監督:フランシス・ローレンス
出演:ウィル・スミス、アリス・ブラガ
『アイ・アム・レジェンド』、映画館で観ました。
治癒はおろか抑制すら不可能なウィルスが蔓延する近未来。ロバート・ネビルは
優秀な科学者だったが、その恐ろしいウィルスは彼にさえ食い止めることが
出来なかった。廃墟と化したニューヨークで人類唯一の生存者となったネビル。
3年の間、ネビルはどこかに生存するかもしれない生存者に向けて無線メッセージを
送り続けていた‥‥。
普段からほとんどが予備知識無しで観るオイラのこと、映画は当初の予想とは
かなりの隔たりがあったというのが率直な感想。予告編やチラシ・ポスターから
知る“それ”は、廃墟と化した大都会に生存者が一人だけの舞台設定‥‥、オレは
久しくハリウッドではお目に掛かったことの無い“静のSF映画”ってやつを期待した。
で、映画序盤は、オイラが思い描いた通りで上々の滑り出し。愛犬のサムやら、
ストアのマネキンやらに声を掛け、健気にも気を紛らわせる主人公の姿、そこには
救い難い現実と、絶望的な孤独の大きさを量り知る。ところが物語も中盤あたり、
ウィルスに感染し、(目は赤く充血し、体毛は抜け落ち、)もはや人間の面影さえ
残さない感染者たちが現れた頃から、いよいよ雲行きが怪しくなってきた。凶暴化し、
暴徒化したヤツらは、夜な夜な集会場に集まって、人を襲いにやってくる。更に、
他の生存者母子と合流した主人公一団は、家の中に隠れて外部からの進入を防ぐ
攻防戦へと移っていく。あれれ?、これの構図って『ゾンビ』と一緒じゃん(笑)。
気が付きゃ、序盤の静かで落ち着いた展開が嘘のように、何とまぁアクション色の
強いSFになっちまって…(笑)。思うに、この映画が本来のそれに見合ったあり方で、
独自のテーマ性を描くとすれば、決してゾンビ(←ここではあえてそう呼ばせて
もらうが)と戦うことではなく、地球上でたった一人となった主人公が、その人生の
何処に“小さな希望”を見出していくのか、というドラマ性ではなかったのか。いや、
極端な話、(多少のフラッシュバックシーンは仕方ないにしても)物語の最初から
最後まで、登場人物がウィル・スミスだけも構わないとさえ思ってた。更に言えば、
一人ぼっちで話し相手もいない主人公が、(たとえ犬であろうと、マネキンであろうと)
言葉を発するはずがない。しかし、その“不自然さ”を、いかに違和感なく“自然な
形のセリフ”で描くことが出来るか‥‥、それが今回、脚本家と監督にとって“腕の
見せ所”であった筈なのに。結局、この映画は折角他にはない個性を持ちながら、
それを自ら放棄して、“SF娯楽としての居心地の良さ”にどっぷり埋もれてしまった感じ。
物語前半部分の秀逸さと、全編を通したウィル・スミスの存在感など、作品として
良いところも沢山あっただけに、平凡なSF映画に終わってしまったことが返す返すも
残念だ。
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