日付が変わって7月31日です。寝てしまう前にナイトキャップ替り
のブログアップ。
明朝から京都へバタバタ出かけることになっており、ここで記事を
ものして置かずば、後は暇無しとなってしまうはずです。
一昨日の拙ブログ記事に転載させていただいた東工大理工学研究科
の矢部 孝 教授がお書きになった文献の冒頭→中盤部分を、以下に
転載致します。
一昨日は記事文脈上、掲載しきれなかった部分がありましたが、矢部
教授が提示なさっておいでの課題と研究の中核を理解する上で、
あらためて紹介したく思いたちましたので。
--------------------------------------------------------
太陽光レーザー,水,マグネシウムによる革新的エネルギーサイクル
矢部 孝
はじめに
地球の破壊
私たち人類は,化石燃料を燃やし,大気汚染を引き起こし,大気中
に炭酸ガスを撒き散らして地球温暖化を促進させている。これを防
ぐために京都議定書が調印され,今,実行されようとしている。し
かし,わが国には,2010年までに,現在の炭酸ガス排出量を12%減
らさなければならないという重い責務がのしかかってきた。
地球温暖化防止技術の行き詰まり
では,化石燃料を燃やす以外にエネルギーを取り出す方法はどのく
らいあるのだろうか。原子力発電にすべて置き換えるか。風力発電
等もあるだろう。最近は,水素を用いる燃料電池が脚光を浴びてい
るが,水素をどう作るかが問題である。水を電気分解するには電気
が要るのでその分の炭酸ガスが発生する。メタンなどの化石燃料か
ら取ると,これも炭酸ガスが発生する。太陽電池で太陽エネルギー
を利用するという話もあるが,現在の太陽電池では,それを生産す
るエネルギーの方が,太陽電池が寿命の間に太陽から受けるエネル
ギーを上回ると推算されている。材料のシリコンは酸化シリコン
(珪石)を還元して作らなければならず,ここでも炭酸ガスが出る。
身近な大エネルギー
そうは言っても,太陽エネルギーは莫大なエネルギー源であること
に違いない。例えば,サハラ砂漠の面積は860万平方キロメートルで
あり,これに降り注ぐ太陽光は地上で,1平方メートル当たり約1
キロワットであるとすると,サハラ砂漠へ降り注ぐ太陽エネルギー
は,火力発電所860万基分となる。
広がる夢の世界
エネルギーサイクルのリシャッフル
私達は,太陽光をレーザーに変換し,これを電気に変換すると同時
に,エネルギーを別の形態で蓄える方式を提案している。エネルギー
を蓄えるために,マグネシウムを用いる。マグネシウムを水と反応
させ,水素を取り出し,反応生成物はレーザーによって還元され,
マグネシウムが再生されるシステムである。これは,炭酸ガスを全
く排出せず,自然のエネルギーである太陽と水を利用して,今まで
の全エネルギーサイクルを再構築する革新的な提案であると自負し
ている。
レーザーによるコージェネレーション
これが私達の生活をどのように変えるだろうか(図1参照)。家屋
の屋根では昼間の太陽光を受け,レーザーが作られると同時に,そ
の余剰の熱で温水も作られる。レーザー光はそのまま動力源にもな
るが,残りは電気に変換され,家電製品に使われる。雨天時,夜間
は,マグネシウムから水素を作りつつ燃料電池や水素燃焼反応によっ
て電気や動力に変える。反応し終わった酸化マグネシウムは再生工
場に戻されるか,家庭でそのまま,昼間に太陽光レーザーを用いて
マグネシウムに再生される。工場や各施設は,家庭と同様だが,よ
り大型の設備を使うだけである。
(図1 新しいエネルギーサイクルの概念)
マグネシウム型燃料電池自動車,船,飛行機,…
自動車はガソリンの代わりにマグネシウムを積載して,随時,水
と反応させながら水素を燃料として走るだろう。水素は燃料電池
としてだけでなく,水素を酸素と燃やして内燃機関とすることも
できる。船は,レーザー光で水を沸騰させ,蒸気の噴射で水中翼
船のように高速に動き,大陸間を燃料なしで往復するだろう。飛
行機も,数100キロメートルおきに空に浮かぶ飛行船から転送され
たレーザーを受けて,燃料を持たずに飛び回るだろう。小さいけ
れど,大きな太陽帆の翼を持つ軽飛行機は,陽の光を受けて太陽
光レーザーを推力に使い,ゆっくりと大空を飛んでいるだろう。
実現に向けた基本要素技術の発明
こうした夢のような世界を実現するためには,4つの基本要素が
必要である。太陽光励起レーザー,水素発生装置,レーザー光電
気変換およびマグネシウム還元装置,レーザー推進装置の4つで
あり,私達は,このすべての原理実証実験に成功しており,現在,
実用化に向けた研究を,三菱商事との産学連携プロジェクト
Entropia レーザー Initiative(イノベーション推進体)により進めて
いる。
(以下は一昨日の拙ブログに既に転載)
---------------------------------------------------------
あらためて、ここに矢部教授がお書きになった文献の前半部分を転
載したのは、
●地球温暖化防止技術の現状の問題点と行き詰まり
●太陽光励起レーザー
●その変換効率の向上
●蓄エネルギー池としてのマグネシウム
●マグネシウムと水を反応させることによる水素の発生
●マグネシウムと水の反応生成物である酸化マグネシウムを、太陽光
励起レーザーにてマグネシウムへの還元
●化石燃料を使用すること無しに完全循環型のエネルギーサイクル
を構築できるビジョンの例示
以上をアナウンスしたかったからです。
今後数十年に渡って、完全循環型のエネルギーサイクルを目指した
様々な取り組みが全世界的になされることでしょうが、そうした取
り組みの中で、有望かつ充分に到達可能な選択肢の一つとしての
「太陽光励起レーザーでの酸化マグネシウムのマグネシウム還元」
技術は、具体化への方向付けがなされていくものと思われます。
今現在では、まだ到達できていないビジョンではあっても、決して
荒唐無稽な空想でも与太話でも何でも無い、と考えます。
少し前の時代ならば「何を馬鹿なことを」と言われていたのかもし
れませんが、ここでも「クラークの三法則」の中の、第一法則と第三
法則が当てはまるかと...
----------------------------------------------------------
● ㈱東洋硬化へのお問い合せは、当社ホームページの「お問い合せ」欄、
または、TEL:0942-34-1387 へお願い致します。
● シリンダーロッド・シャフト・ピストン・フロントフォークインナーチューブ
・ロール等円筒形状機械部品のクロムめっき再生が得意です。
● 窒化クロム・窒化チタンアルミ・酸化クロム・窒化チタンクロム・
窒化チタン他、各種高硬質被膜をアークイオンプレーティングで
生成します。
● ローター・ファン・クランクシャフト等のバランシング(回転体釣合せ)
● ラジアルクラウン研削を始めとした円筒研削加工や、内面研削・
平面研削も行います。
● フレーム溶射による、短納期での寸法・形状・機能の復元加工はじめました。
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の矢部 孝 教授がお書きになった文献の冒頭→中盤部分を、以下に
転載致します。
一昨日は記事文脈上、掲載しきれなかった部分がありましたが、矢部
教授が提示なさっておいでの課題と研究の中核を理解する上で、
あらためて紹介したく思いたちましたので。
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太陽光レーザー,水,マグネシウムによる革新的エネルギーサイクル
矢部 孝
はじめに
地球の破壊
私たち人類は,化石燃料を燃やし,大気汚染を引き起こし,大気中
に炭酸ガスを撒き散らして地球温暖化を促進させている。これを防
ぐために京都議定書が調印され,今,実行されようとしている。し
かし,わが国には,2010年までに,現在の炭酸ガス排出量を12%減
らさなければならないという重い責務がのしかかってきた。
地球温暖化防止技術の行き詰まり
では,化石燃料を燃やす以外にエネルギーを取り出す方法はどのく
らいあるのだろうか。原子力発電にすべて置き換えるか。風力発電
等もあるだろう。最近は,水素を用いる燃料電池が脚光を浴びてい
るが,水素をどう作るかが問題である。水を電気分解するには電気
が要るのでその分の炭酸ガスが発生する。メタンなどの化石燃料か
ら取ると,これも炭酸ガスが発生する。太陽電池で太陽エネルギー
を利用するという話もあるが,現在の太陽電池では,それを生産す
るエネルギーの方が,太陽電池が寿命の間に太陽から受けるエネル
ギーを上回ると推算されている。材料のシリコンは酸化シリコン
(珪石)を還元して作らなければならず,ここでも炭酸ガスが出る。
身近な大エネルギー
そうは言っても,太陽エネルギーは莫大なエネルギー源であること
に違いない。例えば,サハラ砂漠の面積は860万平方キロメートルで
あり,これに降り注ぐ太陽光は地上で,1平方メートル当たり約1
キロワットであるとすると,サハラ砂漠へ降り注ぐ太陽エネルギー
は,火力発電所860万基分となる。
広がる夢の世界
エネルギーサイクルのリシャッフル
私達は,太陽光をレーザーに変換し,これを電気に変換すると同時
に,エネルギーを別の形態で蓄える方式を提案している。エネルギー
を蓄えるために,マグネシウムを用いる。マグネシウムを水と反応
させ,水素を取り出し,反応生成物はレーザーによって還元され,
マグネシウムが再生されるシステムである。これは,炭酸ガスを全
く排出せず,自然のエネルギーである太陽と水を利用して,今まで
の全エネルギーサイクルを再構築する革新的な提案であると自負し
ている。
レーザーによるコージェネレーション
これが私達の生活をどのように変えるだろうか(図1参照)。家屋
の屋根では昼間の太陽光を受け,レーザーが作られると同時に,そ
の余剰の熱で温水も作られる。レーザー光はそのまま動力源にもな
るが,残りは電気に変換され,家電製品に使われる。雨天時,夜間
は,マグネシウムから水素を作りつつ燃料電池や水素燃焼反応によっ
て電気や動力に変える。反応し終わった酸化マグネシウムは再生工
場に戻されるか,家庭でそのまま,昼間に太陽光レーザーを用いて
マグネシウムに再生される。工場や各施設は,家庭と同様だが,よ
り大型の設備を使うだけである。
(図1 新しいエネルギーサイクルの概念)
マグネシウム型燃料電池自動車,船,飛行機,…
自動車はガソリンの代わりにマグネシウムを積載して,随時,水
と反応させながら水素を燃料として走るだろう。水素は燃料電池
としてだけでなく,水素を酸素と燃やして内燃機関とすることも
できる。船は,レーザー光で水を沸騰させ,蒸気の噴射で水中翼
船のように高速に動き,大陸間を燃料なしで往復するだろう。飛
行機も,数100キロメートルおきに空に浮かぶ飛行船から転送され
たレーザーを受けて,燃料を持たずに飛び回るだろう。小さいけ
れど,大きな太陽帆の翼を持つ軽飛行機は,陽の光を受けて太陽
光レーザーを推力に使い,ゆっくりと大空を飛んでいるだろう。
実現に向けた基本要素技術の発明
こうした夢のような世界を実現するためには,4つの基本要素が
必要である。太陽光励起レーザー,水素発生装置,レーザー光電
気変換およびマグネシウム還元装置,レーザー推進装置の4つで
あり,私達は,このすべての原理実証実験に成功しており,現在,
実用化に向けた研究を,三菱商事との産学連携プロジェクト
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いる。
(以下は一昨日の拙ブログに既に転載)
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あらためて、ここに矢部教授がお書きになった文献の前半部分を転
載したのは、
●地球温暖化防止技術の現状の問題点と行き詰まり
●太陽光励起レーザー
●その変換効率の向上
●蓄エネルギー池としてのマグネシウム
●マグネシウムと水を反応させることによる水素の発生
●マグネシウムと水の反応生成物である酸化マグネシウムを、太陽光
励起レーザーにてマグネシウムへの還元
●化石燃料を使用すること無しに完全循環型のエネルギーサイクル
を構築できるビジョンの例示
以上をアナウンスしたかったからです。
今後数十年に渡って、完全循環型のエネルギーサイクルを目指した
様々な取り組みが全世界的になされることでしょうが、そうした取
り組みの中で、有望かつ充分に到達可能な選択肢の一つとしての
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技術は、具体化への方向付けがなされていくものと思われます。
今現在では、まだ到達できていないビジョンではあっても、決して
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少し前の時代ならば「何を馬鹿なことを」と言われていたのかもし
れませんが、ここでも「クラークの三法則」の中の、第一法則と第三
法則が当てはまるかと...
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● ㈱東洋硬化へのお問い合せは、当社ホームページの「お問い合せ」欄、
または、TEL:0942-34-1387 へお願い致します。
● シリンダーロッド・シャフト・ピストン・フロントフォークインナーチューブ
・ロール等円筒形状機械部品のクロムめっき再生が得意です。
● 窒化クロム・窒化チタンアルミ・酸化クロム・窒化チタンクロム・
窒化チタン他、各種高硬質被膜をアークイオンプレーティングで
生成します。
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● ラジアルクラウン研削を始めとした円筒研削加工や、内面研削・
平面研削も行います。
● フレーム溶射による、短納期での寸法・形状・機能の復元加工はじめました。
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