今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。
「記憶することと創作することとは、ほとんど関係がない。あっても薄弱で、博覧強記の人、必ずしも創造力ある人ではない。
本というものは、晩めしの献立と同じで、読んで消化してしまえばいいものである。記憶するには及ばないものである。
誰が去年の今月今夜の献立を記憶しているだろう。馳走は食べて血となり肉となればたりる。本も同様、食べて忘れ去っていいものだと、勝手ながら私は思っている。
その能力がないくせに、何もかも記憶しようとするのは欲ばりである。忘れまいとするのはケチである。」
(山本夏彦著「茶の間の正義」所収)
「記憶することと創作することとは、ほとんど関係がない。あっても薄弱で、博覧強記の人、必ずしも創造力ある人ではない。
本というものは、晩めしの献立と同じで、読んで消化してしまえばいいものである。記憶するには及ばないものである。
誰が去年の今月今夜の献立を記憶しているだろう。馳走は食べて血となり肉となればたりる。本も同様、食べて忘れ去っていいものだと、勝手ながら私は思っている。
その能力がないくせに、何もかも記憶しようとするのは欲ばりである。忘れまいとするのはケチである。」
(山本夏彦著「茶の間の正義」所収)