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60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

解像度が低いほうが良いときも

2006-03-13 22:48:42 | アナログとデジタル
 図は新聞に印刷された写真(B6ぐらいの大きさ)をスキャナーでコピーしたものですが、解像度は50dpiと600dpiです。
 解像度の高いのはどちらかと聞かれれば、左のほうだと答える人が多いのではないでしょうか。
 デジカメなどで写真を撮って拡大すると、解像度の低い(画素数の少ない)場合はキメが粗くなってしまうので、同じように感じるのかも知れません。
 この場合は新聞に印刷されていた写真ですから、もともとキメが粗いのです。
 解像度の低いコピーの場合はきめの粗さが目立たないのですが、解像度を高くすると決めの荒さがハッキリと出てきてしまいます。
 
 解像度を高めて見る必要のあるのは、細部を詳しく見る必要がある場合ですが、その場合は全体像はとても大きくなってしまいます。
 高い解像度で得た大きな写真を普通の大きさに縮小した場合は、右の写真のように不要な部分が強調された形になり見苦しくなったりします。
 解像度が高ければ細かい部分も見えて、情報量が増えるのですが、余分なものが見えないほうがものがよく見えるということもあるのです。
 全体像をつかむときなどは、ある程度解像度が低いほうが構造を理解しやすいので適しているのです。
 
 写真や、細かく描き込んだ絵よりも簡単な線画のほうが分かりやすいということがあるのも、線画のほうが余分なものがないため本質が見やすいためです。 
 文章を読むときでも、一つ一つの文字を吟味しながら読むことが必要な場合もありますが、いくつかの文字を一度に眼に入れてつかむような読み方をしたほうが、全体を理解しやすくなります。

マンガのほうが速く分かる

2006-03-12 23:29:38 | アナログとデジタル
 写真とマンガの似顔絵では、同じようにブラインドで隠されていても、分かりやすさに差があります。
 マンガの似顔絵のほうは線画で画素数が少ないので、隠される部分の割合が増えればわかりにくくなりそうなものですが、写真よりも原画をイメージしやすくなっています。
 特徴を大まかな線で描いているため,隠されている部分があっても元の絵をイメージしやすいのでしょう。

 これは誰の顔かというふうに聞かれれば、隠されていない原画の状態では写真のほうが正解率が高いでしょうが、このように一定部分を隠すと、マンガのほうが速く正解を出せるのではないでしょうか。
 目鼻の大きさや形、配置などは写真は実物にデジタル的に対応しているので、記憶と対照しやすいので有利です。
 
 マンガの場合は大抵の場合デフォルメされているので、目鼻の大きさ、形、配置を実物と対応させようとしてもうまくいきません。
 マンガの場合は、似ているというのは実物と相似形だというわけではないので、似ているということをデジタル的に示すことが困難です。
 絵を見たときに引き起こされる感情とか感覚が似ていればよいので、誰の顔かということを科学的に証明したりすることはできません。
 証明することはできませんが、直感的に類似性を感じ取るので、速く判断できるのです。

 写真の場合はこのように隠される部分ができると、部分部分に注意がひきつけられるために、全体的なイメージがつかみにくくなります。
 最初に見たときは全体のつながりがつかめないので、余計な部分にも注意を取られたりするのですが、何度も見ているうちに部分部分のつながりができてきて全体イメージが浮かぶようになります。
 
 写真を何度見てもなかなか分からなかった人でも「小泉首相だ」と言葉でいわわれれば、パッとそのように見えてくるからふしぎです。
 見ているだけではなかなかまとまらなかった視覚イメージが、言葉の刺激で形作られるようになるのです。
 

部分から全体をイメージ

2006-03-11 22:52:44 | アナログとデジタル
 ブラインドの向こうに見える顔はどちらも同じです。
 誰の顔かと聞かれれば、左の写真からのほうが思い出しやすいのではないでしょうか。
 ブラインドが顔を隠している割合は、左のほうが右より10%ほど多いのですが、左のほうが分かりやすいのです。
 多くの人は、アメリカの大統領の顔をテレビで何度も見ていて記憶しているため、部分的に隠されていても、記憶と照合して重ね合わせることができます。
 左の写真のほうは隠されている部分が多いとはいえ、見える部分がまとまっているので、特徴を速くつかむことができます。
 そのため、部分から全体をアナログ的に連想しやすいので速く答えが出てきます。
 
 右のほうは、隠されている部分は左より少ないのに、細かく分断されているため、左の場合よりイメージをまとめにくいので分かりにくいのです。
 細かい部分の一つ一つからでは全体を連想することは難しいので、細かい部分をつなぎ合わせてある程度まとまったイメージを作り、そのうえで連想される記憶と照合して答えを出すことになります。
 細かい部分を見極めようとしてつぎつぎに注意を向けていくと、前に注意を向けた部分を忘れていたりしてなかなかイメージがまとまりません。
 デジタル的に細かい部分を一つ一つ意識に取り込んでいっても、イメージがまとまってこないと連想がきかず、適当な記憶に結びつかないのです。

 最初に右の写真を見たのではなかなか答えは分かりませんが、左の写真と同じだといわれれば、急にイメージがまとまって分かりやすくなります。
 また、これはアメリカの大統領だと聞かされれば「百聞は一見にしかず」の逆で急にイメージがまとまるから不思議です。
 しかも、右の写真の場合でも何回も見ているうちに、一つ一つの部分が結びついてきてイメージがまとまってきて、左の写真より正確なイメージになってくるのです。
 最初に見たときは、数多い部分を一度に処理できず、なんだか分からずイメージがまとまらなかったのが、繰り返し見ているうちに自動的に処理できる部分が増えてきて最後には一度に全体を把握できるようになります。