上の図は数字が瞬間的に表示されてから消えたあと、数字の小さな順に位置を手でタッチして答えさせるテストです。
下の図は、いくつかの点が瞬間的に表示されてから消え、そのあともう一組の点が表示されて消え、次の画面で前の二つの点の数の合計を答えさせるテストです。
上の図の場合はチンパンジーを使ったテストで、この場合は子供のチンパンジーの成績は、日本の大学生の成績を上回っています。
これに対し、下の図はマカクサルを使ったテストで、この場合は対象とされたアメリカの学生の成績はサルの成績を上回っています。
これはなにもアメリカの学生のほうが、日本の学生よりも優れているということを示しているわけではありません。
上の図のテストではチンパンジーが数字を理解しているといっても、順序として覚えているだけす。
子、丑、寅、卯、竜、、とか、月、火、水、木、、という文字のように順序を示す文字として覚えているので、数をあらわす数字として覚えているわけではありません。
チンパンジーは数字を順番として理解していて、瞬間的に表示された数字の位置と種類を記憶して、数字の順番に従って位置を答えたのです。
したがってここでは、数字の理解力が示されたというよりも、短期記憶の能力が示されたということになります。
これに対して下の図の場合は数字が示されるのではなく、数が点の数として表示されています。
したがってここでは記号を記憶する能力ではなく、数を判断して記憶して計算するする能力が示されるということになります。
上の図の場合は文字の間の順序を理解していれば、成績を左右するのは視覚的な短期記憶力です。
下の図の場合は視覚的な記憶力だけでなく、足し算をするという計算能力が成績を左右します。
サルの種類の違いはありますが、サルは視覚能力の点では人間を上回る能力を持ちうるが、計算能力では劣るということが示されています。
計算といっても2+2=4といったごく簡単な計算でさえ100%の正答率にならないので、人間が普段やっている計算とは違います。
正解率は選択肢が4と8の場合より4と3のように離れているほうが成績がよくなるというのですから、答えは「いくつ」というハッキリしたものでなく、「およそこのくらい」という感覚的な、アナログ的なものだということが分ります。
計算能力といっても記号を使っての計算ではなく、感覚的な把握能力なので人間が考える計算能力ではないのです。
この場合、人間のほうが成績がよいのは、表示点の数が少ない場合、自動的に数字に変換できてしまう率が高いためです。
もし感覚的な把握能力を向上させようとするなら、「いくつ」と数字に変換しないで判断するようにすべきでなのです。
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