![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/ff/b33d8a11ffb5bd934027294fc29e9855.jpg)
図Aは正方形なのですが、ややたてのほうが長く見えます。
図Bは正方形に見えますが、実はこれは横のほうが少し長くなっています。
図Cは明らかに縦長に見えるのですが、実はこれはBを90度回転させたもので、Bと同じ形の長方形なのです。
図Aが正方形なのに縦長に見えるのを、正方形の錯視というのですが、正方形でなくても縦長というか、幅が狭まって見えるのです。
普通にものを見るとき、私たちは気がつかないまま、やや縦長に見ているのです。
これは目が横に並んで二つあり視野が横に広いため、無意識のうちに縦の方向に注意を向けるためかもしれません。
そこでDのような図を見たとき、二本の線の作る角はどちらも45度なのですが、上の場合は45度より小さく見え、下の場合は45度より大きく見えます。
モリーン.コックス「子どもの絵と心の発達」によれば、8歳以下の子どもに模写をさせると実際以上に角度を小さく描いたり、大きく描いたりするそうで、中には10度以上の誤差の例もあるということです。
コックスは子どもは短い線を垂直に近づけて描いてしまうといっているのですが、それは垂直に近づいているように見えるからです。
つまり見た図が実際より縦に伸ばされたように見える(あるいは横が縮められた)ためです。
子どもは見えたとおりに描こうとして、それが誇張されて描かれたのです。
正確に見えているのに、手がうまく動かないので垂直に近づいた、というのではないでしょう。
Eは正方形なのですが45度回転させたため、少し縦長のひし形に見えます。
子どもはこの図形の模写も苦手で、実際より縦長に描いたりします。
これは斜めの線が描きにくいということもあるのですが、図形が縦長に見えるせいでもあります。
それではいつでも図形が縦長に見えるかというとそうでもありません。
図Fは図Cと同じ図形なのですがCに比べれば横が広がって見えます。
これは長方形の両側に小さな円があって、これに注意がひきつけられ、注意の幅が横に広がるためです。
もし外側の小さな円に注意を向けず、長方形のうち内側に注意を向けて見れば、図形はやはり縦長の長方形に見えます。
注意の向け方によって見え方が変わるのですから、ものの見え方というものは安定してはいないのです。
大人でも模写が難しいのは、見え方が条件によって変わるのにそれに気づかず、同じ見え方をしていると考えているからです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます