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MBAのための基本問題集(改訂版) 小樽商科大学ビジネススクールが「MBA力」チェック問題集を刊行

2019年10月19日 | 本と雑誌
十数年前の夏休み、小樽商科大学ビジネススクールのサマーセミナーに参加したことがあります。
小樽商科大学は、旧制小樽高商からの伝統を引き継ぐ国立大学、単科大学ですが、いまではMBA(経営学修士)を取得できる大学院も設置しています。
小樽商大MBAは、小樽ではなくJR札幌駅のそばにある札幌サトライトキャンパスにありました。
数日間ここで勉強したことはあまり覚えていないのですが(笑)、夏の札幌でジンギスカンやビール園、ススキノで思いっきりお酒を飲んで騒いだことを覚えています(笑)。

ジュンク堂書店で平積みになっていた一冊。
前回の初版も購読したので、改訂版も購入しました。


MBAのための基本問題集(改訂版)
小樽商科大学ビジネススクール編  同文館出版 2700円+税
MBA(経営学修士)での学習、研究の前提となる経営、マネジメントの基礎知識をチェックするための問題集。
四択問題でクイズ本のように楽しむことができます。

第1章 戦略
第2章 マーケティング
第3章 組織行動と人的資源管理
第4章 会計・財務
第5章 ビジネス経済学・統計

例題
ブランドの構成要素として適切でないものはどれか?
1.パーソナリティ
2.便益
3.ロイヤリティ
4.価値観

寝転がって四択クイズを解いていったのですが、何とか8割がたは解けたので、ちょっと安心。
哲学や文学、歴史学などの重厚なリベラルアーツに比べたら、浅い知識で対応できます。

ふと思ったのが、最近、あまりMBAと言わなくなったということ。
この問題集を解いていても、なぜか「昭和」の香りがします。
ヘンリー・ミンツバーグ博士が説いたMBA不要論(MBAが会社をつぶす)の頃から、うすうす感じていたのですが、MBAで学ぶ学問や実践が、どうも時代に合わなくなってきているような気がします。
書いちゃうと怒られちゃいますが、MBAは所詮、会社や業界という狭い世界を扱っています。
悪く言うと、身近で、とっつきやすく、薄っぺらな知識でも何とか対応できる分野と言えます。
経営学者や経済学者に、あまりお金持ちがいなかったり、MBAホルダーが危機に瀕した会社を一夜にして更生させたというのもあまり聞きません。
戦略やマーケ、財務会計やHRMだけでは限界があるということが認知されてきたのではないでしょうか?

GAFAや中国のBATなどの創業メンバーも、MBAホルダーというのは少数派だと思います。

MBAが対象とする会社は、製造業や大企業を想定したヒエラルキーのキチっとした組織・・・社長がいて、部長がいて、課長がいて、社員がいるという安定したピラミッド組織を前提としています。

指示命令で軍隊のように動く組織・・・そういった組織は、市場で勝てなくなってきました。
IT社会、グローバルマーケットの中では、タスクフォース、フラット型組織、プロジェクト組織などのフレキシブルな組織が強い傾向にあります。

強い組織の在り方が変わって来た・・・MBAが通用しなくなってきた一つ目の理由のように思います。
そして、2つ目。
それは、資本主義社会のステージが新たな段階を迎えたということ。
資本主義社会の終焉とまでは言えませんが、今や、環境や社会、サステナビリティを基本コンセプトにしなければ存続自体が危ぶまれる世界になってきたということだと思います。
SDGsやESG(環境、社会、ガバナンス)、そしてそれを支える人間性や社会性、リベラルアーツがなければ、大企業と言えども明日はないと言えます。
最近のMBAでは、このあたりも選択科目として入れているのでしょうが、今やコアコンセプト、必修科目としていかなければならないと思います。


経営を取り巻く事象をフレームワークで切り取り、美しい戦略戦術、マーケティングを立案・・・そんな昭和の経営学の時代は、時代遅れ、終わりのような気がします。

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