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視覚体制と焦点調節

2006-07-08 23:04:06 | 視角と判断

 六つの正方形はいずれも赤と青の正方形で区切られているように見えます。
 実際は線が半分づつ青と赤に塗り分けられているだけなのですが、青線に挟まれた部分は青く、赤線に挟まれた部分が赤く見えるので四つに区切られているように見えます。
 線の色に同化するため実際には存在しない仕切り線が見えるのです。
 左の四つの正方形の中央部分は四つの青い四辺形が集まっていますが、これがひとつの大きな青い正方形に見え、隣に赤い正方形、さらにその隣に青い正方形が見えます。
 これらの正方形の輪郭は実際には存在しないのですから、いわゆる主観的輪郭というものです。
 主観的といっても誰にでも見える輪郭なので、仮想的輪郭とでもいったほうがよい野田もしれません。
 
 ところで、八つの正方形のうち、一番右の二つのものを除いては黒線で枠取りがしてあり、ちょうど格子状に仕切られた窓のように見えます。
 この白い格子に注目してしばらく見続けると、格子が前面に浮き出て赤と青の線が窓の向こうに見えるようになります。
 このときは前面に見えていた大きな青い四辺形と赤い四辺形は講師の背後にあるように見えるので、主観的輪郭の一部が隠されて、消えた状態に見えます。
 格子の後ろにあるように見えると、四辺形の大きさは最初に見えたときに比べ少し少し小さく見えます。
 格子の向こう側に見えるというのは、ちょうど船の舷窓から船室を見たときの様に枠の中が遠方に見える状態で、舷窓効果と呼ばれています。

 枠の中が少し小さく見えるのは遠方にあると感じるので、眼が焦点調節をしているためです。
 白い格子状の部分をひとつのグループとして見る、ということは視覚体制がかわるということなのですが、このときは最初のときと焦点が変わっているので四辺形の大きさが小さく見えるようになるのです。
 図形の幾つかの部分をグループ化して見るということは、焦点を変えることで、視覚体制を変えるということになります。

 図の例では最初の六つの四辺形については黒い枠で囲んであるので、白い格子部分をひとつのグループとしてとらえる手がかりがあります。
 ところが、一番右の二つの場合はそのような手がかりがないので、二つの四辺形の間にある白い部分は青と赤に二分されてひとつの白い帯には見えません。
 グループ化する手がかりがないと視覚体制の切り替えが難しいということなのです。


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