ときぶーの時間

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お風呂と洗濯。

2011-12-22 08:36:15 | 日記

NO-35
今日も強制避難区域の富岡町でたった一人で暮らす松村直登の話を書こう。上の写真は彼がイノブタ?と猫に餌をあげている写真と彼が飼育してるみつ蜂、富岡の海岸で撮った写真です。前にも紹介したけど、彼の住んでいるところは街から少し離れた岩井戸という地名の温泉宿がいくつかあるちょっと山深い場所。秋のある日彼の家に行った時に、炭こたつを見てノスタルジーを感じた僕であった。

横浜出身の僕は、初めて見るそのこたつに違和感を感じたのだ。話に聞いてはいたが秋なのにまだ気温が高く少し汗ばむような日に、テーブルの下の炭の燃えきったあとの灰が。何とも言えず夏に暖房機?のような感覚と昭和の時代にタイムスリップしたかのような感覚で、それは僕に新鮮でもありインパクトがあった。テーブルの上には灯りをともしたろうそくの跡が2つくっきりと付いてあった。

小さな感動とでも言うのかな。1人で感動していたら、うちのかみさんが「私の小さい頃、内も家で使ってたよ」と。もう少し、あの驚きの中に少しだけ浸っていたかったのになあ~。そんな訳で普通じゃない生活をしている彼に、興味津々の僕は色々とその暮らしぶりを聞いた。

自分も震災直後、お風呂と洗濯に困りそれは大変であった。正直、震災直後から僕の家でも電気と水のライフラインが寸断していて、ろうそくで灯りをとりファンヒーター4台とエアコン4台は使えず、緊急時のために用意して置いた石油ストーブ1台で暖をとり、風呂と洗濯は完全にあきらめた。

一昨年の12月に石油ボイラーの給湯器が故障して、風呂が沸かせなくなった時に僕は大なべ2つを使いお湯を沸かし、沸騰してはお風呂に入れて入れるようになるまで2時間くらいかかったかな?あの時も大変であったが、夫婦でお湯のありがたさを痛感した思い出がある。だが今回は水も無くどうにもならなかった。

今年の5月に再会した時、彼のお風呂と洗濯はまさか?川の水を使っているのかなあ?と。僕は勝手におもしろおかしく彼の風呂と洗濯の時の想像をしてその答えを期待した。彼が川に入って「今日の水は冷てえな!」なんてぶるぶる震えながら入っているのか?と僕は1人、笑う準備をしていたのだ。

人の不幸を笑ってやろうなんて、僕もかなり性格が悪いとこの時に分かった。(笑)それなのに返ってきた答えが「馬鹿言え、いくら俺でもそこまではしてねえ。」と僕はてっきり川の水しか無い!と決め付けていたから、その答えにはがっかりした。

何でも、風呂と洗濯は近くのお寺の住職さんが好きなように使いなさいと言ってくれたらしく、その寺の井戸は水が豊富だから全然苦労していなかったのだ。(がっくし)彼の事を書いている僕には、面白いこと書きたいばかりに川に入って体を洗ってぶるぶる震えてくれーと、どこまで、僕は性格がわるいのだろうか?

電気も無いのにどうやって洗濯機を回していたんだい?と聞いたら、彼が持っている発電機でガソリンを燃焼させて風呂も洗濯もしていたと。この時に彼のトラックの荷台にガソリン携行缶がいつもあったのを僕はこの時に理解した。ただ、お寺のお風呂が20人くらい入れる広いお風呂だから1人で清清と入れるのだが、ガソリン代がかさんで頭が痛いと彼は言っていた。

それでも、しつこく川の話を聞いてみたら、ついに白状した。今年の夏はかなり暑かったようで、午前中の餌やりで汗びっしょりになり、午後も餌を配って汗でびっしょり暑さで頭ももうろうとしたと言った。だから夏の間は午前中と午後の一日二回、必ずスッポンポンの丸裸で川に入り、体を洗ってそのままスッポンポンで20~30分川に入ったままほてった体を冷やし、また餌やりを再開していたそうだ。

僕らの富岡町の大半は、プロパンガスでガステーブルを使っている家が多かったと思う。僕のところもガスを使っていたから、ボンベが2本あって料理は出来た。冷蔵庫も電気が無くただの保冷庫になっていたけど、まだ暖房機を使わないと寒い3月だったから食品は悪くならずその食品だけで、3~5日は暮らせた。

それでも2日目から風呂も洗濯も炊飯器も使えず、どうしたって生活出来なくなり僕ら夫婦は避難所へ駆け込んだのだが、彼にその事をこの時に言ったら「川の水を汲んできて使えばいいだろう」と他人事のようにさらりと言った。冗談だろ?とむっとしながら言って返した僕だったが、彼なら絶対にやるなと思った。

彼には、水を川から汲んで来ても生活する根性があるよ。それは素直に認めた僕であった。だからいつもすぐに文句を言う僕であったが、この時は彼に文句を言わなかった。






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