ときぶーの時間

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家の事

2011-12-08 07:13:10 | 日記
NO-23

昨日は寒かった。一昨日の暖かさから一気に気温が下がったので、僕は今も横浜の避難生活でホットカーペットしか暖房用品を持って無いから、風邪引く前に早く準備しなくちゃ。

今日も僕の日課である彼の事を書こう。今年の6月頃だったかな?強制避難区域に住む彼(松村直登)に、「秋から冬にかけて気になることがある。」と言われたことを思い出した。

その時にそれって何?って聞いたら「秋から冬は、民家の柿の実を狙って山から猿が下りてくるかも知れないな?奴らが下りてきたら大変なことになるぞ。」と彼は言った。

富岡町には、10月から柿の実を付け始め1月の上旬頃まで実をつけている柿の木があって、それは立派で大きな木を持った家を僕が知っているだけでもたくさんある。実の生り方はもう半端じゃないくらいなって、それが標的になるかも?と話してくれた。

僕の家にも柿の木があって(かなり小さいけど)今年はたくさん実が生った。横浜出身の僕も10年くらい前に、僕の町の国道で猿を2匹見かけて「えっ、猿!」と思わず走らせていた車を止めて見入ったことがあるのだが、あの時はびっくりした。

町の中心部から少ししか離れていない国道で猿を見たわけだから。それでも、20年住んでいて見たのはその1回だけど滅多に見ることがない動物だからインパクトがあったよ。

猿が下りてくるとどれだけ大変?と彼に聞いたら「猿はやっかいだぞ!捕まえるにも牛や豚のようにいかないし、人間がいなければ我が物顔で悪さ(いたずら)して、やりたい放題壊し、家の中なんかに入ったらもう家には住めなくなるぞ!屋根にあがったら、瓦をはがして遊び又はそれを落としたりするから、家も外から壊されていくよ。」と聞き、猿だけは勘弁して欲しいと僕は思った。

それでも、今のところ猿の被害は無いみたいで少し安心した。今、被害が出ているのは、なんと牛なのである。牛は餌が無くなってきていて、木から熟して落ちた柿の実を食べているみたいだ。

だから、大きな柿の木を持った家に牛が入り敷地内に糞がたくさんあってあちこちから苦情が出ているのだろう。人間が住んでいないのだから動物たちには楽園天国なのだと思う。

僕の家も今年の夏に一時帰宅で戻った時に、つる科の植物が庭一面につたい自分の背丈よりも高い2mくらいの雑草が数千本生え、侵入を拒むかのごとく生い茂り、このまま住めない状況が続けば確実に家も傷んできて住めなくなるだろう。

その時には家をあきらめるしかないかと、不安と焦りでたまらなくなる。家の玄関前の石畳の隙間から何本もの雑草が立ちはだかり、その雑草を足で踏み倒して家の中に入ったわけだが、長い間閉め切っていた部屋はとてもカビ臭く残してきた寝具や洋服は「もう、使えないね」とかみさんはガックリ。

壁紙だって、畳だって、家の木材だって湿気でやられてしまう。国も電力会社も全然分かってない!自分の身に置き換えて考えてみてくれ!
自分が同じ立場だったら、どうしますか?おとなしくしていますか?電力会社の中にも、分かってくれている人もいるけど、少しの人間しかいない。

こんな思いでじっと我慢している僕ら被災者がたくさんいるのだ。猿の話から、かなり脱線したがこの事実を書かないと、世間のみんなには理解してもらえないと書いてみた。1人でも多くの人に、富岡町を含む6町村の住民が苦しい日々を送っている事を伝えたい。

家のローンもあと12年残し、猿の心配をしたりつる科の雑草の心配をしたり、挙句の果てには事業を始めようとしてた矢先のこの事故で、僕は去年の12月に会社を辞め会社員でなくなり4月から会社を立ち上げる予定で、過去の実績も何も無いから補償してもらえないのだ。こんな事が実際に今の日本で起こっているのだ。

会社を辞めなければ生活補償をしてもらえたが、事業を起すという希望と夢を持ち4月に会社を立ち上げる準備に奔走していた僕には、過去に実績も無いし単なる失業者扱い。補償もしないなら、3月11日前の富岡町に戻せ!と言いたい。補償相談室の人には、いい人がいるのだけれど今は・・・





















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立派なお墓

2011-12-08 06:36:50 | 日記
NO-22
昨日は用事が出来て友達と静岡の沼津に行って来たのだけど、東名高速を走って目に入った富士山があまりにもきれいなので感動しました。

僕はやっぱり富士山だ~って写メ撮ろうかと思ったくらいだったけど、自分が運転してたので止めました。昨日の富士山は雲ひとつ無い最高!の富士山で本当に嬉しかった。

避難していて久々に気持ちが晴れた一日だったと思います。富士山からパワーを貰ったいい感じ。そのいい気分で今日も強制避難区域に一人で暮らす友人の松村君の事を書くね。

今年の10月の一時帰宅で彼に会いに行った時に、彼が壊れたお墓を直して石屋さんでもやるか?と考えた墓地を僕は彼と見に行ったのだが、そこは見事なまでにお墓が倒壊していた。

僕が見たお墓の参道やお寺の駐車場などには、いたる所に牛の糞が点在し気を使いながら歩き雨も降っていたせいか、足元が悪く石畳をすべって糞まみれにならないようにと、いつに無く真剣に参道を歩いた。

あたりに散乱する牛の糞は、彼らの生きた証だからと割り切りながらも糞の多さに驚いた僕だった。

この時に彼(松村直登)の家のお墓を見てきたのだが、めちゃくちゃ立派なお墓にかみさんと二人でびっくりし、顔をお互いに見合わせて「何これ~!」と彼が由緒ある家系の子孫であることを直感した。

彼曰く5代前のご先祖様が建てたお墓と言ったが、今のお金で2千万~3千万円かけないと建てられないようなとても大きく立派なお墓だったのだ。

あまりにも凄いお墓だったので、僕は彼に君のご先祖様は大金持ちか?大きな会社の社長さんだったのか?と、すかさず聞いた。

彼は「内の先祖は、代々この寺の住職だった。何代か前の先祖が坊主になるのが嫌で寺を譲ったのだ。」と言った。

本当にもったいないと思った僕だが、彼がお坊さん?想像しただけでぷっと吹き出しそうで、その時は神聖な場所なので笑いをこらえたよ。

でも今まで見た事の無いとても立派なお墓だった。高さも普通のお墓の3倍はあったし、石碑の容積は10倍以上はあったと思う。

彼はお墓の大きさを小さな子供の頃から見続けているものだから、僕らの驚きをよそに普通に接してくれていたのだが、倒壊した家々のお墓を見て「みんなが、これを見たらがっかりするだろうなあ」とぽつりと呟いた。

彼は、いつ戻れるのかも分からない状態で暮らし続け家を残して避難し、帰って来たらお墓まで直さなければならない住人を気遣い呟いたのである。

彼は今年のお彼岸に各家々の人達が強制避難区域の富岡町にお墓参りに来れないだろうと、何を思ったのか?その家々の人達に代わり全部のお墓に花とお線香をあげていた。

その形跡を見て僕は、こういう事をするのも動物の命を守るのもこの人の先祖伝来の血筋(お坊さん)から来るものなのか?と・・・

それは彼の慈悲深さと菩提心の何ものでもないのだと痛感した。たくさんのお墓があったからお線香だって相当買ったはずだし、本当はやさしい男なのである。。

普通に心の中で思っていても出来ない事を彼はいつもやってしまう。今まで僕が書いてきたことから想像出来ない人もいるかも知れないけど、これも本当の事だよ!

みんなが知らない彼の一面を今日、紹介する事が出来て良かったと思う。いつも人がびっくりするような行動をとっているが、普通に付き合える奴なのでみなさんには、これからも彼を応援して頂きたい。









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