フミ、 フミ。
フッフッフ~。
鈴は、この茶色いガウンが好きだ。
夜、ニンゲンの布団の上にこのガウンを敷き、
その上をポンポンとたたきながら、おいで、と言うと、
すぐに飛び乗ってきて、盛大なフミフミをするのだ。
だから、随分と暖かくなったこの頃、
このガウンはいつまで敷こうか、と悩んでいた。
そしてそんな悩みは、鈴が思い切りふっ飛ばしてくれた。
ガウンの上にゲロをしたのだ。
勿論、撤収して洗うしかない。
夜、布団の上には、代わりのひざ掛けを敷いた。
ベッドに上がった鈴は、
暫くそのひざ掛けのそばをウロウロクンクンして言った。
違う。 これじゃないよ。
と言われても、どうしようもない。
ガウンはハンガーで干されてるし、
それに4月ももうすぐ終わる。
乾いても使う気はない。
無視してたら、ふて腐れた。
普段は居たことのない、
ドレッサーと壁の三角空間で。
ムッス~~~~。
しかもその上には、
たまたまだろうが、干されたガウン。
きっと鈴は、
なによなによ。なんでこんなイジワルすんのよ。
私が茶色の上で寝るって知ってるくせに。
もうアッタマくるーーーっ!
と思ってるに違いない。
元々の原因はアンタにあるんだよ!
と言って理解してもらえたらなぁ~と、
虚しさがこみ上げるニンゲンであった。