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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『リスニング英聞法』伊藤裕美子

2006年04月13日 | 英語リスニング
 
本書は大学入試向けのリスニングテキストではありませんが、学生の英語学習にも役立ちそうなので紹介します。英“聞”法はもちろん英文法に引っかけているのですが、構文別というか、文法事項別に英文が整理されています。『知らなければ一生聞こえない。』として、まずは文法的な文の構造や、特殊な用法などを解説しています。

例えば、第1章では『基本動詞の意外な意味』として
do the dishes, walk the dog, have a go, take action などの用法を、さらに
『自動詞のこだわりを捨てると見えてくる』として
walk you home, work the PC, become you, などを紹介します。

CDの方では、まず会話が流れ、ディクテーションをできるようになっています。その後に、同じ会話をスローで流し、次には同じ文法事項を含んだ別の英文を流します。受験参考書ではないので、文法の説明の仕方はどちらかと言えば“覚えておこう的”なものですが、同様の表現がよくまとまっているため、会話表現の暗記にも使えます。

また、本書を購入した人はインターネットを用いて、補助学習ができるようになっていて、さらに力を磨けます。このことも含めて全体的に良心的なつくりになっている印象を持ちました。

聞き取り練習だけで、問題演習や長文がないため、大学受験やセンターリスニング試験対策としては、明らかに不十分ですが、もう一度英語を基礎からやりたい人、文法が苦手な人、英検準2級から2級対策としてお薦めできます。結構ボリュームもありますから、高校1年生くらいからじっくり使うのも良いかもしれません。

リスニング英聞法

旺文社

詳  細
http://tokkun.net/jump.htm

『リスニング英聞法』伊藤裕美子
旺文社:176p:1890円

『真実無罪』宮本雅史

2006年04月13日 | ノンフィクション
 
本書は、新聞か何かの書評で薦めていたのを、何気なく買って読みました。『もの作り大学』設立にからんだKSD事件というのをご記憶でしょうか。当時の超大物政治家、自民党参議院のドンといわれた、村上正邦氏が証人喚問を受けた上、逮捕され、大騒ぎになりました。

村上氏と言えば、数年前、小渕当時首相が病に倒れたおり、密室で後継総裁を森氏にすることに決めたと言われる、いわゆる『5人組』の一人です。あまり評判の良い政治家ではありませんでしたが、毎朝、靖国神社に参拝するのを日課にするほどの愛国者だそうです。

村上氏は国会で、もの作り大学に関して質問をするように、KSD側の故古関氏(贈賄、有罪確定)から請託を受け、その見返りに5000万円をもらったということで逮捕されました。贈った方は認めていましたが、村上氏は逮捕当時から一貫して5000万円をもらったことは否定し続けました。もちろん世論は『どうせもらったに決まっている』となっていました。

本書はその事件の経緯をずっと追い、多くの証言の矛盾や、検察の不可解な捜査方法から『村上は白』という確信を持ち、“法廷ノンフィクション”という形で事件を描きます。取調べや裁判の証人尋問のシーンは圧巻で、時間を忘れて読みふけりました。公平中立というのではなく、検察特捜部に批判的です。

もし本書が事実だけを書いているとしたら、検察というより、国中が騒いで冤罪を作り出したことになりますから、もっと本書はさまざまなところで話題になってよいと思うのです。筆者には“お抱えご用ライター”とか“魂を売った”とかいう厳しい批判もあるようですが、そのような言葉は権力者の側に媚びている人に使うのであって、筆者のように、すでに議員でもない一被告の側に立っている人にはあまり使わないのではないでしょうか。

宮本氏がどのような方かは知りませんが、一応新聞記者として、ゼネコン汚職をスクープし、新聞協会賞まで取った経歴もあるようなので、民主党にニセメールを持ち込んだようなフリーライターとは違うのではと思っております。

佐藤優氏の『国家の罠』『国家の自縛』を読んでおりましたので、検察という組織に対して、興味があり、その分夢中になって読みました。国策捜査という言葉が頭に浮かびました。ちなみに実際の裁判では1審、2審とも勝てませんでした。

ネットでいろいろ調べようと思いましたが、KSD事件や村上氏の名前で検索してもあまり詳しい情報がありません。イヤな感じがしました。法律のことは全くわかりませんが、日歯連の1億円はどうなんでしょう。村岡氏は無罪になりましたが、青木、橋本、野中の各氏は確実に1億円もらったのに逮捕すらされてません。

http://tokkun.net/jump.htm

真実無罪―特捜検察との攻防

角川学芸出版

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