CMクーちゃんが もたらしたのか 最近はペットブームが白熱だ。
犬を散歩している人も多くなったが それだけではなく
お洒落なバックに ちょこんと小さなワンワンが顔を覗かしている事もある。
自分が小さい時 一回だけ犬を飼った事がある。
ある日 学校から帰ると 小さなミカン箱に子犬が脅えた目で丸くなっていた。
それが愛犬クロとの最初の出会いだった。クロは捨て犬だった。
クロの母犬は純潔の柴犬 血統書であったらしいが 父犬は全くの雑種。
クロはそんな両親の間に生まれた 柴犬と雑種の混血犬だった。
犬を飼うというより血統書というブランドを飼いたかったのか クロの母犬側の
主人は 混血犬のクロ達を嫌い あっさり捨ててしまったらしい。
なんとも ひどい話だ。クロ達兄弟は 私の伯父の働く工場に現れ 人に媚って
餌をねだりに来ていたらしい。そんな兄弟の中で クロは全く人に媚びたりしなかったらしい。
そんな態度が気に入り 伯父はクロを我が家に連れてきた。
とにかく大の動物嫌いの母を説得し 私と姉は自分達で絶対面倒をみるという
約束で飼い始めたのだ。
せっかく飼うのだから名前は カッコいいものをと姉と考え抜いている間に
鼻ずらが黒いから クロという名前を祖母が勝手に呼び出し どんなにカッコいい
名前で呼んでもクロは振り向きもしなくなった。
捨て犬という習性がそうさせるのか クロには そういう頑固なところがあり
そのくせ臆病で 躾らしい躾をしなかったせいか 大層おバカな犬であった。
最初の頃は物珍しく喜々とクロの世話をやっていた私達姉妹だが そこは子供の常。
自分達の休日には朝の散歩も忘れ 寝坊する事もしばしば・・・・
クロは「早く散歩に連れていってくれ~」とばかりに泣いていた。
さすがに これには親も呆れ
「自分達も朝起きてトイレも行かず食事もせずに過ごしてみろ」と ひどく怒られた。
可哀想な事をしたと 少々後ろめたい気持ちで クロに会いにいくと
クロはバカみたいに 喜びの態度で歓待してくれたものだ。
人間だったら「どうして もっと早く来ないのだ」と怒りの態度で待っている筈が
クロは毎回澄んだ瞳で ありったけの信頼の態度で待っていてくれた。
それは素直を通り越して 悲しい程 純粋な おバカな態度だった。
クロのトレードマークの黒い鼻ずらに 人間同様 うっすらと白髪が目立った頃
蚊が運んでくる伝染病で あっという間にクロは逝ってしまった。
初めて命ある物は死ぬという現実を知ったし 命のあっけない程の
はかなさの前に 無力な自分が腹立たしかった。クロのいなくなった庭には
ほんのりと犬独特の残り香もあったし それから姉と一週間 腑抜けのようだった。
そんな中の驚きは あれほどクロを飼うとき猛反対していた母が 毎日庭を見ては
涙で赤く染まった目を 隠れてこすっている事だった・・・・・・
いつかは 犬を子供達と一緒に飼いたいという気持ちもある。
でも クロが逝ってしまってもう20年以上たつのに いまだにクロと過ごした
日々がありありと蘇ってくる。その中の自分は 純粋なクロと比べれば
いつも狡くて 自己中心な人間の醜さという特徴を一番 背負っている自分。
クロを思い出すたび 自分にはそういう醜さがある 人間という性がある事を
思い出させる。
考えれば そんな事が なんとなく怖くて これから先 何が何でも
「犬と生活したい!」という気持ちにならないのかもしれない。
結局 自分という人間は クロより臆病な生き物なのかもしれないのだ・・・・・・
犬を散歩している人も多くなったが それだけではなく
お洒落なバックに ちょこんと小さなワンワンが顔を覗かしている事もある。
自分が小さい時 一回だけ犬を飼った事がある。
ある日 学校から帰ると 小さなミカン箱に子犬が脅えた目で丸くなっていた。
それが愛犬クロとの最初の出会いだった。クロは捨て犬だった。
クロの母犬は純潔の柴犬 血統書であったらしいが 父犬は全くの雑種。
クロはそんな両親の間に生まれた 柴犬と雑種の混血犬だった。
犬を飼うというより血統書というブランドを飼いたかったのか クロの母犬側の
主人は 混血犬のクロ達を嫌い あっさり捨ててしまったらしい。
なんとも ひどい話だ。クロ達兄弟は 私の伯父の働く工場に現れ 人に媚って
餌をねだりに来ていたらしい。そんな兄弟の中で クロは全く人に媚びたりしなかったらしい。
そんな態度が気に入り 伯父はクロを我が家に連れてきた。
とにかく大の動物嫌いの母を説得し 私と姉は自分達で絶対面倒をみるという
約束で飼い始めたのだ。
せっかく飼うのだから名前は カッコいいものをと姉と考え抜いている間に
鼻ずらが黒いから クロという名前を祖母が勝手に呼び出し どんなにカッコいい
名前で呼んでもクロは振り向きもしなくなった。
捨て犬という習性がそうさせるのか クロには そういう頑固なところがあり
そのくせ臆病で 躾らしい躾をしなかったせいか 大層おバカな犬であった。
最初の頃は物珍しく喜々とクロの世話をやっていた私達姉妹だが そこは子供の常。
自分達の休日には朝の散歩も忘れ 寝坊する事もしばしば・・・・
クロは「早く散歩に連れていってくれ~」とばかりに泣いていた。
さすがに これには親も呆れ
「自分達も朝起きてトイレも行かず食事もせずに過ごしてみろ」と ひどく怒られた。
可哀想な事をしたと 少々後ろめたい気持ちで クロに会いにいくと
クロはバカみたいに 喜びの態度で歓待してくれたものだ。
人間だったら「どうして もっと早く来ないのだ」と怒りの態度で待っている筈が
クロは毎回澄んだ瞳で ありったけの信頼の態度で待っていてくれた。
それは素直を通り越して 悲しい程 純粋な おバカな態度だった。
クロのトレードマークの黒い鼻ずらに 人間同様 うっすらと白髪が目立った頃
蚊が運んでくる伝染病で あっという間にクロは逝ってしまった。
初めて命ある物は死ぬという現実を知ったし 命のあっけない程の
はかなさの前に 無力な自分が腹立たしかった。クロのいなくなった庭には
ほんのりと犬独特の残り香もあったし それから姉と一週間 腑抜けのようだった。
そんな中の驚きは あれほどクロを飼うとき猛反対していた母が 毎日庭を見ては
涙で赤く染まった目を 隠れてこすっている事だった・・・・・・
いつかは 犬を子供達と一緒に飼いたいという気持ちもある。
でも クロが逝ってしまってもう20年以上たつのに いまだにクロと過ごした
日々がありありと蘇ってくる。その中の自分は 純粋なクロと比べれば
いつも狡くて 自己中心な人間の醜さという特徴を一番 背負っている自分。
クロを思い出すたび 自分にはそういう醜さがある 人間という性がある事を
思い出させる。
考えれば そんな事が なんとなく怖くて これから先 何が何でも
「犬と生活したい!」という気持ちにならないのかもしれない。
結局 自分という人間は クロより臆病な生き物なのかもしれないのだ・・・・・・