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会意文字が多い

2008-09-16 23:18:21 | Weblog

 「翠」と「みどり」と読み、青緑色を意味しますが、「羽+卒」がなぜ「みどり」という色になるのか、字面からは読み取れません。
 字典を引けば「翠」は「かわせみ」の雌で、雄の「かわせみ」を指す「翡」と合わせて「翡翠」が「かわせみ」を指します。
 かわせみの色が鮮やかな青緑色であることから、青緑色を意味し、そこからこの色の宝石である「翡翠輝石」をも意味します。
 日本語では「翡翠」を「かわせみ」と読めば鳥の名で、「ひすい」と読めば石の名ですが、色名のときは「翠」だけを表示して「みどり」と読みます。
 中国では「翠」(スイ)が「翡翠」を代表し、鳥の名、色名、石名を兼ねているのですが、日本ではバラバラになっています。
 日本では「かわせみ」が青緑色を連想させ、それが翡翠輝石を連想させるというふうになっていないので、読み方がバラバラになるのです。
 漢字の解釈といっても、中国と日本では発想が違うので、中国式の連想のつながりで説明されても日本人が納得できるとは限らないのです。

 「翡翠」については「翡」がオス、「翠」がメスだというのですが、なぜメスの「翠」が「翡翠」を代表するのかわかりません。
 一般的には雄と雌があってどちらかでその種を代表するとすれば、目立つほうで「かわせみ」の場合は、どちらかといえばオスのほうが色鮮やかだそうですから、本来ならオスの「翡」で代表してもよさそうなものです。
 「鯨」などは雄の鯨だそうですから、オスが種を代表しています。
 「かわせみ」は小さくてかわいらしいからメスで代表させると、理由付けしようとしても、「おしどり」はオスの「鴛」が代表していますから、「かわせみ」だけがなぜ?という感じです。

 また「翠」は「羽+卒」という形になっていて、羽は鳥を意味するので分かるのですが、「卒」はどういう意味なのか分かりません。
 いわゆる形声文字であれば「卒」は音符、羽が意符ということで、「卒」の意味まで考えなくても良いのですが、「卒」は字典を引いても「ソツ、シュツ」という読みがあるだけで「スイ」という読みはでていません。
 字典では「翠」の「卒」は音符(シュツ)で「小さくしまっている」意味で小鳥のことだと説明しています。
 つまりここでは「卒」は意味を示していて、「スイ」という音は示していないので、「翠」は形声文字でなく会意文字だということになります。
 
 それでは「卒」の部分は「スイ」と読むことはないのかというと「純粋」「酔態」「憔悴」などは「スイ」と読んでいるので、「スイ」と読むときもあります。
 単独では「ソツ、シュツ」としか読まなくても、他の意符と組み合わさったときは「スイ」と読むことがあるのです。
 「粋」「酔」「悴」「翠」などには字典を引けば、「ちいさい」という意味が含まれていて、「卒」にも「ちいさい」という意味があります。
 「スイ」という音声言葉があってこれを文字にしようとするとき、「卒」の意味を借りて「羽+卒」、「米+卒」のように作ったものと思われます。
 文字より先に音声言葉があるので、「翠」は「ウ」とか「ソツ」と読まず、「スイ」と読むのですが、文字面に音声は表示されていません。
 字典では「翠」は会意兼形声文字とされていますが、実際上は会意文字であるようです。
 そうすると、漢字は形声文字が大部分と言われるのですが、会意文字が考えられていたより多いということになります。
 日本で作られた漢字が会意文字が主であるのは、中国の漢字も形声文字ばかりでなく会意文字がかなり多いと感じていたためかもしれません。


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