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三鬼 三島屋変調百物語四之続

2018-05-22 23:49:43 | 読んだ本
宮部みゆき著 日本経済新聞出版社。

これは図書館で一年前から予約してやっとこちらに本が回ってきました。

地元の図書館の貸し出しリクエストの1位でしたのでかなり待ちますよと司書さんに言われたのですがまさか1年待ったとは。

忘れた頃に予約本が来ましたよと連絡。

1年待ったのに読むとなったら565ページあってかなりの厚さなのにサクサクと読んでしまいました。

これは宮部センセーの文章がテンポが良いということなんでしょうね。

江戸の袋物問屋三島屋は繁盛しているだけでなく、黒白の間という部屋を持っていてそこで百物語を聞くという変わったことをしていました。

話を聞くのは主の姪で看板娘のおちかさん。

彼女は川崎の旅籠の娘で何不自由ない暮らしをしていたのですが悲しい出来事があり生きる気力を失い。
江戸に来て働くことで以前のおちかさんに戻れるようにとこの百物語聞き役をつとめているのです。

でこのシリーズも4冊目となりおちかさんも最初は私は生きていていいのだろうか、幸せになってもいいのだろうかと悩んでいたのですがだんだんと日常を取り戻してきたような感じがしました。

この「三鬼」では4人の語りべが登場します。

老若男女、身分も皆バラバラ。

普通の幽霊だお化けがとかそういうありふれた話ではなく何十人と話を聞いてきたおちかさんも聞いたことがない不思議なことばかり。

最初の「迷いの旅籠」はこっちの世界とあっちの世界とを行き来ができるのか?それは良いことなのか?
活躍するのは13歳の少女。
じっちゃんと子供が活躍するところが宮部センセーらしさが出ていました。

「食客ひだる神」ひだる神とは旅の途中で行き倒れて死んだ人のことで餓鬼ともいうそうです。
憑りつかれるとお腹が空いて体が動けなくなるそうです。
そんなとき一口でも食べ物を口にするとひだる神はいなくなるのですが。

旅の途中でひだる神に憑りつかれてしまった男の人の話で災難かと思えばほのぼのとした話でした。

「三鬼」題名ともなった話は初老の武士が黒白の間を訪れ自身の若いころの体験しことを語るのですが「荒神」を思いださせるところもあってあやかしは人の中の黒い気持ちが生み出すのだろうかと。

「おくらさま」一番不思議で悲しい話でした。家のために犠牲になるのはいつも弱い立場の人。
人間真っ当に働かないで栄えるとそれはしっぺ返しがくるのだと。
この最後の「おくらさま」ではおちかさんの運命をガラッと変えてしまう出来事があり、もう新刊が出ているのでどうなっているのかわかりませんが悲しいけれどおちかさんは川崎の旅籠で起こった悲しい出来事からふっきれたのだなあと。

team申で朗読劇を何回か公演がありました。

そこで選ばれたのが宮部センセーの小説でした。

「食客ひだる神」はページ数も丁度良く、ユーモラスなところもあり朗読してくださらないかしらと思ってしまいました。





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