「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

春曉 2005・05・04

2005-05-04 06:10:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、孟浩然(689-740)の春眠暁を覚えずの詩と読み下し文です。

   春曉      春暁

    春眠不覺曉   春眠 暁を覚えず
    處處聞啼鳥   処々 啼鳥を聞く
    夜來風雨聲   夜来 風雨の声
    花落知多少   花落つること多少なるを知らんや


 詩人の三好達治(1900-1964)がこの詩に付けた訳があるそうです。

   春の暁

    このもかのもにとりはなき
    はるのあしたはねぶたやな
    よつぴてひどいふりだつた
    いよいよはなもおしまひか


 みずからこの訳詩で失われたものは何かと問い、三好達治は「それはまづ原詩に溢れてゐる豊潤な感覚、色彩感覚」であり、「原詩はいかにもみづみづしく、富麗に、一種なまめかしく出来てゐる」と言ったそうです。作家の中野孝次さん(1925-2004)がその著書「わたしの唐詩選」(文春文庫)の中で紹介されているものです。
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