サルにもストループ効果があるそうです。
ストループ効果というのは、たとえば赤いインクで「あお」と書いてあり、文字の色を答えようとするとき「あか」と答えずに「あお」と答えてしまったりする現象です。
人間は言葉を話すとき、文字を見ると注意がそちらにひきつけられ影響を受けてしまいます。
サルは言葉を話すことが出来ないので、このようなことはないのですが、同じような干渉効果を言葉を使わないで作れば、サルでもストループ効果が見られるというのです。
図は廣中直行「実験心理学の新しいかたち」に出ている実験です。
サルにレバーをもたせ、スクリーン上にランダムドットを映して、ドットの状態によってレバーを離したり(go)、そのままもち続けさせます(no go)。
テストの前にあらかじめドットの色が緑の場合はgo、赤の場合はno goを選ぶように訓練し、またドットが上に動いた場合にgo、下に動いた場合はno goを選ぶように訓練しておきます。
テストはドットの色と動きを同時に示しますが、最初に手がかり画面で、中央の円が黄色なら色で判断し、紫なら動きで判断するように指示します。
つまりドットの色と動きという二種類の刺激を同時に与え、片方の刺激を無視させるわけです。
グラフは実験結果の一部ですが、色と動きが両方ともgoのときはどちらかがno goのときより答えの反応時間が短く、間違いも少ないという結果となっています。
二種類の刺激が矛盾するときには判断に迷い、間違いも多くなるので、サルにもストループ的効果があるということが分かります。
しかし正答率は二種類の刺激が矛盾する場合でも85%以上になっているので、サルの場合も状況に応じて大体正しい対応をする能力があることが分かります。
人間に比べれば小さいながらも脳の前頭前野が発達して機能していると考えられるのです。
人間と違ってサルの場合はテストのやり方を説明すればよいというわけにはいかないので、あらかじめ訓練をしておかなければなりません。
訓練は相当時間がかかるので、サルの年齢、性、知能水準などによる違いなどを見るほどたくさんのサルを使うわけにいかないので、どんなサルを使ったのかは分かりません。
サルなら大体どれも同じだろうということで納得するよりないのですが、ともかくサルにもストループ効果(a)があり、逆ストループ効果(b)もあるということが分かりました。
ところで、人間の場合のストループ効果の場合、逆ストループ効果はほとんどないのは、文字を読むという行為が自動化されているためです。
もし逆に色を答えるほうが自動化されていれば、文字が赤いインクで書かれているのを見ると、どんな文字も「あか」と読んでしまうのですからたまりません。
どんな色で書かれていても「あか」は「あか」と読むように自動化されていなければ不便なのです。
ストループテストが前頭前野に関係しているからといって、訓練を繰り返す人もいるようですが良い結果に結びつくかどうか疑問です。
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