綾瀬市議・上田博之のあやせタウンWebニュース【ブログ版】

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綾瀬市会議員 上田博之(日本共産党)です。

◆宮崎市「未来の教室」~総務教育常任委員会行政視察報告

2023年12月27日 | 綾瀬市議会あれこれ

 総務教育常任委員会の行政視察に11月8日から9日の3日間、宮崎県宮崎市、都城市、鹿児島県霧島市の3市を視察してきました。

 まず、1日目の宮崎市での視察について報告いたします。

 宮崎市における視察事項は、「宮崎市版『未来の教室』の実現にむけた取組について」です。

 これは、内閣府が進める「教育人材育成システム政策パッケージ策定に向けた中間まとめ」などで示されている、「人口減少・少子化の深刻化とともに、目の前にある『新たな価値創造』『イノベーション創出』『一人一人の多様な幸せ』を目指すSociety5.0時代、DX、そしてアフターコロナという大きな時代の転換期にある今、教育・人材育成システムの抜本的な転換が急務」、という提言に従った方向です。

 宮崎市は、経済産業省が取りまとめた学習ソフトの開発についての会合の中で、経済産業省産業構造審議会 教育イノベーション小委員会委員であった神野元基氏と出会い、氏を宮崎市の非常勤特別職として招聘し、宮崎市版「未来の教室」教育戦略デザインの構想を策定するとともに、学習ソフト「AIタブレット教材 Qubena(キュビナ)」を開発し自由進度学習に取り入れました。現在、自由進度学習を取り入れているのは72校中、小学校で4校、中学校で2校だけとのことです。

 さて、「AIタブレット教材 Qubena(キュビナ)」は、小中学校5教科に対応したAIを搭載したドリル教材です。これまでのドリルとは違い、生徒が間違えると、つまづいている箇所に立ち戻ったより簡単な問題を表示するなど、生徒一人一人に個別最適化した問題を出題します。こうした生徒の進捗状況は、教員の管理画面でリアルタイムに確認ができます。
 また、数学などでは作図問題を含む学習指導要領の単元をすべてカバーした、数万問が搭載されていて、手書きで解答でき、自動採点もされるとのことでした。演習問題やテスト、宿題も簡単に作成し、一括送信ができるので、プリント作成や印刷は不要です。
 自動採点の機能によって、教師が採点する時間が削減できるので、その分、指導計画などに時間が使えているという効果は出ているようです。

 課題としては、Qubena(キュビナ)にかかる費用は小学校5年生から中学校3年生までで約1億円でした。
 また、どこの教科書でも対応可能なのは算数や数学で、国語は漢字だけ、社会は単元の最後のまとめのときだけの使用になるなど、5教科対応となっていても限界はいろいろとあるとのことでした。
 AIによってつまづいたとき、よりやさしい問題が出されるのですが、そのやさしい問題もできないと、子どもの心が折れてしまうことがあるので、その時に適切な担任による支援が重要という指摘は忘れてはいけない観点だと感じました。
 Qubena(キュビナ)を使った授業では、数人で話し合いながらドリルをすすめる児童生徒だけでなく、一人だけでタブレットに向かい続ける子どももいるということで、孤立した学習が危惧されます。こうしたデメリットには、できるだけ最初は一斉授業を行い、その後一人一人のめあてに沿った学習をそれぞれのペースで行うなどもしているとのことです。
 Qubena(キュビナ)の導入をめぐっては、先生方の中には、特に中学の先生は、オリジナリティのある教材を作っていて、キュビナを活用することへの抵抗があるとのことです。

 このほか、宮崎市が「未来の教室」として取り組んでいることは、探求型学習としてSTEAM教育の推進です。
 これは、科学(Science)のS、技術(Technology)のT、工学(Engineering)のE、芸術・リベラルアーツ(Arts)のA、数学(Mathematics)のMの頭文字を組み合わせたもので、5つの領域を対象とした理数教育に創造性教育を加えた教育理念ですが、現在授業時間特例校の指定を受けて4校で研究を行っています。
 ICT活用による不登校支援体制としてオンライン学習の整備をすすめたり、デジタル・シティズンシップの育成としてPTAや関係団体との協議にも取り組んでいました。

 視察を終えて感じていることは、学校教育のデジタル化、AI活用の流れが強まることは必至のなかで、人間性を育むことが重要な教育の現場にどういう形で生かしていくことができるか、という課題です。これに関してはまだまだ試行錯誤の段階なのではないでしょうか。いますぐ飛びつくのではなく、今後もいろいろな自治体の取り組みから学び、綾瀬市の子どもたちに最適な教室が提供できるように研究を進めていくことが必要ではないかと思いました。

 以上が宮崎市における視察の報告です。

 明日には、視察2日目の都城市で学んだことを報告させていただきます。


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