でも、1件のミスの背景に何倍もの重大なミスがあり、更にその背後に更に何倍もの軽いミスがある、というアメリカ産業界で認められている品質管理の原則をこのアメリカ政府人が無視しているのです。

私は牛肉を食べませんが、それでも食品会社の加工食品を通じて知らずのうちに食べていることがあるかもしれません。それに、お世話になっている鍼灸師の先生によると本当にこわいのは脳精髄液ではなく血液である、といいます。そうであればどの部分を食べてもこわい病気を避けることができません。

草食動物に肉や骨粉を食べさせたり、ホルモン剤を投与して、飼料効率を高めようとすることが間違いのもとですから、それを禁止しない限り牛脳海綿症を防ぐことは困難でしょう。

とにかく、日本人が牛肉食をやめればアメリカは文句のつけようがないのです。
アメリカの品質管理のずさんさと東洋人に対する無頓着さは根深いですから、日本人の懸念など眼中にないと思いますよ。これはアメリカ企業に勤めて、アメリカの畜産事情を視察してきた(その昔のある時点での)経験に基づく意見です。



古代赤米のノギ

2006-03-16 16:53:43 | 農業日記
風の谷通信 さん農園便りNo.24

きょうは休農日なのに、午後から明日にかけて雨との予報なので、早朝から潅水にでかけました。雨なのに潅水?なんてことになりますが、この季節の青菜はすべてトンネル栽培なので雨には無関係に潅水します。

雨は10時頃から降りはじめてだんだん強くなり、15時には大雨となりました。さらに風が加わって「風の谷」らしい景色になりました。15時時点で外は薄暗く、近くの県道のトラックも音をひそめ、風の音だけになってしまいました。


この時間を利用して、今一度古代赤米のノギをお見せします。「ノギ」はイネ科植物の穂にできる毛で、タネを鳥害から守る役割があったようです。穂が立っている間じゅうスズメがこの稲穂を食べることができません。刈り取って稲木に掛けるととたんにスズメが襲います。


「ノギ」は「クサ冠に亡」と書きますが「禾」もあるそうで、これは「ノギ偏」の
ノギのことでしょう。「クサ冠に亡」の文字はこのソフトに含まれてはいません。

以前に載せた写真と違ってこの一本の穂から出たノギの野生的な力強い姿が特徴です。
 
さあ、うまい具合に写真が掲載されているでしょうか? だめだったらまた試します。うまく入っていれば感謝感謝で合掌。 ・・・・・・





春一番と季刊誌「バンカル」

2006-03-14 17:48:03 | 健康/生命
風の谷通信 さん農園便りNo.23

おとといは雨が降って昨日は小雪が舞って、きょうはこの風の谷に強風が戻ってきました。久しぶりの強風です。関東よりも遅いけれど、これがこの地方での春一番でしょうか? 
寒風・烈風の中で畑仕事をしていましたが、先ほど作業を終えて帰り、書斎のファンヒーターの前で机に向かい、ビールを飲みながら、かつ夕陽がだんだんに低くなってゆくのを眺めながらキーをたたいています。

この風に乗って、姫路市の財団が発行する季刊誌「バンカル」の春号が届きました。今号の特集は「花と緑--春の播州路ハイキング」です。プロフィール写真に載せた山の右側の谷からの散策記事が載っています。その他いろいろなハイキング記事が満載です。   播磨地方のみなさん、どうぞ読んで下さい。   合掌

ちなみに「バンカル」とは「播州のカルチャー」の略称かなと思います。