ニートという言葉は2004年から日本で使われ始め、あっという間に社会問題としての認識が広がり、いまや、小学生でも知っています。仕事をせず、学校にも行かず、求職活動もしていないという完全なマイナスイメージです。うちの塾の生徒の中には、『フリーター・ニートにだけはなりたくない!したくない』という生徒・ご父母も多いです。
本書は、実際にこの現象の分析と、危機感をあおろうとする言説の背景にあるものを、実に綿密に調査しています。
まず、現在、『 未成年の凶悪犯罪は増えていない 』 ということはご存知でしょうか。これは 犯罪統計 を見ればすぐに分かりますし、本書に限らず、何人もの識者が、そのことをずっと指摘し続けています。(私の記憶では、宮台真司氏や村上龍氏とか)
ところが、なぜか不安をあおる報道ばかりが続くために、ありもしない “少年犯罪の増加・凶悪化” を信じこんでしまいます。なぜでしょうか。
その現象に乗じて、“売ろう”とするマスコミや知識人、政治利用したい勢力がいます。(視聴率を上げる、売り上げを伸ばす、予算を取る、法案を通すなど)
ニートの場合、報道のされ方は似ていますが、もう少し複雑です。というのは、実際に日本で定義する“ニート” は増えていますから。しかし、筆者らはさまざまな記録や統計を用いて、そもそも労働経済学の問題であるのに、それを家庭教育や学校の問題にすりかえたり、“怠けるな、甘えるな!”あげくには、“切れる○○才”などとキャンペーンをはったりして、犯罪に結び付けようとする動きを批判します。
その結果、まじめな親が、子育てに不安を感じるだけでなく、世代間の不信感を生じます。
そういえば“ゲーム脳” というのもありましたね。いまや“トンデモ本” の代名詞のようになってしまいました。ゲームをしすぎると痴呆になるとか、ここでもまた凶悪犯罪につながる、などという主張で、ソニーや任天堂には大迷惑でしたが、“そうだ!”と大賛成した親ござんも多いのではないでしょうか(笑)。正直申し上げて、私もそんな気がしましたから…。
とにかくマスコミでいっせいに “新情報” として流されますと、忙しく、どことなく若者に不安を感じている現代人は、すぐに情報として取り入れたがるのではないでしょうか。
若者に対するネガティブキャンペーンは、“凶悪系”(酒鬼薔薇聖斗やバスジャック事件 佐世保の事件などを持ち出す)と“情けなさ系”(ニート、パラサイトシングル、ひきこもり)に分けて行うという指摘です。
マスコミ主導で大きな風潮が作られるときには、やはり一歩引いて慎重に考える姿勢が必要です。どんな風潮にも、それぞれに複雑な要因がありそうで、一冊本を読んだくらいではなんともなりませんが、ニートに関しては、本書でかなり整理できました。三人でお書きになっているので、まとまりには欠けますが、関心のある方にはぜひお薦めします。
http://tokkun.net/jump.htm
「ニート」って言うな!光文社詳 細 |
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何とか1位です。ありがとうございます。
ベストテンぎりぎりをさまよっております。みんな強いです。
瞬間的に…。
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