☆この記事からの続きです
月末は仕事も忙しく、またフィギュアに藤子アニメなど観るものが溜まってたので、観るのが少し遅れペースになっていますが、ようやく第16話「アスミの桜」まで視聴しました。
前半の10話は何も問題がなかったんですが、後半は困ったことに降雨減衰でブロックノイズが出てしまいました。「降雨対応放送に切り替えます」なんて無粋なメッセージ付きで録画されてしまい、本編も降雨対応放送の粗い画質になっている回なんてのもあって、作品がとても良いだけにヘコみます CSと違ってリピート放送はないし、次の再放送なんて、NHKのことだから、一体いつのことやらわからないし・・・DVD買おうかな(汗)
さて、この第16話ですが、これは本当に涙なくして観られません。脚本と絵コンテは望月監督の手によるものですが、望月さんって、本当に「ふたつのスピカ」という作品をよく理解している人だなぁと思います。これは他の回を観ていても思ったことですが、「アスミの桜」を観て、その思いをより強くしました。この話は、アスミの中学時代の物語です。原作は単行本の第3巻に収録されていますので、詳しいストーリーの紹介は避けますが、アスミのほのかな恋心と切なさを描いた素晴らしい作品です。アニメでは原作のテイストを全く損なわず、思春期のほろ苦い想いと哀しみを、しっとりしたタッチで丁寧に描いていて、とても好感がもてました。アスミが最後にライオンさんに向けて呟く台詞には、本当に心が震えます。
このお話について、原作の初出を調べると、意外なことに「ふたつのスピカ」連載開始前に描かれた短篇であることがわかります。作者である柳沼行さんは、デビュー作「2015年の打ち上げ花火」(雑誌「コミックフラッパー」2000年7月号)を皮切りに、「アスミ」(同年8月号)、「カムパネルラの森」(同年10月号)、「ふたりの星 はっぱ星」(2001年1月号)と連続して読み切りを発表し、最後に「アスミの桜」(同年5月号)を発表しています。「ふたつのスピカ」は、これら一連の短篇が発表された後に、2001年10月号から連載が開始しているのです。短篇は「ふたつのスピカ」の単行本の最後に収録されていて、主人公もアスミであることから、もともと同作品のエピソードとして描かれたように見えますし、全て同作品のエピソードとしてアニメ化もされていますが、実はストーリーとして連続性をもちつつも、それぞれ独立して描かれた短篇という不思議な構成を取っているのです。「2015年の打ち上げ花火」を描いた段階で、柳沼さんが「ふたつのスピカ」という連載まで想定していたかどうかはわかりませんが、一つ一つのエピソードを積み重ねるようにして、この作品の不思議で切ない世界観が築き上げられてきたことは、大変興味深いです。
私はいわゆる「泣けるアニメ」「泣ける映画」というような括り方をするのが、あまり好きではありません。「泣ける映画ランキング」なんてのを見ると、「泣ける作品に順位とかあるんスか!?」と、思わず青島刑事になってしまうのです。作品を観て、泣ける、泣けないという感情は、あくまで内面的なものだと思うからです。「フランダースの犬」など、確かに「泣ける」作品だということは理解しますが、最終回の「泣ける部分」だけを取り出して放送し、それを芸能人が観て涙を流すというシーンが繰り返されるたび、しらけた気分になってしまうのです。
「ふたつのスピカ」という作品を、単に「泣ける」という言葉だけで括ってしまうと、作品の本質を見失ってしまう気がします。作品として技巧的にも大変優れていて、だからこそ心にストンと入り込む素地があるのです。私の場合、この作品(特に「アスミの桜」)を読むたび、荒井由実さんの名曲「ひこうき雲」が浮かんでしまいますが、読む人それぞれに思い入れのある切ない曲がフラッシュバックするのではないかと思います。アニメでは「見上げてごらん夜の星を」が主題歌、およびライオンさんがハーモニカで演奏する曲として使われていますが、これも選曲した方が思い浮かべた曲なのでしょう。作品に見事なまでにマッチしていて、とても良い効果を醸し出しています。
主題歌に触れたついでに書きますと、このアニメって、本編の良さもさることながら、三宅一徳さんの手による音楽がものすごく良いんです。思わずCDを買ってしまいました。アニメのサントラを買ったのは久しぶりです。とにかく静かで切なく心に残る曲が多く、シーンを浮かべると目が潤むほど作品にマッチしていて、しっかりと作り込まれた名曲の数々だと思います。
月末は仕事も忙しく、またフィギュアに藤子アニメなど観るものが溜まってたので、観るのが少し遅れペースになっていますが、ようやく第16話「アスミの桜」まで視聴しました。
前半の10話は何も問題がなかったんですが、後半は困ったことに降雨減衰でブロックノイズが出てしまいました。「降雨対応放送に切り替えます」なんて無粋なメッセージ付きで録画されてしまい、本編も降雨対応放送の粗い画質になっている回なんてのもあって、作品がとても良いだけにヘコみます CSと違ってリピート放送はないし、次の再放送なんて、NHKのことだから、一体いつのことやらわからないし・・・DVD買おうかな(汗)
さて、この第16話ですが、これは本当に涙なくして観られません。脚本と絵コンテは望月監督の手によるものですが、望月さんって、本当に「ふたつのスピカ」という作品をよく理解している人だなぁと思います。これは他の回を観ていても思ったことですが、「アスミの桜」を観て、その思いをより強くしました。この話は、アスミの中学時代の物語です。原作は単行本の第3巻に収録されていますので、詳しいストーリーの紹介は避けますが、アスミのほのかな恋心と切なさを描いた素晴らしい作品です。アニメでは原作のテイストを全く損なわず、思春期のほろ苦い想いと哀しみを、しっとりしたタッチで丁寧に描いていて、とても好感がもてました。アスミが最後にライオンさんに向けて呟く台詞には、本当に心が震えます。
このお話について、原作の初出を調べると、意外なことに「ふたつのスピカ」連載開始前に描かれた短篇であることがわかります。作者である柳沼行さんは、デビュー作「2015年の打ち上げ花火」(雑誌「コミックフラッパー」2000年7月号)を皮切りに、「アスミ」(同年8月号)、「カムパネルラの森」(同年10月号)、「ふたりの星 はっぱ星」(2001年1月号)と連続して読み切りを発表し、最後に「アスミの桜」(同年5月号)を発表しています。「ふたつのスピカ」は、これら一連の短篇が発表された後に、2001年10月号から連載が開始しているのです。短篇は「ふたつのスピカ」の単行本の最後に収録されていて、主人公もアスミであることから、もともと同作品のエピソードとして描かれたように見えますし、全て同作品のエピソードとしてアニメ化もされていますが、実はストーリーとして連続性をもちつつも、それぞれ独立して描かれた短篇という不思議な構成を取っているのです。「2015年の打ち上げ花火」を描いた段階で、柳沼さんが「ふたつのスピカ」という連載まで想定していたかどうかはわかりませんが、一つ一つのエピソードを積み重ねるようにして、この作品の不思議で切ない世界観が築き上げられてきたことは、大変興味深いです。
私はいわゆる「泣けるアニメ」「泣ける映画」というような括り方をするのが、あまり好きではありません。「泣ける映画ランキング」なんてのを見ると、「泣ける作品に順位とかあるんスか!?」と、思わず青島刑事になってしまうのです。作品を観て、泣ける、泣けないという感情は、あくまで内面的なものだと思うからです。「フランダースの犬」など、確かに「泣ける」作品だということは理解しますが、最終回の「泣ける部分」だけを取り出して放送し、それを芸能人が観て涙を流すというシーンが繰り返されるたび、しらけた気分になってしまうのです。
「ふたつのスピカ」という作品を、単に「泣ける」という言葉だけで括ってしまうと、作品の本質を見失ってしまう気がします。作品として技巧的にも大変優れていて、だからこそ心にストンと入り込む素地があるのです。私の場合、この作品(特に「アスミの桜」)を読むたび、荒井由実さんの名曲「ひこうき雲」が浮かんでしまいますが、読む人それぞれに思い入れのある切ない曲がフラッシュバックするのではないかと思います。アニメでは「見上げてごらん夜の星を」が主題歌、およびライオンさんがハーモニカで演奏する曲として使われていますが、これも選曲した方が思い浮かべた曲なのでしょう。作品に見事なまでにマッチしていて、とても良い効果を醸し出しています。
主題歌に触れたついでに書きますと、このアニメって、本編の良さもさることながら、三宅一徳さんの手による音楽がものすごく良いんです。思わずCDを買ってしまいました。アニメのサントラを買ったのは久しぶりです。とにかく静かで切なく心に残る曲が多く、シーンを浮かべると目が潤むほど作品にマッチしていて、しっかりと作り込まれた名曲の数々だと思います。
「ふたつのスピカ」サウンドトラック 新藤晴一, 本間昭光, 三宅一徳, TVサントラ, Buzy インペリアルレコード 詳細 |