60歳からの視覚能力

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主観的輪郭と影のイメージ

2006-06-25 23:01:38 | 視角と判断

 図の一番上は影つき文字で、左側は白地に文字色が白、影が黒で、右は白黒反転したものです。
 右と左とでは左側のほうがどんな文字なのか分かりやすいと思います。
 文字色が白で影が黒の場合は文字が前面に浮き出てくる感じなので背景が白であっても文字の輪郭が感じ取れます。
 ところが白黒反転させた場合は、黒の文字色は背景の黒よりも黒く感じはするのですが、左の場合と比べると文字が背景から浮き出ていないので読みにくくなります。
 それでも真ん中の例に比べれば読みやすいのは背景色より文字色が濃く感じられるためです。
 真ん中の左の例は赤地に赤の文字色、青の影なのですが、文字色と背景色が同じに見えるので文字の輪郭を感じにくくなっています。
 これは右のように赤青反転しても同じでさらに文字の輪郭が感じにくくなっています。

 影つき文字のように立体感を感じさせるものの場合は文字色と影の明度差が重要な役割を占めていることがわかります。
 影の部分のほうが暗ければ立体感が感じられ、文字の部分が浮き出てくるように感じられるため輪郭が感じられるようになるようです。
 白黒反転した場合でも立体感が感じられるのは右下から光が射しているようにも見えるためで、この場合は文字の黒さが白い部分と隣接しているのでより黒く感じられ、文字色が背景より黒く感じられています。
 赤字に影が青では立体感が感じにくく、赤文字を背景の赤から切り離して感じにくいのですが、これは二つの色に明度差がないためで、文字の輪郭を脳が感じにくいためです。
 赤と青で明度差がないのですが、人間の感覚では寒色である青が影のイメージに結びつきやすいのでやや文字の輪郭を感じやすくしています。
 ところが右のような場合は、赤が影としてイメージしにくいため文字を立体的に感じにくくさせ、輪郭を感じにくくさせています。
 
 一番下の例は THE という文字ですが、影ではなく背景と文字色の違いから文字の輪郭を感じ取る問題ですが、この場合は左と右とでは文字の読み取りやすさに差はなく、むしろ背景に青い地に赤い文字のほうが輪郭をつかみやすくなっています。
 この場合は文字に影がなく背景と文字色の違いがあるだけですので、立体感が感じられず、そのため文字が浮き出てこないのです。
 このように主観的な輪郭を感じる手がかりのない場合は立体的なイメージが生じにくく、文字の輪郭を感じにくくなります。


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