図はイアン.ディアリ「知能」から、脳の処理速度のテストの例です。
数字に対応する記号を埋めていくもので、制限時間内で出来るところまで埋めていくというものです。
内容は単純なもので、上の表を参照して一つづつ記号を書き入れていけばよいのですが、素早く目的の記号を探して記入できるかどうかで成績が決まります。
やり方としては、いちいち上の表を見て該当する番号に視線を向けて対応する記号を確認しても良いのですが、それではあまりスピードが上がりません。
若者は機械的に同じやり方を続けることが出来、続けることで慣れによってスピードを上げることが出来るのですが、歳をとれば機械的に同じ作業をすることが不得意な上に、繰り返しによる慣れが生ずるころに疲労してしまいます。
少し気の利いた人は、書き進むうちに前に出てきた番号のものは、上の表を見なくても自分の回答した欄が見えればそれを写して先に進みます。
答えを書いているときに次の番号が見えますから、同じ番号が前に回答した中に見えればそれを移すといった具合にすれば解答時間は短くなります。
この場合は視野が広く、辺縁視が利くということが必要になります。
視野が狭いと、答えを書いているところしか注意が向けられないので、周りが目に入らないでいちいち上の表を見に行くので時間がよけいにかかってしまいます。
もう一つの方法は解答欄で同じ番号のところをいっぺんに記入してしまう方法です。
この例でいけば先頭の3という番号は1行目は一つ、2行目に一つ、3行目に二つありますから4つをいちどに記入して、次に二番目の2について1行目に二つ、2行目、3行目に各一つと4つを記入してしまうというふうに進めます。
この場合も、同じ番号がどこにあるかを素早く見て取らなければ有効にならないので、視野の広さが必要となります。
これらの方法は、直接処理スピードを上げることにはならないので、単にテストの成績を上げるための便法にしか過ぎないと思われるかもしれませんが、そうではありません。
そのつど目を動かすという直列的な処理を、視野を広げて処理をまとめたり、短縮化を図るものです。
ただしあまりウマイ手を見つけようとあれこれ迷うと、解答できないうちに時間切れとなってしまいます。
視野が広ければ解答欄を見てすぐに思いつくはずで、思いつかない場合は躊躇せず単純な方法で解答していかねばなりません。
その場合でも上の表の対応する記号を見ようとするとき、視野が狭いと対応番号を探すために視線を動かさなければならず、余分な時間がかかってしまいます。
いずれにせよ視野を広げることが処理速度を高めることにつながるのです。
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