地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

「考えるだけ」でスイッチ切り替え マン・マシン・インタフェースの進歩

2006年11月07日 07時31分01秒 | 時事ネタ


今朝もまた、こんなニュースが飛び込んできました。


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「考えるだけ」でスイッチ切り替え、日立が実験成功

 日立製作所は6日、暗算や暗唱などによって生じる脳内の血液量の変化を電圧信
号に変えることで、鉄道模型の電源スイッチの「オン」「オフ」を切り替える実験
に成功した、と発表した。

 将来的には、「こうしたい」と考えた際の血流変化を電気信号に置き換える技術
の開発を目指しており、運動機能を失った難病患者が自立するための福祉機器開発
につながるものとして期待される。

 暗算や暗唱などを行うと、活発に働き、血流が増加するのは、額の裏側付近に位
置する脳の「前頭前野」と呼ばれる部分。同製作所基礎研究所の研究チームは、近
赤外光を照射してこの血液量変化をとらえる装置「光トポグラフィ」で、暗算など
をした時の血液量の変化を把握し、これを電圧信号に変換することで、鉄道模型の
駆動、停止ができるかどうかに挑んだ。

(読売新聞) - 11月6日21時0分更新

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光トポグラフィを用いて脳活動に伴う脳内の血液量を測定し機器を操作する
             ブレイン・マシン・インタフェースの原理実験に成功

株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫/以下、日立)は、このたび、光トポ
グラフィを利用して脳活動に伴う脳内の血液量の変化を測定し、その測定信号を用
いて機器を操作する無侵襲*1のブレイン・マシン・インタフェースの原理実験に成
功しました。今回の実験では、被験者が暗算や暗唱を行ったときの前頭前野におけ
る血液量を測定し、被験者の暗算や暗唱とほぼ連動して小型鉄道模型を駆動、停止
できることを確認しました。本成果は、身体を動かして機器を操作するのが困難な
方々を支援する、福祉機器向けの新しいマン・マシン・インタフェースや脳機能の
リハビリに向けた技術に道を拓くものです。

近年、脳の神経活動を利用して機器を操作する新しいマン・マシン・インタフェー
ス技術の研究が活発に行われるようになってきています。これは、被験者に薬や注
射などを投与することなく、無侵襲で脳活動を測定できる「脳機能計測法*2」が発
達したことによるもので、測定した脳の活動状態を入力信号として利用し、機器を
動かそうという新しい試みです。日立が開発した脳機能計測法「光トポグラフィ*3」
は、近赤外光を頭皮上から照射して脳活動に伴う局所的な脳血液量の変化を画像化
できる技術で、被験者に計測用の専用キャップをかぶせるだけで脳活動の状態を測
定することができます。日立は、この光トポグラフィの原理を用いて、1999年に運
動機能を失ったALS*4患者が意思の伝達を行えることを確認し、2005年にはYes/No
判定装置製品「心語り」を開発、エクセル・オブ・メカトロニクス株式会社により
製品化されました。
日立では、さらにこの技術を発展させて、身体を動かして機器を操作するのが困難
な方々を支援する福祉機器向けの新しいマン・マシン・インタフェース技術の確立
を目指し、研究を進めてきました。そして、このたび、日立では、光トポグラフィ
を利用して脳内の血液量の変化を測定し、その測定信号を用いて機器を操作する無
侵襲のブレイン・マシン・インタフェースの原理実験に成功しました。これは、光
トポグラフィの測定信号を使って、機器を駆動する新方式の開発により可能となっ
たものです。今回、新たに開発した駆動方式の詳細は以下の通りです。

新開発の駆動方式

1. 今回の実験では、光トポグラフィ装置を使い、前頭前野の複数箇所における血
液量を測定しますが、脳を活動させた時の変動パターンを予め測定し、この測定デー
タを利用して機器を駆動させる学習型駆動方式を開発しました。予め測定された変
動パターンと類似の測定データが得られた場合に機器を駆動させ、パターンの消失
に伴い機器を停止させることが可能になる方式です。

2. 光トポグラフィ装置で測定された信号を、機器を駆動させることが可能な電圧
信号に変換する御回路・ソフト技術を開発しました。
一般に、暗算や暗唱を行った場合、額周辺にある前頭前野で脳血液量が変動する
ことが知られていますが、今回、複数の被験者を対象に、暗算や暗唱を行ったとき
の前頭前野における血液量を光トポグラフィで測定し、小型の鉄道模型を操作する
という実験を行ったところ、以下を確認することができました。

実験で確認した内容

1. 機器の駆動は暗算や暗唱の開始とほぼ連動して行えること、また、被験者が暗
算や暗唱を停止した後、個人差はあるものの、機器を減速、停止できることを確認
しました。

2. 事前に被験者の変動パターンを測定した後、そのパターンに応じて、機器への
入力信号の変換パラメータを調整するというプロセスを導入することで、機器の操
作を効果的に行えることを確認しました。

3. 被験者がトレーニングを行うにつれ、機器の駆動や停止を効果的に行えること
を確認しました。

今回の成果は、光トポグラフィの原理を利用した無侵襲のブレイン・マシン・イ
ンタフェース実現の可能性を示すものであり、身体を動かして機器を操作するのが
困難な方々を支援する、福祉機器向けの新しいマン・マシン・インタフェース技術
や脳機能のリハビリに向けた基礎研究に道を拓くものです。今後、人に優しい情報
機器の開発を目指して、研究を進めていきます。

*1 身体を傷つけず無害なこと。

*2 脳には特定の機能が決まった部位に存在する「機能局在」という特性があり、
  脳の局所的な部位の活動を計測することで、個々の刺激と脳活動の関係を分析
  することが可能です。

*3 光トポグラフィで用いる近赤外線は、光子エネルギーが低いため人体に対して、
  基本的に安全であり、かつ良く透過します。そのため、頭皮上から照射すると、
  頭皮・頭蓋骨を透過し大脳で反射してきた光を再び頭皮上で検出することが可
  能です。そして、この近赤外線は血液中に含まれる色素タンパク質であるヘモ
  グロビンに吸収されるため、反射光強度を計測することにより脳内の血液量変
  化を計測することができます。脳は、活動した部位で血液量が増加することが
  知られていますが、光トポグラフィを用いると、この局所的な脳血液量変化を
  多点で完全に同時計測でき、脳活動を画像として観察できます。

*4 筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis)

                  日立製作所HP ニュースリリース から

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頭蓋骨に穴開けてプラグを埋め込んだり、神経を体の本来の位置とは違う場所に移植
するとか言った、外科的措置を人体に施さずとも良いわけです。

まだ「オン」「オフ」切り替えレベルですが、間違いなくこの技術は急角度で向上し
ていくものと思われます。

皮相的に無邪気な気持ちとしては、もっともっと、マン・マシン・インタフェース技
術が伸びていってくれればいいが、となりますが、技術の進歩は、人間の様々な可能
性を具現化してしまうのも事実です。


ここ数日、「サイボーグ技術」「ロボット・スーツ」について想起しております。

それら技術の活用に際し、キーテクノロジーになる「マン・マシン・インタフェース
技術」が、最近の数年で激しく向上してきているのがわかります。

今後もこれらに関する情報に対し注視していくつもりです。



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溶射被膜の密着力について考える

2006年11月07日 00時14分42秒 | 業界ネタ
昼前、バフ研磨部門から異動し、検査&イオンプレーティング&ブラスト&溶射、を
担当する鹿児島出身のU-T君が、フレーム溶射作業を行なっておりましたので、作業
風景を撮影致しました。

金属を高温にてプラズマにし、成膜したい品物表面に吹き付けます。


(大げさ過ぎると思われてしまうほどの局所排気を付けた溶射装置回りですが、そう
した設備を稼動させた上に、さらに、ゴーグル・マスク等保護具を身に付けて溶射作
業せねばなりません)


現在、当社では練習段階を脱し、オーステナイトステンレスとマルテンサイトステン
レス被膜形成を営業ベースで行なっております。

溶射で形成した被膜、前処理をきちんと行なっておりませんと、すぐに密着不良に到っ
てしまうことも多く、えてして、溶射被膜=密着性悪し、とのイメージで捉えてしま
われがちです。

はっきり言っておきましょう。

溶射で形成した被膜全般の密着力が低いのではなく、不充分な前処理しか行なわなかっ
た溶射膜の剥落が多いのです。

さらに言うならば、溶射によって形成した被膜の長所短所をよく理解せずに、湿式処
理にて形成した被膜と類似の使用を行なってみたりすること、それにより溶射被膜が
欠損することにより、「溶射は剥落する」「溶射はもろい」、との印象に繋がってい
るわけです。被膜に本来付与されている機能と使用用途とのミスマッチとでも言いま
すか、そういった形で「業界伝説」が生まれてしまったこと、否定できない事実です。

めっきみたいな湿式表面処理導入だと廃水処理という重大かつ大手間なリスクが発生
するのでいやなんだけど、何がしかの方法でより簡便に被膜形成を行なえるならば営
業的には美味しいな、という動機で、比較的簡便な溶射での被膜形成法を導入した、
元々は表面処理業者ではなかった方々が行なう溶射での被膜形成に、密着不良からの
被膜剥落が多い、ということも、はっきりと言えます。

ちょっと説明が鬱陶しかったですか。

もう一つ言うならば、溶射機材メーカーが推奨する、下地ブラスト+下地被膜形成に
ついても、それだけでは今一です。プラスアルファの表面清浄化の為の前処理を、手
間だなと思いながらでも執り行なっておかねば、やはり、被膜密着性に信頼を置きづ
らい、と思います。

湿式の被膜形成に重きを置いためっき屋、もっと言うなら、さらに清浄度の高い前処
理を行なわねば、すぐに密着不良が発生してしまうイオンプレーティング屋だからこ
そ偉そうに申しますが、ある被加工品の上に何がしかの成膜を行なう時は、前処理こ
そが命なのです。

前処理が被膜物性パフォーマンスの8~9割を左右します。

そこんところ中途半端だと、溶射被膜だろうと湿式の表面処理だろうとイオンプレー
ティングだろうと、簡単に被膜は剥落していきます。

自慢げに言いますが、溶射法より難しい湿式表面処理での成膜、それより更に難易度
の高いイオンプレーティングでの成膜、まがりなりにも、それらを全てこなしている
当社だからこそ言える薀蓄が存在する、とご理解下さい。

溶射で形成できる被膜の種類、これからじわじわと増やしていくつもりですし、当社
のオリジナルである、

溶射被膜+クロムめっき
溶射被膜+ニッケルめっき
溶射被膜+イオンプレーティング
溶射被膜+ニッケルめっき+クロムめっき
溶射被膜+ニッケルめっき+イオンプレーティング
溶射被膜+クロムめっき+イオンプレーティング
溶射被膜+ニッケルめっき+クロムめっき+イオンプレーティング

くどくて申し訳ありませんが、様々なご用途・ニーズに対して対応する為に、これら
被膜の重ね合わせ、ご提案を多々行なっています。

何の為こんなに? とご疑問の向きは、ご遠慮無く当社へお問合せ下さい。
できるだけ、明快に説明申し上げる所存です。

お問合せ、お待ちしております。



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