「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

話せば分る 2005・05・15

2005-05-15 06:15:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、新潮社刊「ひとことで言う 山本夏彦箴言集」から次の「ひとこと」です。

 「話しあいという言葉を、私は憎んでいる」

 山本夏彦さん(1915-2002)のコラムの中で、この「ひとこと」が、どのような文脈で用いられたものであるかを、本書は「コラムの抜粋」の形で次のように紹介しています。詳しくは原典である山本夏彦著「美しければすべてよし」を見る他ないのですが、あいにく手許に見つかりません。

 「話し合いという言葉を、私はきらいだというよりむしろ憎んでいる。なぜかというと話しあいなんて、出来ない相談だからである。

 あの五・一五事件のときの首相犬養毅は『話せば分る』と言ったが、青年将校たちは言下に『問答無用撃て』と命じた。犬養の話を聞いて万一理が認められたら、犬養は殺せなくなる。ひいては革命はできなくなる。故に左右を問わず革命家は、いくら話しあおうと言われても応じてはならないのである。かろうじて聞くふりすることだけが許される。」

  (山本夏彦著「美しければすべてよし」所収の「問答無用なことがある」という題のコラムです。)
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