某月某日「和歌山・高野山の神と空海の契約」

某月某日【山の伝承】「和歌山・高野山の神と空海の契約」


弘法大師が、神サマをだまし続けたという奇妙な話があります。


平安初期、空海は和歌山県北部の台地に、真言宗根本道場として総
本山金剛峰寺を建立しました。


それより前、空海が山岳霊場を探して各地を行脚中、いまの奈良県
五條市でひとりの猟師に出会いました。


猟師は空海の話を聞き、それならと猟犬2頭に命じ、空海を高野の
台地まで案内させたという。


この猟師こそ高野山の神・高野明神だったと『今昔物語』に出てい
ます。


その時、空海と高野明神との間に取り交わされた借用書があったと
いうのです。


高野山の神からこの土地を十年間の約束で借り受けた空海は、あと
でこっそり「十」の文字の上に「ノ」の字を書き「千年」にしてし
まったというのです。


それから千年はとうに過ぎました。大師サマがこんどはどうなさい
ました?
・和歌山県高野町。



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某月某日「西丹沢・高指山のフジベニウツギ」

某月某日【山の伝承】「西丹沢・高指山のフジベニウツギ」


5、6月、西丹沢の稜線はフジベニウツギが深紅の花で迎えてくれ
ます。


先年、御坂山塊を四尾連湖から歩きはじめ、三ツ峠山から一旦都留
市に降り御正体山まで歩き、山伏峠からこの稜線に取りつきました。


御正体山からこの西丹沢の稜線にかけてはタニウツギ、ニシキウツ
ギ、ハコネウツギ、なんとかウツギ、かんとかウツギと数知れず。


ルンルン気分で山伏峠から大棚ノ頭経由バラシマ峠、高指山へ。ウ
ツギの花を通しての富士山が美しい。


切通峠へ近づくころはそろそろ日も暮れかかりねぐらを探さなけれ
ばなりません。


切通峠から東側の切通沢源頭におりて小平地にテント張りました。
しばらく雨が降らなかったせいか沢は干上がり、かなり下流まで水
を汲みに行きました。


夜中、水を求めて来たのか異様な鼻息の動物がテントのまわりをう
ろつくのには閉口しました。
・神奈川県足柄上郡山北町と山梨県南都留郡山中湖村との境。



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某月某日「東北・早池峰山ろく遠野市の又一の滝」

某月某日【山の伝承】「東北・早池峰山ろく遠野市の又一の滝」


遠野市に「又一の滝」という滝があります。昔、諸国行脚の僧が「紀
州の那智の滝は日本一といわれるが、この滝は二番目だ」といった
ら、滝が怒って水を止めてしまったという。


あわてた僧は「この滝も又、(日本)一の滝だ」と言い直したら水
が流れ始めたという。それで「又一の滝」というのだとか。


昔、源之丞という人が息子と滝の付近にシ
いう。そこで源
之丞は教わったとおり数種の薬草を滝の水で丸薬にし、治したという。

それが万能薬・薬師夢想丸で、お礼に滝のそばにお堂を建てたとい
う。8月上旬、早池峰山から滝に立ち寄りました。


ひんやりした滝の風が心地よく小休止。あとで見たらここは熊がよ
く出ると案内書に書いてありました。
・岩手県遠野市。



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某月某日「南アルプス・兎岳から望む林道」

某月某日【山の伝承】「南アルプス・兎岳から望む林道」


兎岳はハイマツ帯の広場になっていて北に赤石岳、甲斐駒ヶ岳、仙
丈ヶ岳、そしてはるか向こうに甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳など360度の
展望です。


一帯は森林に深くおおわれ、原始の山を実感する所。ある年の8月、
兎岳の山頂に立つころはすでに夕方、岩に座って大休止。おやつを
食べながら大休止。


ふと、西側遠く山腹に蛇でもはうように白い線がうねっています。
雄大な山並みの山腹を削って延びる林道でした。


なんという人間の傲慢さでしょう。あれではまわりの植生への影響
も心配になるのも道理です。


しばらく眺めているうち体も冷えてきました。雨もポツポツ降り出
してきました。


しばらく歩くうちに樹木の間に幕営の場所を見つけてもぐり込みま
す。


温かいスープとアルコールを飲みながら、どうも気になるあの林道
を記入した地図上にヘッドランプの光を当てました。
長野県飯田市と静岡県静岡市との境




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某月某日「道志山塊・御正体山のご聖人たち」

某月某日【山の伝承】「道志山塊・御正体山のご聖人たち」


かつて御正体山頂には御正体権現がまつられていて、「ご聖人」と
呼ばれる僧が修行に励む場所だったそうです。


なかでも三代目のご聖人・妙心上人は、そば粉などを水で溶いたも
のを食べて修行、ついに即身成仏したという。


その写真はいまも地元に残っているとか。そのミイラは、上人の故
郷の岐阜県の横蔵寺に安置されているという。


当時山頂には寺院も建てられていて、信仰登山の人々で賑わってい
たといいますが、明治の廃仏棄釈の嵐が吹き荒れて以降すっかりす
たれてしまい、いまは山頂近くに峰宮跡が残っているだけです。


ある年の8月、御正体山頂の小平地で昼食。他の2,3パーティー
のみ。背丈まで育った夏草の花に蜜を求めて蜂たちが群れをなして
います。


見るものとてなく、登山者はわきにある壊れた木祠を代わる代わる
のぞき込んでいました。
・山梨県都留市




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