白杖のトライリンガル

難聴だけじゃない?網膜色素変性症を併せ持つアッシャー症候群の息子達の日常を母の目からつづります。

国際語である英語の弊害

2011-02-05 22:34:53 | その他
アメリカは英語の国、そして英語はいまや国際語として通用している。

この英語のおかげでアメリカは多大な利益を享受してきたと思う。
人も、国家も、経済も。

ただ海外旅行に行って便利だなんて、レベルじゃない。
直接的なところで言えば、英語産業とでも言おうか英語の教師派遣、語学学校や留学生の受け入れ、教材販売でもかなり儲けている。

一般企業も英語ゆえに海外進出しやすく、英語ゆえに取引が優位に立つ。
ものやサービスを売るのだってそうだ。
こっちが相手に合わせなくても、相手がこっちにあわせてくれる。

インターネットの普及でボーダレスになり、それがより顕著になった。
日本のウェブサイトは日本語で書かれている限り、いくらインターネットでもやっぱり市場は日本だ。
それが英語で立ち上げれば、立ち上げたその日から市場は世界になる。
本当のボーダーレスを享受しているのは、英語を日常使う人々だろう。

子供たちだって、英語を勉強するために費やす時間や労力や費用をもっと他のことにつかうことができる。
もちろんアメリカ人の子供も外国語を勉強はするけど、お遊び程度。
私たち日本人が通らなければならない英語の過酷さとは比較にならない。
あれはほぼ我慢大会に近かった。

こうやって、アメリカは英語の国というだけで、私たちには計り知れない利益をこうむって来たわけだけど、今ここに来て国際語だから面している驚異がある。


仕事がどんどん低賃金の国に取られていっている。

中国が世界の工場となり、モノ作り日本では産業の空洞化が起こったように、アメリカでは今サービスも空洞化しつつある。


たとえばカスタマーサービスやセールスの電話。
実は電話でしゃべっている相手は、インドにいるインド人だったりする。
電話代なんて無料に近くなった今、コールセンターをアメリカにおいておく意味なんてない。

大手の会計士事務所では、税務申告書作成をこれまたどんどんインドに委託している。
インドでは米国CPAを取る人が急増しているらしい。

この前うちの会社にコンサルティング会社の人が来ていた。
彼の会社は、企業の多国籍化のコンサルティングをしているらしく、進出しようとしている国の事情を調べ、弁護士会計士を手配して、現地支社を立ち上げるところまで手助けする。
その仕事のほとんどを実はインド、マレーシア、フィリピンなど、英語を話す低賃金の国でやっているんだから、なかなかやりてだ。

この傾向が今加速度的に進んでいる。


私の仕事だって、いつインドに取られるかわからない。
インターネットと電話とファックスがあればほとんどの仕事はどこにいてもできるんだから、アメリカにいる必要はない。

いったいどれくらいの速さで進行するか、検討がつかない。
一旦始まったら早いはず、そしてそれはもう始まっている。


もちろん日本にこの驚異がないとは言い切れないけど、ひどい訛りの外国人をカスタマーサービスの窓口にはしないだろう。

日本語は大変特異な言語なため、日本人にとって外国語を習得するのはたいへんだけど、同時に外国人にとって日本語を習得するのは大変難しい。

それに英語のように、いろんな訛りで話されている言葉とちがって、日本語は『標準語』の発音でなければビジネスで使いにくい。

そういう背景を考えると、サービス業まで外に取られる心配は、アメリカの比ではない。

英語ゆえに利益を享受してきたアメリカ。
今、英語ゆえに苦しむ時代に直面している。

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