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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『子どもに教えたくなる算数』栗田哲也

2006年04月05日 | 中学受験関連【算数・国語参考書など】
 

著者は現在も「大学への数学」などに寄稿しながら、数学オリンピックを目指す学生のためのセミナーの講師をされています。 

中学受験の算数というと、解法パターンなどの知識が重要視されがちですが、本書では問題の考え方を少し変えるだけで、決して解法パターンに頼らずとも考えられるようになるいくつかの例があげられています。 

さらに、著者は小学5年生の娘さんを持った架空の人物を登場させてその人物に算数の手ほどきをするという形をとって話を進めていきますので、お父さん、お母さんが読まれれば、題名どおり子どもに教えたくなってきます。

「図形でイメージして解く」として、65x65、73x77とか
1+2+4+8+16+32、1+3+9+27+81+243、
などが与えられます。できますか?分かってしまうと教えたくなります(笑)。

勉強としてだけではなくクイズとしても面白いと思います。同じく、宮本哲也氏も強育論『合格パズル』などで、パズルの有用性を強調しておられます。うちの塾の生徒たちにも使っていますが、同じ算数の思考方法を用いるのに、導入が“問題”となっているのと“パズル”となっているのでは反応は大違いです。
(おっ、お二人とも哲也さんですね)

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子どもに教えたくなる算数

講談社

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『子どもに教えたくなる算数』栗田哲也
講談社:254P:777円

『ビッグテスト(The Big Test)』ニコラスレマン

2006年04月05日 | ノンフィクション
 
副題は『アメリカの大学入試制度 知的エリート階級はいかにつくられたか』
アメリカの“SAT”というテストは日本における大学入試のセンター試験のように、アメリカ全土の大学入試で利用されるものですが、その導入のいきさつを含めてテストというものを軸に、アメリカ教育界の流れを見つめているノンフィクションです。

かつてはハーヴァードは白人エリートたちの大学でしたが、簡単に申し上げれば、金持ちボンボンだけでは、国の指導者は務まらないし、どのように優秀な人材を求めるべきか、そのためのテスト制度はどうあるべきかということで、改革が進んでいきます。

関係者に対する取材が実に細かく、SATを真のエリート養成のために作り出したETSという組織(TOEFLも作成している)の歴代の指導者、過去から現在までの政治家、様々な運動家たちの立場を丹念に描写しています。

アファーマティブアクションがあることからも、人種の問題が根深いアメリカの事情と日本ではテストの持つ意味も異なりますが、現在日本もさまざまな教育制度の転換点をむかえ、参考になる点が多く記されています。

上下2段で400ページを越え、読み応え充分ですが、テストという制度自体に焦点が当てられているため、副題から私が期待した、アメリカ社会全体の記述、エリート層そのものの実態などは少なめでした。

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ビッグ・テスト―アメリカの大学入試制度 知的エリート階級はいかにつくられたか

早川書房

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