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ルビの不思議

2006-04-21 23:59:45 | Weblog

 どの言語でも言葉の意味は一通りではありません。
 「そら」という言葉でも日本語のばあいでも主な意味で五通り以上あります。
 日本語の場合は、空、宙と書いたり、諳んずる(暗誦)、うわの空(放心)、虚言(そらごと)などと書き方を変えて意味を明示しようとするので、漢字がないと意味が分かりにくいような気がしたりします。
 中国では「空」は空と表記するだけで、意味が違う場合に別の表記をすることはありません。
 英語の場合でも「air]は「そら」という意味のほかにいくつもの意味があるのですが、意味が違う場合には別の表記をするというようなことはなく、「air」は「air」と表記します。
 
 日本語は漢字で意味を書き分けるから、漢字がないと意味が通じにくいとか、しゃべっているときに漢字を思い浮かべているというような説がありますが、本当にそうなのでしょうか。
 そうであれば、漢字を知らない人は言葉が満足にしゃべれないということになってしまいます。
 漢字を知っていたほうが意味が分かりやすくハッキリするということであれば、日本語のほうが英語などよりよほど意味が分かりやすい言語だということになります。
 
 日本語に漢字を当てるというのは、実は二重表記をしていることで、諳んずると書けば本来なら、「諳」は「しょう」というような音読みしかないはずなのに、「そらんずる」と読ませています。
 「諳」は意味として当てた漢字なのに日本語のほうが隠れてしまっています。
 そのため読み仮名という形式でルビを振るようになったのですが、おかしな風習だとは言え、外国語がたくさん入り込んでくるときには結構役立つものです。
 明治時代には外国の物や概念をさかんに漢字に翻訳しましたが、もとの外国語を振り仮名の形で表記するようなことも行われています。
 現在のようにカタカナ語が急増している状況では、カタカナをカタカナでそのまま表記するだけでは意味が分かりにくくなってきています。
 アメリカなどでも社会や技術の変化によってたくさんの新語が出来、頭文字による略語が急増して困っているようです。

 カタカナ語に漢字による翻訳をあて、二重表記をするのは苦し紛れかもしれませんが、大量に外国語が入ってくる状況ではよい方法です。
 振り仮名などをすると、細かい字になるので高齢者には特に読みにくいと思われますが、カナばかり並べるわけではないので、それほどでもありません。
 図に示している例では、ルビを振った場合と、ルビと同じ大きさでかな書きしたものを並べていますが、ルビの場合は小さくてもはるかに読みやすくなっています。


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