本を読もう!!VIVA読書!

【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『いのちの食べかた』森達也

2006年05月01日 | 絵本

中学・高校生に読んでもらいたいなぁと思う一冊を取り上げます。少し前に『食品の裏側(安部司著)』をご紹介しましたが、多くの方からコメントをいただきましたし、また実際にとても売れているのですね。本書は食の安全性を問題にするのではなく、食を通して世の中を良く知ろうと呼びかけます。

どちらも便利さの陰に隠れているものに、注意を払うこと『知る』ことを強調する点で一致しますし、また、だから、すぐ現在の便利さを捨てよなどと言っていない点も同じです。

『昨日の夕食は何だった?~』から始まり、後半は戦争や、差別の問題まで取り上げて、最後は『ゆっくり歩こう。いろいろ悩みながら。いろいろ考えながら。~~』という感じの締めくくりです。日本のような豊かな社会において、こういうのも『食育』と呼べるのではないでしょうか。

普段、当たり前のように食卓にのぼる牛肉や豚肉。もちろん、ベジタリアンでなければ、肉抜きの食生活は考えられませんね。実際の肉の形をしていなくても、今や国民食と言われるラーメンや、レトルト食品には、だしとして使われていますから。

それすら避けるというベジタリアンであっても、きっと革靴は履くし、革の財布やベルトをしているでしょう。それに、薬のカプセルだって、動物から取るコラーゲンなどから作られるから、飲みやすいのだそうです。

つまり、ほとんどすべての人が動物のいのちの恩恵にあずかり、また、誰かが、ぶたや牛を殺して、我々消費者のところに届けてくれているはずなのですが、ほとんどの人はそれを意識しない。その『知らない』ことを筆者は危惧します。

場を紹介し、牛やぶたの殺し方や、市場のメカニズムを解説し、そこで働く人々にも焦点を当てます。子ども向けに書かれていますが、非常に興味深く読むことができました。

筆者の狙いは牛やぶたのことではありません。また、動物がかわいそうだというようなきれいごとでもありません。世の中というものは自分の知らないことがたくさんあり、人間は知らないことがたくさんあることを気付かずに、様々な判断を下してしまうことに警鐘を鳴らしているように感じます。

勇気のある人には直接、場に見学に行くことも薦めています。実は大きなテーマなので、肉に限らず、本書のような考え方をしていくと、どんなものでも夏休みの自由研究にもいかせるでしょうね。良い本だと思います。マクドナルドや吉野家に行かれる前にご一読を。

http://tokkun.net/jump.htm

いのちの食べかた

理論社

詳  細


『いのちの食べかた』森達也
理論社:123P:1050円

最新の画像もっと見る

11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
トッラックバックありがとう! (沖縄 太郎)
2006-05-01 19:20:35
是非、読みます。有難うございます。
返信する
Unknown (yuki)
2006-05-01 20:47:45
初めまして TBありがとうございます~



食は 私も気になります



オーストラリアの人たちは 

野生を すごく 身近に感じ 動物が居ないと 

人間も食べるものがない 海さえ その動物たちが

綺麗にし 弱肉強食の中で 動物にも 感謝を 

しているのだと そういう教えを していると

思いました すごい 民族です



エスキモーの人たちも 感謝を しながら 

オットセイを食べ シャーマンの人たちは 

大地に感謝を・・・なんか 宗教的に…?(無宗教ですが)

いや そうじゃなくて いろんな物 事に 感謝を した時に 人間としての 価値や 生き方が

定められてる 気が します



人もその中の一部だと言うことを 

わかって欲しいと思います



昔は 犬もミンチにされ 今では収容所に

入っている犬も ミンチにされると

噂を聞きます 聞いたことないですか?

返信する
読みたいけど、 (tiakujo)
2006-05-01 23:13:00
VIVAさまの記事を読むたびに、この本を読まなくてはならない、ぜひ読みたい、と思うけど、次々絶対に追いつきません、間に合いません。

VIVAさまは特別だとしても、みなさまはどうなさってるのでしょう?
返信する
ホント! (Kimi)
2006-05-02 12:31:07
これだけお読みになるんですね?もちろん失礼ですがお仕事もされてますよね。どうやってお読みになっているのか現場を観察させてくださいな!
返信する
得るものと失うもの (TERRA)
2006-05-02 13:01:08
VIVA様、こんにちは。



前回、安部さんにお会いした時、



色紙に「得るものと失うもの」と



書かれてサインを入れてくれました。



これが、彼の今書物でのメインテーマだそうです。



今日もありがとうございます。

返信する
こんにちは (VIVA)
2006-05-02 15:05:39
沖縄太郎さん・yukiさん:良い本だと思います。大人でも子どもでも。ぜひお読み下さいね。ミンチの話はすみません、ぜんねんながら存じ上げません。



tiakujoさん・kimiさん:ようこそいらっしゃいました。それでですね、どこかでも申し上げている気がするのですが(笑)、ここでご紹介する本は、現在と同時進行で読んだものもありますが、以前読んだものに少し手を加えて、載せているだけですから、ペースは全然早くありません。

今も平均したら一日一時間くらいしか本を読んでいないと思います。ブログの作業の方が手間がかかってしまって…。

塾で5年ほど前からメルマガを出しておりまして、HPはそのずっと前からあります。その読書コーナーで書いたものを元に書いていますから多く読んだように見えるだけです。

速読法、多読法をマスターした!と言いたいところですが(笑)。

ですから、在庫が切れれば、一気にペースダウンでしょう(笑)。急がせてしまうようで申し訳ないですね。
返信する
Unknown (yuki)
2006-05-02 15:47:05
こんにちはッ



コメントありがとうございます~

実は 私は子供の頃 本を強制的に

読まされたので 好きではなくなりました



ですが 子供が出来ると 変わるもので

さらに 主人も本が好きで 今では 本に囲まれて

生活したい なんて 言っています(老後?)



こちらこそ 参考にさせてくださいね

子供には 本を読んでもらい派 です



速読法 私もマスターしたい…
返信する
何でもみてやろう! (tama-nyanya)
2006-05-02 17:22:09
毎日をキラキラと、輝く目で世の中を見つめる若い人が増えるといいですね。うちにも高校生の娘がいます。大学受験の勉強ばっかりしていますが、私は読書をして欲しいのです。山の上ばかり見てあくせくあるいていると、つまらないでしょう。どんな素晴らしい山でもてっぺんでは、風が吹き雲が流れているだけなのですから。山より自分の中に頂上はあると、私はいつも思っています。インナートリップへ誘う読書は大好きです。ちなみに今は堀江敏幸の小説が。

ではまた。私のほうにも遊びに来てくださいね。
返信する
はい! (VIVA)
2006-05-04 19:10:10
yukiさん:コメントありがとうございます。そうでしたか。私も速読法マスターしたいですね、本当に(笑)。



tama-nyanyaさん:さっそくのコメントありがとうございます。すぐにお伺いしました。素敵なブログでした。またおじゃまします。
返信する
知らない事がいっぱいの世の中 (永遠の14歳)
2006-06-01 10:44:14
今更ながらでありますが、この本読ませていただきました。



自分の今までの無知無知ぶりに、なんて問題意識の低い人間であったかと、恥ずかしいかぎりです。



子どもには、作ってくれた人(お百姓さんや漁師さんや、スーパーの人、あらゆるこの商品にかかわって下さった人、このテーブルにたどりつくまでにたくさんの手をかけて下さった全ての人)に感謝だよ、と、言っておきながら、自分は、いたるところに穴を持った知識しか持ち合わせていない事、考えが浅はかだった事を痛感いたしました。



ご紹介いただき、ほんとうにありがとうございました。
返信する