地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

新生サラエボの魅力と民族融和 その1

2006年11月05日 10時53分54秒 | 時事ネタ
「新生サラエボの魅力と民族融和」とのタイトルで、「世界週報」10/24号に、日本
救援行動センター バルカン担当 の松元洋氏が投稿しておられます。

前々から興味を持っているバルカン半島のそれも、紛争の渦の一つである「ボスニア・
ヘルツェゴビナ」情勢について詳細に記述してありますので、全文掲載させていただ
きます。

長文ですので、分割して前後2回とします。



紛争の痕跡消え 清潔な町に変貌

 1990年代のボスニア紛争当時、数回にわたりボスニア・ヘルツェゴビナの首都
サラエボに足を運んでいた私にとって、この6月、数年ぶりに訪れた町の変わりよう
は驚きだった。当時は至るところに焼けただれた戦火の跡が見られた。ごみは放置さ
れ、市民は近くの山腹からのセルビア兵の狙撃を恐れて腰をかがめて歩き、昼間から
町の表情は暗かった。夜は停電が多く、ろうそくと懐中電灯が生活必需品であった。
 少しはどこかに紛争の跡があるのではないかと、市内の中央を東から西に流れる
ミリヤッカ川に沿って歩いてみた。両岸には国立劇場、郵便局、大学、美術館などの
建物があるが、皆きれいに立ち並んでいる。


(ミリヤッカ川沿いの市街地 ボスニア・ヘルツェゴビナメモ Bosnia and Herzegovina Memo から
お借りしました。ありがとうございます)

 初夏の季節とあって、方々にある大小の公園は芝生と植木が昼の日差しを浴びて緑
に輝き、色とりどりの花壇もよく手入れされていた。94年2月、セルビア人勢力が
迫撃砲を撃ち込み68人の死傷者が出たことで大きく報道された青空市場は、各国か
らの援助もあって、以前をしのぐばかりに復旧し、バルカン各地にあるこの種の野菜
市場の中では類を見ないほど清潔、整然としていた。同じく戦災を受けた精肉、チー
ズ専門の市場の建物も、何事もなかったかのように修復され明るくにぎわっていた。


(復旧した野菜市場 同じく、ボスニア・ヘルツェゴビナメモ Bosnia and Herzegovina Memo から)

 マケドニアとコソボでごみの散乱にすっかりなじんでいる私の目に、サラエボ市の
清潔な環境は、これが同じ旧ユーゴの街なのかと不思議な感じであった。
 サラエボは、マケドニアの首都スコピエ、コソボの中心都市プリシュティナと同じ
くイスラム教徒の多い街であり、各所にモスクの尖塔が天を差している。だが、どう
してここだけが、ごみもなく、えらく西欧的な都市の雰囲気をたたえ、市民の表情も
明るいのだろうか。
 この素朴な質問に、ボスニア・ヘルツェゴビナ駐在の罍(もたい)二夫臨時代理大
使が答えてくれた。同大使によれば、①サラエボのイスラム教徒たちはもともとは5~
6世紀に南下したスラブ民族であり、スコピエやプリシュティナのイスラム教徒たち
がアルバニア系の民族であるのと異なる②サラエボのイスラム教徒はコーランの解釈
に極めて柔軟であり、酒も豚肉もご法度ではなく、また、ラマダン期間中でも平常通
り昼間も食事をしている③異教徒との結婚においても相手をイスラム教へ改宗させる
必要はない④女性はチャドルをかぶることなく、かぶっている女性はこれをファッショ
ンとして使っている⑤女性も高い教育を受け、子供はせいぜい2、3人である---
とのことであった。
 サラエボ市民の出生率がマケドニアのアルバニア人と比較して2分の1、3分の1
と低く、一家庭平均子供2人はセルビア人の場合と同じである。このことは両民族融
和を長期的に保つ大切な要因である。
 そこにスコピエの場合と大きな差がある。スコピエの人口構成は約65%がスラブ
系のマケドニア人であり、約30%がアルバニア人、残り5%がトルコ、ロマ、その
他の人たちとなっているが、今後十数年で出生率の高いアルバニア人がスラブ系マケ
ドニア人の人口を追い越すと言われている。人口の変動のみならず、西に隣接したコ
ソボが独立することになると、早晩マケドニアはアルバニア人の支配化に置かれるの
ではないかと、現在多数民族であるスラブ系のマケドニア人市民は恐れている。
 しかも去る4月にアルバニア外相がコソボの将来的地位に関し、セルビア政府とコ
ソボ自治政府との交渉がどのような結果になろうとコソボのアルバニア人は我々の同
胞であり、自由に国境を行き来するものであると発言したことから、スコピエのメディ
アはこれは大アルバニア主義の表れと大々的に報じ、マケドニア政府はアルバニア政
府に外相発言の真意をただす騒ぎとなった。
 サラエボでは、多数の市民がイスラム教徒といっても人種的にはスラブ人であり、
言語はスラブ語である。人種と言語が異なり、出生率の格差の大きなアルバニア人が
多数住んでいるわけではないので、スコピエの抱えているような問題は生じない。多
分ここにスコピエや南部に多数のアルバニア人を抱えているセルビアの状況と異なり、
サラエボの街にオープンな雰囲気と明るさが感じられる背景があると思われる。

                                   (以下は次回以降に)



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「神経細胞を伸ばすたんぱく質発見」から思うこと 

2006年11月05日 10時02分40秒 | 時事ネタ


朝、新聞の3面記事欄を見るとは無しに見ていると、数日前から気になって気になっ
て仕方がない、神経・神経細胞の記事がありました。

早速、パソ開いて関連配信記事を調べてみますと、次の通りでした。

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神経細胞:伸ばすたんぱく質発見 まひ患者などに朗報か

 長いもので1メートル以上もある神経細胞が伸びていくのに必要なたんぱく質を、
九州大生体防御医学研究所の中山敬一教授(細胞生物学)らが突き止めた。神経移植
が成功すれば、事故で神経が切れた半身まひ患者などの治療に役立つが、動物実験で
は移植しても神経はなかなか伸びない。このたんぱく質の働きを活発にできれば、解
決につながる可能性があるという。

 3日付の米科学誌「サイエンス」に論文が掲載された。

 神経細胞は普通の細胞と違い、核のある細胞体から、ひも状の神経突起が長く伸び
ている。足を踏まれて痛いのは、踏まれた刺激が神経突起を通して脳に伝わるためだ。

 神経突起が出来る際には、細胞膜に含まれる脂質が、細胞内でいったん集まり、一
方向に運ばれる。そこで中山教授らは、神経細胞に特有で、細胞膜内の物質輸送に関
係するとみられる、たんぱく質の一種に着目した。

 これを子宮の細胞に加えて実験すると、細胞は神経のように突起を伸ばした。さら
に、神経細胞を操作し、このたんぱく質をほとんど作らせなくすると、本来は一方向
に伸びてひも状になるはずの細胞膜が、すべての方向に伸びてしまい、細胞が全体と
して広がった。

 中山教授らは、このたんぱく質が突起形成に重要だと結論付け、「突起が伸びる」
という意味の英語から「プロトルーディン」と命名した。

 中山教授は「遺伝的に両足が動かなくなる病気の患者には、プロトルーディンを作
る遺伝子が変異している場合がある。正常なプロトルーディンを補えば治療につなが
るかもしれない」と話している。【下桐実雅子】

毎日新聞 2006年11月4日 11時15分

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またしても思うのは、ことは「麻痺患者の治療」だけでは終わらないだろう、という
こと。

サイボーグ技術のキーテクノロジーである、脳と外部機器接続に際して、情報流通の
人体側窓口としての神経を自在に成長させ得る基礎的医療技術というか人体改造技術
が、また一つ発見されつつある、と考えていいと思います。

数十年後(ことによっては十年もたたないうち)には、本来、人体には存在しないは
ずの位置に神経を露出させプラグ連結した改造人体の方々が、普通に街中を闊歩して
いるかもしれません。いや、おそらく闊歩している可能性の方が高い様な気がします。

障害や病気の治療目的ではなく、自己の頭脳や肉体の強化を目的として、普通になさ
れている可能性が高かろう、と予想します。

平成18年現在の感覚からしますと、「かなりの悪夢的未来」の様な気がしますが、
いざ、それを日常ありふれたものとして目の当たりにし続けたとすると、馴染んでいっ
てしまうのかもしれませんが。

以下のマーフィーの法則を思い出します。

"If it can happen, it will happen."
「起る可能性のあることは、いつか実際に起る」

上記の記事の事実から派生するであろう未来、良い意味にも悪い意味にも、この
マーフィーの法則が当てはまるのは、まず持って確実なのではないか、そう考えます。



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