ぼんくら放浪記

Blogを綴ることによって、自分のぼんくらさを自己点検しています。

日暮らし

2008-12-12 05:10:00 | 読書
待ちに待った宮部みゆきの『日暮らし』が、やっと文庫本化されました。先月の14日であります。浅田次郎の『お腹召しませ』を読んで、この『日暮らし』が文庫本化されるのが遅いとボヤいてたら・・・その日のうちに3冊とも買ってしまいました。

前編にあたる『ぼんくら』を読んで、もう随分と経つので『日暮らし』が出たら、もう1度『ぼんくら』を読もうと思っていたのですが、何処にあるのか探すのが煩わしく、早く読みたくもあるし、居ても立っても堪らずこの本を読み出したのでした。

            

この表紙で「旨いだろ、旦那」と聞いているのは『ぼんくら』の鉄瓶長屋で煮売屋をしていた面倒見の良いお徳、『旨い』と応えているのは、まぁ主人公にあたるであろうぼんくら同心の井筒平四郎、このシーンはこの上巻の最終章“なけなし三昧”のワンショットです。

お話は、平四郎の手下にあたる岡引の政五郎の手下、13歳の子供・おでこが飯を食わなくなる“おまんま”から始まります。おでこは物覚えの良い子で、親分から昔の事件を逐一何一つ漏らさず覚えて、新しい事件の解決の糸口を見つける役目でありました。
おでこは政五郎の屋敷に訪れた植木職人から「親分に無駄飯を食わせて貰ってるのだから、有り難いと思わなきゃバチが当たるぞ」と言われ、悩んでいたのでしたが、その時起こった似顔絵絵師の殺人を平四郎とおでこが解決したのでした。

       

以下、この帯に書かれている筋書きで話は進みます。
ここで出てくる弓之助は平四郎の甥で、とびっきり美形の男子でおでこと同い年、平四郎の及ばない所を鋭い感覚で助けます。

            

ほら、弓之助とおでこが走る絵が出てきました。
話は今は無き鉄瓶長屋の住人と、その関連する人たちとの絡みで進みます。久兵衛という鉄瓶長屋の差配をしていた人の名前も懐かしい。

       

上巻の3番目の話“子盗り鬼”は、この話の前置きですが、なかなか面白い。やくざなストーカーの男を一瞬のうちにギャフンと言わせた葵様の力量が湊屋との関連で鮮やかに描かれるのです。

しかし、中巻ではその葵様が何者かによって殺害され、嫌疑は鉄瓶長屋で久兵衛の後釜の差配人を預かったことのある植木職人の佐吉にかかります。

           

ここで「おや冷たいこと 亡者の私より冷たいねえ」と言ってるのは誰だっただろう?きっと誰かが犯人に言ってたような気がします。弓之助の推理と演出により事件は解決へと向かいます。

       

『ぼんくら』にも『日暮らし』にも出てくる平四郎の家の中間、いつも「うへえ」を連発して驚いている小平次もなかなか必要なキャラクターだと思います。

私にとって弓之助君は、『バッテリー』の青波君のイメージがします。

この蜩の鳴く頃から始まる物語、その日暮らしの生活でも真面目に懸命に生きていく江戸の庶民の物語、どちらがタイトルの名付け元になったのかは分りませんが、一度皆さんも『ぼんくら』『日暮らし』共々、呼んでみて下さいね。

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