ぼんくら放浪記

Blogを綴ることによって、自分のぼんくらさを自己点検しています。

だまされることの責任

2010-06-17 05:00:00 | 読書
伊丹万作という方をご存知でしょうか。大江健三郎氏の奥さんのお父さんといってもピンと来る人は少ないでしょうが、故・伊丹十三氏の父親といえば察しがつく方もおられるだろうと思います。映画監督であり、脚本家でもありました。

この本はその伊丹万作氏が書いた『戦争責任者の問題』というエッセイを題材としています。伊丹氏は当時、自由映画人集団という団体が映画界の戦争犯罪者を指摘し、その追放を主張しており、その主唱者の中に自分の名があることの説明をしながら、自分が考える戦争責任とは何なのかを明らかにしています。

要は、戦争責任は一部の軍の幹部や政治家だけにあるのではなく、自分達は一部の軍の幹部や政治家輩に騙されていたという一般人も、実はお互いに騙し騙され合っていたのではないか、そのことを反省することがなければ、また同じことが繰り返されると主張するのです。それは確かにぼんくらな私も含めて日本人の体質みたいなものを指摘しているし、戦後65年を経過した現在にしてもなお生きている指摘だと思う。

             

騙されたということは、不正者による被害を意味するが、騙された者は正しいとは古来どのような辞書にも書いていない、騙されたとさえ言えば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は顔を洗い直せ、騙されるということ自体それは一つの悪であるとまで言い切っています。

このことは現在を生きる私にとっても教訓になり得ることで、肝に銘じておかなければならないと思っています。

さて、本は佐高信氏と魚住昭氏の対談に入りますが、佐高氏はよくTVにも出られている方ですからご存知でしょうが、魚住氏はあまり記憶にない方だと思います。彼は共同通信の記者からジャーナリストに変身した方であります。

対談はまず住専問題の解決に乗り出した中坊公平に騙された話から始まり、国民を騙してきたとして、ナベツネや公明党の浜四津などが挙げられ、話は二世議員はダメという、小泉・福田・中川・安倍・麻生などの話になり、平和主義者として田中角栄を持ち上げたりと、所謂政府や自民党のの路線を批判するのではなく、個人に対する批判や論評が多くなってきます。

彼らはジャーナリストであり評論家ですから、細かいことまでよく調べていて、私たちが知らない個人的なことまで明らかにしていて、それはそれで面白いのですが、やはりだからどうするのだという論点が無いのです。

面白い指摘だと思ったのは、就職斡旋のリクルート社が、新しい社畜を会社に送り込む働きしかしていないという主張、ますます働きにくい世の中になっていくことだけは確かなようです。

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