綾瀬市議・上田博之のあやせタウンWebニュース【ブログ版】

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綾瀬市会議員 上田博之(日本共産党)です。

◆都城市「中心市街地中核施設について」~総務教育常任委員会行政視察報告

2023年12月28日 | 綾瀬市議会あれこれ

 総務教育常任委員会の行政視察に11月8日から9日の3日間、宮崎県宮崎市、都城市、鹿児島県霧島市の3市を視察してきました。

 今回は2日目の都城市での視察について報告いたします。

 都城市での視察は、中心市街地中核施設について、その事業概要やその成果などを学ぶことでした。

 都城市の中心市街地には百貨店を含む大型商業施設や商店街が栄えていましたが、モータリゼーションの進展や産業構造の変化などから、スプロール現象が起きました。スプロール現象とは、都心部から郊外に向けて、無秩序かつ無計画に開発が進められる状態のことですが、商業店舗の郊外化や大型化、その周辺での住宅開発が進展しました。
 これによって中心市街地の魅力が低下し、1991年には市全体の約30パーセントだった中心市街地の小売販売額は、2007年には半減以下に落ち込みました。

 このため商業店舗の撤退が加速し、3店舗あった百貨店や大型スーパーが業務転換や本社倒産により1店舗となりました。

 市は、1999年に中心市街地活性化基本計画、2000年にシビックコア地区整備計画、2005年に都市再生整備計画を策定し、2008年、2009年までの計画期間で取り組み、2009年には都城市都市計画マスタープランも策定しました。

 しかし、唯一残っていた百貨店が2011年に民事再生法を適用し閉店してしまったことから、この百貨店の跡地の再生が新たな課題になり、再生方針の検討が始まりました。


 最初に動いたのは商工会議所の会員企業で、百貨店跡地再生の受け皿会社を設立し、百貨店の土地等を取得しました。

 その後、この受け皿会社と都城市、商工会議所の3者が協力し、2013年に再生方針を決定しました。このとき市民ニーズの調査やワークショップは商工会議所が行っています。
 この整備は、公共施設などを扱う「都市再構築戦略事業」と、民間部分の「都市機能立地支援事業」として進められ、2015年に「中心市街地中核施設整備支援事業基本計画」が策定され、用地の取得がなされました。

 中核施設の整備コンセプトとしては、①市民ニーズに即した施設・機能の集約、②既存建造物の活用による整備コストの縮減、③利用者に配慮した移動円滑化の設え、です。
 こうしたコンセプトで、2018年に都城市中心市街地中核施設「Mallmall(まるまる)」が開館し、開館10日間で全施設来館者数が11万人を突破し、開館176日で100万人を突破したそうです。

 公共施設としては、市民が長年要望していた図書館の移転整備を含めた図書館等複合施設、子育て世代活動支援センター等複合施設、保健センター、中核施設附帯駐車場などが整備されました。さまざまなイベントに使える屋根つきのまちなか広場では、クリスマスの飾りつけが行われていました。

 なかでも特筆すべきは図書館です。図書館は既存建造物である旧百貨店の建物を活用して改修されました。これにより約31億円のコスト削減がなされたそうです。
 残念ながら図書館は休館日だったため内覧はできませんでしたが、説明によれば、百貨店の吹き抜けの大きなスペースはそのまま残し、イベントなども行える開放的な空間となっていました。また、本をただ借りるところとしてではなく、長い時間そこに滞在できるものとして整備され、いたる所に趣きを変えた椅子が置かれています。
 他にも、映像試写スペースや編集・出版機能をもつそれぞれのスタジオ、親子で様々な活動も行える「こどものにわ」や、お弁当を食べられるコーナーなどなど、魅力的な空間や設備がたくさんあるようでした。

 子育て世代活動支援センター等複合施設の中には、キッチンスペースや会議室などで多様な市民活動が展開される「まちなか交流センター」があり、視察当日も料理などを作る市民の姿がありました。

 コンセプトの③の「利用者に配慮した移動円滑化の設え」では、雨天時の移動円滑化を図るため、各施設間の道路上にシェルターを整備していて、施設全体の一体感を醸成していました。

 民間施設立地支援事業は、2022年4月に開業し、1階がスーパーマーケット、2階が商工会議所なども入るオフィス、3階がレストランやバーベキュースペース、4階から7階が93室のホテルに整備されています。

 これらの事業から学ぶべきことは、商工会議所をはじめとした市民の熱意を推進力とし、なおかつ、多くの市民のニーズをしっかりとつかみながら事業が進められていることです。また、既存の施設を活用することでコストカットを実現し、余分な廃棄物を出さない環境にやさしい再開発となっていることです。
 これらの点で綾瀬市の「市役所周辺中心市街地再整備事業」が、市民ニーズを把握することなく、既存の施設は解体するなど真逆の方向で進んでいることに気づかされます。

 綾瀬市の問題点を再確認した視察となりました。


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