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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『戦争倫理学』 加藤尚武 

2006年07月31日 | 外国関連
 
イスラエルによる空爆で、子どもたちを含め、非戦闘員の多くの命が奪われています。避難所を空爆するなんて、平和慣れした日本人の感覚ではとても理解できませんよね。憎悪を呼び起こすだけですし、これこそ戦争犯罪じゃないのかと、怒りたくなります。

本書は、アメリカによるアフガニスタン空爆やイラク戦争が歴史的に、倫理的にどう位置づけられるのかの論点を明確にするために、2003年当時に緊急出版された一冊です。

完全平和主義としてカント、平和は人を堕落させると主張するヘーゲル、またマキャべリ、東京裁判で日本無罪論を主張し、戦争は国家の権利であるというパル判事、さらに当時の小林よしのり、西部邁などの考えを紹介、あるいは批判しながら戦争、戦争概念の歴史を振り返ります。

戦争に対して現代人が犯す誤解や善悪二元論の不毛さ、慣れの恐ろしさに警告を発します。

「戦争を論じ、いつか合意を作り出そうというのであれば、その前に互いが了解すべき基本的論点をしっかり確認しなければならない」という明確な意図で書かれています。

なぜ兵士は迷彩服を着たり、派手な軍服を着るのかという具体的、基本的なものから、上述の思想の変化、日本政府の憲法解釈の変化など内容は多岐にわたっています。

筆者も前書きで「戦争について考える上で必要な論点はすべて示したつもり」と述べています。既出の論文などを集めた上で、構成されていますので、全体を通すとやや雑な印象を受けますが、戦争を知らない我々には興味深い指摘が続きます。

加藤氏自身は平和主義者ですが、武力行使が認められる場合はあるという立場です。日本で一番有名な倫理学者だと、加藤氏を紹介しているサイトもありました。

とても、一度で本書のすべてを吸収できたとはいえませんが、戦争に関して考えるいくつかの座標軸のようなものをもらい、今後も参考にするであろう一冊です。



http://tokkun.net/jump.htm 



戦争倫理学

筑摩書房

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